豊田の生活アメニティ

都市デザイン、街歩き・旅行、くらし

弁護士 布施辰治

2010-08-30 | 市民生活・企業都市
 今年は日韓「併合」100年の年、昨日名古屋で「弁護士布施辰治」の映画を観ました。ドキュメンタリーのためドラマ性がないのが残念ですが、「生くべくんば民衆と共に、死すべくんば民衆のために」という、人道主義の弁護士の闘いの記録は感動的でした。映画の後は、東急ハンズで買い物です。生活用品が主で、売れ筋商品の品ぞろへと低価格で、店は賑わっていました。
 出掛けに、車庫にザリガニがいたので、道路の反対の田んぼに逃がしてやりました。暫くしてみると、また車庫に向かっていたようで、道路の途中で車につぶされていました。親切があだになってしまいました。
<特記>
 残暑と言うか猛暑が続きますが、蝉もつくつくボウシに変わり静かになりました。朝方は少し涼しく、峠は越したようです。日銀の緩和策でも、円高の峠は越していないようです。

 
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『経済はナショナリズムで動く』

2010-08-25 | 気になる本
中野剛志(2008)『経済はナショナリズムで動く』PHP
 第1章 失われた10年
 「グローバリズムを引き起こしたのは、アメリカの『経済ナショナリズム』であった」。「グローバリゼーションは、世界経済の自然発生的な流れなどではなく、アメリカという強大な『国家の政治意志の産物なのだ』」と明快である。アメリカ型のグローバリゼーションを嫌悪したヨーロッパは、EU統合が進みアメリカに対抗した。アジアの通貨危機は、「市場原理主義を信ずるIMFの経済学者たちは、東アジア各国の固有の社会的事情や発展段階をまったく考慮に入れず、各国一律に同様の処方箋を提示し、それを強要した。
その結果1997年、東アジア経済は金融危機におちいった」という指摘は同感である。しかし、日本が本来別の代替案をアジアに示すべきであったという考えは、アメリカに従属した経済理論と大企業がアメリカの恩恵を受ける日本の政治経済構造からみて、無理な話である。最も中心命題である「ナショナリズムは、世界の政治経済を動かす主動力源として作用していた」という提起である。
 第2章 なぜ経済ナショナリズムの本質を見誤るのか
 70年代 「資源ナショナリズム」、石油危機
 80年代 ケインズ主義的な政策や福祉国家の失敗が顕在化
     新自由主義の台頭、レーガノミックス、サッチャーリズム
     日米貿易摩擦、「日米構造協議」
     ソヴィエト連邦崩壊
 90年代 バブル崩壊、経済自由主義へ
 第4章 本当の国力とは何か
 市場原理主義が全体主義を招いたとして、第1に市民社会の必要性、第2に中間組織と職業倫理が経済発展と秩序の維持を説く。人間は中間組織に属し、ルールやモラルによって規律されながら、一定の秩序をもって経済活動を行っている。
 容赦のない金儲けの行為は、社会秩序を破壊するとしていて同意できるが、新自由主義の市場原理主義はその段階であることには触れていない。民主党政権になっても変えようとはしないだけなく、従来の「構造改革」を進めようとしている。似通った二大政党は日本の悲劇であり、小選挙区制度の下では第3局は育ちにくい。
 第5章 「国力」を強化する政策とは
 軍事力と技術力をまずあげている。巨額の軍事支出は、それ自体が財政政策的に作用し、景気を刺激するとしているが、大きな疑問である。1929年の世界恐慌もニューディール政策よりも、戦争への突入が景気回復になったという見方も強い。ベトナム戦争やイラク戦争へのアメリカの一方的な、利権をめぐる戦争突入で、多くの兵士と市民を殺し、アメリカ自体も財政赤字となり没落しているのではないだろうか。日本でも豊臣秀吉の朝鮮出兵が、没落の要因と思われる。財政危機でアメリカも軍事費を削減したが、日本も削減がまったなしの状況でもある。
 終章 国力の基本戦略
 構造改革で国力が弱体化した。その通りで、痛みだけが残った。「日本的な経営」を捨てて、アメリカ型のスタイルを強引に押し付けてきた。
 「日本の構造改革論者たちは、経済がグローバル化した時代においては、企業や資本を国内にひきつけるよう、投資先として魅力的な環境を整えなければならないと、くり返し主張してきた。国家による社会福祉政策や累進度の高い税制といった平等な社会を実現するための政策は、企業や資本家の負担を重くするものである。また、市場競争を制限するさまざまな規制は、投資先としての魅力を損なうものである。こうした政策や規制を嫌がる企業や資本は、海外へと逃避してしまう。その結果、国民経済は成長できなくなり、グローバル化する世界経済のなかで、生き残ることができなくなる。これが、日本を支配してきたレトリックである」。「他方、本書や欧米の次世代の政策理念は、国力の源泉をネイションの内に見出そうとするものである。アメリカもまた、新自由主義的な政策を続けた結果、市民社会が崩壊しつつあり、自ら富を生み出す能力が衰退している。だから、この国は、金融技術を駆使して他国の富をひきつけ。あるいは収奪するといった戦略に訴えざるをえなくなっているのではないだろうか。しかし、真の国力とは、他国から資源や富を収奪してくる強制力ではなく、富、文化、制度そして思想を生み出し続ける能力である。」という点は、本書の主題でもあり同意できる。
 利益優先の行き過ぎた大企業、銀行、投資会社を誰がコントロールするのか、出来るのかが問題である。さらに、企業はコスト削減で自社の利益を追求する競争が止められない。いわゆる合成の誤謬も問題となる。良心的な資本家・経営者の出現を期待しているのだろうか、官僚の立場の限界ともとれる。古典的な文献を読み解き、日本の構造改革論を批判し、経済戦略の基本を提起した点では一読に値する。
<特記>
 残暑厳しいですが、蝉の声を少し静かになりました。ブログも久しぶりに書きました。今日は毘森プールで800m泳ぎました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『日本経済の真実』

2010-08-08 | 気になる本
辛坊治郎・正記(2010)『日本経済の真実』幻冬社
 この本を友達に進められて読みました。図書館で予約しても順番待ちの人気の本です。論点は、この国は破産(国の借金、円の暴落)する。そのために、GDPを成長させる。大企業の支援、つまり法人税を減税することに主眼があります。そして、小泉・竹中構造改革をもう一度推進させる。民主党政権は期待外れであった。子ども手当ばらまきと郵政民営化見直しに問題がある。と言うことのようです。立場は財界と同じで、経営者の発想です。中谷さんの『資本主義はなぜ自壊したか』の反論のようで、参議院選挙を前にしたプロパガンダの匂いがしました。
1章、2章は概ね同意すべき現状分析、歴史ですが、3章の小泉改革の評価、5章の「呪縛」は前章までと論旨が飛躍し、短絡的に企業の法人税減税でGDPが良くなるという発想です。経済学というより、政治的な詭弁すら感じます。気分、感情を捉え、すらすら読んだら惑わされる本でもあります。日本の財政は借金が増えて崩壊するという危機意識ですが、小泉さんも借金を200兆円近く増やしてきました。GDPも増えていません。借金を増やしてきた原因と責任の分析がありません。法人税を下げる財源が不明です。消費税増税では庶民の財布はきつくなり、成長はとまります。「成長」とは大企業の利益が伸びることだけではないはずです。2000年代の「いざなぎ景気超え」を見れば、大企業は儲かっても中小企業の利益や労働者の所得は増えなかったのです。つまりトリクルダウンはなかったのです。グローバル化と言いながら2008年の世界経済危機の問題、この間の派遣切り、福祉の後退など格差と貧困の増大にも触れていません。
世界の経済・金融・財政危機の中で、日本の国債が一時的に買われていますが、GDP比180%の借金は解決の道筋を示さなくてはなりません。国民生活が豊かになる真の成長戦略、社会保障と消費税、正社員の増大やオランダ型のワークシェアリング、日米安保と基地及び軍事費など日本の将来に問題は山積しています。民主党の単独政権を選ばなかったため、多様な意見が国会で十分に議論され、国民も学ぶことが求められます。
<時の話題>
 広島の平和式典に国連事務総長、米、英、仏が参加しました。広島秋葉市長の非核三原則の法制化と核の傘からの離脱を求める挨拶に対し、菅総理の非核三原則厳守と核の抑止力論では、被爆国日本のどちらが総理か疑わしくなります。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする