孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

ネパール  ホテルオーナー、日本国籍を捨てて制憲議会に挑む

2007-12-26 14:11:22 | 世相

(窓越しにエベレストを眺める「ホテル・エベレスト・ビュー」 “flickr”より By ashbydelajason )

ネパールでは王制廃止・制憲議会選挙を巡って、マオイスト(ネパール共産党毛沢東主義派)と暫定政府の間で綱引きが続いていましたが、ようやく一定の決着がついたようです。
(ネパール王制の問題、マオイストについては9月17日「ネパール 王室の存続、マオイスト、そしてテライの反乱」http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20070907でも取り上げています。)
今月23日、マオイストが求める選挙制度を導入する代わりに、暫定政府の主張をいれて共和制への即時移行は見送られました。
来年の憲法制定議会選挙を経て「連邦民主共和国」に生まれ変わることになります。

ネパールでは、昨年4月の民主化要求運動でギャネンドラ国王が主権を国民に返還。
マオイストが武装解除に応じて入閣し、制憲議会選挙も11月実施で決まっていました。
しかし、選挙制度や共和制への移行時期をめぐりマオイストと暫定政府が対立。
9月には暫定政府からマオイストが離脱し、双方の間で妥協を探る交渉が続いていました。

今回の合意で、制憲議会選挙に関しては、マオイスト側の要求をいれて議席数の54%を比例代表枠にあてることになりました。
政党組織や特定の地盤を持たないマオイストは、既成政党に有利な小選挙区制を嫌い、広く浅く票を積み重ねることができる比例代表枠の拡大を主張していました。

一方、王制に関しては、国民の半数近くは王室廃止による共和制よりも日本のように王室を残す立憲君主制を望んでいるとも言われています。
マオイスト側は共和制への即時移行を主張していましたが、「政治制度は国民が選挙で決めるべきだ」と選挙後の王制廃止にこだわった暫定政府が、選挙制度で譲歩する代わりに共和制移行の時期で主張を貫いたとかたちになりました。【12月25日 毎日】
(制憲議会の構成・議論次第で、王制廃止が白紙に戻される余地が全くないのかどうか、報道からは今回の合意の意味がいまひとつよくわかりません。)

なお、今年4月の暫定政府発足時の暫定議会の議席数及び閣僚数は、ネパール会議派 132議席(首相を含む閣僚数10)、ネパール統一共産党 83議席(閣僚数5)、マオイスト派 84議席(閣僚数5)、その他の党派 29議席(閣僚数2)でした。

制憲議会選挙は来年4月中旬実施で合意したと伝えられています。(これまで2回延期されていますが。)
その選挙に“元”日本人が新たな政党をつくり参加するそうです。
長野県出身の宮原巍氏です。
ネパール在住42年。日本の国籍を捨てて、新しい政党「ネパール国家発展党」を設立。
党首として現地の若者を中心に60人を立候補させる選挙戦の陣頭に立つそうです。

ヒマラヤ登山や南極観測隊でもご活躍の宮原巍氏ですが、始めて聞くお名前です。
しかし、世界で一番標高の高い場所(3,880m)に建つホテルとして話題になった「ホテル・エベレスト・ビュー」のオーナーで、「ヒマラヤ観光開発」を経営する方と言えば、思い当たる方もおられるのでは。

「ホテル・エベレスト・ビュー」、普段旅行では安宿しか使わない私ですが、一度は泊まってみたいと思うホテルです。
全室、部屋からエベレストの雄姿が望められるそうです。
ヒマラヤの風に吹かれて、ベランダでエベレストを眺めながら紅茶でも・・・。

ただ、場所が場所ですので予約なしでふらりとたずねて・・・という訳にはいきません。
「ヒマラヤ観光開発」の企画しているツアーを利用するのが実際的なようですが、ヘリコプターを利用して一気にホテル近くまで上がる9泊コースで、普段が40万円ぐらい、正月などだと50万円ぐらいという感じのようです。
ヘリを使わず自分で歩いて上るコースだともう少し安くなりますが、日時がその分かかります。
憧れのホテルですが、お金・体力・時間、どれも事欠く私には当分難しい・・・。

そんな宮原氏が日本国籍を捨ててネーパル国会に挑む理由は・・・「日本の山男、混迷のネパール国会選挙に挑む」(http://www.news.janjan.jp/world/0712/0712210690/1.php)に詳しく紹介されています。
27分ものインタビュー動画もついています。

その中から若干抜粋すると、「ネパールは『貧困』の代名詞のように言われるが、貧困の原因は政治腐敗にある」と、現政府の「政治腐敗」に最大の焦点を当てる構えだそうです。
マオイストに翻弄される政治に業を煮やし、「残りの人生をネパールに捧げる」と制憲議会選挙への立候補を表明したそうで、ネパールでは初めてのマニフェストを作成、ルーズベルト米大統領のニューディール政策に倣って公共事業による雇用の確保と国土の基盤整備を打ち出しています。

当選の見通しについては、
「小選挙区はまず難しい。私たちの政党から出るのは30歳過ぎの若者で地盤もない。会議派の人たちの縄張りが決まっている。政党に投票する比例代表制は42人出るが、1割ぐらいは当選させたい。だいたい3万~3.5万で1人当選する。60人立つので、それぞれの地域で2,000~3,000票とれば、うまく行けば4~5人、悪くても2~3人は取る。」とのことです。
今回のマオイストと暫定政府合意で比例枠が拡がりましたので、宮原氏には若干有利になったのではないでしょうか。

宮原氏の主義主張を詳しく承知している訳ではありませんが、42年間在住した現地ネパールの将来のために日本国籍を捨てて取り組もうということですので、応援したくなります。
「応援するから1泊ホテルに泊めて・・・」なんて卑しいことは申しません。
なんだか無性にネパールに行きたくなりました。

コメント
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