豊田の生活アメニティ

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内田、姜「世界最終戦争論」

2024-01-15 | 気になる本

内田樹 姜尚中(2016)『世界「最終」戦争論』集英社新書

今年の元旦から能登で大きな地震が勃発した、テレビを見ていて正月で半島ということもあって、救助がなかなか進まず歯がゆく悲しくなる。能登では群発地震が続きある程度は予測されていたが、地震災害は天災であり地震国日本では避けがたい。ならば、当然のこととして原発はなくすべきである。

 羽田の航空事故はヒューマンエラーである。日航機の死者がでなかったのは不幸中の幸いであった。飛行機は安全第一、日航は解雇撤回せよ。ウクライナのロシア侵略戦争とイスラエルのガザ侵攻は停まる気配がない。防衛に名を借りたイスラエル軍はジェノサイドであり、戦争は人災である。

 昨年は戦争、政府・日銀の債務、人口減少問題、さらに金権腐敗政治(パーティ券の裏金)が、私の関心事であったが、年末からの諫早湾の公共性について読みかけの本と、今年は地震防災のテーマが加わった。戦争論の読みかけの本が2冊ある。以下、この本の6章のメモ書きである。

 はじめに

姜 第2次世界大戦が終わった時、もう二度と再び、あのような悲劇は繰り返すまい、と誓ったに違いない。自爆を覚悟し、自らの肉体の炸裂が祝福されると信じる人々や集団を、巨大な軍事力や核の抑止力で抑え込むことができるのだろうか。(テロ、神風特攻隊)

姜 世界は「右傾化」しつつある。

内田 これは「極右の勢力伸張」というよりも「国民国家の解体」であるという、中田孝の指摘である。

6章日本のシンガポール化

内田 国民資源を、当面の利益とか株価のために、溶かしている。大気や海洋や森林の自然環境もあるし、交通網や通信網やライフラインのような社会的インフラもあるし、司法や医療や教育のような制度資本もあるけれど、人間が生活を営むためになくてはならない。年金を株に突っ込むなんて、正気の沙汰ではない。

内田 成長し続けるにはシンガポールをモデルにする。反政府的なメディアは潰す。労働組合は潰す。「金儲け」に直結する以外の学術には公的支出しない。全国民が「経済成長」という国是のために1億総活躍するシステムをつくる。金儲けのしやすいビジネス環境を作って、世界の資本を呼び込む。安倍政権の当面の政策が、その方向である。

姜 そうです。原発事故で人が住めない廃墟にしたわけだから、国土喪失だ。

内田 TPPもそうで、小規模農家は消滅する。当然、地方の居住不能エリアは広がり、都市部以外に住めなくなる。

 地方のコンパクトシティで廃墟になったら、最終的に人間が住めるのは都市部しかなく、雇用は賃労働、生活必需品はコンビニ、娯楽は人工物しかない。コストは下げられる。

 左翼リベラリズムは伝統的な成長論者である。人口減の日本には成長する余地はないから、成長戦略を語ることは無駄である。成長しなくても愉快に生きていける戦略を考えるべきだ。

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豊田市もコンパクトシティを都市のメインテーマにしていて、市街化区域や立地適正化による居住誘導区域で中山間地の加速化が進む。コンパクトシティはサスティナブルシティにすべきである。

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「公共性を問う」宮入興一

2024-01-07 | 都市計画・まちづくり

宮入興一氏の思いで

2023年末に宮入興一氏が亡くなられた。最初に氏を知ったのは、随分昔で市役所の職員資料室で、題名は忘れたが何とかのまちづくりで、短い文章であったが感銘しコピーした。その後、氏が長崎大学を定年で愛知大学に見えた。東海自治体問題研究所の役員をしていた頃、多忙な方であったが時々ご一緒した。平成の大合併の時、岐阜の町村の調査に一泊で同行させてもらった。メモを見ずにするどい質問をされていたのが、印象に残る。数年前に豊橋駅で、ひかりを待っている時に偶然お会いした。ジパングをよく使う、と言ってみえた。2022年の愛知県議補選では、奥さんの了解で氏の家の駐車場を借りた思い出がある。

 氏は財政や公共政策、災害論が専門である。「東三河くらしと自治研究所」の代表を務めていた。19年にはユニチカへの売却の住民訴訟で原告団長を務め、名古屋高裁で市長に20億円の支払いを命じる画期的な逆転判決を受けた。早速氏に祝福と感謝のメールを送った。最近は豊橋の新アリーナ建設の問題点に取り組まれていた。昨年には生涯の研究テーマである「諫早湾干拓事業の公共性を問う」ブックレットを出された。大学院時代の先生のFBで訃報を突然知った。諫早湾のブックレットと新アリーナ建設への意見書を早く読み終え、公共性について感想を書こうと思う。

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