孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

地球温暖化に関するCOP16 日本、京都議定書延長に強く反対

2010-12-09 20:06:36 | 環境

(サンゴによって成長するツバルは海面上昇でも沈まない・・・との指摘があるようですが、サンゴではなくゴミの山で成長しているような・・・・そんな写真です。“flickr”より By tanwc
http://www.flickr.com/photos/tanweecheng/4776014991/ )

異常気象
連日、ヨーロッパ各国からは例年より早い寒波による市民生活混乱のニュースが伝えられています。
****寒波の欧州、パリ大雪でエッフェル塔が閉鎖に*****
欧州各地で続く異例の寒波の影響で8日、仏パリは積雪11センチと23年ぶりの大雪に見舞われ、観光名所のエッフェル塔が閉鎖に追い込まれた。シャルル・ドゴール空港も除雪のため一時閉鎖され、道路交通もまひした。
一方、英国・スコットランドでは、ハイランド地方で気温が零下18.3度を記録、エジンバラで最大76センチの積雪を観測した。各地で高速道路や鉄道に影響が出ている。またスペインでは洪水が発生したほか、ポルトガルでは7日に暴風が吹き荒れ、車や立木、電信柱や屋根などが飛ばされる被害が出た。【12月9日 AFP】
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今年の夏はロシアでは記録的な猛暑で山火事が多発しました。日本も猛暑でした。
パキスタンでは大雨によるインダス川の洪水によって、全土で大きな被害を出し、その爪痕はまだ癒えていません。

こうした「何十年ぶりの異常気象」の類は地球温暖化の議論とも関連して最近よく目にしますが、そうした異常気象が本当に増えてきているのか・・・?ということについては、個人的には若干の疑問もあります。
昔は多少の「異常」はあまり話題として取り上げられることもなかったけど、近年はメディアの発達や、特に最近の温暖化への関心もあって、そうした「異常気象」が昔より関心をもたれるようになっただけではないか・・・、今も昔も、異様に暑い夏もあれば、例年になく寒い冬もあり、世界に目を向ければどこかで何かの災害が起きていたけど、そんなにみんな気にしていなかっただけでは・・・・という疑念です。

地球温暖化とは別の、人為的気象変動に都市化に伴って気温が上昇するヒートアイランド現象もあります。
こちらは、建物のコンクリート化や舗装道路、空調設備の排気熱などが原因で、熱中症など健康被害の増加や局地的集中豪雨の発生などをもたらしますが、あくまで都市問題であって、地球規模の気候変動とは関係ないとされています。
****台湾:乾きゆく 45年間で湿度9%減、名物の霧雨半減 休耕相次ぎ、影響拡大****
亜熱帯から熱帯にかけての海洋に囲まれ、国際的に「高温多湿の島」というイメージが強い台湾。ところが、都市化によるヒートアイランド現象で湿度が過去45年間で約9%も下がった。風物詩の「毛毛雨」と呼ばれる霧雨が極端に減少。一般的に気温が上昇すると湿度は低下し、その上昇幅が大きければ大きいほど湿度の低下幅も大きくなる。しかし、台北では東京より気温上昇幅が小さいが、湿度の低下幅が大きくなる逆転現象が起きている。水不足で休耕地が増えるなど食への影響も出始めた。(後略)【12月9日 毎日】
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ツバルは沈むか?】
ただ、気象への関心の高まりでやや増幅されている面はあるにせよ、気象に関する専門家が地球温暖化を断じているのですから、温暖化傾向は現実の問題なのでしょう。
なにぶん変動が大きく、長期にわたる現象ですので、それを個人的に確認・実感するのは難しいところがありますが、北極海やヒマラヤの氷河の現象・後退などは比較的よくわかる事象でしょう。

地球温暖化の象徴的事象のひとつが海面上昇です。
****海面上昇「逃げ場ない」=ツバル副首相が訴え―COP16****
南太平洋の島国ツバルのソポアンガ副首相は8日(日本時間9日)、国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)の閣僚級会合で演説し、「台風が来れば、ヤシの木に登る以外に逃げ場はない」と述べ、地球温暖化に伴う海面上昇を一刻も早く防ぐ必要性を強調した。
同副首相は「ツバルは最も幅の広い土地で600メートル、海抜は最高4メートルにすぎない」と説明。「われわれは気候変動の影響にさらされている」と窮状を語った。また、島国ミクロネシア連邦のアリク副大統領は「温暖化は国家存続の脅威だ」と強調。島と住民の未来はこの会合の結果にかかっていると訴えた。【12月9日 時事】 
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例年、国連気候変動枠組み条約のCOPになると取り上げられる話題でもあります。
ただ、温暖化で海面が上昇しても「ツバルは沈まない」という意見もあるようです。
****温暖化:「海面上昇でもツバル沈まず」 英科学誌に論文*****
「太平洋の島々は成長を続けており、海面が上昇しても沈むことはない」--。そう主張する研究論文が英科学誌「ニュー・サイエンティスト」に掲載され、議論を呼んでいる。
ツバルやキリバス、ミクロネシア連邦など南太平洋の島々は温暖化による海面上昇の影響で、将来的には地図上から消える「沈む島」と呼ばれてきた。

論文のタイトルは「変形する島々が海面上昇を否定」。過去60年間に撮影された航空写真と高解像度の衛星写真を使い、ツバルやキリバスなど太平洋諸島の27島の陸地表面の変化を調査した。
その結果、海面は60年前よりも12センチ上昇しているにもかかわらず、表面積が縮小しているのは4島のみ。23島は同じか逆に面積が拡大していることが明らかになった。ツバルでは九つの島のうち7島が3%以上拡大し、うち1島は約30%大きくなったという。
拡大は「浸食されたサンゴのかけらが風や波によって陸地に押し上げられ、積み重なった結果」であり、「サンゴは生きており、材料を継続的に供給している」と説明。1972年にハリケーンに襲われたツバルで、140ヘクタールにわたってサンゴのかけらが堆積(たいせき)し、島の面積が10%拡大した事例を紹介している。
研究に参加したオークランド大学(ニュージーランド)のポール・ケンチ准教授は「島々が海面上昇に対する回復力を備えていることを示す」と指摘し、「さらなる上昇にも対応する」と予測。一方、海面上昇が農業など島民生活に影響を与えることは避けられないとして、「どのような地下水面や作物が温暖化に適応できるか調べる必要がある」としている。【6月9日 毎日】
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ツバルが沈まないのは結構なことですが、「海面は60年前よりも12センチ上昇している」というのは本当でしょうか?このペースが加速していくと大きな影響を日本を含めた世界中にもたらす問題です。
“2100年までの海面上昇量の予測は、IPCCの第3次報告書(2001)では最低9 - 88cm の上昇、第4次報告書(2007)では、最低18 - 59cmの上昇としている。しかしこれらのIPCCのモデルでは西南極やグリーンランドの氷河の流出速度が加速する可能性が考慮に入っていない。近年の観測では実際に大規模な融雪や流出速度の加速が観測されていることから、上昇量がこうした数値を顕著に上回ることが危惧されている。AR4以降の氷床等の融解速度の変化を考慮した報告では、今世紀中の海面上昇量が1~2mを超える可能性が複数のグループによって指摘されている”【ウィキペディア】というのも、やはり現実の問題のようです。

日本の主張に“会場は約30秒間静まりかえった”】
そこで、メキシコ・カンクンで開催されている国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)です。
議論の方は、例によって、これまでの温暖化の責任をとる形で先進国が厳しい規制を実施すべきと主張する新興国・途上国とEU・日本などの議論がぶつかっており、京都議定書の枠組みに参加していないアメリカ・中国・インドといった国々の扱いも問題となっています。
先進国だけに規制を課した京都議定書の期限切れを控えて、その延長を認めるかどうかが議論の焦点になっています。

****COP16:閣僚級会合が開幕 通じぬ日本の道理*****
国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)は7日(日本時間8日)、閣僚級会合が開幕し、京都議定書に定めのない13年以降の枠組みをめぐる論議は山場を迎えた。しかし、地球温暖化を招いた責任論など従来の主張が繰り返され、「決着は来年以降」というのが交渉担当者の共通認識になっている。議定書で温室効果ガスの削減義務を負っている国の排出量は世界の27%にとどまる。日本は議定書の見直しを訴えるが、支持は広がらず厳しい対応を迫られている。

「立場が違う相手に妥協を求めるより、まず自らが歩み寄ってほしい」。フィゲレス条約事務局長は閣僚級会合で各国に呼びかけた。この発言が象徴するように交渉は難航している。きっかけを作ったのが日本だ。
11月29日のCOP16初日、日本は「いかなる条件でも(13年以降の)第2約束期間での削減目標を記入しない」と演説、議定書の延長不支持を鮮明にすると、会場は約30秒間静まりかえった。
97年に採択された京都議定書は日米欧などの先進国に温室効果ガスの排出削減を義務づけた。しかし、米国は経済的影響を理由に離脱、世界最大の排出国の中国も途上国扱いで削減義務はない。
日本は「現状の枠組みでは産業の国際競争に影響が出る上、温暖化防止の実効性も乏しい」と説明、途上国支援の実績をもとに支持拡大を図るが、「開幕早々、水を差した」(タイ)、「柔軟性を持つべきだ」(パキスタン)など反応は冷ややか。日本と立場が同じなのはカナダとロシアだけだ。

 ◇目立つ米中接近
交渉では、皮肉にも削減義務を負っていない米国と中国の存在が目立つ。
例えば、中国はインドと歩調を合わせ、先進国が議定書延長や早期の資金供与などの3条件をのめば、削減対策の国際検証を受け入れると表明。検証は着実に対策を実施するために重要で、米国が強く求める。「内政干渉」と抵抗する国は多いが、中国は条件闘争に入って主導権を握り、米国と水面下交渉を進める。
中国外務省高官の劉振民氏は「米国との友人関係を楽しんでいる」と語り、米国のトッド・スターン気候変動問題担当特使も会見で「中国と頻繁に話し、愛情すら持っている」と語った。欧州連合(EU)は「米中はいつもひそひそ話をしている」と警戒する。(中略)
 
 ◇交渉の構図が複雑化
締約国の中で多数派の途上国は「温暖化を招いたのは先進国」という観点で、京都議定書延長の立場で足並みをそろえる。閣僚級会合で、イエメン代表は「先進国は温暖化問題の歴史的な責任がある。経済力に比例した目標をもつべきだ」と訴えた。
その途上国も、気温上昇幅や世界全体の排出削減目標など、「ポスト京都」を構成する項目で主張が異なる。先進国との対立も相まって交渉の構図は複雑化している。
COP16の作業部会で、議長のたたき台は、「(地球規模での温暖化被害を深刻化させないとされる)気温上昇を2度未満に抑える」と盛り込んだ。国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の報告書を反映した数値だが、途上国も排出削減を迫られる可能性があり、中国は反対している。
同じ途上国でも、米国を抜き世界一の排出国となった中国をはじめとする新興国への目は厳しい。
1.5度未満を求める南米ボリビアのパブロ・ソロン首席交渉官は「(自然災害をもたらす)温暖化は大量殺人だ。命と自然を守ろうとする姿勢が、交渉を停滞させていると言うのか」と主張する。
6日の会見でインドのラメシュ森林環境相は、米国が20年までに05年比17%削減するとの目標を取り上げ、「低すぎる数値だ。心底がっかりだ。これまでの累積排出量が最大の米国の参加なしに、地球規模での対策を成功させることはできない」と指摘し、さらなる温暖化防止のための資金支援を求めた。
これに対し、EUは「2度未満達成には、すべての主要排出国の削減が必要だ」と主張し、日本も米中の参加を求めている。【12月8日 毎日】
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議論の中身は「例によって」ですが、いつになく日本が強硬な姿勢を貫いているようです。
言うべきことを言うのは結構なことです。多勢に無勢の感がありますので、妥協を迫られる形は予想されますが。

コメント
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