司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

会社はどこへ行った? その2

2012年03月26日 | 商業登記

おはようございます_(_^_)_
今週もどうぞよろしく♪

では早速先週のつづき!

行方不明の有限会社Aを探索すべく、本店移転前の管轄で閉鎖された登記情報を取得してみました。
そして、有限会社A'の登記事項証明書の写しと見比べてみましたら。。。。

なぁ~んだ♪ そういうことか♪

結論から言うと、「有限会社A」と「有限会社A'」は同じ会社だったんです。
何故、これが分からなかったか。。。というと、こういうこと。

有限会社Aは△県□市に本店移転しましたが、その後に登記簿がコンピュータ化されたんです。
通常、管轄外へ本店移転すると、「登記記録に関する事項」は「東京都××区・・・から本店移転」と登記されますが、これが紙の登記簿に登記され、その後にコンピュータへ移記された場合には、ここは「本店移転」ではなく、「平成元年法務省令第15号附則第3項の規定により平成●●年●月●日移記」と登記されます(「平成●●年●月●日」という箇所が実際の移行日で、管轄登記所ごとに異なります。)。

つまり、「本店移転」の記録は「現に効力を有する事項」ではないため、コンピュータには移記されませんで、紙の登記簿を見ないと出てこないのです。
そして、商号変更の事実は、本店移転前の旧本店の登記簿に登記されていましたから、この事実も分からない。

見た目は、まさに△県□市で設立された会社と同じなんです。
しかも、有限会社だと役員の任期がなく、設立後の役員変更もありませんから、役員区も設立時と同じです。(つまり、原因年月日と登記年月日が空欄ってことです。)
注)役員の就任年月日だけは本店移転のときも移記されますので、それだと、他管轄からの本店移転が推定できます。
つまり、管轄外本店移転で役員の登記が移記された場合は、「就任年月日」は登記されますが、「登記年月日」は空欄になるんです。
登記日が空欄になる登記というのは滅多にないんで、こういうところで、管轄外の本店移転の事実が分かったりします。

ですから、今回のようなケースでは、「その管轄で設立された会社」と「他管轄から本店移転してきた会社」、コンピュータ移記後の登記内容は全く同一になるってことなんです。

これはさすがに分からないでしょ~。。。。
ワタシが何の情報もなしにこの登記事項証明書を見たとしたって、当初から△県□市で設立された会社だと思うと思います。

しかし、同一の会社だというのは想像に過ぎないので、会社の方にコンピュータ移行直前の閉鎖登記簿謄本を取得していただくことにいたしました(管轄の法務局に請求しないといけないんで、今となっては面倒ですね。)。
おそらくそこ(商号資本欄の「登記用紙を起こした事由及び年月日」)には、「東京都××区から本店移転」と登記されているはず。
そうなっていれば、有限会社Aと有限会社A'は同一の会社ということが確定します♪

そういえば。。。
5月21日から、会社法人等番号の付番方法が変更されるそうです。
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00068.html

管轄外へ本店移転しても番号は同じになりますんで、同一の会社であるかどうかは一目瞭然。
今回のケースも、良く分からない過程があったとしても、少なくとも同じ会社だってことは分かったと思います。
その点では便利になるような気もしますが。。。
だけど、誰でも分かることが増えると、司法書士に聞くことがなくなっちゃいますよねぇ~。

それは良いこと?^^;

コメント (5)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする