豊田の生活アメニティ

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南区公害患者の40年

2012-09-26 | 平和・人権・環境・自治制度

 南区の公害で企業と名4国道を訴えた裁判で、和解した喘息患者などで「青い空と健康」を求める会の40周年に参加しました。それは記念講演が宮本憲一さんだからです。タイトルは維持可能な内発的発展-原発災害と地域再生-です。維持可能は普通持続可能が多く使われます。sustainableですが持続可能の場合は、環境より企業や経済の持続的発展、成長という意味で使われる場合が多いからです。話の概要ははじめにで、原発の再稼動は政府の財界屈服と関西広域連合の知事と橋本市長の失敗としています。原発について大島堅一の原発事故コストは、8兆5040億円を引用し、被害の責任は東電にある、原発0は可能である、それは地震国・テロ、コスト高、不可逆的な保障は困難などを指摘しています。太陽光エネルギーで十分電力は賄えること、発・送電の分離が必要、節約社会を実現すること求めています。震災復興1年半では、「便乗型構造改革と生活生業復興型の政策対立、予算は大企業に流れ、住民は自主自責で住宅まちづくりは困難になっていることを指摘されました。神戸の復興に関わった教訓を踏まえてのことでしょう。維持可能な内発的な地域再生は補助金依存型の外来型開発でないこと、原発と関連企業で雇用や所得は増えても、地域の産業関連はなく農業や製造業の発展はないとしています。エネルギーと食料の地域自給を確立すること。維持可能な内発的な発展は、雇用、福祉、医療、教育、文化の総合的に実現すること。地域の資源(農林漁業産物)を活かし、完全循環社会を作ることを提案しています。そのために「地域内産業連関」分析で、地域内再投資、総合的な開発計画を作ること。主体は地元に置き、地元民間企業、漁協、農協、生協、NPOなどで、自治体がコーディネーターの役割を果たす。地域情報を公開し、意思決定のプロセスに住民が参画し、十分な議論が必要なことは言うまでもないことです。過疎地域では都市の人材、資金、情報など援助が必要であり、地元の主体形成が課題であるとしています。課題の実現方法も示していますが、広域に壊滅的な被害の東北で、個別具体的な実行計画を「早急に」作ることは容易ではなさそうです。
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被災地を歩きながら考えたこと

2012-09-26 | 気になる本

五十嵐太郎(2011)『被災者を歩きながら考えたこと』みすず書房


 著者はあとがきで書いていますが、文献の出典は少ないけれど被災地を歩いて書いたとあり、読みやすい内容です。私も8月下旬に宮城県を3泊4日で、駆け足で回ったので先に読んでいればと残念な点もありました。五十嵐さんは来年に愛知県が行うトリエンナーレの芸術監督に決まっています。最も印象に残ったのは、あとがきの「細かい場所の差異を読まず、記憶をないがしろにして 復興を急ぎすぎても、おそらく別の破壊が起きてしまう。」というところです。被害建築物を記念碑で残すことも想定されていると思いますが、雄勝の住民合意 が不十分な状態で高台移転ありきの、復興事業にもあてはまると思います。東北大学などの先生や学生もアーキエイドなど、復興支援に携わっていると聞きますが、雄勝の復興計画のあり方をどう思うか聞いてみたいものです。被災後直ぐに現地を歩いて書いた文や写真は、生々しく伝わってきます。人間、建築物、生活などが津波で 根こそぎに持っていかれた姿は、ポンペイの遺跡を連想するのは同感です。女川町の横倒しになった建築物は見落としましたが、津波の恐ろしさが伝わります。記念碑として残してもらいたいと思います。また、車の被害の壮絶さと、その避難について再検討すべきでしょう。原発の被害者は想像を絶する苦難であり、0にすることが望ましいです。東京に持っていく発想も面白いです。復興を考えるためにでは「人口減少を意識した計画が必要」ということと、「被災地は同一のシステ ムを応用すれば、すべての問題が解決するという単純な記号ではない。今後の街を考えるためには、まずマイクロレベルで地理を読み解くことから始めるのが重要だろう。」と延べていますが、現地では「スピード感を持って」画一的に、住民不在で復興計画が進んでいるところがいくつかあります。津波対策として、「30年から50年に一度忘れたころに襲う津波の場合、人間のリズムとあわせづらい」としています。ましてや1,000年に一度の津波を想定して、地形も 考えず画一的に高台へ集団移転するのはどうかと思います。「建築と土木ですべてを防御できない。地震は逃げ場がないが、津波の場合、逃げるのがもっとも安全だ。」と述べていることには、海と共生する減災の発想であり同感です。復興庁や宮城県・石巻市の防災部局の方は、噛み締めて欲しい文です。写真は津波で使えなくなった雄勝支所です。

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