司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

期間のハナシ その19

2013年11月21日 | その他会社法関連

おはようございます♪

さて、このハナシも長々とまとまりなく書き続けてまいりましたが、そろそろ終わりましょ~ね~^_^;

まず、昨日の金子先生のご意見については、全面的に賛成です。
「効力発生日後」と「効力発生日から」が同義なのかどうか、と、同義だとして「効力発生日を含むか?」という点がモンダイなのだろうと思います。。。で、自分なりに考えてみたことも一応。。。

既出の「企業再編手続ガイドブックP201」には、実は気になる記述がございまして、事前開示書類の備置期間の満了について「この終期は、合併無効の訴えの提訴期間と平仄がとられています。」というような内容。

(会社の組織に関する行為の無効の訴え)
第八百二十八条  次の各号に掲げる行為の無効は、当該各号に定める期間に、訴えをもってのみ主張することができる。(中略)
  会社の吸収合併 吸収合併の効力が生じた日から六箇月以内
(以下略)

↑ これがどうにも気になっていたんです。

平仄がとられてる。。。ってコトは、提訴期間と事前開示書類の備置期間の満了は同じになる。。。という意味ですよね!?
だとすれば、「効力が生じた日から」と「効力発生日後」とは同じ。。。?
提訴期間も「効力発生日の翌日起算」というコトのようですよねぇ~。。。

一方、事後開示書類の備置期間に関しては、「効力発生日から」ですが、効力発生日とは「効力を生ずる日(以下、この節において「効力発生日」という。)」と定義されています(会社法第782条)。

したがって、普通に条文を読めば、事後開示期間の満了日は「効力発生日を含む」。。。という意味になるのでしょうが、どう考えても3つの期間は同時に満了しないとおかしい。。。(事前開示期間の満了日だけ1日前にずれます)
だいたい、「効力が生じた日」と「効力を生ずる日」ってのは、違う日って意味?それとも、現在からみて「過去のコト」と「将来のコト」ってだけで、実際は同じ「時」を指しているのかしら。。。?
⇒ワタシは後者のような気がしています。(とすれば、提訴期間は「初日不算入」で一致するよなぁ~。。。)
開示書類の備置は、訴えを提起する際の資料になるのですから、ずれるとしたって、提訴期間よりも前に開示期間が満了するのはオカシイ!!

それに、新設型組織再編だったら満了日は条文上の疑義はなく、全て一致するんですから、吸収型だけ変な風に1日ずれる。。。ってのも変じゃないですかぁ!?(-"-)

。。。うう~。。。じゃあ!こう考えるのはどうでしょう?

(吸収合併等に関する書面等の備置き及び閲覧等)
第八百一条  吸収合併存続株式会社は、効力発生日後遅滞なく、吸収合併により吸収合併存続株式会社が承継した吸収合併消滅会社の権利義務その他の吸収合併に関する事項として法務省令で定める事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録を作成しなければならない。

事後開示書類の作成は「効力発生日の翌日以降」で良いのですよね?
。。。つまり、作成するのは一番早くて効力発生日翌日の午前0時になるのです。。。このことと考え合わせますと、「最速で作成したとして、そこ(効力発生日の翌日午前0時)から6か月間備置」だとすれば、事前開示と提訴期間とも一致するコトになりますよね!?

。。。で、ワタシは当初「効力発生日を含める派(初日算入)」だったのですけれドモ(←「後」の用法がチョット普通と違うだけ)、考えが変わりました。
金子先生も、ほかにイロイロな根拠を示してくださいましたし、個人的にはすごく納得!!

ま、実際、ホントのトコロは分かりませんし、実務上も大きな影響があるトコロではございませんケド、スッキリしました。
ただですねぇ~。。。一昨日の「効力発生日後」とか。。。他にも「チョットどうなの?」と思う条文は結構あるのかも。。。知らないだけで。。。(~_~;)

。。。というワケで、モノスゴク長いコト、「あ~でもない、こ~でもない」とダラダラ続けてまいりましたが、最後に判例をご紹介して、一応終わりにいたします。

1.S34.6.26最高裁第一小法廷判決
村長選挙の告示日に関する「少なくとも7日前に」の解釈⇒選挙期日の前日を第1日として逆算して7日目にあたる日を含めてそれ以前の日

2.S34.1.16最高裁第三小法廷判決
公職選挙法の立候補届出の期間に関する「その選挙の期日前4日」の解釈⇒選挙期日を第1日として、逆算して4日目に当たる日を示す


↑ムムム。。。(@_@;) こんなのもあるようです。

イライラされた方も多かったと思いますが、お付き合いいただきましてありがとうございました。
条文は難し~デス。。。(~_~;)

オマケ:
肉球仮面さん、先日いただいたコメントのお返事になっていないような気もしていますが、いかがでしたでしょうか?
基本的には肉球仮面さんのお考えには賛同していますが、それも「絶対じゃないかも?」と思える条文も存在していたりして、きっぱり「それでよしっ!!」とも言い切れず。。。という状況でございます(~_~;)
ま、それでも、モヤモヤはずいぶんと解消されました。 ありがとうございましたm(__)m

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8 コメント

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Unknown (肉球仮面)
2013-11-21 15:07:26
 本文中に (と言っても “オマケ” ではありますが) 私の HN が出てきたので、一瞬 『もしや出入禁止の通告かっ !? 』 とビックリしてしまいました。^^;

> それも「絶対じゃないかも?」と思える条文も存在していたりして、

 条文中で『前・以前』 とか 『後・以後』 とかみたいな “基本用語” を本来の定義とは別の意味で使うということは、あり得へんやろうと思いまんねん。立法担当者っちゅうのは、法律作成のプロでっさかいな。こういった “基本用語” については、意図的にはもちろん、たとえミスであっても、別の意味で使いとうても使えんくらい骨の髄まで染み着いとるに違いないと。

 仮に 「絶対じゃないかも?」 と思えるような条文に行き当たったとしても、それぞれの用語はあくまで本来の定義で解釈して、それで尚かつ当該条文が法律体系全体の中で意味を成すような、そんな解釈が見つかるまで追究し続けなアカンのとちゃいまっしゃろか。万々が一、法律用語が本来の定義とは別の意味で使われてるようなことがあったとしても、判例がその旨を宣言したとか、学者のセンセ方の間において 「この条文のコレコレの用語は、本来の定義とは別のナニナニという意味で使われている」 っちゅうのが確定的な通説にでもならん限り、実務家としては、文中で使われている用語を出来得る限り本来の定義に忠実な意味に受け取りながら、与えられた条文を解釈していくべきなんやないかと思いまんねやが・・・(← 自戒でおま。人様のことをとやかく言うとるワケやおませんので、念のため)。

 先日もコメントさせて貰いましたが、私は、条文というものは驚くほど細かいところまで気を配って作られていると信じとりまんねん。一見矛盾していると思われるような表現とか、不要なんちゃうかと思われるような文言が入っとったとしても、実は、ちゃ~んと意図があってそういう文章にしてあると。法律っちゅうのは、ホンマ、よ~う出来てまっせ。

返信する
Unknown (charaneko)
2013-11-22 14:57:28
肉球仮面さん、今回もたくさんご意見を頂戴して、感謝しています。ありがとうございました。
途中からは、強制的に引っ張り出しちゃった感じですが。。。^_^;

条文の解釈は、仰る通り、厳密であるべきですし、本来の意味合いで解釈しなければならないと思います。

立法趣旨と照らして若干ギモンであっても、条文の文言に疑義をはさむ余地がないなら、それはそれで仕方が無いですもんね。その点は、大賛成です。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
返信する
Unknown (肉球仮面)
2013-11-22 16:54:31
 合併における開示書類の備置期間と合併無効の訴えの提訴期間について、自分なりに考えてみましてん。私の考えになんかどなたもキョーミをお感じにはならんやろうとは思いまんねやが、折角考えましたんで、長ったらしぃてご迷惑ではおましょうが、この場で披露させとくなはれ。田舎の泡沫事務所ですよってに新会社法になってから合併てなモン手がけたことおませんし、『どーせ、合併なんかウチには来えへんもんねー』 と思うてロクすっぽベンキョもしてしまへんよって、何かおアフォな間違いをしてしもてるかも知れまへんが、その際にはご指摘をば (意外と撃たれ弱いので、ご指摘の節にはお手柔らかに。^^; )。

 以下、4月1日が吸収合併の効力発生日、新設合併の登記日としときま。

A【事前開示】
1.吸収合併、消滅会社・存続会社 (備置開始日から効力発生日後六箇月を経過する日までの間)
  “効力発生日後” であるから4月1日を含まず、起算日=4月2日
  応答日  10月2日
  その前日 10月1日
  よって、10月1日24時まで備置きが必要。

2.新設合併、消滅会社 (備置開始日から成立の日後六箇月を経過する日までの間)
  “成立の日後” であるから4月1日を含まず、起算日=4月2日
  応答日  10月2日
  その前日 10月1日
  よって、10月1日24時まで備置きが必要。

B【事後開示】
1.吸収合併 (効力発生日から六箇月間)
  起算日=4月2日 (4月1日と考えないことについては後述)
  応答日  10月2日
  その前日 10月1日
  よって、10月1日24時まで備置きが必要。

 charaneko はんが問題提起しはったんは、この場合に吸収合併の効力が効力発生日の0時に発生するとの前提で、その日丸1日あるから “初日算入” で4月1日起算日となり、その結果9月30日24時まで備置きが必要となるが、他の開示制度との整合性の観点から言ってその結論はおかしいのではないか、ということですわな?

 そもそも民法第140条が 『午前零時から始まるときは、この限りでない』 と言うとるのは、丸1日に満たない日を期間のうちに数えると当該期間を利用する者にとって不利益となるんで、その救済のためですわな。例えば、11月1日の午後3時頃にT屋で DVD をレンタル期間1週間の予定で借りたとして、1日は初日不算入、2日起算日として期間を計算すんのは、11月1日は DVD を丸1日は使えない、DVD を鑑賞出来る時間が丸1日には満たないからでんな。つまり、ここで初日を算入するかしないかを分けるメルクマールになるんは、“当該期間が何のための期間であって、初日にそれが丸1日出来るかどうか” っちゅうことなんでんな。先の例で言えば、1週間という期間は DVD 鑑賞のための期間であり、11月1日は DVD を鑑賞出来る時間が丸1日に満たないっちゅうんで “初日不算入” にするんでんな。

 以上のことを前提に考えると、事後開示書類の備置期間は一体何のための期間かっちゅたら、開示書類を株主や債権者の閲覧等に供するための期間ですわな。そやよって、初日を算入するかどうかは、株主や債権者が初日 (4月1日) に丸1日閲覧等が出来るか、初日は閲覧等が出来る時間として丸1日を満たしているかどうかによって判断したらエエし、又そうすべきやっちゅうことになりまんな。『吸収合併の効力は効力発生日の0時に発生するから、その日は丸1日ある』 と考えたんでは、メルクマールを本来求めるべきところとは違うところに求めてしもてることになりまへんかいな? もし仮に事後開示書類を4月1日の0時に備置くんであれば4月1日は “初日算入” としてもエエんでっけど、事後開示書類っちゅうのは、効力発生日後に作成されるもんでっさかいに、0時はおろか4月1日中に備置かれることは無いっちゅうことになりますわな。吸収合併の効力発生が1日の途中かどうかが問題なんやのうて、開示書類の備置きが1日の途中かどうかが問題になるんでんな。
 以上のように、初日 (4月1日) には株主や債権者は事後開示書類を閲覧等することは出来ないので、この日は算入すべきでなく、よって4月2日が起算日となる筈やと思いまんねやが、如何でっしゃろか。

2.新設合併 (成立の日から六箇月間)
  起算日=4月2日 (1日の途中に成立で、初日不算入)
  応答日  10月2日
  その前日 10月1日
  よって、10月1日24時まで備置きが必要。

 この場合は、前記吸収合併の事後開示の場合と同様に考えて “初日不算入” としてもエエでしょうし、登記は1日の途中になるからということで “初日不算入” としてもエエやろと思いま。

【合併無効の訴え】
1.吸収合併 (効力が生じた日から六箇月以内)
  起算日  4月1日 (1日0時に効力発生で、初日算入)
  応答日 10月1日
  その前日 9月30日
  よって、9月30日24時まで提訴可能 (現実には、30日の裁判所が開いている時間中ということになるでしょうが)。

2.新設合併 (効力が生じた日から六箇月以内)
  起算日   4月2日 (1日の途中に効力発生で、初日不算入)
  応答日  10月2日
  その前日 10月1日
  よって、10月1日24時まで提訴可能 (現実には、1日の裁判所が開いている時間中ということになるでしょうが)。

 以上のように考えると、吸収合併の合併無効の訴えの場合以外は全ての期間満了日が10月1日で揃うことになりま。「1つだけ別の日に期間満了っちゅうのは、制度の整合性という面から考えて、どやねんっ!?」 という声もおまっしゃろが、そもそも会社法は合併無効の訴えの提訴期間と開示書類の備置期間を一致させることは考えてないのとちゃいまっしゃろか?

 松井信憲 『商業登記ハンドブック』 初版517頁によると 『主務官庁の認可が合併の効力要件となる場合には、(中略) 合併契約における効力発生日後に認可書が到達する場合であっても、効力発生日の変更の手続をとる必要はなく、合併の効力は、合併契約における効力発生日又は認可書の到達日のいずれか遅い方に生ずるとして取り扱われている』 ということらしおまんねん。つまり、合併契約上の効力発生日と実体上の効力発生日とがズレることがあり得るっちゅうこってすな。

 合併無効の訴えの提訴期間起算点は吸収合併・新設合併とも 『効力が生じた日』 で、『生じた』 と過去形になってまっさかいに (この場合の過去形は、“過去の事実” を表しているというより “完了” を表してるように思いますが)、これは、吸収合併の場合には実体上の効力が発生した日のことやし、新設合併の場合には実際に登記がなされた日のことになりますわな。これに対し、吸収合併の事前開示も事後開示も期間起算点はそれぞれ 『効力発生日後』、『効力発生日から』 と、“効力発生日” が基準になってますわな。で、ここで言う “効力発生日” っちゅうのんは、会社法第782条1項に定義があるとおり 『吸収合併・・・がその効力を生ずる日』 のこってすが、これは同法第749条1項6号に言うそれと同じもんの筈ですわな。これら2つの条文で文言が全く同じでっさかいに。つまり、吸収合併においては、事前開示も事後開示も合併契約上の効力発生日を期間起算点としとるけれども、合併無効の訴えの方は実体上の効力発生日を期間起算点としとるっちゅうことになり、その2つの起算点はズレることがあり得るんでんな。起算点がズレたら、当然、期間満了点もズレると・・・。会社法はこのズレの可能性を織り込み済みで、合併無効の訴えの提訴期間と開示書類の備置期間を常に一致させるということまでは考えてないやなかろうかと思いまんねやが、如何でおまっしゃろか。

 charaneko はんがブログ中で引用されている文献は読んでまへんので詳しいことは分かりまへんが、どうも上述の私見は 『著名な方の執筆によるモノ』 とは異なる結論になってしもうてるっぽいんで、“著名でない” 私の見解は分が悪いようで・・・。^^;


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Unknown (charaneko)
2013-11-22 18:44:17
肉球仮面さん、大作ですね~ 凄いわ!^_^
ワタシなんかより、よっぽど説得力があると思います。
ありがとうございました。

え~。。。それで、事前開示・事後開示期間に関しては、同感です。
ちょっと付け加えるとすれば、「作成日」は必ずしも効力発生日の翌日とは限らないし、事後開示書面には「登記した日」を記載することになっていますんで、登記申請が遅れれば備え置く日もそれだけ遅れる。。。結果、事後開示期間は6か月には満たないコトが前提で、どちらかというと、満了日を揃えたいという趣旨なんじゃないかなぁ~と思います。

それから、提訴期間。
なるほど~。。。そういう考え方もあるんですねぇ~。
ワタシ自身は、はなから「満了日は一致するモンダ」と決めつけていたもので、すごい新鮮でした。
ホントのトコロどうなのかは分かりませんケド、ワタシ個人としては、事前開示・事後開示書面を効力発生後も開示するのは、合併無効の訴えのための資料。。。と考えると、提訴期間と開示期間は一致するのではなかろうか。。。と思っております。

ただ、「効力が生じた日」の意味するトコロはハッキリ分かりません。「そういう趣旨のはずよっ!」というだけで、それを基本に理屈をこねているだけです。理論的じゃなくて、すみません。。。(~_~;)

あ、それとハンドブックも確認しました。
ワタシは(って、実際そういう事例はやったコトがありませんが^_^;)、契約書上の効力発生日後に認可を受けたとしたら、効力発生日の変更手続は要らないけれども、効力発生日は認可日になる。。。という意味ではないでしょうかねぇ~?
なので、開示書類の備置期間の「効力発生日」はすべて「実体上の効力発生日」になるんじゃないか。。。と思います。

「著名な・・・」の書籍は、「森濱田松本法律事務所編・組織再編(中央経済社)」です。
「組織再編関係の書籍で、何か?」と言われれば、迷わずコチラをオススメしたい。。。ただし、若干誤植があるようです(~_~;)
さらに、今回の満了日のハナシも、これがキッカケの一つだったりします。

そんなこんなで若干意見の食い違いはあるようですケド、肉球仮面さんの考え方にはとても共感しています。
ブログを始めた頃は、「コメント欄を設けるとブログ荒らしがやって来るかも。。。」と、若干ビビッていましたが、色んなご意見を伺うことによって、間違いに気づいたり、理解を深められたり。。。と良いコトだらけでした。

実は、「何者なんですか?」って聞かれることも多いんですよ~。ホントに。

。。。というワケで、ワタシの方も長くなりまして、失礼しました。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします m(__)m
返信する
Unknown (肉球仮面)
2013-11-24 16:28:36
|壁|_・) ソーッ

 え~、2013-11-22 16:54:31 の私のコメントが一部間違っていたと思われる資料を見つけてしまいましたんで、ご報告とお詫びをば。何遍も長々と恐縮でっけど、これで最後にしまっさかいに。

 【合併無効の訴え】 の中の 『1.吸収合併』 のところで、

1.吸収合併 (効力が生じた日から六箇月以内)
  起算日  4月1日 (1日0時に効力発生で、初日算入)
  応答日 10月1日
  その前日 9月30日
  よって、9月30日24時まで提訴可能 (現実には、30日の裁判所が開いている時間中ということになるでしょうが)。

と申しましたが、『事例で考える会社法』 有斐閣 86頁以下は、この場合に “初日不算入” として期間計算をしとるみたいでおます。この本はその名のとおり事例を取り上げてそれに即して解説をするというスタイルで編まれとるんですが、『吸収合併は、平成 a 年12月1日に効力を生じる』 という事例 (同書86頁) において、『合併の効力が生じた日から6か月 (本事例では平成 〔 a +1〕 年6月1日) まで、合併の無効の訴えを提起することができる』 (同書96頁) と解説してありまんねん。これやと、効力発生日の0時に吸収合併の効力が発生するとは考えてないっちゅうことになりますわな?

 0時に効力が発生するんやないとしたら、後は24時しかないやろうと思いまんねん。なんぼなんでも “1日の途中” っちゅうことはないやろうと。“午後1時47分に効力発生!” てなことになったら、「なんでそんなチュート半端な時間やねんっ !?」 っちゅうことになりますわな。

 ほたらっちゅうことで、“24時に効力発生” となるんやったとしたら、それはどんな考え方に基づいとるんやろうかということを考えてみましてん。

 “効力発生” っちゅうと、何やら新たなことが始まるようなイメージがありまっさかい、例えば4月1日が効力発生日やったとしたら1日の0時に効力が発生しそうな気がしまっけど、消滅会社に焦点を当てて、「消滅会社はいつまで存続するんやろう?」 という方向で考えてみましてん。効力発生日を “始まりの日” と捉えるんやのうて “終わりの日” として捉えるみたいな感じでんな。

 例えば、ある会社員が3月1日に 「4月1日付で会社を辞めます」 という辞表を提出した場合、その会社員はいつまで会社に出て来るんでっしゃろ? 少なくとも私の言語感覚では、4月1日まで出てきて、その晩に送別会をやってもろうて皆で 「あぁ、こりゃこりゃ・・・」 てなことを言うて、2日からは会社に来なくなる、と思いまんねやが如何でっしゃろか? 辞職の効力は1日の0時に発生するから、3月31日まで出社して 4月1日からは出て来ないということにはならんやろうと。もしこの解釈が正しいとすると、4月1日が効力発生日である吸収合併においては “消滅会社は4月1日付で消滅する” ということは、これを逆に言うと “消滅会社は4月1日までは存続する、4月1日いっぱいは存続する” っちゅうことになるんとちゃいまっしゃろか? で、存続会社の方は4月1日24時に消滅会社を承継すると。このように考えると、“初日不算入” になり、合併無効の訴えの提訴期間も事前・事後の開示書類の備置期間と一致しますし (後記注)、更には会社法第786条が効力発生日当日には消滅会社の方と価格の協議をせえと言うとることの説明も付きま。

 注 : 先日の私のコメント中で 『そもそも会社法は合併無効の訴えの提訴期間と開示書類の備置期間を一致させることは考えてないのとちゃいまっしゃろか?』 と申し上げましたが、この点についても間違っていたと思われる資料を見つけてしまいました・・・。

 『論点体系会社法5』 第一法規 580頁は、会社法第801条中の 『効力発生日』 について 『契約に定められた効力発生日を指すのではなく、実際に効力が生じた日を意味すると考えられている』 と解説してはりま。この解釈に立てば、『合併契約上の効力発生日と実体上の効力発生日とがズレる』 っちゅうことが無くなりまっさかい、全ての期間の満了点は必ず一致しますわな。

 個人的には、会社法第801条中の 『効力発生日』 は同法第782条1項の定義からして 『効力を生ずる日』 のことであり、ここで現在時制が使われているのは “普遍性” を表すのであって ( 「太陽は東から昇ります」 という文例における現在時制と同じ用法)、“完了” を表す過去時制を用いた 『効力が生じた日』 とは意味内容が異なる ( “実際に効力が生じた日” という意味は “完了” を表す過去時制でしか表せない) 筈やと思いまんねやが、学者のセンセ方に 『実際に効力が生じた日を意味すると考えられている』 と言われてしまうと、所詮 “ごまめの歯ぎしり” になってまいますわなぁ・・・。

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Unknown (charaneko)
2013-11-25 20:06:14
肉球仮面さん、コメントありがとうございました。
わざわざ調べてくださったんですね。ワタシよりよっぽど意欲的で尊敬しちゃいます。

自分では、一応記事を書き終わって、若干燃え尽きた感がございまして、アタマが回っていないような。。。スミマセン (~_~;)

で、内容ですけれども、「ほぉぉ~。。。」何か段々と確信に迫ってきている感じですよね。
しかし、「消滅会社は4月1日いっぱいは存続する」クダリは、ちょっと苦しいような気がしています。
会社法上の整理の仕方としては、仰る通り、さっぱりしますケド、登記は効力が生じた後に行う。。。というコトだとすれば、4月1日に登記申請する場合、「登記申請の時点で消滅会社は消滅してない」ってコトにならないでしょうか??

ところで。。。「ごまめの歯ぎしり」、すごい良い表現ですね♪
(実は知らなかったので、調べちゃいました^_^;)

今回も勉強になりました。
いつもありがとうございます m(__)m
返信する
Unknown (肉球仮面)
2013-11-26 07:38:57
『これで最後にしまっさかいに』 と言うときながら、また書いておりますが・・・。^^;

> 4月1日に登記申請する場合、「登記申請の時点で消滅会社は消滅してない」って
> コトにならないでしょうか??

 4月1日付の登記申請を認めとるのは、単なる “手続上の便宜的な処置” とちゃいまんのん? 会社の設立登記でも、登記申請行為をする時点では当該会社は未だ成立してまへんけど、会社が申請人になりますわな。時間的先後関係は逆になってるけど、「登記が完了してしまえば、結局、設立登記の日も申請行為をした日も同日付になるねんさかい、会社の成立と同時に申請してたと考えることにしまひょうな」 みたいな考え方でっしゃろ。

 消滅会社の合併による解散登記もこれと同様に、厳密には時間的先後関係は逆やけど、同日付の申請を認めてると考えてエエのとちゃいまっしゃろか。

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Unknown (charaneko)
2013-11-26 10:55:54
肉球仮面さん、コメントありがとうございました。

む~。。。。(~_~;)
確かにそう考えると、色んなコトがスッキリ解決しますが。。。今までの認識を根底から覆す感じで、かなり戸惑っております。
やっぱり「効力を生ずる日」の意味するトコロとは?なんでしょうが、会社法施行によって発生したモンダイですよね。

先入観にとらわれずに考え直してみようと思います。
ありがとうございました m(__)m
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