BE HAPPY!

大山加奈選手、岩隈久志選手、ライコネン選手、浅田真央選手、阪神タイガース他好きなものがいっぱい。幸せ気分を発信したいな

阪神 vs 広島

2010-03-31 21:05:54 | 野球
      引き続きご近所の花


 昨日より少し暖かくなりましたが、お天気は良くないです。
パンジーは、曇っていたり夕方だったり、ちょっと薄暗い時の方が、燃え立つような妖しい鮮やかさがあるように見えます。
マツダスタジアムも雨が降っています
今日の中継は、プレイボールからゲームセットまで、のサンテレビ。今季初中継です

1回表:金本のタイムリーツーベースで先制
  裏:栗原の2点タイムリーで逆転されます。1-2

3回表:金本の逆転2ラン 3-2
    2アウト満塁でピッチャーの久保に回ります。
    久保が走者一掃3点タイムリー 6-2

4回裏:フィオに来日初ホームランを打たれます。6-3
    タイムリー打っておいてよかったね、久保



これは桃です。

阪神はその後、チャンスをつくりながらも点が入りません。
カープに2点差に詰め寄られますが、久保―久保田―筒井―藤川のリレーで逃げ切ります。
本当に、久保のタイムリーがあってよかったです
去年は勝ちパターンでの登板はなかった筒井投手ですが、プレッシャーのかかる場面で、ぴしゃっとおさえてくれました。
今季はリリーフ陣が追加点をなかなか与えないのも勝ちにつながっています。
これで開幕2カード連続勝ち越しが決まりました

ヒーローインタビューは金本選手。
やっぱり兄貴が活躍してくれると盛り上がります
寒さを吹き飛ばして、春を呼べ




阪神 vs 広島

2010-03-30 21:54:06 | 野球
       ご近所の椿


 昨日から真冬の寒さが戻ってきています(((( ;°Д°))))
寒さは今日が底で、明日からはマシになるそうですが、早く春らしい気候になってほしいです。

マツダスタジアムも寒そうです。

1回表:新井のタイムリーで先制。1-0
  裏:阪神先発能見投手は、いまいち調子が良くないようです。
    同点に追いつかれ、1-1

2回表:ブラゼルのホームラン。1-1
    鳥谷のタイムリーツーベースで、3-1

3回表:ブラゼル、2打席連続ホームラン 4-1
    ブラ様がのってきたぞ
    
4回表:金本のタイムリーで、5-1
  裏:広島の追撃、5-3

6回表:マートンのホームランで、6-1
    赤星のような足はないけれど、長打のあるマートン。
    ヒットもよく打つので、こわい1番バッターになってくれそうです。

能見は調子がいまいちながら、7回まで投げます。
8回メッセンジャー → 9回藤川とリレーします。
今日は3点差なので、藤川にセーブがつきます。
6-3で、阪神が勝利
今年の打線は強力 と思ってよさそうですね。




前から、椿がきれいに咲いているなーと目をつけていたお宅へも行ってみました。
ちょうど奥さんが家の前を掃除していたので、「お花の写真撮らせて頂いてよろしいですか?」とお願いすると、快く撮らせて下さいました





同じお宅の紅梅。

 血のような真紅ですね

 ブレてもいいからズームアップだ!

その家のご主人が、「近くに海棠桜がきれいに咲いているよ」と教えて下さいました。
おばちゃんがわざわざ案内してくれました。
まだ満開ではありませんが、綺麗です



画面奥の緑の葉がしげってるところは、もう少しするといっせいに白い花が咲くそうです。
その頃にまた写しに行こうと思います。
おじさん、おばさん、ありがとうございます



F1オーストラリアGP

2010-03-29 21:11:21 | モータースポーツ
       ご近所のピンクの花


 毎年、荒れ荒れのオーストラリアGP。
今年は開幕戦じゃないですが、やっぱりオープニングラップから大荒れです
バトン、アロンソ、シューマッハーがクラッシュ。
アロンソはスピンし、シューマッハーはウィングを失ってピットイン。
そして、可夢偉選手がクラッシュ
早くもセーフティーカーが出ます。

ポールポジションのベッテル、5番手のマッサが好スタート。
雨がパラついているようですが、バトンがドライ用のタイヤに替えて勝負に出ます。

9/58 雨が上がったようで、ぞくぞくとタイヤ交換のためにピットイン。
     シューマッハーのタイヤの準備が間に合っていません。

早めにドライに替えたバトンはすごいペースで追い上げます。
まさかのQ2敗退のハミルトンも次々にオーバーテイクして、4つ順位を上げています。
スタート直後の接触で順位を落としたアロンソも、あっという間にポイント圏内に上がってきます。

22/58 マッサ、ハミルトン、アロンソの三つどもえのバトル。ハミルトンがマッサをパス。アロンソが濡れているところへ行ってしまい、その一瞬のミスをついてウェバーがパス。

可夢偉選手の情報が入りました。大きなクラッシュでしたが、可夢偉選手は無事のようです。

24/58 ベッテルがコースオフ。ここまでトップを快走していましたが、ギアが入らなかったような感じです。またマシントラブル 頼むよ、レッドブル~
その間に、ハミルトンはロズベルグをパス。

これでトップ3は、バトン ← クビサ ← ハミルトン

スタート時には24台だったマシンが15台に減っています。
開幕だから荒れてたんじゃなくて、コース自体が荒れるコースなんですね

6位マッサ、7位アロンソがチームメイトバトルを繰り広げています。
2台とも、ちょっとタイヤが消耗しているようです。

ウェバーを皮切りに、各チームがタイヤ交換を始めます。

残りは15周。上位のマシンはタイヤ交換をしないようです。タイヤ交換をしたウェバー、ハミルトンらと、タイヤ交換しなかったバトン、クビサ、フェラーリ勢。終盤、それぞれの選択がどうでるでしょう。
現在、ハミルトンがファステストラップで猛追中。

1 バトン ←2 クビサ ←3 マッサ ←4 アロンソ ←5 ハミルトン ←6 ウェバー

50/58 ハミルトンとアロンソのバトル。タイヤ交換をしているハミルトンの方が有利か?
しかし、ハミルトンの方がタイヤをいためてしまったようです。
ウェバーの後ろからはロズベルグも詰めてきます。
ちょっとのことで順位が大きく変わりそうです。

57/58 アロンソに仕掛けるハミルトン。ところが、ハミルトンとウェバーが接触して、2台がコースオフしてしまいます。ウェバーはウィングがなくなってしまい、ピットイン。

 いよいよ最終ラップ。トップはバトン。シューマッハーはポイント圏内に上がってきます。



 リザルト
 1 バトン(マクラーレン)
 2 クビサ(ルノー)
 3 マッサ(フェラーリ)
 4 アロンソ(フェラーリ)
 5 ロズベルグ(メルセデスGP)
 6 ハミルトン(マクラーレン)
 7 リウッツィ(フォース・インディア)
 8 バリチェロ(ウィリアムズ)
 9 ウェバー(レッドブル)
10 シューマッハ(メルセデスGP)
11 アルグエルスアリ(トロ・ロッソ)
12 デ・ラ・ロサ(BMWザウバー)
13 コバライネン(ロータス)
14 チャンドック(ヒスパニア・レーシング)

※ リタイア… グロック、ディ・グラッシ(ヴァージン・レーシング)、ベッテル(レッドブル)、 スーティル(フォース・インディア)、 ペトロフ(ルノー)、 ブルーノ・セナ(ヒスパニア・レーシング)、 ブエミ(トロ・ロッソ)、 ヒュルケンベルグ(ウィリアムズ)、小林可夢偉(BMWザウバー)、 トゥルーリ(ロータス)


ベッテルが可哀想すぎます
実力のあるドライバーがチャンピオン争いにからめないと、シーズン全体が面白くなくなるので、レッドブルにはぜひ信頼性のあるマシンを作って上げてほしいです。

上位勢の明暗を分けたのは、やはりタイヤ。
バトンは序盤のドライタイヤに替えるタイミングが見事でした。
フェラーリ勢は消耗したタイヤを上手くもたせて3-4フィニッシュ。
ハミルトンはアグレッシブすぎて自滅してしまった感じですね。
給油がなくなった分、タイヤにやさしいドライビングが必要になってくるようです。

でも、表彰台にルノーのクビサが上ってくれたのが嬉しいです。クビサは好きなドライバーだし、やはりマクラーレン、フェラーリ以外のチームにも、どんどん表彰台に上ってほしいです。

可夢偉選手は無事で何よりでした。次はぜひ完走してほしいです。

氷の華

2010-03-28 21:45:25 | スケート
       ご近所の白い花


 フィギュア世界選手権はいよいよクライマックス。女子フリーです。
龍馬伝と時間帯がかぶってるのでちょっと忙しいです
こちらも、第一部クライマックス。いよいよ龍馬が土佐を飛び出します。
「脱藩」と言葉でいってしまうと簡単だけど、二度と故郷に帰れない、家族にも会えないという大変なことなんですよね。今でいえば亡命するみたいなものでしょうか。
龍馬の家族はすごくいい家族なので、それだけに龍馬も故郷を捨てるのは辛かったでしょう



SPでは20位だった鈴木選手。
今日は昨日と違い、自分の演技ができたようです。
この選手のいいところは、ミスが出ても、順位が何位でも、明るく力一杯滑ることですね。
「ここで滑れて幸せ!」という気持ちをいつも感じさせてくれるので、会場を惹きつけてしまうんでしょうね。

しばらく、「龍馬伝」を見て…

ちょうどキムヨナ選手の演技。
SPは7位でしたが、190点台にのせて、第2グループから表彰台をうかがいます。
このあたりは、さすが実力者ですね。



真央ちゃんは最終グループ2番目。
前に滑っ選手がすごくいい演技で自分の空気を作り出しましたが、真央ちゃんには関係ないでしょう。
緊張した表情ですが、最初のトリプルアクセルと決め、いい滑り出し。
2回目のトリプルアクセルは回転不足をとられてしまいましたが、その他はほぼパーフェクトにまとめ、トップに躍り出ます。
真央ちゃんらしい笑顔でシーズンを終えてくれて良かったです

SP1位の長州選手。
やはりちょっと緊張しているような表情。
スピードのある生き生きとしたスケーティングですが、ジャンプでミスが続き、7位。
それでも最後まで元気に滑り終えてくれました。

 リザルト
1 浅田真央  JPN  197.58
 2 金妍児   KOR  190.79
 3 レピスト  FIN  178.62
 4 安藤美姫  JPN  177.82
 5 ファヌフ  CAN  177.54
 6 コストナー ITA  177.31
 7 長洲未来  USA  175.48

11 鈴木 明子 JPN  160.04


五輪メダリストは、やはり底力がありました。
鈴木選手もよくここまで巻き返してくれました。
今回は新しい選手が上位に入って、これからがまた楽しみ!と思わせてくれる大会にもなりました。

真央ちゃんの優勝で、世界選手権は、ジュニアもシニアも日本人選手がアベック優勝。
真央ちゃんが自分の満足のいく演技ができて、素晴らしい結果もついてきて、晴れやかな笑顔を見せてくれて本当に良かったです。
終わりよければすべてよし



サタデースポーツ

2010-03-27 21:56:03 | スポーツ


 開幕白星の余韻に浸る間もなく、今日はデーゲームです。

 阪神  横浜

阪神先発は上園。
5回を0点で抑えますが、6回に2点を奪われてしまいす
リリーフの筒井が後続を断って、0-2。

6回裏:代打狩野がエラーで出塁。
    マートンがタイムリーツーベース。キャッチャーなのに俊足の狩野が、一気にホームをついてくれました。1-2
    平野がきっちり送って鳥谷。昨日はビッグイニングのきっかけをつくるフォアボールを選んだのですが、ヒットがありませんでした。今日はおいしいお膳立てをものにして、今季初ヒットがタイムリー。自分も果敢に三塁を陥れます。2-2
    金本が勝ち越しの犠牲フライ。鳥谷の積極的な走塁が生きました。3-2

デーゲームは終盤がご飯の仕度時にかかっちゃうんですよね。
試合の進行が早かったので、最後まで見てから市場に行こうと思ったら、8回にメッセンジャーがあっさり1点を献上して同点。3-3

真弓監督は、9回裏サヨナラを信じて藤川をマウンドに送りますが、得点できず、延長戦に。
10回表は江草が登板しますが、今季力をつけてきた石川に粘られます。
なかなか試合が終わらないので、今日はカレーだ

「そういうことで献立が決まっちゃうの?

何とか10回表を0点で抑えます。
これ以上見ていられないので、買い物に行きます。



帰ってくると…


城島のヒーローインタビュー \(^_^)/

11回裏に、サヨナラホームランを打ってくれましたー

昨日今日と、相手のミスを逃さず、チャンスでたたみかける攻撃ができてますね。
先発にもうちょっと長いイニングを投げてほしい気もしますが、監督が色んなピッチャーを試しているところもあるのかな。
11回表を0でおさえた2年目の西村投手が初勝利で、一緒にお立ち台。リリーフ陣がいい投球をしてくれているのも連勝の要因です。


 フィギュア世界選手権も開催されています。
オリンピックの直後だけに調整が難しいようですが、男子は高橋選手が優勝してくれました
今日は女子のSP。
TVをつけると、ちょうど真央ちゃんが滑るところでした。
トリプルアクセルは回転不足でしたが、全体にレベルの高い演技。
表情がすごく柔らかかったです

 女子SP順位
 1 長洲未来   USA  70.40
 2 浅田真央   JPN  68.08
 3 レピスト   FIN  64.30
 4 コストナー  ITA  62.20
 5 マカローヴァ RUS  62.06
 6 フラット   USA  60.88
 7 金妍児    KOR  60.30
 8 ファヌフ   CAN  59.50
 9 ヘルゲション SWE  56.32
10 セバスチャン HUN  56.10
11 安藤美姫   JPN  55.78

20 鈴木明子


トップに躍り出た長州選手。首位で折り返すとフリーでかたくなることが多いので、どこまでのびのびと滑れるかがポイントでしょう。
でも、彼女は今すごく勢いがありますから、いっちゃうかもしれませんねー。
わたしとしては、もちろん、真央ちゃんに逆転してほしいけど。 

いつ春本番になるの? というお天気が続いていますが、風邪などひかぬよう、お体気をつけて下さいね~ §^o^§/

NINE

2010-03-26 22:06:53 | 野球
          ご近所の花


 セリーグも開幕しちゃいましたねー
タイトルの「NINE」は、阪神ナインのことじゃなくて、映画のタイトルです。
1時間半弱の短めの映画だったので、外回りの途中にぽっかり空いた時間に見てきちゃいました(ナイショ!
主人公は、イタリア人映画監督。
元女優の美人妻がいますが、ダブル不倫の愛人もいて、主演女優ともいい仲…そう、女性ならすぐピンとくるあのタイプ。
「こんな男を好きになったらロクなことがない。さっさと別れた方が身のため!」と頭ではわかっているのに、どうしても離れられないという、あのタイプです。
けっこう年だし、めちゃくちゃイケメンというわけでもないのですが、セクシーなんですよ。
彼を巡る女性達は、ニコール・キッドマン、ペネロペ・クルス、失礼ながらもう亡くなったのかと思っていたソフィア・ローレンなど、錚々たるメンバーです。
彼女達と主人公との絡みがミュージカル仕立てで語られていくのですが、こんなにゴージャスな内容なのに3時間の超大作にしないで、コンパクトにまとめられているのが良かったです。
それでいて、それぞれの個性はしっかり出ています。
特に、ニコール・キッドマンがカッコよかったですね~



背筋がすっと伸びてい芯が一本通っている感じで、すごく高貴なオーラを感じました

主人公は、「イタリア」という映画を撮ることになっているのですが、ちっともシナリオが浮かんできません。
これまでは、マスコミにははったりをかまし、女性達と愛を交わすうちに何とかなってきたのですが、今回はどうしてもインスピレーションが湧きません
しかも、献身的な愛を捧げてくれていた女性達にも、次々背を向けられます
自業自得っちゃ自業自得なんですが、このまま終わってしまうのか
残り時間も少ないぞ、とこちらも心配になってきます
さて、どうなるのでしょうか。
続きは映画館でご覧下さい。見て損はしない映画だと思います。
イタリアの美しい風景も圧巻です。



さて、ダメンズ系魔性のチーム阪神の開幕カードは横浜戦。
開幕投手は安藤です。
村田に一発を浴び、さらに2点をとられて、0-3とリードを奪われます



4回裏:鳥谷フォアボール。金本がヒットでつなぎます。
    新井の打球はスタンドに入ったように見えたのですが、ツーベースと判定されました。1-3
    城島が同点の2点タイムリーツーベース 3-3
    桜井が勝ち越しの2ラン 5-3

7回裏:城島がまたも2点タイムリー 7-3

投げては、安藤―筒井―久保田―メッセンジャー―藤川のリレー。
藤川まではいけば、勝ちですね
今季最初の「あと一球」コール & 勝利のジェット風船 \(^_^)/

打ってほしい人が打ってくれて点が入ったのは良かったです。
ブラ様、広大くんが7番8番にいるんだから、すごい打線です。

だったのは、城島のヒーローインタビューが中断されて、CM&巨人 vs ヤクルトのダイジェストが入ったこと。
これだから、○売はっ



映画の本編が終わった後に出てくるクレジット。
皆様は最後までご覧になりますか?

「あれも料金のうちやから、見な損やろう」
「ボクは余韻に浸りながら眺めます」

わたしは、「あれって結構長いし、ちゃんと見てるわけでもないから席を立ってもいいんだけどなぁ~」と思いながらも、ついつい最後まで座っています。
最近は、「ここまで席を立たなかった人にだけ見せてア・ゲ・ル」という感じで、クレジットの後に1カット入るのもあるみたいなので要注意です。
○ナンは、絶対最後にオチが入るから、エンディングの途中で出ちゃダメよ

一星へようこそ ―ダイヤモンド(前編)―

2010-03-25 22:37:17 | 一星


 休憩できる場所を探して商店街の中を歩いていると、その店が目に留まった。
「cofee shop 一星」という木製の看板が、営業中の札のように店の扉にかかっている。
ドアを開けると、三人の客がいっせいにこちらをにらみつけた。別に、にらんだわけではないのだろうが、あまりに視線が強いのでそう感じた。
どうやら、この店は商店街で働く人達のたまり場になっているようだ。まずい店に入ってしまったと思ったが、今さら踵を返すわけにもいかず、空いているテーブルについてホットを頼んだ。
店に漂う香りから、美味いコーヒーが出てきそうだった。本格的なコーヒー店にありがちな、店内が薄暗くて、いかにもという風情でジャズが流れたりしていないところも好もしい。だが、ファーストフードを思わせるような金縁に星のマークのカップは、少々いただけない。わたしが自宅で使っていたカップは、白地に小枝のような絵が描かれたものだ。亡くなった妻が選んだ物なので、壊さないよう大切に使っていた。娘にも、丁寧に扱うように言ってあった。
妻は本当にあっけなく亡くなってしまった。入院してから亡くなるまで一月もかからなかった。
わたしは当時、会社のプロジェクトチームのメンバーだった。医者に、妻の命がそう長くないと宣告され、チームを離脱して少しでも妻の側にいることにした。プロジェクトチームに加わっていることはわが社では一番のステイタスなのだが、深夜に及ぶ残業や休日出勤続きの過酷なスケジュールも強いられる。自らチームを退くことで、それ以上の出世も断念しなければならなかった。わたしの会社はこの不況でも業績を上げ続けているが、その分社内の競争は激烈だった。
わたしは、「島流し」と呼ばれている部署に配転された。「島」の人間達は、わたしと同じように、プライベートに何らかの事情を抱えていて、1日24時間、週7日といった働き方のできない者達だった。
だが、一緒に仕事をしてみると、彼らは非常に有能だった。常に限られた時間内で仕事を仕上げようとしているため、段取りがよくテキパキしていた。長時間労働を売り物にしているプロジェクトチームのメンバー達より、時間あたりの仕事単価は大きいように見えた。

春の人事異動で、外資系企業からヘッドハンティングされてきた女性マネージャーがわたし達の上司になった。前の上司は、プロジェクトの成功を評価されて栄転した。
この部では、毎年4月はプロジェクトチームのメンバー選考期間になっている。他の島の連中は、開幕スタメンを狙うプロ野球選手のように懸命にアピールした。
わたしは、さしずめ、一時は先発ローテーションを張ったこともあるが、今はバッティングピッチャーになった投手とでもいうところだろうか。
そんな風に考えていたので、ある日マネージャーに呼び出され、今年度のプロジェクトリーダーになってほしいと言われた時は驚いた。
「荻野さんは、部下の適性を見抜く目があるし、短時間で効率よく結果を出す力があります。この会社は能力主義だといわれているけど、まだまだ労働時間の長さで熱心さをはかっているところがあるわ。大事なのは何時間働いたかではなく、どれだけ仕事をこなしたかだと思うの」
プロジェクトチームの編成は、リーダーが自由に決めることができる。わたしは丸ごと「島」のメンバーを選任し、尾島という新入社員をそこに加えた。
発表するや否や、彼らはこぞって辞退を申し出た。
手塚くんはシングルマザーで小学生の子供と二人暮らし、吉野くんは妻が難病をかかえて入退院を繰り返している。緒方くんは、自分のライフスタイルを大切にしたいタイプで、学生の頃からつきあっている彼女とようやく結婚が決まったので、今年はその準備で忙しいそうだ。職人気質の沖田くんは、人を蹴落としてでも出世しようとする同僚や、上司も人の子で、個人的な好き嫌いを仕事の評価に連動させたり、おべっかをつかってすり寄ってくる者をつい引き立てたりするのにうんざりして、自分から競争を降りてしまった。今は地域のボランティア活動に参加して、それなりに充実した人生を送っており、今さらプロジェクトチームに入りたくはないという。定年間近の大島さんも、この年であんなスケジュールはこなせないと言った。新入社員の尾島くんまでが、「わたしより尾崎先輩の方が適任です」と言い出す始末だった。
わたしは、プライベートを全て犠牲にして会社に滅私奉公しなければ評価されないというのが、そもそもおかしいと考えていた。仕事さえきちんと捗っていれば、定時で帰ろうが有休をとろうがかまわないはずである。
それに、生きていれば色んなことが起きる。その度に迷惑だと切り捨てていては、せっかくの人材を失ってしまう。
「自分が頑張れる時は人の分まで頑張る。苦しい時は素直に助けを求める。それでいいじゃないか。大勢で一緒に仕事をしているのは、そのためじゃないのか」
尾島くんを選んだのは、大きな経験をさせれば必ず大化けすると見込んだからだ。尾崎くんの方が成果は計算できるが、彼女が成長してくれれば戦力が倍加する。
わたしは何とか彼らを説き伏せて、プロジェクトに参加することを承諾させた。

プロジェクトの始動にあたって、まず、チーム全員が情報を共有できるシステムをつくった。コンピューターに強い緒方くんに、フォルダをつくって貰い、そこに必要な情報やノウハウ、時には失敗体験をどんどんアップする。それによって二度手間や、別の人間が同じ箇所でつまずくことを防ぎ、ロスを最小限に防ぐ。誰かが急に休んでも、情報が共有されていれば、別の人間がカバーすることができる。サーバーに情報がアップされると、お知らせメールが送られるようにもして貰った。
緒方くんはタイムシートもつくってくれた。各自がその日の進捗を簡単に入力するだけで、一覧性のある工程管理表ができ上がるプログラムだ。薄緑で予定期日が表示され、実際の進捗は黒で示される。遅れが生じたらその範囲が赤い帯で表示されるので、一目でわかるという仕組みだ。
他にも、連絡はメールを活用するなど、徹底的に効率化をはかった。
プロジェクトが始まったのに早い時間に退社するわたし達を、周囲は危ぶんであれこれ陰口を叩いた。前例のないことだけに、わたしは何が何でも成功させたかったが、正直、最初は手を焼いた。
一緒に一つのことに取り組んでみると、彼らは想像以上に個人主義だった。自分の仕事は必ず期限までに仕上げるが、それ以上のことを求めると不満顔をする。「プライベートを優先してもいいって言ったのは、チーフじゃないですか」「そんなこと言われるなら、わたしはもう脱けさせて貰います」
わたしは、仕方なく、自分が早朝出勤したり、遅くまで居残ってカバーした。自分が率先してやれば、そのうち皆もついてきてくれるだろう。
さすがに、これでは身が持たないと感じ始めた頃、大島さんが皆を集めて話し合ってくれた。
「きみら、荻野くんがいつも影で肩代わりしてくれてることを知ってんのか。プライベートを大事にすることと、わがまま勝手を通すことはちゃうねんで」
わたしも大島さんに説教された。
「一人で背負い込まんと、もっと腹を割って皆と話せ。コミュニケーションは、ここまでいちいち言わなあかんのかゆうぐらいでちょうどええねん。わかってくれてるはず、伝わってるはずでは、絶対相手には通じてへん」
大島さんはカミソリのように切れるタイプではないが、苦労人で人生経験が豊富なので、チーム内の調整役として力を発揮してくれた。わたしに言いにくいことは皆大島さんに相談しているようだし、同じことを話しても大島さんはもっていき方が上手いので、誰もが素直に聴いた。わたしは時々、大島さんを飲みに誘って、労をねぎらった。大島さんは古いタイプの会社員なので、本当はもっと皆と飲みたいようだが、チームの連中は、時間外の「くだらないつきあい」を嫌った。

ある日、吉野くんが思い詰めた顔で相談に来た。「妻が再入院したんです」
今回は手術することになるかもしれない、迷惑をかけたくないので、プロジェクトから外してくれという。自己主張の強いメンバーの中で、彼は常に穏和で周りに気を遣うタイプだった。
わたしはミーティングを開いて、彼の負担を軽くするよう、仕事の体制を組み直せないかを話し合った。
「冷たいって言われるかもしれませんけど」 緒方くんが口を切った。
「それでまた、ぼくら独身組にしわよせがくるんやったら、ぼくはやってられません。家庭を持ってる人って、自分が優遇されて当然みたいに思てはりませんか? ぼくは既に1回、彼女のご両親が田舎から出てきて一緒に食事したい言いはるのん、キャンセルしてるんです。こういうことがきっかけで、この先ずっとぎくしゃくしてもうたら、どないしてくれるんですか。尾島さんかって、デートのドタキャンばっかりしてるから、彼氏に別れ話持ち出されてるんですよ。独身やから気楽やとか、独身者の予定なんかたいしたことないって、決めつけんといて下さいよ。子供の参観日とかも大事かもしれませんけど、何でぼくらばっかり割食わなあきませんのん?」
たしかに、手塚くんの子供が熱を出したり、吉野くんの妻の具合が悪くなった時、わたしは無意識のうちに緒方くんと尾島くんに仕事を割り振っていた。特に、尾島くんはいやな顔をせずに黙々とこなしてくれるので、つい頼むことが多かったかもしれない。
「それは、悪かった。そういうことも含めて、もう一度体制を考え直そう」
できるなら、わたしはこのメンバーで最後までやり遂げたかった。結果的に交替があるとしても、これ以上は無理というぎりぎりのところまで努力したかった。
ここでも大島さんが人間力を発揮して、何とか皆が納得できる役割分担が決まった。
大島さんは終業後、尾島くんと小会議室で話し込んでいた。おそらく、自己犠牲に徹するだけでは良好な人間関係は築けないことや、本当に大切な人なら、あきらめずにコミュニケーションをとることが必要だなどと話してくれたのだろう。大島さんがいてくれて本当に良かった。わたしは自分の未熟を痛感した。

その後も様々なイレギュラーやすったもんだがあった。が、わたしも含めて皆が次第に連携のコツをつかんでいった。もともと能力のある人間ばかりなので、しっくりとかみ合えばぐんと成果が上がった。
プロジェクトは予定通り完成し、後は集大成のプレゼンを行うだけである。
我が社のプロジェクトは内外から注目されているので、プレゼンも大きな会場で大々的に行う。
間の悪いことに、吉野くんの妻の手術日と、手塚くんの子供の学芸会がプレゼン当日に重なってしまった。緒方くんも、婚約者の両親から、この日に会食できないかと打診されたという。沖田くんは、一人暮らしをしていた父親が認知症ぎみなので、少し前から同居するようになっていた。
「吉野さんはともかく、ぼくらはプレゼンに出ないわけいかないですよね」
さしもの緒方くんもそう言ったが、わたしは全員が雁首を揃える必要はないと思っていた。手塚くんには事前の準備を中心になってやって貰い、緒方くんには、できるだけ会場に近い店を予約して、前半部分のスライド係を担当して貰うことにした。沖田くんは、プレゼンの最中に家から助けを求める電話がかかってきてもいいように、遊軍的なサポートを頼んだ。後は残りのメンバーだけでも手は足りる。
課長からは、「プロジェクトのメンバーがプレゼンに出席しないなんて前代未聞だ」と文句を言われたが、「用もないのに頭数だけいてもしょうがない」と言い返した。マネージャーは承認してくれた。

当日、わたしは吉野くんの妻の入院する病院に立ち寄った。手術は午前10時からと聞いていたが、何やら慌ただしい。容体が急変したので、すぐに手術を開始するという。輸血用の血液がまだ届いていないというので、血液型が同じわたしは輸血を申し出た。
「少したくさんとりましたから、しばらく休んでいて下さいね」
看護師にそう言われたが、そんな時間はなかった。わたしはタクシーで会場に向かった。あの程度の量なら、若い頃しょっちゅう献血したのに、今日は妙に頭がふらふらした。疲れもたまっていたのだろうが、やはり年を取ったのだろう。気休めにトマトジュースを飲んで、前半部分を乗り切ったが、30分の休憩の間にとうとう動けなくなってしまった。後半の発表者は大島さん、スライド係は尾島くん、わたしは進行係を務めねばならなかった。
わたしは、他の部署に応援を要請しなかったことを悔やんだ。課長と言い合いになったので、意地になってしまったのだ。沖田くんは予想通り、「お義父さんが暴れて大変なの」という電話を受けて帰宅していた。
「チーフ!」と呼ばれて懸命に顔を上げた。手塚くんの姿が見える。おいおい、この程度の貧血で幻覚が見えるか?
それは本物の手塚くんだった。学芸会が終わった後、どうしてもプレゼンが気になってかけつけてくれたのだ。彼女が女神に見えた。手塚くんには、常に冷静に全体を俯瞰できる目がある。わたしは自分の役目を彼女に託した。

プレゼンは無事終了した。
われわれは、プロジェクトの内容だけでなく、新しいワーキングスタイルを提示したとして、マスコミにも取り上げられた。
わたしは次のプロジェクトでもリーダーに指名された。かつてない大規模なもので、これを成功させたら役員に推薦すると、マネージャーは言った。
一度は出世街道から外れたものと思っていたわたしには、信じられない成り行きだった。
この時、自分の足元に口を開けつつある落とし穴に、わたしは気づいてもいなかった。

(つづく)

チョロきったんさんのソーセージポトフ

2010-03-24 20:41:11 | クマでもできるシリーズ


 昨日今日と、冬に戻ったみたいに寒いです。冷たい雨も降っています
「花冷え」はもうちょっと後かな。「春寒」?
「春炬燵」という言葉もあります。
季節はもう春。でも、寒さのゆり戻しも心配。なので、なかなか炬燵がしまえない。あるとつい入ってしまう…ということのようです
今日はまさに寒さのゆり戻し。炬燵もセーターも出しといて良かったです。
ちょうどチョロきったんさんが、あったまるポトフを教えて下さったので、つくってみました。

 チョロきったんさんのソーセージポトフ(4人分)
1 下ごしらえ
 ・ジャガイモ(4個)、ニンジン(1本)、玉ねぎ(2個)の大きさを揃えて、乱切りにする
  ジャガイモは切った後水にさらし、鍋に入れる前に水気をふきとる
 ・フランクフルトソーセージ(8本)の皮に包丁で切り込みを入れる
 ・ベーコン(1パック)を一口大に切る
2 鍋に水(5~6)カップ、固形コンソメスープの素(2個)を入れて、煮立たせる
3 1の具を入れ、野菜が柔らかくなるまで煮込む
  塩・こしょうで調味する
4 粒マスタードを添えて召し上がれ  


今日は、まるではかったようにソーセージが安かったんです
新ジャガ・新玉を使ったせいもあって、すごく甘みがあります。
ポトフは冬だけでなく、野菜の美味しい春にもぜひつくってみて下さい。

短時間レシピ

2010-03-23 21:12:31 | クマでもできるシリーズ


 時間がない時でも15~20分ぐらいで作れる簡単レシピです。

 さわらと小松菜のゆず蒸し(3人分)
1 下ごしらえ
 ・小松菜(2束)は洗って3~4㎝に切る
 ・ゆず(1/2個)は洗って輪切りにする
2 フライパンにさわら(3切れ)と小松菜を並べ、ゆずをのせる
  酒(大さじ2~3)と塩(少々)をふって蓋をし、弱めの中火で5分ほど蒸し焼きにする
3 お好みで、しょうゆやぽんずしょうゆをかけて召し上がれ  


 乾物の和風コンソメスープ(2~3人分)
1 乾燥カットわかめ、スライス干ししいたけを水でもどす
2 鍋に水500㏄を熱し、スライス干ししいたけを入れる
3 沸騰したら、わかめ、干し桜エビ、顆粒コンソメ2g、醤油小さじ1弱を加え、あらびき黒胡椒をふって5分ほど煮る  


 カボチャと豆のごまサラダ(2~3人分)
1 かぼちゃ(2すじ分)を小さく切って、やわらかめにゆでる
2 熱いうちにスプーンでつぶしながら、マヨネーズ大さじ1・1/2、塩少々、白すりごま大さじ1とまぜあわせる
3 水煮ミックスビーンズ(1パック)を加えて、軽くまぜる
4 器にレタスを敷き、3をのせる  


一見、手が込んでいるように見える(?)のに、実はお手軽。

・カボチャは、冷凍かぼちゃをレンジで加熱(600Wで5分ほど)して使ってもOK。
・干ししいたけは、丸ごとだともどすのに意外と時間がかかるので、スライスしたものもストックしておくと、急ぎの時に便利です。
・わかめは、お汁の具、サラダ、酢の物と色々使えて便利。カットわかめなら、もどすだけで切らなくていいのでなお便利!
・入れるだけで簡単においしいおだしになる干しさくらえびも重宝です。
・今回は使いませんでしたが、うすあげも、切って冷凍保存しておくと、味噌汁、煮物、うどんの具などに使えて便利ですよ。

日持ちがして簡単に使える材料をストックしておいて、忙しい時に活用してみて下さい。



一星へようこそ ―イグナチウス・ロヨラ―

2010-03-22 21:24:55 | 一星


 おとんとおかんが離婚したのは、中2と中3の間の春休みだった。
「一誠が高校に入るまでは一緒にいようと思てたけど、もう限界や」
おかんに泣きながら告げられて おれは「マジ」と目を剥いた
二人はしょっちゅうすさまじい喧嘩をしていたが、はたから見ていると夫婦漫才のような雰囲気もあったので、本当は仲が良いと思い込んでいたのだ。
今時、離婚なんて珍しくも何ともないが、自分のうちがそうなるのはちょっとショックだった。まあ、そこまで嫌いになったんなら仕方ないけど、どっちと暮らすか選べと言われた時は、かんべんしてくれよ~と思った。そんなこと子供に選ばせるなよ
おれはどちらかというと父親っ子だった。おとんの方が経済力もあるから、私立高校も受けさせてくれるだろう。別に私立へ行きたいわけではなかったが、公立一発勝負というのはしんどい気がした。
でも、おとんと一緒に暮らしたら、おれが家のことをしなきゃいけないだろう。おとんは男にしては家事をやる方だが、おかんの方があたりまえみたいにやってくれるからな。
おれがおかんと一緒に暮らそうと決めたのは、
「一誠がお父さんとこに行ったら、そのうちお父さんを殺してまいそうで心配やねん
と、大真面目に言われた時だった。
おかんが言うには、おとんの最大の難点は、欠点がわかりにくいことなのだそうだ。非の打ち所のないほどいい人に見えるのに、段々イライラしてくる。
「お母さんは大人やから、何がそんなにイラつくんか言葉で表現できたけど、あんたの年齢ではまだ無理や。自分が感じてるストレスを言葉で言い表されへんかったら、わけのわからんモヤモヤがどんどんたまっていく。昔はそういう時はグレて不良になったけど、今の子はすぐキレるやろ。ある日突然、新聞に『中三男子、父親を刺殺』なんて載ったら いややわ」
おれは、「何サイコホラーみたいなこと言うてんねん。ありえへんやろ~」と叫んだ。おかんは離婚のストレスが相当きてるんやろう。おれがついていてやらなければ、壊れてしまいそうに見えた。だから、おかんと暮らす方を選んだ。

幸い、おかんの仕事はすぐに見つかった。知り合いがやっていたコーヒー店を引き継いだのだ 
その人は水にこだわりを持っていて、普通の水でいれたコーヒーを320円、特別に注文した水でいれたのを370円で出していた。
「そんなややこしいことするから、お客さんに敬遠されんねん」
おかんは、使うのはミネラルウォーターだけにして、コーヒーも紅茶も一律350円にした。店の名も「一星」に変えた。おかんはおれの名前をこの字にしたかったらしいが、おとんが「ホストの源氏名みたいだ」と反対したので、「一誠」になったそうだ。
コーヒーカップも店の名に合わせたのか、金縁に金色の星が入ったやつになった
おとんが見たら、アメリカっぽいといやな顔をするかもしれない。おとんの上司はアメリカ人で、おとんとはそりが合わないのだ。おかんが夫婦喧嘩の度に、そのアメリカ人上司みたいなことを言うので、おとんはよく、「おまえはアメリカ人か」と言っていた。何度もそう言われているうちに、おかんは喧嘩の時に英語が飛び出してびっくりしたという
その話を学校ですると、「アメリカ人かて言われてるだけで英語しゃべれるようになるんやったら、おいしいなあ」と言い出す奴がいて、仲間内でしばらく、「おまえはアインシュタインか」「野口英世か」と言い合うのが流行った。受験の年だったので、少しでも頭が良くなるかと思ったのだ。中に一人、ウケ狙いに走る奴がいて、「おれはイグナチウス・ロヨラと呼んでくれ」と言った。
「それ、誰やねん? 何やった奴?」
「しらんけど、何か、社会でやったで」
おれは全然記憶がなかった 思い出そうとしても、イグアナが浮かんでくるだけだった。

高校はやっぱり、公立しか受けさせて貰えなかった。
「おまえの成績ならN高あたりかな。もうちょっと頑張ればS高も行けないことはないが」
担任に言われて、おれはN高を受けることにした。学校なんてどこでもよかったし、危ない勝負はしたくなかった。N高なら家から歩きで通学できるので、交通費もかからない。おかんも大賛成だった。
すべりどめを受けられないので、プレッシャーがかかったが、無事合格できた。
春休みに店を手伝っていると、常連のギョロ目のおばちゃんに、「一誠くん、N高受かったんか?」と訊かれて、びっくりした
「おかん、おれがN高受けるて、あのおばちゃんに言うたん?」
と訊くと、おかんは心底申し訳なさそうな顔をした
「いや、別に怒ってるわけちゃうねん。ちょお、びっくりしただけ」
おかんは、ちょうどいい機会だからと、高校で仲の良い子ができても家庭の事情をベラベラしゃべってはいけない、相手のプライバシーに立ち入るような質問もしてはいけない、と言い聞かせた。人と人との間には適正な距離が必要で、おとんもおかんもその距離の取り方が下手だったので別れることになったというのだ。実体験に基づいているだけに、妙に迫力のある話だった
でも、知り合ったばっかりの頃なんて、お互いの個人情報ぐらいしか話題がないのも事実だ。「どこの中学やったん?」とか、「家どのへん?」とか、「兄弟おるん?」とか。
N高で親しくなった奴らとも、やっぱりそんな話になった。それでも、おかんの顔を立てて、親が離婚したことは自分からしゃべらないようにした。後でわかって、隠してたみたいに思われたらいやだけどなあ。

新しいクラスでは、最初は何でも出席簿順だ。
おれは「大沢」というおかんの名字になっていたので、席は「荻野」という女子の隣だった。荻野はいつも文庫本を持ってきていて、授業中も教科書の内側に隠して読み耽っている それなのに、いつのまにかノートをとっているし、中間の点数もめちゃめちゃ良かった。答案を返す時に、先生が、「学年最高は荻野の97点だ」とか、「このクラスは満点が一人いる。荻野だ」とか言うのでわかるのだ。
おれが、こないだ店のお客さんに代金を間違えて請求したことなんか話したら、軽蔑されるかもしれない。お客さんが訂正してくれたので、正しい料金を貰えたが、後からおかんにすごく怒られた。
「あんたは、350円+250円なんていう計算もできへんのん。そんなん、お客さんに指摘されるなんて、めっちゃ恥ずかしいことやで
どっちも「50」がついてて、インパクトが強かったから、つい「550円です」言うてもうてん。全然言い訳になってへんけど。
おかんがあんなに怒ったのは、そのお客さんが、おかんが「ミントグリーンの人」と呼んで、ちょっとファンになっている人だったからだと思う。おかんは若い頃宝塚に夢中になっていたせいか、時々、こういうきしょいことを言う。
おかんはその人のことを「クールでカッコイイ」と言うが、おれには可愛い感じに見えた。顔立ちもちょっと子供っぽかった。
そういえば、荻野も、ちょっとタレ目で童顔だな。

中間の後に席替えがあって、荻野とは席が離れてしまった。
でも、日直は名簿順なのでずっと荻野とだ。
何回目かの日直の時、先生に放課後、図書室の整理を手伝わされた。
思いがけなく荻野と二人で下校することになり、何を話せばいいのか、ちょっと悩んだ。荻野は女子なので、おかんに言われたことが甦ってきて、そうすると、あれもこれも訊いてはいけないことのような気がしてきた。
おれは焦ってしまい、「イグナチウス・ロヨラって知ってる?」と口走った。
「宣教師の? イエズス会創った人?」
やっぱり、荻野は賢い。こんな質問にぱっと答えられるんだもんな。
ただ、当然の流れとして、「何で、そんなこと訊くのん?」と訊ねられた。
それに答えるためには、夫婦喧嘩の時におとんがおかんに「おまえはアメリカ人か」と言ったところから始まって、二人が離婚したこと、イグナチウス・ロヨラが出てきた過程、おかんに人間関係の適正距離を守るためにはプライバシーに立ち入る話を軽々しくしてはいけないと言われたこと、そうすると何をしゃべったらいいのかわからんようになってあんな質問が飛び出したことを、全部話さなければならなかった。一体、おれの苦労は何やってん
この話は荻野には大受けで、ケタケタと大口をあけて笑った。
「お母さん、ええこと言いはるやん」
とも言ってくれた。
「でも、そんなんいうてたら、何もきかれへんことない? 荻野やったら、どないする?」
「そやなあ。毎週見てるTVある?、とか、どんな音楽が好き?、とか、そんなこと訊くかなあ」
なるほど。そういう質問なら、家庭の事情とかに立ち入らなくても相手のことがわかる。荻野はやっぱり頭がいい。
「荻野は、いっつも何の本読んでんねん?」
「今読んでるのは、『竜馬がゆく』」
荻野は中学の時、『風と共に去りぬ』を読んで感動し、レット・バトラーが理想の男性だったが、今は坂本竜馬だという。『風と共に去りぬ』ならうちにもある。おかんは、宝塚でやったやつの原作は大抵持っているのだ。
『竜馬がゆく』は、あるとしたらおとんの本棚やな。おれは月に一度おとんに会いに行っているので、今度行った時に見てみよう。
何となく電車の駅まで一緒に歩いて、改札のところで別れた。駅から家に帰る途中、もしかしたら荻野も離婚家庭の子ではないかと思った。中間の点数が60点や70点のおれでも、がんばればS高に行けるといわれたのだ。荻野なら楽勝でもっと上の学校へ行けたはずである。それなのにN高にしたのは、おれみたいに、私立を受けられないので安全策をとったとか、少しでも家から近くて交通費がかからないところにしたからではないだろうか。
でも、こういうのは訊かない方がいいことなんだろうな。

商店街に新しく美容院ができた。
おかんが割引券を貰ったので、行ってみることにした。
N高はあまり髪型とかうるさくいわれないが、ギョロ目のおばちゃんがおれを見る度に「ホストみたいな頭やな」と言うので、おかんに切ってこいと言われたのだ。
おかんに言われた通り、「そこのコーヒー屋の子です」というと、さらにまけてくれるというので、カットは毛先を揃える程度にして、パーマをかけ直すことにした。
新しいヘアスタイルで店に出ると、早速、ギョロ目のおばちゃんがやってきた。いつものようにカウンターに座り、カフェオレを注文する。カフェオレボウルはピンクの柄のどんぶり鉢みたいなのだ。こういうのを間違えても、おかんはすごく怒る。
「髪の毛切りにいったんちゃうのん? 全然短なってへんやん」 おばちゃんが言う。
「ちょっと切りましたけど、これ、歴史上の人物の髪型なんですよ」
「へえ、誰やろう? キリスト?」
キリスト。そうくるか
でも、おれは別にガッカリしなかった。できれば、最初は荻野に当ててほしかったからだ。
「この髪型、誰の真似かわかる?」
と訊いたら、荻野は言い当ててくれるだろうか。
実は、坂本竜馬なんだけどな。
でも、「イグナチウス・ロヨラ?」とボケをかまされるのも面白いかもしれない