司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

組織再編時の商号変更

2009年11月04日 | 商業登記
類似商号の規制は撤廃されましたが、同一商号・同一本店の会社の登記はできない、というのは以前お話ししました。

ですが、今も昔も同一商号・同一本店が認められるケースがあるんですっ!まぁこれは特例なんでしょうが、組織再編の場合です。

以前、逆さ合併が流行った時期がありましたが、ご存知でしょうか? 本来残したい会社を消滅会社とする合併です。事例的には、中小企業ですと設立が古い方を残したりすることが多かったように思います。現在はあまり問題にならなくなりましたが、事後設立の回避のため、というのもそれなりにありましたよね~。設立が古い会社の売買なんかも良く見かけましたけど、今は最低資本金もなくなったし新しく会社を作った方が手間も費用も安いからか、最近は手掛けることが非常に少なくなりました。

そうは言っても、消滅会社の商号を継続使用したい。。。とのご要望は今もあります。例えば、A社とB社が合併してB社が存続会社になるけれど、商号はAにしたいケースです。このとき、B社は合併の効力発生日に商号をAと変更することを予め決議しておきます。

登記は、①(存続会社)吸収合併、商号変更(B⇒A)、②(消滅会社)合併による解散の2件を申請します。
すると、①商号A・A社を合併、②商号A・A社に合併 と登記されます。
???でしょ? 本店が同じだったら、これって同一商号・同一本店の登記です。

法務局によっては、これを許さないところもあるので、その場合には、①(存続会社)吸収合併、②(消滅会社)合併による解散、③(存続会社)商号変更B⇒A の3件で申請します。
すると、②は商号A・B社に合併 と登記されますからモンダイは回避できます。

ただし、実体法上、合併の効力発生日にはBはAに商号変更済なのですから、商号変更登記を後に回すのは、実体とは異なります。しかも、登録免許税も場合によっては多く収めることになったりもします。なので、これもモンダイが残ります。

類似商号規制があった時代から、お願いベースではありましたが、一瞬こういう状態になることについて、法務局は目をつむってくれることが多かったです。連件申請で、解散登記が申請されているんだから実質的にモンダイなかったからでしょう。現在では特にお伺いを立てたりせずに普通に大丈夫になっています。

知らないうちに自分が思ってた会社と違う会社になっていた。。。ナンテコトもありますよ。登記簿を見慣れていない方にとっては、なんだか不思議な気がすると思うんですけどね。。。
コメント
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