(台中中央社)新型コロナウイルスの感染が広がる中、台湾最大規模の宗教行事「大甲媽祖巡行」の開催をめぐり議論が交わされている。巡行を行う中部・台中市大甲の媽祖廟「鎮瀾宮」の責任者は26日、規模を縮小し決行する方針を表明。一方、内政部(内務省)は、感染状況によっては延期の準備を廟側に求めると慎重な姿勢を示した。
媽祖は台湾で広く信仰を集める道教の女神で、誕生月である旧暦3月(今年は3月24日から約1カ月間)前後には多くの行事が行われる。鎮瀾宮は代表的な媽祖廟の1つで、大甲媽祖巡行では神輿(みこし)に乗った媽祖が9日間にわたって中部や南部を巡り、毎年、多くの信者が詰めかける。
今年は3月19日に始まる予定だが、ウイルスの感染拡大を受け中止を求める声が市民や医師から多く上がっている。同廟以外では、大型行事の中止を決めた寺廟が出てきているほか、三日月形の道具「ポエ」を使って神に判断を仰ぐ寺廟もある。
鎮瀾宮の顔清標董事長は26日午前、媽祖巡行に関連した大規模な宴会や夜のコンサートなど、大勢の人が一堂に集まるイベントを中止すると発表。これにより削減された資金3000万台湾元(約1億円)を中央感染症指揮センターに寄付し、感染予防に役立てるとの考えを示した。また、列をなした信者がひざまずき、その頭上で神輿を通過させる儀式なども行わないとした。一方、政府が禁止や延期を宣言した場合には順守すると述べた。
中央感染症指揮センターの指揮官を務める陳時中衛生福利部長(保健相)は同日午後の会見で、現在の感染状況から見て大型のイベントを実施するのに適しているとはとても言えないとしつつ、宗教行事には伝統があるとした上で、開催については慎重に判断したいとの立場を示した。