豊田の生活アメニティ

都市デザイン、街歩き・旅行、くらし

報酬主義を超えて

2005-06-26 | 気になる本
 アルフィー・コーン「報酬主義を超えて」1993年、田中英史訳、法政大学出版局、2001年。訳者によれば、コーンは「人間社会を支配する根本原理の一つとも見える『競争』を取り上げて」異議を唱えました。その「競争社会を超えて」の姉妹編でもあります。さらに、「人間を動かすのに『報酬』が有効である。いや、結局は『報酬』しかない、という行動主義的考え方がアメリカの文化に抜きがたく浸透している。しかしその考えは正しいか。それが本書におけるコーンの出発点」です。日本では年功賃金とされてきたものが、1995年の日経連の日本的経営を機に、成果主義が浸透してきました。それが、公務員の職場にも日本的行政経営システムと一緒に浸透しつつあります。
 前段は報酬によって、子どもの教育、労働者に報酬は効果がないことを紹介しています。もっとも興味を引いたのは、「誘引使用や業績給制度がうまくいかない理由を具体的に14挙げた」ところです。その中で、秘密性(誰がなんで給料が上がったのか不明)、給料と働きが連動しない(給料が業績評価に合致しない)、短期的対長期的(報奨の査定が短期的業績)、「給料は動機づけの要因にあらず」(金もうけが人生・仕事の目的とならない)、報奨は仲間の関係を崩す、報奨は冒険に水をさす(P.ドラッカーの『目標の管理』を採用していると低い目標設定になる)などです。毎日新聞のサラリーマン川柳の「成績主義最終評価は好き嫌い」が、成績主義の実態を言い当てています。また、コーンの「競争社会を超えて」で、「報酬を与えることは、その核心において、まさに人間をコントロールすることにほかならない」と述べています。日本も「がんばったものが報われる」アメリカ型のドライな職場、社会に向かうのでしょうか。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日照権

2005-06-25 | 気になる本
「日照権」(あすの都市と太陽)、楠本安雄、1973年
 自分の家の南側に建築物が建って、庭や家に陽が当らなくなって文句を言わない人はいないと思います。日照は、採光・暖房・衛生・通風などの居住環境指標の中でシンボル的なものです。この本はやや古いですが、日照とは何か、なぜ日照問題が起きるのか本質的な問題が書かれています。昨今、東京ではマンションの隣にマンションが建って問題となる事例が増えています。地方都市では高層建築物と敷地規模の狭小によるものです。しかし、これらの問題は建築基準法では「適法」とされるものが多く、局所的とされ泣き寝入りが多いです。著者は「日照問題が単に局所的な相隣関係の問題ではなく、都市全体、自治体全体の利害にかかわるものとして、行政や立法の上でも考慮されねばならない」としています。また、高層建築と狭小敷地の2つのタイプいずれも、「両当事者を支配する市民社会の調整原理によって私法的な解決が得られると信じている。」としています。高層建築の場合高さの制限は都市計画法による用途地域と建築基準法によって規定されています。1970年の用途地域の改悪によって、絶対高さの規制が緩和され、容積率(建築延べ床面積/敷地面積)制度の考えが強くなったからです。これ以後も度々住民の知らぬ間に、空間計画の規制は緩和されています。建築基準法では住民運動によって、日影規制がありますが受任限度論の立場で、日照権を保護しようとするものではありません。空間コントロールのあり方のほかに、住宅政策、土地政策、所得が問題となります。空間コントロールによる解決策は事前対策です。それは用途地域のダウンゾーニング、高度制限による高さ規制、地区計画による高さ制限、最低敷地制限、まちづくり条例などです。ただし、まちづくり条例でも建設にあたって話し合いを求める、手続き条例では効果は少ないです。良いと思われる事例は、真鶴町、金沢市、狛江市などのものです。
 写真はイメージです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ラグーナ蒲郡

2005-06-25 | 市民生活・企業都市
 蒲郡のラグーナに一昨年ある学会の総会で訪れました。経営者の説明によればなんとか黒字だそうです。シーガイヤをはじめとする第三セクターの破綻の中で、さすがトヨタ方式の運営です。テナントも成績が悪いと入れ替えられます。とらやのういろうはおいしかったですが、駐車場料金の500円はちょっと高いので2回目はまだいってません。ヨットの繋留もされて絵になりますが、ヨットを持てるほどのお金も私にはありません。観覧車は海辺の景観には不釣合いです。リゾート法の特権を生かしてちょと自然を改造し過ぎたのではと思えます。
 この土地にトヨタが中高一貫の学校をつくる予定です。その経過が蒲郡のあるネットの書き込みにありましたので引用します。『蒲郡の議会で市は「埋め立て免許の申請で、リゾート用地として埋め立てているので、他の利用目的には使えない」(10年間)とくり返し答えてきました。トヨタが学校をつくると言えば、その規制も取り払われてしまうのでしょうか?トヨタの購入したこの土地(約14万坪)の、埋め立て原価は約11万5,000円でした。しかし、約60億円で購入しているので、坪当たり4万3,000円となります。トヨタ自動車は埋め立て原価の37%で購入したのでした。何でもトヨタの言いなりのような気がしてなりません。』
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

トヨタ本社屋新築

2005-06-22 | 市民生活・企業都市
トヨタは2005年春、万博開催前に本社屋を新築しました。建物は立面にカーブを取り入れたセンスの良い建物です。写真は完成直前のものです。周辺の道路も改修されて綺麗になりました。しかし、以前からあったポプラ並木と大木のユリノキが伐採されたのは、見慣れた風景が消えて寂しいです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

谷中のマンション紛争・合意

2005-06-21 | 都市計画・まちづくり
台東区谷中の三崎坂でマンション紛争が起き、台東区より派遣されたコンサルタントやまちなみNPO谷中学校が支援し、建築協定が成立しました。谷中はお寺が多く江戸の風景が残る街です。写真は昨年のゴールデンウィークに撮ったものです。ここのデベロッパーは豊田でも問題となりました。自治体がコンサルの派遣を支援し、NPOが調停案を提案すれば、解決策が見つかるのが教訓です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第2東名・矢作川PC橋820m300億円

2005-06-18 | 都市計画・まちづくり
 国土交通省中部地方整備局と日本道路公団が施行した、東海環状自動車道の豊田東JCTから美濃関JCTまでの間(延長73.0km)と伊勢湾岸自動車道の豊田東JCTから豊田東ICまでの間(延長3.1km)が、05年3月19日(土)に開通しました。写真は工事現場を視察した友人からもらったもので、第2東名・矢作川PC橋の上から撮影したものです。ちなみにこの橋は820mで約300億円だそうです。通常高速道路はKm当り40~50億円です。国家財政が借金で破綻状態なのに、私の年金は大丈夫なのでしょうか。見るたびに将来が不安になります。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

トヨタすまいるライフ

2005-06-12 | 市民生活・企業都市
今年の春、大林町にトヨタすまいるライフが新装オープンしました。田園地帯でもありますが、建物は6階建てで周囲の違和感もなく洒落た建物です。事業内容は住宅の「総合商社」といったところで、ギャラリーもあります。トヨタはミサワホームとも「提携」し、住宅にはこれから力を入れようとしている分野です。事業内容では人材派遣、職業紹介まであります。ちなみにやる気のある従業員は随時募集していますが、年齢請願が30~35歳となっています。
6月中旬になって、社員の駐車場へのための横断歩道ができました。さすが「交通安全」に熱心なトヨタさんには、警察も対応が早いですね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鹿児島の街

2005-06-10 | traveling, town walking
 昨年末に宮崎県綾町の照葉樹林を見に行きました。見渡す限り緑一色でした。鉄塔建設反対の運動がありましたが、15基が建設されました。残念。
 タクシーの運転手の口車に乗せられて、タクシーで日南海岸へ行きました。その前に、三セクで失敗したシーガイヤホテルを一目見ました。昔、日南海岸は新婚旅行客で賑わっていたようですが、現在はホテルも寂びれ倒産しているものもありました。翌日は知覧の特攻会館と武家屋敷を目指しました。しかし、朝の出発がゆっくりしたため、知覧へ着いたのが2時で、特攻会館だけしか見られませんでした。お泊りは指宿でバスは3人しかいません。途中美しい開聞岳(別名薩摩富士)を見ることができました。登山客が乗車してきたので、話を聞くことができました。この次は登りたい。指宿では砂風呂へ入りました。翌日は再度鹿児島の街で市電に乗りました。市電と朝市のある街は風情があって好きです。そして、城山まで小ハイキングです。頂上に着いて写真の桜島を撮りました。隣のおじさんにみかんをお裾分けしたら、帰りのコースを案内してくれ、西郷像まで連れて行ってくれました。これが気ままな旅のいいところです。さらに、鹿児島中央駅をめざして歩いていると、行列のできるラーメン屋に偶然出会いました。でもここは以前、屋久島の帰りに寄った店でした。こってりでさっぱりの豚骨ラーメンがおいしかったです。鹿児島は県都であり、歴史あり文化ありで風格があり好きな街です。豊田市より産業も財政も劣りますが、生活・文化は豊かな都市です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

小京都・犬山市の市街地再生

2005-06-08 | traveling, town walking
 保全か開発か
 犬山市は人口7.4万人で木曽川が流れ風光明媚な所で、名古屋への通勤圏でもあります。城下町地区は国宝犬山城をシンボルに、町割りをはじめ歴史的建築物の残る名所です。しかし、犬山城への観光客は1996年の29万人から、99年の15万人へと激減しています。また、中心市街地は高齢化、空洞化、世代交代などから、保全と開発のあり方が問われています。87年から96年で中心市街地の169haの人口減少率は20%前後で、高齢化率も平均で20%を超えています。そのため小売店も営業が成り立たなくなっています。犬山駅近くへの大型店進出がありましたが、大型店も撤退してしまいました。若い世代は今風のプレファブ住宅を建てる傾向にあります。町割りによる間口は6m弱(3間)と狭く、戸建て住宅には不向きな敷地です。従って、新世代も新興住宅地へ転出する傾向がみられます。
 2つの契機
 90年に、この地区に15階建ての高層マンションが建設されました。このことをきっかけに、93年に都市景観条例が制定され、重点地区を指定し一定の景観形成をしてきました。市民運動としては、奥村邸の家主でもある奥村氏を会長に城下町保全活動が展開されていました。城下町の町並みは連続性や保全状態も十分でなく、現状では観光客を惹きつける程の魅力に欠けていました。木造住宅も全体的に老朽化し、改装・改築の必要に迫られています。ここで暮らす者にとっては、景観条例の制約が煩わしいという声もあります。また、火災や地震などの防災の不安もあります。高齢化が進み、伝統的な車山(やま)の運営も困難となりつつあります。このような風土の中で、都市計画決定された道路の拡幅事業計画が起きましたが、計画にストップをかけたのが犬山職人・クラフトマンの会「そうだがや」でした。「そうだがや」は、城下町にかっての賑わいを取り戻そうと、97年よりイベントを開催しています。この「そうだがや」の成功は、道路拡幅の「凍結」だけでなく、住民によるまちづくりの気運と希望を持たせた転機ともいえます。
 今年5月行った時は店舗の改装オープンがすすんでいました。写真は町屋にある店の中庭で、私のお気に入りの空間で小京都を感じさせます。旧奥村邸が再生されたフレンチレストランも人気上昇中ですが、ちょっと客席が多すぎるような気がします。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

高知市は豊田市より良い街

2005-06-08 | traveling, town walking
 高知市と言えばはりまや橋、坂本竜馬、そして朝青龍が思いつきます。そんな高知市に生まれて初めて、四万十川ツアーで一泊しました。夕方の1時間程高知城周辺を散策したところ、城公園でお年寄りが縁台将棋を楽しんでいました。翌日早朝早く目が覚めたので、タクシーを使って2時間程駆け巡りました。全国で始めてという写真の木造アーケードをまず見ました。次に小高い緑地から市街地の全景を見ました。市民病院(豊田市にはない)があるのはプラスですが、競輪場はマイナスです。ここの緑地は「神戸の六甲山のように市民の散歩コースになっている」と運転手さんの話でした。山に挟まれ中央に川が流れ細長い市街地形成は、きれいに整備されていました。高層マンションは現在のところ目につきません。180円の市電に乗って回りたいところですが、時間がありません。メインストリートの「椰子」と楠の街路樹は南国の町と歴史を醸し出しています。市電の走る広い道路やメインストリートは電柱も地中化されていました。歩道を走る自転車はのどかですが、歩く者にとっては危険性もあります。月曜日を除いて毎日あちこちで市が立つのは、産直と新鮮な野菜、コミュニケーションで楽しい生活観が想像されます。都市と農漁村の交流が進んでいるのでしょう。あいにく、その日は早すぎて準備中でした。中心市街地にはスーパーがないのはわかる気がします。それでも郊外にスーパーができたそうで、争いにもなりました。A百貨店はそんなに大きくありませんが、B百貨店は閉店されました。最後に高知城公園でタクシーを降り散策しました。既に市民が散歩やラジオ体操など健康な体づくりに励んでいます。豊田市と人口規模は同程度の中核市ですが、県都であり、歴史と文化の香りが漂い、住んで見たいという街です。都市を丸っと評価するには、数値だけでなく何を指標とすべきでしょうか。朝市、市電、おいしい魚、野菜、歴史、人の集まる公園などが上げられます。政治面では住民が主人公になって、政策形成に参加しているかです。経済力では豊田市のが上ですが、豊かさでは高知市のが上だと思います。もう一度じっくり訪ねたい都市です。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする