孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

世界各地でクリスマスの祈り  パキスタンで進む無差別テロ化

2010-12-25 21:19:13 | 世相

(聖地ベツレヘムの教会の母子 “”より By ryanpking
http://www.flickr.com/photos/ryanpking/3168539202/ )

【「教会の鐘の音が、中東で響く武器の騒音をかき消すことを祈る」】
クリスマスイブの昨夜、世界の各地で平和な世界を祈るミサが行われました。
****虐待のない世界へ祈り=クリスマスイブのミサ-ローマ法王*****
ローマ法王ベネディクト16世はクリスマスイブの24日、バチカンのサンピエトロ大聖堂で行った恒例の深夜ミサで、虐待のない世界の実現へ祈りをささげた。
AFP通信によると、法王は「キリストは人類に虐待行為を克服する力を与えた」と述べ、人権の重要性を世界に訴えた。さらに助けを必要としている人たちに手を差し伸べる「友愛精神」を持つよう語りかけた。
白と金色の衣装に身を包んだベネディクト16世がクリスマスイブのミサを行うのは6回目。大聖堂には約1万人の信者が集い、荘厳な雰囲気の中で執り行われた。【12月25日 時事】 
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イエス・キリストの生誕地とされるヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ベツレヘムの聖カテリナ教会でも恒例のクリスマスミサが行われました。“ミサには約2000人が参加。アッバス自治政府議長も加わり、対立の続く中東に平和が訪れることを願い、祈りをささげた”【12月25日 時事】
このミサで、フアド・トゥアル・エルサレム総大司教は、「教会の鐘の音が、中東で響く武器の騒音をかき消すことを祈る」と和平実現を呼びかけたそうです。
しかし、“越境テロ防止を理由にイスラエルが設置したコンクリート製の分離壁で、ベツレヘムは聖地エルサレムと分断され、観光客は同国軍の検問を受ける。分離壁近くではユダヤ人入植地の建設も進んでおり、ベツレヘムは和平の難しさも象徴している”【12月25日 読売】というのが現実です。

北朝鮮の砲撃から1カ月が過ぎた韓国・延坪島の聖堂でも、平和の祈りをささげるクリスマスのミサが行われました。

食料配給所前で自爆テロ
こうした各地での平和への祈りにもかかわらず、教会の鐘の音は武器の騒音、爆弾の炸裂する響きでかき消されそうになっています。

「テロ地獄」と化しているパキスタンからは、また大規模自爆テロのニュースが届いています。
****食料配給所前で自爆テロ、40人死亡=イスラム武装勢力の仕業か―パキスタン****
アフガニスタンと国境を接するパキスタン北部の部族地域バジョール地区にある世界食糧計画(WFP)の食料配給所前で25日、自爆テロがあり、地元テレビによると少なくとも43人が死亡、72人が負傷した。周辺地域ではイスラム武装勢力の攻撃が多発しており、今回のテロも関係している可能性がある。
地元当局によれば、テロが起きたのは同地区の中心の町カール。食料配給はWFP事務所と同事務所に隣接する中央政府の出張所の前で行われており、現場一帯には配給を受けるため100人以上が集まっていた。女性とみられる犯人は配給所に近づこうとしたが警備員に制止されたため、自爆したという。【12月25日 時事】
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バジョール地区に隣接するモハマンド地区では24日、過激派組織「パキスタンのタリバン運動(TTP)」と治安部隊の間で、計35人(武装勢力側24人と治安部隊側11人)が死亡する大規模な武力衝突が発生していました。
 
“標的となったサラルザイと呼ばれる部族は、他の部族に先んじて反タリバンの民兵集団を結成したが、最近のパキスタン北西部での治安部隊と武装勢力間の戦闘激化から避難民となった。25日は約300人が食料配給を受けるためWFP事務所前に集まっていたところを狙われた”【12月25日 毎日】とのことです。

もし本当に犯人が女性なら、パキスタンでは初めての女による自爆テロという点を除いてはニュース的には特別の目新しさもない自爆テロニュースですが、国際機関の食料配給所に集まった人々を狙うという行為には、なんとも言えないむごたらしさを感じます。
パキスタンでのテロは最近、無差別化が進んでいるとも指摘されています。

****パキスタン 自爆テロの犠牲者、最悪更新 無差別化進む****
パキスタンで自爆攻撃による死者数が今年、過去最悪を更新した。地元紙ニューズが24日に報じた。一方で、自爆攻撃の件数自体は昨年より3割以上減っており、民間人を狙ったり、巻き込んだりする無差別テロ化が進んでいることがうかがえる。
同紙がパキスタン内務省のデータを基に報じたところによると、今年1月から今月23日までの間、自爆攻撃で犠牲になったのは1224人で昨年を7人上回った。このうち民間人は85%の1041人。宗派別では少数派のイスラム教シーア派信者が151人、アフマディーア教団信者などが103人だった。
件数は52件。昨年は80件だった。平均すると今年は1件の攻撃で23.5人が死亡した計算になる。【12月25日 朝日】
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二十数人が死亡するような自爆テロが年間50回以上起きる・・・日本では想像できない世界です。
テロの危険は感じながらも、人々は生きるためには食糧配布を求めて今日も集まらざるを得ない、それを狙ってジハード(聖戦)の名のもとにまたテロ攻撃を行う・・・やりきれない世界です。

コメント
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