孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

温暖化対策  欧州寒波、シュワルツェネッガー知事そしてティモシェンコ前首相

2010-12-24 19:26:03 | 国際情勢

(大統領選挙に敗れて以来、久しぶりの国際ニュース登場のティモシェンコ・ウクライナ前首相ですが、温室効果ガス余剰排出枠の日本への売却代金を不正に流用したとして刑事訴追・・・という芳しくない話題です。
美貌は相変わらずですが、政治状況は厳しいようです。
ただ、彼女はこれまでも天然ガス取引を巡ってロシアから訴追を受けたりしていますので、これくらいではギブアップしないのかも。  “flickr”より By vles5  http://www.flickr.com/photos/56840724@N04/5244618875/ )

問題先送り
地球温暖化に関するCOP16は、結局問題先送りの形で11日に終了しました。
****COP16 「カンクン合意」採択して閉幕 難題は先送り*****
2010年12月12日 12:00 発信地:カンクン/メキシコ
メキシコのカンクンで開かれていた国連の気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)は11日、発展途上国の温暖化対策を支援する「グリーン気候基金」の設立などを盛り込んだ「カンクン合意」を採択して閉幕した。(中略)
カンクン合意では産業化以前からの気温上昇を2度以内に抑えることを呼びかけるとともに、気温上昇を1.5度以内にするための研究の必要性を訴えた。森林破壊防止対策や、各国の気候変動対策の実施状況を検証することでも合意した。

■難題は持ち越し
しかし、すべての国を対象にした温暖化ガス排出削減など、合意が難しい問題の多くは来年南アフリカで行われる次回の会議に持ち越された。
2012年末に期限が切れる京都議定書の扱いについて議論は数日間紛糾した。EUは京都議定書の延長を提案したが、日本は、京都議定書には世界の主要排出国である米国と中国が参加していないため、世界の排出量の約30%しかカバーしていないとして同議定書の単純延長に反対する姿勢を示した。
最終的にカンクン合意では、格差をなくすことを目指して京都議定書の第2期間の検討作業を行うことを呼びかけたが、各国に新ラウンドへの参加義務は課さなかった。

京都議定書は途上国に排出量削減を求めていない。中国は条約にしばられることを拒否している一方、インドが今回の会議で将来においては少なくとも、義務としての行動を検討すると表明したことは驚きを持って受け止められた。(後略)【12月12日 AFP】
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大寒波の原因も温暖化
温暖化対策がなかなか進展しないのは、先進国・新興国・途上国で立場の違いがあることが現実的な理由ですが、温暖化の進行、その影響について個々人レベルで確実な認識が得にくいことが、議論の切実性、果敢な対策実行への勢いを削いでいるように思われます。
アメリカなどでは、“温暖化進行”に疑問を持っている人々が多数いますが、変動する長期的現象を明確に把握できない個人レベルの認識としては無理からぬところです。

寒波による雪で道路が大渋滞になっているニュースが、このところ毎朝フランスから伝えられています。
雪道で渋滞し寒さに凍えていると、「温暖化?何それ」といった感じにもなりますが、こうした厳しい寒波の増加も温暖化の影響だという研究が発表されています。

****欧州で近年増加する大寒波、原因は「温暖化」 独研究*****
欧州の冬は過去10年間でたびたび記録的大寒波に見舞われているが、その主な要因は地球温暖化であるとする論文が、今月発行の学術誌「Journal of Geophysical Research(地球物理学研究ジャーナル)」に発表された。
欧州全域は2005~06年の冬季に大寒波に見舞われた。強い寒波は09~10年の冬季にも再来。今季も既に各地で記録的寒波に見舞われ、交通機関が大混乱するなど影響が出ている。
ドイツのポツダム気候影響研究所は今回発表した論文で、地球温暖化が欧州に大寒波をもたらしていると結論づけた。

■海氷面積の減少が強い高気圧を生み出す
北極では、世界平均の2~3倍の速さで気温が上昇しており、過去30年間で海氷面積が20%減少している。
研究チームは、スカンジナビア半島北方のバレンツ・カラ海の冬季の海氷面積の減少が天候パターンに及ぼす影響について、コンピューター・シミュレーションを行ったところ、次のような結果が得られた。
海氷面積が減少すると、太陽の放射熱は、氷や雪で反射される量より、海に吸収される量の方が多くなり、温暖化が加速される。
これにより、冬季にも広大な熱源(つまり海に吸収された熱)が存在することになる。海水が比較的温かいため、上空の冷たい空気との温度差により海から上空に向けて熱流が生じ、大気が温められる。
その結果、海氷のない海の上空には勢力の強い高気圧が発生し、反時計回りに回転して、欧州に北極の寒気を流し込む。

■欧州と北アジア、寒気強まる可能性3倍に
研究者は、このような異常現象により、欧州と北アジアの冬の寒気が強まる可能性は3倍になったと指摘している。
なお研究者らは、欧州で頻発する寒波は温暖化傾向が弱まった証ではなく、(温暖化の)影響の偏りが反映されているに過ぎないと口をそろえる。
ある研究者は、「(ポツダムで)氷点下14度と30センチの積雪を記録するかと思えば、グリーンランドでは12月になっても氷点下にならない日々が続いている」と話した。【12月23日 AFP】
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カリフォルニア州で包括的な温暖化ガス排出権取引制度
先ほど、アメリカでの温暖化への認識度合いに触れましたが、アメリカでも地域差があり、「新しいもの好き」というか、環境への関心が高いカリフォルニアなどでは、包括的な温暖化ガス排出権取引制度を2012年から実施することが決められています。

****米カリフォルニア州、 2012年から包括的な排出権取引制度を実施*****
米カリフォルニア州大気資源局は16日、州都サクラメントで会合を開き、包括的な温暖化ガス排出権取引制度を2012年から実施することを9対1の賛成多数で承認した。

州内の幅広い業種の主要企業に温暖化ガスの排出権を割り当て、その過不足分を売買する「キャップ・アンド・トレード」方式を導入する。米東部の10州では2009年に同様の「地域温室効果ガス計画」が始まっているが、こちらの対象は電力セクターの企業に限られていた。
来年1月に任期を終えるアーノルド・シュワルツェネッガーカリフォルニア州知事は「わたしは2003年の州知事選でこの政策を訴えた。経済と環境が両立できることを示したい。2006年以降、環境関連の雇用の伸びはそれ以外の業種の10倍以上に上っている。環境は経済にもプラスになる」と述べた。

カリフォルニア州はまず無料で企業に排出量の枠を割り当て、徐々に割り当て量を減らすことで企業に環境対応を促す。企業が森林や農園などでの環境プロジェクトを支援すると、排出権を得ることができる。メキシコのチアパス州やブラジルのアクレ州での森林保全活動なども認められており、一部からは伐採後に植林をする木材企業を支援しさえすれば企業が排出削減義務を免れることができると批判する声も上がっている。

欧州連合(EU)は温暖化ガスの排出量を2020年までに1990年の水準から20%削減するという目標を掲げている。EUほど野心的ではないものの、カリフォルニア州も温暖化ガスの排出量を25%削減し、2020年までに1990年の水準にまで減らす方針だ。
2009年、全米規模のキャップ・アンド・トレード制度の創設などを盛り込んだ「米クリーンエネルギー安全保障法案」が米下院で可決された。バラク・オバマ大統領の民主党は、この法案で気候変動対策ができる上に環境関連の雇用が増えると主張したが、経済に悪影響を与えると主張する共和党の反対で上院は通過しなかった。
ことし11月の中間選挙で共和党が勝利したことから、全米規模でキャップ・アンド・トレード制度を導入するめどは立っていない。【12月19日 AFP】
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現政権による政敵迫害?】
国家間での温暖化ガス排出権取引についてはすでに実施されており、国内の排出をなかなか減らせない日本も各国から排出枠を購入して京都議定書の合意達成を目論んでいますが、ウクライナとの契約で、環境対策に使用すると取り決められた代金が不正流用されているとの問題が起きています。

****ウクライナ前首相訴追 温室ガス余剰排出枠の代金流用か*****
京都議定書に基づく温室効果ガスの余剰排出枠の売却代金を不正に流用したとして、ウクライナ最高検は20日、チモシェンコ前首相を職権乱用の容疑で刑事訴追した。日本はウクライナ政府と2009年3月、排出枠3千万トンを購入する契約を締結、その代金が捜査の対象になっている。
イタル・タス通信などによると、チモシェンコ前首相は同日、記者団に対し、最高検から訴追され、逮捕の代わりに旅行禁止の誓約書をとられたことを明らかにした。日本との契約では、売却代金は温室効果ガス排出削減などの環境対策に使用する取り決めだったが、年金の支払いに目的外使用したとされている。対象額は3億2千万ユーロ(約350億円)とされる。
今年2月の大統領選の決選投票で、チモシェンコ前首相はヤヌコビッチ現大統領に敗北。その後の4月に最高検の捜査が始まった。当時の環境相はすでに逮捕されている。前首相は「ナンセンスだ。現政権による政敵迫害に他ならない」と反発している。【12月21日 朝日】
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大統領選挙で敗北した美貌のティモシェンコ前首相ですが、なかなか厳しい政治状況に陥っているようです。
これまでも天然ガス取引での疑惑・訴追なども乗り越えてきましたが、今回はどうでしょうか?
余剰排出枠の売却に関しては、今後この種の問題が多発するのではないでしょうか。

コメント
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