BE HAPPY!

大山加奈選手、岩隈久志選手、ライコネン選手、浅田真央選手、阪神タイガース他好きなものがいっぱい。幸せ気分を発信したいな

アジア杯優勝記念ストーリー:ゴールに向かって走れ!

2011-02-02 21:14:24 | リョウマくん
   栄光のボレーシュート(イメージ図)


 侍ジャパン幼稚園に、新しい先生がやってきました。
イタリアから招かれたザックマローニ先生。
気さくなザックマローニ先生は、すぐに園児達から、「ザックマ先生」と親しまれました
ザックマ先生は、サッカー好きの園児を集めて、ザックマ・ジャパンチームをつくりました
リョウマくんもザックマ・ジャパンに入りました。

園長先生は、がんばって練習している園児達に晴れ舞台を用意してやろうと、試合の相手を探してきました。
豪州幼稚園。アジア地区では名前がとどろいている強豪です
選手はみんな、大きな子ばかり。
ピッチで向き合うと、こんな感じです    

試合が始まりました。
リョウマくんは控えなので、ピッチサイドから声援を送ります。
リョウマくんはこういう、海援隊のような(?)のが好きなのですが、ザックマ先生は控えの選手もどんどん試合に出します。
リョウマくんもピッチに送り出されました。
ザックマ先生の指示はとってもシンプル。
「味方ボールになったら、みんな、ゴールに向かって走りなさい」
リョウマくんも言われた通り、ユキムラくんがボールを奪うと、ゴールに向かってとてとて走り出しました。
豪州幼稚園の選手達は、「ちっちゃくとトロそうな奴」と思ったのか、全然リョウマくんをマークしませんでした。

とてとてとてとて 

走っているうちに、リョウマくんは完全フリーでゴール前に。
それを見たマサムネくんが、リョウマくんにパスを出しました。
練習の時は、ボールを貰うと落ち着いてトラップするリョウマくんですが、この時は焦ってしまい、チビが電柱に向かってオ○ッコをするみたいな格好で足を出しました
ボールが足にあたって、


決勝のゴォォ~ル 


このシュートは、「栄光のボレーシュート」と呼ばれて、侍ジャパン幼稚園で長く語り継がれましたとさ。


親ばかプロジェクト2

2010-09-24 20:35:19 | リョウマくん


   再び、ハンディビデオでムービー撮影にチャレンジです
マオちゃん、マサムネくん、カナちゃんも一緒に、ヨーイドン



リョウマくんは?

出遅れて画面の外

彼の勇姿をビデオに収められるのはいつの日か


 イチロー選手が10年連続200安打達成
10年連続…すごいとしかいいようがありません ♪⌒ヽ(*゜O゜)ノ
今年、阪神のマートン選手が200本安打を達成しましたが、あんな、バットを振ればヒットになるような状態が10年間。
いつも感心するのですが、イチロー選手は記録達成の前に足踏みするということがないんですよね。
いつもいつも、さくっと決めちゃうのもすごいです。
そのイチロー選手が残した、年間210本安打のプロ野球記録を、マートン選手は破ることができるでしょうか。
それも楽しみですね。

お彼岸すぎて、急にひやっこくなりました。
季節の変わり目は何度かフェイントをかけられるので、皆様も体調を崩さないように気をつけて下さい

親ばかプロジェクト

2010-09-17 21:28:33 | リョウマくん


 秋は運動会の季節。
侍ジャパン幼稚園も、秋の大運動会「ユニバーサル・シリーズ・ジャパン(USJ)」をひかえて盛り上がっています。
優勝すれば宇宙一になれるというので、園児も張り切っています。
キョウシロウさんは、親ばかの必須アイテム、ハンディビデオを買ってきました
コンパクトサイズで軽量、大容量HDDと長時間駆動バッテリーで、わが子の成長をバッチリ記録できます。
さっそく試し撮りです。
子供用自転車にまたがったリョウマくん
まずはカメラ目線でニッコリ。
はい、走って



走って~

リョウマくんはカメラを向けられると、どうしても気になってそちらを見てしまうようです
危ないので、ムービー撮影はまた今度


 月末で、ちょっと仕事がたてこんでいるので、更新&コメが滞るかもしれません。
あらかじめご了承お願いします m(__)m m(_ _)m m(u_u)m

急に気温が下がっているところもあるようなので、皆様、お体に気をつけて (*'-')ノ~。.*・゜

恋のアライアンス 2

2010-06-24 20:45:54 | リョウマくん


 マサムネくんが犬を飼い始めました
友達の家で生まれたチビワンコを一匹わけて貰ったのです。
マサムネくんが貰った犬は、兄弟の中で一番体が小さく、毛並みもまばら、前足が生まれつきちょっと曲がっています。
「おれはこいつが気に入ったんだ」
マサムネくんは、「チビ」と名付けて可愛がっています。
リョウマくんも、一目でチビが
好きになりました
マサムネくんがチビを連れて歩いていると、「あ、チビだ、チビ、チビ~」と駆け寄っていきます。
チビもリョウマくんを覚えてくれて、猫じゃらしのようなしっぽをぷるんぷるん振ってくれるようになりました。

その日も、散歩中のマサムネくんとチビをリョウマくんが見つけて、いつものようにチビとじゃれあっていると、
「それだわ!」
という声がしました。振り向くと、リョウマくんが大好きなマオちゃんが立っています。
「それよ! リョウマくん、今の動き、もう一回やって」
リョウマくんはぽかんとしていますが、賢いチビはすぐに察して、リョウマくんにじゃれつきました。リョウマくんがそれに応じるのを、マオちゃんはじっと見つめています。
そして、自分も手足を動かし、
「ようし!」
と叫んで、だーっと走り去りました

マオちゃんはもうすぐスケートの大会に出ます。
曲目は「子犬のワルツ」。
プログラムは仕上がっていますが、マオちゃんは、何かが足りないと思っていました。
リョウマくんとチビが遊んでいる姿を見て、「これだ!」と閃いたマオちゃんは、その動きを最後のステップに取り入れることにしました。
大会の日がやってきました。
マオちゃんの愛らしい演技は、ジャッジにもアピールして、見事優勝
「リョウマくんのおかげよ、ありがとう
マオちゃんは表彰式の後で、しっかりリョウマくんの手を握りしめました。

マサムネくん(とチビ)のアシストで、リョウマくんが先制ゴォォォォォ~ル

マサムネくんも、マオちゃんの応援に来たカナちゃんとスタンドでいい雰囲気です
がんばれ、恋のアライアンス

わんこ騒動

2010-06-21 20:37:45 | リョウマくん


  望みがかなえられなくて 泣いている小さな子供
ひっくりかえって 駄々こねて
でも ダメなものはダメ
泣いてもわめいてもかなわない
そういうこともあるんだよ

涙はもしかしたら 受け入れがたい現実を受け入れるための
潤滑油なのかもしれないね



誰でも子供の頃、一度は「動物を飼いたい」と、親にお願いしたことがあるんじゃないでしょうか。
リョウマくんにもその時がやってきました。
友達が飼っているわんこを見て、自分も飼いたくなってしまったのです
家に帰って、さっそくキョウコさんに、
「キョウコちゃん、わんこ飼いたい~」
と訴えました。
いつもはやさしいキョウコさんですが、今回は、「ダメ
「なんで~?」
「世話するの大変だし、お医者さんにかかる時に保険がきかないし、死んじゃったら可哀想だし、家の中が動物くさくなるし」
「でも、すごく可愛いんだよ~」
「可愛いだけじゃ飼えないの。絶対ダメ」

リョウマくんは、今度は仕事から帰ってきたキョウシロウさんに頼みました。
「お願い、わんこ飼って~
「生き物はおまえ一人で十分だよ」
親がものすごく動物好きなら、既に自分達が飼っていることが多いので、家に動物がいない場合は、子供が飼いたいと言ってもまず却下されるのです
「おまえが大人になって自分の力で生活できるようになったら、犬でも猫でも好きなもの飼えばいい。でも、子供の間はおれたちに合わせてくれ」
大人になるまでなんて、とても待てません。
リョウマくんはひっくり返って泣きわめきましたが、とうとう聞き入れて貰えませんでした。

その夜、リョウマくんが泣き寝入りした後 キョウシロウさんとキョウコさんはこんなことを話しました。
リョウマくんをひきとった時、二人はどんなことがあっても絶対、「言うことをきかないとおばさんのところに返す」という叱り方だけはしないでおこうと決めました。
そんなことを言わなくても、リョウマくんはききわけのいい子供でしたが、それはそれで心配なところもあります。

もしかして、いい子でいないと追い出されると心配しているんじゃないかしら。

でも、あれだけわんこがほしいと自己主張できたのなら大丈夫でしょう。
二人はちょっとホッとしました。

大人になると大変なことも多いけれど、好きなように生きる自由もあるんだよ。
リョウマくんにはまだわからないかな 

恋のアライアンス

2010-05-23 20:27:27 | リョウマくん
         翠の雨に濡れて


 今日は全国的に雨です
阪神 vs ロッテも雨天中止(負けたんじゃないのよ!

 侍ジャパン幼稚園では、室内でできるバレーボールの交流戦(この言葉きらいになりそうな今日この頃)が行われました。
五輪組のエースはカナちゃんです。
カナちゃんは男子のブロックも軽~くはねとばしてしまいます。
しかも、決めた後の笑顔がとってもキュート
五輪組と対戦した戦国組のマサムネくんは、一発でハートを射抜かれてしまいました

幕末組のリョウマくんは、同じく五輪組のマオちゃんにほのかな思いをよせています
リョウマくんとマサムネくんは同盟を結び、互いの恋を応援しあう、日米修好通商条約 恋の互助条約を結びました  (ノ^^)八(^^ )ノ
リョウマくんは、マサムネくんとカナちゃんが、マサムネくんは、リョウマくんとマオちゃんが仲良くなれるように応援しあうという、ギブアンドテイクの条約です。
二人の恋は 攘夷 成就するでしょうか。
 

侍ジャパン幼稚園

2010-05-20 20:26:20 | リョウマくん


 昨日のシリコンスチーマーですが、説明が不親切で申し訳ありませんでした m(u_u)m



これ自体は機械とかじゃなくて、要は耐熱容器です。
具材を入れ、左右のフラップを閉じてレンジでチンすると、すごく良い加減にゆでたり蒸したりできますよんというものです。


突然ですが、その後のリョウマくんです
キョウシロウさんとキョウコさんの子供になったリョウマくんは、元気に幼稚園に通っています。
幼稚園のクラスは「もも組」とか「さくら組」なんて名前がついてますが、ここは「幕末組」「戦国組」「五輪組」「野球組」などがあります。
リョウマくんはもちろん幕末組です。
リョウマくんは根がおっとりしている上に、新しくお父さんとお母さんになったキョウシロウさんとキョウコさんものほほんとした人達なので、ますますのんびりしてしまい、生き馬の目を抜くような外の世界ではちょっと出遅れ気味です
幼稚園でもいじめられたり泣かされたりすることがありますが、担任のオトメ先生がいつも上手に仲裁してくれます。

この幼稚園には交流戦があるので、クラスの違う園児同士も仲良しです。
リョウマくんも、戦国組のユキムラくんやマサムネくん、五輪組のマオちゃんとカナちゃんと知り合いになりました。
実は、リョウマくんは、一度マオちゃんに会ったことがあります。
北極クマたんにひらパーにスケートに連れて行って貰った時、リンクで出会ったのです。
リョウマくんは手すりの側から離れられませんでしたが、マオちゃんはすーっとリンクの中央に出て行って、上手にとんだり回ったりしていました
幼稚園で再会した時、リョウマくんは運命を感じましたが、五輪組の女の子は伝統的に野球組の男の子と仲良くなることが多いようです
既に、ヤワラちゃんとタニくんがラブラブです。
マオちゃんとカナちゃんも、野球組のヒサシくんや、担任のマユミ先生が素敵だと言い合っています。
はたして、リョウマくんに勝機はあるのか

がんばれ、戦国・幕末男子

家族ができるまで(7)

2009-12-28 21:50:15 | リョウマくん


  おばさんは、リョウマくんのお母さんのお姉さんです。
リョウマくんのお母さんは、たった一人でリョウマくんを産んで育てていました。
そのお母さんが亡くなったので、唯一の身内のおばさんがリョウマくんを引き取ったのです。
おばさんはなぜかそういうめぐりあわせになる人でした。
リョウマくんのお母さんは、誰にも居所を知らせていなかったので、おばさんは自分の親を一人で看取りました。
夫であるおじさんの親も、おばさんが何年も介護した後、見送りました。
おじさんには三人の兄妹がいましたが、みんな、なんだかんだいって気の弱いおじさんに押しつけてしまったのです。しかも、おばさんに感謝することもなく、わずかな遺産も当然のようにもっていってしまいました。
ともあれ、ようやく介護から解放されたと思ったら、今度は突然妹が亡くなって、小さな男の子が一人取り残されたと知らされたのです。
何で自分ばっかりこんな貧乏くじをひかされるのだろうと、おばさんは思いました。
おじさんは、会社でも、人を押しのけて出世したり、強引に注文をとってきたりできない人なので、あまりお給料は高くありません。おばさん夫婦には三人の子供がいるので、生活は大変です。そこへ妹の子供まで背負いこむことになって、おばさんは運命を呪わずにはいられませんでした。
おばさんはいつも疲れてイライラしていました。何もかも、いまいましくてなりません。のべつまくなくまわりにあたりちらしました。
おばさんの息子のガンちゃん達は、お母さんに不機嫌をぶつけられると、今度はリョウマくんに意地悪をしてうさばらしをしました。おじさんは、不満があっても、恨めしそうな顔をするだけで、何も言えません。家の中の空気はいつも、すさんでぎすぎすしていました。
リョウマくんはクマさんと身を寄せ合い、ひたすら息をひそめて暮らしていました。

不況の波はおじさんの会社にも押し寄せ、ただでさえ少ない給料がカットされてしまいました。
おばさんはますます不機嫌になり、ガンちゃん達のお小遣いも減らされました。
「おまえがいるせいだ。やっかいもの!」
ガンちゃんたちは、小学校の裏庭で、リョウマくんを責め立てました。
「こんなクマ、捨てちゃえ。汚くてくさくて、見てるだけでうっとうしいって、母さんがいつも言ってるぞ」
ガンちゃんは、クマさんを取り上げると、ゴミ焼却炉の中に放り込みました。あっとい間に、クマさんに火がついて燃え上がりました。
リョウマくんは夢中で焼却炉の中に手をつっこんでクマさんを助けようとしました。
そこへ、用務員さんが戻ってきました。ガンちゃん達は急いで逃げ出しました。
用務員さんは、リョウマくんを焼却炉から引き離し、火かき棒でクマさんを取り出しました。クマさんは既に右半分が焼けこげてしまっています。
それを見た途端、リョウマくんの頭の中で何かが弾けました。
その後のことは、覚えていません。
気がつくと、キョウシロウさんが側にいて、リョウマくんを自分の家に連れて帰ったのです。


しばらくして、キョウシロウさんが一人で戻ってきました。
「あの人達は?」
「今日のところは帰って貰った。とりあえず情報交換だけして、来週また会うことにした」
おばさんが、こっちばっかり交通費を負担して損だと言ったので、キョウシロウさんはお車代を出しました。喫茶店で飲んだコーヒーもキョウシロウさんのおごりです。
リョウマくんはキョウシロウさんにも、
「ぼく、おばさんとこ行かないといけないの?」
と聞きました。キョウシロウさんははっきりと頷きました。リョウマくんの瞳からまた涙が溢れました。
ここはとてもぽかぽかと暖かくて居心地がよかったのに。毎日おいしいものを食べて元気になれたのに。クマさんも直して貰えたのに。いいことは長く続かないのでしょうか。
「ぼく…この家の子だったらよかったのに。キョウシロウくんとキョウコちゃんが、お父さんとお母さんだったらよかったのに…っ
リョウマくんはそう言うと、また泣き声をあげました。

リョウマくんが泣きつかれて眠ってしまうと、キョウコさんが小さな声でいいました。
「あんな風に思ってたなんて…びっくりした」
リョウマくんが自分達になついていることは感じていましたが、この家の子だったらとまで思っているとは思わなかったのです。リョウマくんがこの家に来て初めてはっきり意思表示をしたのが、これでした。
「おれが悪かった」
キョウシロウさんはリョウマくんをこの家に連れてきたことを後悔していました。自分達が引き取るまでの覚悟がないなら、病院から施設へおくってもらえばよかったのです。中途半端な親切は、何もしないよりも残酷な結果をもたらすことがあります。リョウマくんにも可哀想なことをしたし、キョウコさんにも負担をかけたり、痛みを味わわせることになってしまいました。
「来週、あの人達のところへ返すの?」
リョウマくんは、おばさんのところに1年ほどいたそうです。その間に、あんなにボロボロになってしまったのに、この先何年もやっていけるでしょうか。
「しょうがねえだろう。うちで引き取るわけにはいかないんだから」
「やっぱり…無理だよね?」
キョウシロウさんは、実は子供の頃、リョウマくんと同じようにボロボロでいきだおれていたことがありました。だから、ついリョウマくんを連れて帰ってしまったのです。キョウコさんがリョウマくんにやさしくしてくれるのを見ると、あの頃の自分がいたわられているような気がしました。
キョウコさんもあまり幸せな子供時代をおくった人ではありませんでした。自分がしてほしかったことをリョウマくんにして、嬉しそうな顔をされると、あの頃の自分が満たされていくような気がしました。
でも、その程度の思い入れで子供を育てることなんてできるでしょうか。二人とも自信がありませんでした。
これまで二人きりで気楽に過ごしてきたのに、子供ができたらどうなるでしょう。リョウマくんは素直で気持ちのやさしい子供のようですが、もう少し大きくなったら、反抗期もくるでしょう。いじめにあったら? 学校に呼び出されたり、補導されたら? 受験がきたら? 他にも想像もできいことが色々起きるでしょう。何でも型にはまった考え方しかできない人達から、何かにつけて「養子だから」という言い方をされるのも鬱陶しいです。
「でも、リョウマくんが今頃つらい思いしてるかもと思ったら、あたしたち、何もなかったような顔して暮らしていけるのかな?」
それはキョウシロウさんも考えました。最悪、リョウマくんが虐待死したなんてニュースが出たら、二人とも、自分を許せるでしょうか。
「あたし…あんまり子供を可愛いと思ったことないけど、リョウマくんは何だか、最初から可愛がったの」
リョウマくんがほとんど何もしゃべらなくて泣いてばかりいた頃から、不思議に可愛げを感じていたと、キョウコさんは言います。
「あの子なら…ひきとってもいいかも」
「おれは、自分一人ならとてもじゃねえけど、子供なんか育てられない。だから、あいつのことも心を鬼にして突っ返すつもりだった。でも、キョウコさんがそんな風に思ってるなら…」
キョウシロウさんは、キョウコさんの顔をのぞきこみました。キョウシロウさんが「うちでは引き取れない」と繰り返していたのは、キョウコさんに負い目を感じさせたくなかったからでした。リョウマくんは自分が連れてきた子供なので、自分の責任で手放そうと思ったのです。でも、キョウコさんと一緒なら、二人で力を合わせてなら、育てることができるかもしれません。
もしかしたら、自分達の間にできた子供でも、生まれる時はやはりこんな不安を感じるのではないでしょうか。
もう夜遅くなっていました。こういう大事なことはあまり夜に考えない方がいいといわれています。二人は今夜は寝ることにして、明日、朝日の中で結論を出すことにしました。

翌朝、リョウマくんは体中が痒くて目が覚めました。見ると、一度消えたはずの赤いつぶつぶが、またできています。それを見るなり、大粒の涙がボロボロこぼれました。
「ぼく、また汚くなっちゃった。汚くなっちゃったぁー
キョウコさんがかけよってきて言いました。
「汚くなんかないよ。まだお薬残ってるから、塗ってあげる」
薬を塗りながら、キョウコさんはキョウシロウさんと目を見交わしました。これ以上先延ばしにしない方がいいようです。
「リョウマ。薬塗り終わったら、ちょっとおれ達の話を聞いてくれねえか」
リョウマくんはえぐえぐいいながらも、キョウシロウさんの方に向き直りました。
キョウシロウさんは、たしかめるようにキョウコさんの顔を見てから、ゆっくりと言いました。
「うちの子になってくれないか」
リョウマくんは涙に濡れた目を上げました。
「おれたちの子供になって、ここで一緒に暮らさないか?」
「ぼく…ここにいてもいいの?」
二人は頷きました。
「おばさんとこ、いかなくていいの?」
二人はまた頷きました。
「おと…さんと、おか…さんに、なってくれるの?」
三度目に二人が頷くと、リョウマくんはキョウシロウさんにむしゃぶりつきました。
「ぼく、ここにいたい。ここにずっといたい。キョウシロウくんとキョウコちゃんと一緒にいたい。ずっとここにいたいよぉー、あぁーん、あんあん
キョウシロウさんはリョウマくんをぎゅっと抱きしめました。
「わかったよ。家族になって一緒に暮らそう」
キョウシロウさんはその日のうちにおばさんに電話をして、自分達がリョウマくんを引き取るつもりだと伝えました。二日後、おばさんから宅配便が届きました。おばさんの家にあったリョウマくんの持ち物を送りつけてきたのです。同封の手紙には、『あとで、やっぱり返すと言われても、うちは知りませんからね』と書いてありました。中身はすりきれた衣類ばかりでしたが、キョウシロウさんとキョウコさんは、それをとっておくことしました。リョウマくんのお母さんが買ってやったものだからです。
色々な手続もすんで、おばさん達と顔を合わせるのもこれが最後という日、キョウコさんはリョウマくんを呼んでいいました。
「今までお世話になりましたって、ご挨拶なさい」
リョウマくんにすればいじめられた思い出しかないかもしれませんが、まがりなりにもねぐらと食べ物を提供してくれたことには挨拶をするべきだと思ったのです。リョウマくんが大人になって、生活していくことがどんなに大変かわかったら―おばさんを許したり好きになったりはできなくとも―少しは理解できるでしょう。
リョウマくんが、「おじさん、おばさん、お世話になりました」と頭を下げると、次の瞬間―
おばさんが声を放って泣き出しました。
みんなびっくりして見つめていました。

数日後、おばさんから手紙がきました。
『先日は、みっともないところをお見せしました。
これまで、面倒事を押しつけられるばかりで、「お世話になりました」などと言って貰ったことはなかったので、自分でも驚きましたが、涙腺が爆発してしまいました。ご主人にも、喫茶店で色々言い立ててしまいましたが、最後まで耳を傾けて頂きました。
リョウマはうちにいた時とは見違えるほど明るい可愛い子供になっていて、こちらで大事にして貰っていることがよくわかりました。あなたがたに引き取って貰えて幸せだと思います。これからもリョウマをお願いします』

キョウシロウさんとキョウコさんは、引き受けた責任の重さに何度も気が遠くなる思いをしました。でも、もう、川を渡ってしまったのです。
これから、色々なことがおきるでしょう。リョウマくんを引き取ったことを後悔することもあるかもしれません。でも、この人と一緒なら―
二人は互いの手を握り合いました。

親も子も、普通は相手を選べませんが、リョウマくんたちはお互いに「家族になろうね」と思ってなった珍しい親子です。
ずっと仲良く暮らせるといいですね 

(おわり)

家族ができるまで(6)

2009-12-23 14:43:03 | リョウマくん
     ご近所のクリスマスイルミ


 クリスマスが近づいてきました
街はイルミネーションに彩られ、華やいだ気分が広がります。
キョウシロウさんもキョウコさんもクリスチャンではありませんが、楽しい気持ちになれるのはいいんじゃないかと思っています。
今年はリョウマくんがいるので、パーッとやることにしました。
二人はさりげなく、リョウマくんにほしいものを聞き出そうとしました。
「もうすぐクリスマスだから、そろそろサンタさんにプレゼントお願いしといた方がいいんじゃない? リョウマくんは何がほしいの?」
でも、リョウマくんはしょんぼりしています。
「サンタさん、ぼくとこにはこないの」
「何でー? くるよぉ」
リョウマくんは首を振ります。
「ぼく、やっかいものだから、サンタさん、こないの。去年もこなかったの」
リョウマくんは多分、やっかいものなんて言葉、ちゃんと意味がわかって使っているわけではないでしょう。誰か身近な大人に言われたようです。
「何か、最悪のパターンて気がする」
キョウコさんはキョウシロウさんに言いました。
二人にとって一番いいのは、リョウマくんを心配している身内が現れて、その人達に引き渡すことです。
でも、警察に届けてもそれらしい捜索願は出されていないようだし、リョウマくんが言ったことをつなぎ合わせると、どうも親を亡くして、引き取られた先でひどい扱いを受けていたようです。もし、リョウマくんの身元がわかっても、そんなところへ返すのは後味が悪いです。キョウシロウさんも何となくいやな予感がしていましたが、
「まだ事情がわかんねえうちから、ああだこうだいったってしょうがねえよ」
と、キョウコさんの肩を叩きました。

 リョウマくんは、二人がどんなに訊ねても、ほしいものを言おうとしません。
リョウマくんの気持ちは何となくわかります。
もし、ほしいものを言って、またサンタさんがこなければ、すごくがっかりします。リョウマくんはそれがいやなのです。
しかたがないので、二人は自分達でプレゼントをみつくろうことにしました。
リョウマくんぐらいの男の子がほしいものって、何でしょう。
二人とも、自分が小さな子供だった頃のことを思い出そうとしましたが、うまくいきませんでした。
こうなったら、それぞれ、自分が「これ、いいじゃん」と思ったものを買うしかありません。
キョウコさんは、エルモのぬいぐるみを見つけました。リョウマくんは「セサミストリート」が好きなのです。キョウコさんはクッキーモンスターが好きですが、リョウマくんはエルモが一番好きだと言っていました。
大きさがいくつかあったので、キョウコさんは、クマさんと同じぐらいの大きさのを選びました。
ケーキを買うのも、キョウコさんの担当です。キョウコさんは、大人っぽいチョコレートケーキにひかれましたが、リョウマくんは、もっと普通のがいいでしょう。
生クリームがたっぷりのって、賑やかに飾りがついたクリスマスケーキにしました。
キョウシロウさんはオモチャ屋で一度深呼吸をすると、無心にあたりを見回しました。これでピッと目にとまったものを買うのです。
キョウシロウさんの注意を惹いたのは、青い汽車でした。柔らかいエコ素材でつくられていて、なかなかしっかりしたつくりです。黄色い車輪と緑のえんとつがついています。えんとつを押すと、汽笛がやさしく鳴ります。自分も童心に返って遊びたくなるような汽車でした。
キョウシロウさんはこれをプレゼントにすることにしました。

 イブの夜がやってきました。
去年はのけものだったリョウマくんですが、今年はケーキの一番たくさん飾りがついたところを貰いました キョウシロウさんが食べられる飾りと食べられない飾りをより分けてくれました。
おうちはウエハースとチョコレートなのでOK、クリスマスプレートもチョコレートなので食べられます。もみの木とサンタさんはろうそくなので食べられません。
ケーキを口に入れると、やわらかいカステラと生クリームが口の中でしゅっと溶けるようでした。

 次の朝、リョウマくんが目を覚ますと、枕元にプレゼントが置いてありました。

サンタさんが来てくれたんだ

あけてみると、大好きなエルモのぬいぐるみと、青い汽車でした。
リョウマくんは、朝ごはんの仕度をしているキョウシロウさんに報告に行きました。
「おー、やっぱり来てくれたんだ。良かったな」
「プレゼント、2つもあるの」
「きっと去年の分も持ってきてくれたんだよ。去年来れなくてごめんなって」
リョウマくんはキョウシロウさんと一緒に朝ご飯を食べました。
お腹がよくなったので、キョウシロウさんと同じ、ベーコンエッグとトーストです。赤い発疹も、きれいに消えています。
リョウマくんはその日一日中、汽車で遊んでいました。
クマさんとエルモが、仲良く並んで見守っていました。

クリスマスの次の日曜日、おまわりさんが夫婦らしい男女を連れてキョウシロウさんの家にやってきました。
リョウマくんのおじさんとおばさんではないかというのです。
おじさん夫婦の住んでいる地域のおまわりさんが、最近リョウマくんを見かけないことに気づき、おじさん達にリョウマくんはどうしたのかと聞きに行きました。二人が、リョウマくんがいなくなっていることを認めたので、以前照会のあった情報と突き合わせ、キョウシロウさんのところへ確かめに行くよう命じたのです。
リョウマくんは、二人の顔を見るなり、
「いやーっ
と叫んで、キョウコさんの背中にかじりつきました。
「いやー、いやー。おばさんとこはとっても寒いんだ。ごはんもおいしくないし、ガンちゃんたちは意地悪ばっかりするんだ。クマさんもまた燃やされちゃうよ。ぼく、もういやだ。ぼく、もういやだよー
それをきくなり、おばさんの目がつり上がりました。
「おだまり! やっかいものの面倒みてやってるってのに、感謝するどころか、すぐそうやって同情ひこうとして、本当にかわいげのない子だよ。その人達だって、あんたにいつまでもいられちゃ迷惑なんだよ。どこにも行き場がくせに、うちにおいてやるだけでもありがたいと思いな!」
おばさんがリョウマくんの腕をひっつかもうとすると、リョウマくんはキョウコさんの後ろに隠れました。
「すみません、ちょっと待って下さい」
キョウシロウさんが口をはさみました。
「この子も興奮してるみたいだし、大人だけで外で話しませんか?」
キョウシロウさんは、おじさんとおばさんを近所の喫茶店に連れて行きました。
キョウコさんはリョウマくんと家に残りました。
3人が出て行くと、リョウマくんは、
「ぼく、おばさんとこ行かなきゃいけないの?」
とききました。キョウコさんは何と言っていいのかわかりません。成り行き上、リョウマくんを預かって面倒見ていましたが、あくまでも身元がわかるまでのつもりでした。リョウマくんがおばさんの家に戻りたくないことはわかりましたが、だからといって、ずっとここにいていいよとも言えません。
キョウコさんが返事をしないので、リョウマくんはまた泣き出しました。リョウマくんはこの家に来てから何度も泣いていますが、その中で一番やるせない、悲痛な泣き声でした。
キョウコさんは背中をさすってやろうかと思いましたが、何だか偽善のような気がして手が動きませんでした。
リョウマくんを引き取らないのなら、何を言ってもしてもきれいごとでしかありません。
キョウコさんはどうすればいいのかわかりませんでした。

(つづく)

家族ができるまで(5)

2009-12-14 20:08:12 | リョウマくん


 児童相談所から来た二人は、キョウコさんにいきさつを説明しました。
どうも、あの靴屋のおじさんが、「子供にいつまでも小さい靴を履かせたままな上に、つぎはぎだらけのぬいぐるみを持たせている母親」について、他のお客さんにベラベラしゃべったようです。
それが児童相談所の耳に入って、二人が様子を見に来たということのようです。
事情はわかりましたが、キョウコさんは不愉快です。本当に虐待が行われているかどうかわかるまでは、もうちょっとものの言い方に気をつけてもいいのではないでしょうか。
でも、そういうことを言い返せるほど強い性格ではないので、言われるままに二人を家に上げました。男の人がリョウマくんに話を聞きにいっている間に、キョウコさんは隣の部屋で女の人の質問に答えることになりました。
問われるままに、これまでの経過を話していると、リョウマくんの部屋からものすごい叫び声が聞こえてきました。

この人は一体誰だろう?
リョウマくんは緊張してクマさんを抱きしめました
男の人はごく普通のスーツ姿でしたが、子供の目には威圧的に映ります。
もしかして、ぼくを連れ戻しに来たんだろうか。
きっとそうだ。そうにちがいない。
そう思った瞬間、リョウマくんは声を限りに叫んでいました。

「いっやぁあ~っっ

リョウマくんは脱兎のごとく駆け出しました
隣の部屋では、キョウコさんと女の人が、驚いて立ち上がりかけたところです。

「キョウコちゃん、キョウコちゃぁ~ん

リョウマくんは泣き叫びながら、キョウコさんにむしゃぶりつきました。
女の人が、「何があったの?」というように、男の人を見ました。男の人は、ただオロオロしています
「何かびっくりしちゃったの? 大丈夫だよ。何もこわいことないから」
キョウコさんはリョウマくんを抱きしめて、背中をさすっています。
女の人は二人の様子と男の人を交互に見遣やると、「帰りましょう」と、男の人に言いました。キョウコさんとリョウマくんを見ていたら、とても虐待が行われているとは思えなかったからです。

二人が帰ってしばらくすると、ようやくリョウマくんは少し落ち着いてきました。
「ぼく、連れてかれちゃうの? 連れてかれちゃうの?」
心配そうにたずねます。
「ううん。連れてなんかいかないよ。あの人達は、リョウマくんが最近ここへ来たから、元気でやってるか見に来ただけだよ」
キョウコさんは、リョウマくんの肩に手を置いて、
「どこへ連れていかれると思ったの?」
とききました。
リョウマくんは答えません。答えたらそこへ連れて行かれると思っているようです。
「じゃあ…リョウマくんが帰りたいところはないの?」
キョウコさんはずっと気になっていたことを、思い切ってきいてみました。
「迷子になったら言いなさいって、お父さんとお母さんに言われてたことない? 東京都ナニナニ区とかいうの」
「……」
「全部覚えてなかったら途中まででもいいよ。おうちの側に何があるとか、どんな電車が走ってるとかでもいいから。あたしたち、探して連れてったげるよ」
「…ないの」
リョウマくんは小さな声で言いました。
「ぼくのおうち、もうないの。お母さんも、もういないの。ご本も、おもちゃも、みんななくなっちゃったの
リョウマくんはそう言うと、また泣き出しました。

リョウマくんが泣きながら眠ってしまった後、キョウコさんは自分の部屋でヘタッてしまいました
靴屋のおじさんも、児童相談所の人達も、誰も悪いことをしたわけではないのですが、どうにも気分が悪いのです。
なぜ、あんな言い方をされなきゃならないのでしょう。なぜ、みんな、もっと言葉を選ばないんでしょう。(たとえ気にしないまでも)相手が少なくとも絶対いい気分にならないことを、なぜ平気で言うのでしょう。
自分が同じことを言われたら、どんな気持ちがするか考えてほしいものだと思いました
これから、「児童相談所」という言葉を聞くたびに、あの靴屋の側を通るたびに、もしかしたら、リョウマくんの新しい靴を見るたびに、いやな記憶が甦りそうです。それを思うだけで憂鬱になりました
そんなことがいつまでも気になってしまう自分もいやでした。
というより、あの場で毅然と言い返せず、しおしおと言うなりになってしまったから、のみこんだ言葉がいつまでもぐるぐる自分の中をまわっているのです。
こんな時は何か他のことをした方がいいのですが、体が金縛りのようになって動くことができません。いやな出来事というのは強力な磁石みたいなところがあって、そこから離れたいと思っても、ぎゅいーんと引き戻されてしまうのです。
キョウコさんは動きたくても動けませんでした。

リョウマくんが目を覚ますと、もう日が暮れかけて、あたりが薄暗くなっていました。
そろそろご飯のしたくが始まる時間ですが、台所はしんとしています。
リョウマくんはクマさんを抱いて、そろそろと起き上がりました。
リョウマくんは、キョウコさんの部屋へと向かいます。まだ入ったことはありませんが、場所は知っています。
そっと戸を引き開けると、キョウコさんは机につっぷしてぴくりとも動きません。リョウマくんが入ってきたことにも気がつかないようです。
リョウマくんはキョウコさんに近づくと、おずおずと手を伸ばしました。
そして、いつもキョウコさんがしてくれるように、その背をそっとさすりました。

さすさすさすさすさす

キョウコさんもその感触に気づいて、ゆっくりと振り返りました。
「お腹痛いの?
いつもキョウコさんがきくように、リョウマくんがききました。
「どっか苦しいの?」
人は知らず知らずのうちに、こんな風に誰かの見よう見まねで行動しているものです。他の誰かにされたのと同じことを、また人にするものです。
「どこも痛くも苦しくもないよ」
キョウコさんは言いました。こうやって少し体を動かして声を出したので、キョウコさんは磁石から逃れることができました。
急いで洗濯物を取り入れて、冷蔵庫の残り物でご飯のしたくをします。
一段落して洗濯物を片付けに行くと、すでにきれいにたたまれています。リョウマくんがやってくれたようです。
子供とは思えないほど上手にたたんでありました。キョウコさんがやるより、ずっときれいです
キョウコさんはリョウマくんのところへいって、
「洗濯物たたんでくれたんだね。ありがとう」
と言いました。
リョウマくんは、はにかんでクマさんに顔をおしつけました。

「クマさん、ぼく、ありがとうって言われちゃった」
リョウマくんは、クマさんに話しかけます。おばさんのところにいた時は、何をやっても怒られていたのに。
「ぼく、ここにいたら、どんどんいい子になっていけるみたい」
ぼくたち、ずっとここにいられるといいね。
リョウマくんはクマさんをなでながら呟きました。

(つづく)