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広域巨大合併都市フォーラム

2011-01-31 | 都市計画・まちづくり
広域巨大合併都市フォーラムの感想
2011年1月21日、名古屋都市センターで、主催科学研究費補助B(代表瀬口哲夫)、共催日本都市計画学会中部ほかのフォーラムに参加しました。
 配布された資料の瀬口哲夫「『平成の大合併』による合併都市の都市計画課題について」
で、「合併は都道府県による『市町村の合併推進に関する構想』の策定を義務づけ」という点は、納得しました。また、「合併特例債による財政的支援と三位一体改革による地方交付税の大幅削減が合併を進めたとされる。」という点は、やや第3人称的に書かれていますが、全国共通の最も大きな理由でした。さらに、西尾私案の1万人以下の自治体は権限縮小も引き金になりました。それに地域特性が加わります。都市計画区域の課題として、行政区と都市計画区域の不整合、複数の市街化区域、準都市計画区域(用途地域のみ)の設定。総合計画、都市計画マスタープランの見直し。企業誘致のため、区域マスタープランとの調整、都市計画税(0.3%)など都市計画的な問題点が整理されています。住民合意、愛知県は20の都市計画区域を6つに再編、コンパクトシティと開発志向のずれ、人口減少期の認識などは継続する課題だと思いました。
 福島(瀬口)氏の報告「広域巨大合併都市の都市的特徴とその地域経営・空間管理」で、
研究目的は包括的に実証、800k㎡以上を対象、都市的特徴を類型化(中心都市を核にした合併、そうでない合併)、効率化と自律基盤の相反する政策課題に対処、区域内分権と都市と「農村の交流」(事後の対応)など論点整理され、興味ある報告でした。
5大都市の現状と課題の報告メモ
1 静岡市 
 72万人、1,411k㎡(41km、83km)、政令市(清水市、蒲原町、由比町)
 市街化区域が行政区域の7.4%、人口は9割
 平成2年をピークに人口が減少
 産業構造の変化 2次産業の低下、工場数の半減、サービス業の増大
 都市構造の変化 高密度市街地(100人/ha)が低密度市街地(50人/ha)化
 課題 メリット、デメリットの分析、法令の枠組みからはみ出し、サービス水準の格差、社会基盤などの整備
2 浜松市
 82万人、1,558k㎡高山の次、編入合併で政令市、人口はH25年までは伸びる、外国人が多い、交通機関はバス路線が発達、先日の大雪の時は出勤時に職員が1/3。
 産業構造 工業出荷額3兆円、有効求人倍率0.37(H21.12)、農業産出額540億円
 政令市は都市計画の一本化が義務(?)となった。
 課題 調整区域に人口の1/3いる、開発を許容する区域(地価の所へ工場誘致で「振興」)
天竜区(天竜市)都市計画区域外?非線引き、区の都市計画手続きと権限は?
拠点ネットワーク型都市構造(都市機能が集積した拠点を公共交通で連携)の計画?
都市計画道路の縮小はなぜか?合併のメリット、デメリットはどうか?
3 豊田市(企画部農村担当)
 42万人、918k㎡、都市計画区域と区域外(白地)の2つ
 合併の必要性 「矢作川流域の運命共同体」(後づけでは)?
 都市の一体化 公共交通ネットワーク(公的基幹バス)、地域自治システム、森づくり
 地域自治区 わくわく事業、地域予算提案、評価?
 合併後の課題 白地では5年間で6.4%人口が減少
 地域の状況 身近な雇用、若者の転出、学校統合、イノシシ被害、耕作地放棄、定住
 コメント 工場建設と合併の歴史、大工場のネットワーク、分散型公共施設建設、総合計画と都市計画マスタープランの見直しの評価、足助のシャングリラ計画と街並み保存
4 高山市(地域振興担当)
 9万人、2,177k㎡、旧市長が編入でもいいところだけ認める、広すぎて職員は苦労
 H20年度より支所は5課から2課に、
 合併町村のみ地域審議会10~14人で年数回
5 富山市
 7市町村の合併、42万人、1,242k㎡、
 1つの都市計画区域と3つの「非線引き」(市街化区域と調整区域)都市計画区域
 過疎の定住促進(助成事業)の低位調整、街中居住補助(地価が高い、高層マンション)
 公共交通を軸としたコンパクトシティ 鉄道駅や幹線バス停から徒歩圏内に施設、居住
コメント(都市とは何か)
・合併理由の要因は三位一体の地方交付税削減であろう点は同感であるが、背景は政令市目標、陳情型、企業型など背景や思惑は色々。「中京都」構想の狙い、道州制への延長か?
・包括的に分析では、都市構造をみているが生活サービスとのかかわり、「都市と農村の合併」の優位性が見られない。都市とは何か改めて問われる。
・「卓越した中心性」のある合併(編入合併)という視点は面白い。コンパクトシティが一極集中になる。
・人口減少と定住促進、産業と雇用(非正規社員)、あるいは「成長戦略」がこれからの都市構造を規定するだろう。
・少子高齢化の時代に公共交通の重要性と公共性の再定義が必要である。
・都市内分権は口実、「都市計画権限の拡大」?と住民参加(テーマは福祉、環境、防災など限定)と熟議民主主義、決定権が重要である。
 広域と峡域の計画、関連、参加について研究してみようと思いました。(写真は山之手小学校交差点の歩道橋建設、撤去の時代なのに車優先でしょうか?)

コメント (2)
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豊田の産業空洞化の始まり

2011-01-26 | 市民生活・企業都市
 昨年11月トヨタシンポジウムが、豊田市福祉センターで開催されました。08年には世界経済危機となり、トヨタも北米の住宅バブルに依拠した、拡張路線が失敗しました。その影響は「トヨタ・ショック」として、非正規労働者の解雇・雇止め、労働者の賃下げ、下請けの仕事の減少と倒産でした。基調報告と、愛労連などの中小企業アンケート結果や、大村豊田市議会議員からの市民生活の悪化、トヨタ社員の労働現場などが報告されました。「トヨタ・ショック」以後に起きたことは、社長交代、下請け単価の引き下げ、「エコひいき」減税による経営のV字回復、大量のリコール事件でした。
 今のトヨタの経営の基本は「廉価良品」で、部品の世界最適調達を日本だけでなく世界から輸入、あるいは海外生産の拡大をしています。さらに、人件費と下請け単価引き下げが廉価の特徴です。品質の良いものをつくるという考えで、海外の販売を拡張してきました。アメリカのトヨタ叩きだ、ブレーキは感覚の問題だなどという意見もマスコミで一部ありました。講師の丸山惠也氏は「トヨタのリコール問題と車づくり」(資料『経済』2010.7月)で、その要因を①拡大戦略を支えた効率主義、②「すり合わせ」不能の職場疲弊、③ゆき過ぎた原価低減としています。「良品」は、安全のギリギリ設計といえます。
 行政は電気、自動車などの輸出型大企業を支援してきました。豊田市は企業誘致でなく市内の工場等新増築でも助成をし、トヨタ関連には10年間で46億円の補助です。さらに、旧下山のトヨタ研究開発施設には、県企業庁がトヨタに代わって行う造成と用地買収を、市が「お手伝い」して職員人件費だけで4億8千万円の単市支出です。地域の経済効果を市議会で質問されても、市は不明としか答弁できません。それは大企業が繁栄しても、下請け・労働者・地域経済に波及効果・トリクルダウンがほとんどないからです。法人税を下げないと企業が海外に逃げるとか財界に言われ、菅総理は5%下げることを決めましたが、経団連は雇用の約束はできないとしています。高岡工場では1,900人の余剰人員の転出「削減」が行われようとしています。ブラジルやロシアのサンクトペテルブルグでの工場稼働、東北でのトヨタ系増設など、部品の最適地調達から会社利益の「最適地生産」に変位し、西三河の産業「空洞化」が関連企業から本体へと現実味を帯びてきました。豊田市は自動車に特化した「一本足」の産業構造から、農業、福祉も含めた多様で内発的な地域再生へと、「革命的」転換が求められていると思います。大企業依存からの自立、共生はどうあるべきか、それにはまず「中小企業憲章」を基に、中小企業の実態調査と産業連関分析が欠かせません。
(写真はトヨタ本社技術棟のある敷地での増築です。)
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道州制が見えてきた

2011-01-19 | 気になる本
鈴木文憙(Ayaki、2008・5)『道州制が見えてきた』本の泉社
はじめにで、「道州制は、このところ利益を上げながらも、世界的に展開される競争の中で追い込まれている我が国のグローバル企業が、生き残りを賭けて実現しようとするもの」として、文献、資料を綿密に精査し、トヨタ自動車に着目し分析しています。この底流に日本経団連の「究極の構造改革」があり、最近のみんなの党や、橋下、河村流の大企業減税、「大阪都」、「中京都」構想もその流れであることが重なって見えます。
 第1章「道州制への再編の核をどう捉えるか」で、トヨタのグローバル転換への道筋を書いています。2008年世界経済危機まではアメリカの住宅バブルに乗じて絶好調だったトヨタの展開、小泉政権下の経済財政諮問会議と奥田氏の役割を丹念に調べています。特に、政治献金再開によって、政府・与党の大企業奉仕という「通信簿で政策買収」の構図が読み取れます。
 第2章「トヨタを主軸にした国土の構造改革と道州制への展開」で、道州制へのトヨタの思いから多国籍企業全体の思いへの変化です。トヨタは01年から07年で世界に12工場を建設しました。ムダ・ムラ・ムリの排除というトヨタの生産システムが、リコール対象台数を急増させたとしています。その後、アメリカで大きな訴訟問題となりました。海外展開の急増は技術者の力の低下を招きます。そして「三河一極集中体制」からの脱出を挙げています。万博、空港、東海環状道路を契機に、ミッドランドスクエアなど名古屋の「国際都市化」を掲げる一方で、国内での分散つまり北海道、「九州、東北へと拡散」です。高岡革新ライン、元町工場の一角に「グローバル生産推進センター」(GPC)で世界のマザー工場の統括、次世代科学技術研究など三河一極集中からの質的変化を指摘しています。トヨタの影響が強い中経連は「21世紀中部の進路」、02年「道州制移行への提言」、04年「道州制下における地方の税財政のあり方」、05年「提言・中部州の実現」など積極的に道州制を進めています。
 第3章「道州制の正体が見えてきた」で、日本経団連の農業「改革」の問題でFTA,EPAの輸入自由化があります。今でいえば、TPPがクローズアップされています。国立大学の再編と研究の大企業への奉仕、特に国立が独立行政法人に変質したことが拍車をかけています。道州制と基礎自治体の関係は、「州政府による基礎自治体の統合・支配」で御手洗ビジョンから、州政府は「多国籍企業を城主とした多国籍企業城下州」となりそうです。基礎自治体の議員はボランティアにし、自治体も効率的に安く事務を行う機関にしようとういう流れになります。成長するアジアの関係では、ASEAN+6から「米国主導のアジアの新しい機構としてAPECの利用」があります。それが今のTPP問題ということになるでしょう。
 第4章「日本経団連の主張する道州制は究極の構造改革」で、道州制になった場合の3つの予測を検討しています。産業クラスター形成に向けて市を挙げて企業誘致する北九州市の事例を、先ずあげています。この市は生活保護打ち切りで、餓死者をだした所です。豊田市の産業振興委員会でもトヨタの委員が、「市も産業誘致課を作れ、宮城などは誘致に熱心」などと都市間誘致競争を煽っていました。企業誘致すれば福祉は向上するのか、住民は豊かになるのか、労働者は使い捨てでいいのか、自治体は波及効果の検討、定住策、産業連関分析もなく、サスティナブルな社会実現のプランがありません。亀山のシャープ工場は中国に買収され、派遣社員は定住できず、補助金は一部返還されたそうです。国が法人税を下げることによって、豊田市の法人市民税は1/6減ると試算されています。2点目の「トヨタ1社が主軸になって形成する産業集積の脆さ」は、今の世界経済危機で顕在化しました。大企業にとってメリットでも、行政や市民にとってどうなのかが問題になります。3つめは、「個人市場の縮小による価値生産・実現の海外依存の増大」について、個人消費の縮小、海外生産比率の上昇、外国の安い労働力で商品の生産という状況が続けば、デフレ、生活レベルの低下、若者の雇用・定住など将来への不安が増します。
 内容は、トヨタの世界戦略と道州制で、08年の世界経済危機や「トヨタ・ショック」などから、分析と予測が現実のものとなり進行しているようです。
コメント (1)
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今年の計画

2011-01-04 | 市民生活・企業都市

新年の計は元旦にあるというけれど、既に3日が過ぎましたが目標を考えました。昨年の計画を振り返り、
1、健康では山登りができませんでしたが、水泳を週3日1Km泳ぎました。水泳を1.5Km。
2、旅行はロシアと韓国でした。今年はスウェーデン、韓国、台湾、英国へ。
3、学習は基礎英会話と多読30万語。今年は100万語。ロールズ「公正としての正義再説」、マンフォード「都市の文化」
4、調査研究は、環境モデル都市(建築学会)、豊田市統計分析(産業連関分析、人口、所得、雇用、住宅政策)
ちょっと無理してるかもしれません。
 いつもは寝正月が、今年は挙母神社に行き、三好の映画館で「ノルウェイの森」を観ました。(写真は行列のできた挙母神社)
コメント (4)
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