司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

期限付解散決議 その後 その3

2011年05月24日 | 商業登記

前置きが長すぎて怒られそうですね^^;

電話の内容は、「期限が長すぎですっ!このままじゃ受理できないですっ!!」ということでした。
やっぱりね。。。予想はしていましたけどね。。。

でも、せっかくなので、すぐに「じゃあ取り下げますね♪」 とは言わず、しばらく黙って説明を聞いてました。
要点としては昨日の記事のようなことでして、「期限付決議の期限は2週間まで」ってこと。

ですが、このハナシには続きがありました。

当初予定していた解散の日を存続期間(厳密にいうと「解散日の前日まで」です)とする定款変更決議をした、とする補正を行うこともできます、ってこと。

つまりね。。。。こういうことなんです。
期限付解散決議というのは期限が2週間を超えるとそのままでは受理できないのだけれども、その前提として存続期間の定めを登記するのであれば解散日は維持できるんですって!

そして、これがミソ!!
その存続期間の定めというのは、定款変更決議を独立して行っていなくても、期限付解散決議をしたことによって「存続期間の定めを設ける」という定款変更を含めて決議したものと解することができるから、決議内容は何らの追加・修正・変更を要しないということ。


要するに、2週間を超える期限付解散決議をしたっていうのは、「存続期間を定めた決議」と解釈することができるから、申請書(と委任状)だけ補正すれば良いのですって。
具体的には、こうなります↓(日付は適当です)

【補正前】
登記の事由 解散
登記すべき事項 平成23年3月31日 株主総会の決議により解散

【補正後】
登記の事由 存続期間の設定+解散
登記すべき事項 
 平成23年1月30日設定 存続期間 平成23年3月30日まで
 平成23年3月31日 存続期間の満了により解散

解散決議をしたのに、定款変更決議になっちゃうわけですよね。
何だか不思議な気がしますけれども、解散決議が一律に無効ということにしちゃうと、それこそ影響が大きすぎるので、これって、苦肉の策なのだろうな。。。って気がしています。

ただ、登録免許税が余分に3万円かかってしまいますので、これを嫌がる会社も多いでしょうね。

で、今回ですが、取り下げを予定していたものの、「決議はそのままで良く、お金を多めに払えば予定通りの日に解散したことにできると言ってますがどうしますか?」とクライアントさんに聞いてみたところ、「だったら、そっちの方が良いデス」というお返事だったので、取り下げはせず補正しました。

ちなみに、解散登記に添付する定款には存続期間の定めを書きようがないので、これがやっかいですね♪
だって、第何条にどういう文言で定めるか。。。。なんてことは一切決議していないのですからね^^;

今回は、「定款は清算人会設置会社でないことを確認するために添付してもらうので、ま、そこは目をつむります。。。」ってことになりました。
だからぁ~。。。定款は要らないでしょ~!?。。。ハナシが堂々巡りですね^^;

。。。。というわけで、法務局としても一応の結論を出し、現在はこれにしたがって処理されているようです。
個人的にはソコまでコダワル必要があるのかな。。。と思いますが、コトの発端は、法務局によって取り扱いが異なり、なし崩し的に期限付解散決議が受理されてきたことにあるのですから、とにかく、まずは、どこの法務局でも同じ結論になるってことが重要ですよね♪

ちなみに、昨日ご紹介した本省の通知(先例ではなく事務連絡)にも、「定款変更決議を要せずして定款変更したと考えられる。」というようなコトが書いてありました。まさか、こんなことになるとは思ってなかったので、ソコ、適当に読み飛ばしていたみたい。。。。^^; 反省。。。

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期限付解散決議 その後 その2

2011年05月23日 | 商業登記

おはようございます。
早速先週の続きデス♪

期限付解散決議に関する騒動の顛末は、ひととおり商業登記倶楽部からの情報で知ってはいましたが、実際、法務局がそれに基づいて処理されているのかどうかは聞いたことがありませんでした。
ま、あれだけの騒ぎになってしまったのですから、内部的にはかなりきつ~いお達しがあったのだろうと推察していましたけどね。。。

で、ざっくりとご紹介いたしますとね。。。
数ヶ月先の期限付解散決議は認めるべきだ!! との法務省への申し入れに対し、御上は当初「決議が明らかに無効である場合を除き、1ヶ月程度の期限付決議であれば、受理せざるを得ない」というようなことをおっしゃっていたようなのです(これは東京法務局見解)。が、その後、本省(法務省民事局商事課)の見解が公表されまして、「期限は2週間程度」とされたそうです。
なんで2週間?というと、

そもそも、期限付解散決議を認めない趣旨は「解散決議をしたにも関わらず解散するまで公示しないとなると、取引の安全が確保できないから」だと説明されています。
つまり、存続期間が登記事項とされていて、それは将来のある時期に会社が解散することを公示する必要があるという趣旨なのだから、それに照らして考えると、期限付解散決議を許容するってことは、解散時期を公示すべし!とする法の趣旨に反するということなのだそうです。
しかし、決議の時点で即刻解散した場合でも、登記期限までには2週間の猶予期間があるのだから、2週間程度の期限付解散決議であれば、良いことにしましょう。。。というような理屈。

結局、ハナシは昔に逆戻りした感じですよね。
今日解散した会社があったとしても2週間後までは登記しなくても良いのだから、2週間後に解散しますという決議をして、解散日に登記申請した会社と同じでしょ!? だからその程度ならOKとおっしゃっているようです。
だけど、2週間後に解散する決議をした会社は、さらにその後2週間登記しなくて良いのですから、2週間までなら良いっていうのも、何となく屁理屈じゃないのかな。。。っていう気がするんですけども。。。どうですか?
(2週間の期限付決議をして、その2週間後に登記したら1ヶ月ジャン!アレレッ???と思うのはワタシだけ? ^^;)
それに2週間をチョピット超えたのはどうするのか。。。ここも最終的には個々の登記官の判断になっちゃうわけですし。。。

前置きがまた長くなりましたが、今回の登記申請、しばらく何も連絡がありませんでした。
なので、「やっぱり、申請しちゃえば受理されるのかな。。。?」とか「もしかして、気が付かなかったとか?」 とか考えていましたが、やっぱり電話が来ました。

続きはまたあした!

コメント (3)
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期限付解散決議 その後 その1

2011年05月20日 | 商業登記

何だか解散。。。解散。。。また解散。。。って感じになっておりますが、今日は皆さんが多少ご興味ありそうかな? って話題です。

同業者の皆様は当然ご存知のことかと思いますが、ここのところ、期限付解散決議の可否について、色々と議論が繰り広げられております。
かくいう、ワタクシメも騒動にチョコっと巻き込まれた一人でありますが、
詳しくはコチラ→ http://blog.goo.ne.jp/chararineko/e/51abb8a2ea0fc29ae89fa6b3adc87771

結局、法務局の対応は変わったのかしらね。。。どうなのかしら。。。どうなってるの?
と、思いつつ、皆さんご存知のとおり、気の小さいワタシ、「堂々とトライしてみよう!」 という気にはならずに無難に無難に登記申請しておりました。

ところが先日受託した解散案件、またしても期限付解散決議を行っておりました。
既に決議を終え、かつ、期限付解散日も過ぎた状態でして、「あちゃ~^^;」 と思いつつ、こんな提案をしてみました。

「法務省では、原則として期限付解散決議は認めないっていうスタンスなんです。ですので、この登記申請は恐らく補正になりますケド、どうします? ワタシとしては、現在の取り扱いを確認してみたい気もしますので、取り下げをしても問題ないのでしたら、とりあえずこのまま登記申請するのも良いかも知れないって思うんですけどねぇ~。。。」

以前から思っていたことではありますが、期限付解散決議をした解散登記を受理しないってことは、解散決議が無効ということなのでしょうか? 却下されたら審査請求するってことですよね~??
しかも、解散決議は期限が到来してから申請しますので、登記が受理されない場合は解散予定日には解散できなくなってしまい、実務上、大きな影響が出ることは当然想定されます。

。。。で、今回の会社サンの場合ですが、当然ながら、既に行った決議を(例えば議事録だけ)適当に訂正することはできないのだし、このまま申請しなくても、申請して却下されたとしても、いずれにしても再度株主総会を開催しなくちゃダメなので、ダメもとでこのまんま申請してみることになったワケです。

不幸中の幸というか。。。清算結了もお急ぎでなないとのことだったので、取り下げを辞さない覚悟で登記申請しました。
ちなみに、解散日は決議から約2ヵ月後。
登録免許税の納付も、取り下げることを考えて、久々に収入印紙で納付いたしました。(←再使用できるようにデス)

会社サン側は、取り下げた場合の株主総会の開催の準備をチャクチャクと。。。

さて、結果はいかに!?
来週に続く~=3

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解散登記と定款 その4

2011年05月19日 | 商業登記

おはようございます。
今日で終わりにしましょうね。。。^^;

株式会社の機関設計というモノは、一括申請が義務付けられているものがあります。
例えば、取締役会設置会社になるときに取締役が3人以上必要だとか、監査役設置会社になるときに監査役がいなくてはいけないだとか。。。取締役会非設置会社になったら、譲渡制限規定(取締役会が承認機関になっている場合)を変更しなきゃいけないなど。

これを清算人会設置会社に置き換えますと、監査役会設置会社になる(または既に監査役会を設置している)ような場合ですと、解散登記と清算人と清算人会の登記は一括申請をする必要があるのだろうと思われます。
一方、単に清算人会を設置した場合はどうか。。。というと、結局、清算人の代表権の問題が出てきます。

つまり、清算人会設置会社の場合であれば、原則として清算人会で代表清算人を選任し、非設置だと株主総会で選定します。
代表清算人の就任承諾の関係も、原則として前者は必要で後者は不要。
結局、解散登記と清算人の登記の一括申請が義務付けられ、清算人の登記をする前提として、清算人会設置会社の旨も一括申請が必要ってことになりそうな気がします。

ですが、清算人会設置会社の場合にだけ「ないコト証明」を求めるのは、やっぱり違う!と思うわけです。
100歩譲って、この「ないコト証明」を求めることはいたし方なし、としても、定款を添付することに意味があるのかなぁ~??って気がして仕方がありません。

清算人会設置会社になることを積極的に決議したとしたら、議事録に記載されていますよね。
そして、監査役会設置会社であることによって、清算人会の設置が義務付けられる場合には、通常ですと「監査役会設置会社」って登記がされていますから、定款を確認するまでもありません。
解散前の定款に「解散したら清算人会を設置する」なんてことが規定されている訳はないですしね。

色々考えてみても、定款から清算人会設置会社である事実が分かることはないと思うんです。
だったら、定款にそういう定めがないのはあったり前のことなので、清算人会設置会社だろうがなかろうが、定款を添付させることに実質的な意味はないのじゃないかな。。。。と思います。

だからワタシも添付を忘れるんだ。。。きっと。。。(←言い訳^^;)
商業登記法の規定、間違っちゃったんじゃないでしょうかね?

。。。でね、ちょっとハナシは変わるんですけど、例えば、増資して資本金の額が5億円を超えた公開会社があったとします。
けれども、増資した事業年度が終わらないうちに解散してしまったとしたら、その会社は公開大会社ではないですよね(定時総会で計算書類を承認する前なのでまだ大会社ではない)。 
機関設計は解散時点をベースにしますので、その後に大会社になったとしても、監査役会の設置も清算人会の設置も任意だってことですよね!?

実際にこんなケースはないのでしょうけど、こういうことの方が問題なのではないかしら。。。と思ったりしています^^;

ちなみに、特例有限会社は株式会社ですけれども、清算人会設置会社にはなれないので、定款を添付する必要はないのだそうです。
法律上、例外規定は置かれていないのですけどね^^;

コメント (2)
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解散登記と定款 その3

2011年05月18日 | 商業登記

おはようございます。
思いがけず長くなりそうな雰囲気ですが、今日もお付き合いください♪

解散の登記には例外なく定款を添付することになってしまったのでありますが、これは何のためかって言うと、「清算人会設置会社じゃないこと」の証明のため。(←しつこい?^^;)
(あ、そうそう、清算人会設置会社である場合だって、もちろん、定款の添付が必要なので、その場合には「あるコト証明」です。)

それじゃあ、清算人会設置会社にならなければいけないのは、どんな会社なんでしょう?

ってことで、先日もちょこっとふれましたが、清算株式会社の機関設計についてデス。
必須の機関は株主総会と清算人ですよね。清算人は何人でも構いません。
任意の機関としては、清算人会、監査役、監査役会です。
会計参与、会計監査人、委員会を置くことはできないことになっています。(←もちろん、取締役、取締役会もね♪)

その組み合わせは基本的には任意なので、清算人会を置くかどうかも自由に決められるのが原則です。
が、いくつかの例外があります。
まず、監査役会設置会社は清算人会を置かなくてはいけません。
逆は自由なんですよね~。つまり、清算人会設置会社であっても、監査役会を置く必要はないんです。

そしてもう1つ。
解散時点で公開会社または大会社であった会社に関しては、監査役を置かなくてはいけないことになっています。

解散前の会社の機関設計と考え方は同じような感じですよね。
監査役会設置会社が取締役会を置かなきゃいけないっていうのは、バランスの問題(監査役会があるのに取締役会がないなんてバランスが取れないでしょ?ってこと)だと説明されていますが、どうやら清算会社のこれも同じ。

だけどね。。。清算会社と清算会社でない会社とは、機関設計の考え方が違う点もあるんです。
それは、解散時点で強制される機関設計は、後日変更ができないってこと。
つまり、解散決議の時点で公開会社だった会社が清算中に株式の譲渡制限を設けて非公開会社になったとしても、監査役の設置義務はなくならないってコトなんですって!

この点に注意すれば、後は解散前の会社と同じように考えればOK。
監査役を任意に設置している会社は監査役設置会社を止めることができるし、清算人会の設置に関しては、前提である監査役会を廃止すれば、清算人会も廃止することができるってワケです。

解散時にはそういった機関設計の変更を行うこともできるわけですが、これって、一括申請が求められているってことなんでしょうかねぇ~。。。

機関設計と解散登記の一括申請。。。必要ないんじゃ!?
。。。ってことは何ゆえ清算人会設置会社にこだわるのか?!

不思議~不思議~。。。と思いつつ、また明日^^;

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