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世界の片隅から、愛をささやいてみたり @goo

『トムは真夜中の庭で』

2012年02月07日 | 本と雑誌
『トムは真夜中の庭で』 フィリパ・ピアス著/高杉一郎訳


有名な作品ですね。読むのも今更、という感じなのですが。


Amazonさんのは岩波少年文庫ですが、
私は、図書館で借りた岩波少年文庫特装版で読みました。
ウィリアムス・モリス風の装丁が美しい、ハードカバーの文庫本です。


昔、何かのインタビューで宮崎駿さんが本作を挙げ、
(はっきりは言ってないけど察することはできる、みたいな感じで)
軽くネタバレをされていたのですが(笑)
その頃から、いつか読みたいと思っておりました。
少し新しい、現代的な児童文学なのだろうという印象を持っていましたが、
イギリス本国での初版は1958年なんですね。すでに古典なのかも。


ということで、結末を知りつつ読んでいたわけですが、
それでもあまりある魅力が本作にはありました。
その大部分は、舞台である「真夜中の庭園」のすばらしさにあります。
四季折々、さまざまな表情を見せる庭園は、
主人公のトムが夜ごと出かけていく気持ちがよく分かる美しさですし、
一方で、イギリス人が庭園に抱く愛着もよく分かると思いました。
そこで出会う風変わりな少女ハティが、他の人には見えないトムのことを
幽霊だと思っていて、二人で「どっちが幽霊か」とけんかになるところや、
スケートぐつのくだりなど、面白いなあ、と思いました。
トムもハティも、アベルもジェームズも、グウェンおばさんもアランおじさんも、
人柄のいいところもあれば欠点もあるところが、人間らしくて好感が持てました。


そして、結末を知っていてなお、ラストシーンは感動的でした。
その場面が、事情を知らない第三者によって語られるのも効果的なのでしょう。


この友情が、最後の日まで続くことを、祈らずにはいられません。
 

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