豊田の生活アメニティ

都市デザイン、街歩き・旅行、くらし

「住宅過剰社会の末路」その2

2019-01-31 | 気になる本

野澤千絵『老いる家 崩れる街―住宅過剰社会の末路』

 この本を読むのは2回目である。昨年からの愛知県の区域マスタープラン、豊田市の立地適正化案がでて、まとまろうとしているので関心があった。これまでの行政の資料を見ていて、経済の成熟化、人口の減少期、そして住宅過剰社会の現状認識があるのか、根本的な問題に疑問を感じている。第1に、社会保障・人口問題研究所の人口予測と自治体の将来計画のずれが、どこの自治体にもあると言ってよい。第2に、安い家賃の公営住宅に入りたい人は多いのに、行政は「住宅は足りている」としている。ミスマッチ解消は家賃補助をするべきである。古い住宅は更新がされていない。リフォーム助成すべきである。所得が減って、勤務先から遠くても安い住宅を求める。立地適正化で駅周辺に誘導をしようとしているが、生活圏を無視した居住誘導策で、住民の理解と議論が全く欠けている。さらに、東京など超高層マンション開発を進めている。オリンピックまで持つだろうか。国の借金体質、日銀の異次元の緩和、マイナス金利、政府・企業のデータ不正など、先行きは暗い。

 とにかく人口を増やしたい、よそはどうでも自分のまちは増やしたい「人口至上主義」である。「農地所有者や不動産、建設業界は組織として票の力がある」。ようやく住生活基本計画で量は足り、空き家増加抑制を目標にした。(豊田市の場合、空き家対策は山間地のみの対策である)

 災害危険区域などであっても、「日本では、災害が起こる前には、住宅の新築を禁止するという規制的な手法をとることがほとんどできない」。

 サ高住は、「コンビニやスーパー、病院や介護機関等の施設といった周辺のまちとの関係が重要になり、高齢者が安心して住み続けられる立地を重視すべき住宅である。しかし現状では、立地と関係なく、サ高住の要件を満たせば、様々な優遇措置や補助がされる」。

 「立地適正化計画は、本来都市計画法の基本的な枠組みを抜本的に見直すべきだったのに、都市再生特別措置法により制度化されたので、抜本的に課題を解決するには実効性が弱い」。「市街化区域で都市計画税を払い居住誘導区域ができたり、それを払っていない調整区域で、これまでと変わらない基準で開発許可がされるのか」疑問がある。調整区域に拡大したスプロールの原因分析と、開発許可の規制強化がされるのか?調整区域の地区計画の確認、駅周辺の開発助成など調査、議論の余地が残る。また、居住地域で子ども園、介護施設、店舗の施設が歩いて行ける距離にあればよいのか?公園や食事場、交流の場も欲しい。

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愛知県区域マスタープラン

2019-01-23 | 都市計画・まちづくり

 

  愛知県区域マスタープランの変更案が、昨年4月の閲覧から請求しても非公開だったものが、明らかになりました。2月4日の都市計画審議会の資料として愛知県HPから、豊田市は11地区72haで理由と場所は、「地区計画に基づき住宅用地の開発が行われた区域等(豊田市リバーサイド寺部地区、井上北地区、岩滝菅生地区、東山地区、西中山東宮前地区、西中山三ツ田地区)、地区計画に基づき住宅用地の開発が行われる区域等(豊田市平戸橋波岩地区)、地区計画に基づき工業用地の開発が行われた区域等(豊田市西広瀬工業団地東部地区、貞宝地区、御船山ノ神地区)、地区計画に基づき工業用地の開発が行われる区域等(豊田市花本産業団地南部地区)について、計画的な市街地形成を図るため市街化区域に編入するものである」。

 主に、調整区域の地区計画を市街化区域に入れるものである。大学跡地や工業団地である。心配した豊田市の立地適正化計画での「新市街地」(司、御幸地区、若林駅周辺地区、上豊田駅周辺地区)の拡大は、今回含まれていなかった。新市街地の位置はH30年11月26日の豊田市都市計画マスタープラン策定懇談会の資料2である。http://www.city.toyota.aichi.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/013/409/09shiryo02.pdf

写真は越戸町波岩地内、大学跡地で調整区域の地区計画による開発団地

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まちべん3、関連「豊田市立地適正化計画」を読む

2019-01-21 | 都市計画・まちづくり

 H30年11月26日の豊田市立地適正化計画を、改めて読み直した。概要とコメントは、①コンパクトシティ+ネットワーク(公共交通基本計画:鉄道、バス)である。関連計画に住宅マスタープラン、都心環境計画(デッキ延長、駅舎改築、バス停東に集約、駅の下を車通行可能等)②対象区域は都市計画区域で、市街化区域に居住区域と都市・生活機能区域を設定する。市街化区域には重点居住促進区域居住促進区域(人口維持)、さらに新市街地区域(人口増加を受ける区域、区画整理、調整地区計画)でこのエリアが県の区域マス案(14地区92ha、公聴会終了、原案非公開)と広大でコンパクトと言えるか疑問である。パブコメ終了。都市・生活機能区域は都心の高度利用、重点整備する区域と、拠点形成区域である。(生活圏と駅との核の関連が不明確である。)③人口減少を想定しながら、総合計画は人口増加を設定し受け皿で新市街地の拡大を方針とすることに矛盾がある。さらに財政の縮小も予想している。④具体的指標として、拠点形成区域の人口密度を15年度102.6人/ha,25年度114人(社人研104.3人)である。スーパー、介護施設、こども園への徒歩圏を800mとしている。⑤届け出制度ができ、計画による国の補助金・交付金がある。かなり専門的な用語から制度の知識が必要であり、住民への情報提供、説明、議論が不十分で、自分の住居の場所による問題は不明のまま、都心機能整備だけが行政の思惑で進みそうである。

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まちべん、「豊田市の将来都市構造」 その2

2019-01-19 | 都市計画・まちづくり

豊田市の都市構造・「多核ネットワーク」(鉄道中心)

 豊田市の総合計画及び都市マスにある将来の都市構造はコンパクトな「多核ネットワーク」で、都心と産業技術核(トヨタ本社)を中心に、主な鉄道駅を拠点地域核にしている。しかし、2つの疑問が生じる。例えば、土橋も拠点地域核であるが、ここは生活核ではない。地域会議でもどこを生活圏の中心核にすべきか、議論がされていない。第2に、仮に土橋駅を核としたなら、そこから交通網をどう整備するのか方針がない。これらの問題が議論されなかったのは、総合計画を受けて都市マスを2年(2回)に分けて地域説明会(支所単位)を開催したが、1年目が都市構造の理論的な説明だけで、どの会場も住民参加者より行政側の方が多かった。本来は地域課題を基本に、ワークショップなど住民参加で熟議して作るべきである。合併前は中学校単位で説明会と地区カルテの資料が説明された。そしてもう一つ、14年に立地適正化計画が国から示されていたのに、都市マス策定後の翌年にまた立地適正化計画を今年度策定中である。複雑さと分かりにくさや無関心が同居している。さらに、愛知県の区域マスタープラン(線引き見直し)が今年度いつのまにか行われた。意見を言う機会すら失ったが、線引きの拡大を最低限にしたのは良かった。(「人口増加市場主義」野沢千絵)

 そして気づいてみれば、引き続き都心を整備、名鉄の高架・複線化の推進、土橋の区画整理に続いて若林駅の開発方針である。豊田市の人口の転出超過の1位は名古屋市、2位は岡崎市、3位はみよし市である。名古屋市へは通学が多いと思う。名古屋市へ行く人はどのくらいいるのだろうか。名古屋市のベッドタウンを長久手、日進、みよしのように狙うのか、不明である。それよりも住みよい豊田を創るには、市内の公共バスの充実が望まれる。(高速道路、外環状、内環状など幹線道路の問題は別の機会にする。)少子高齢化、人口減少時代のコンパクトシティと矛盾を孕んでいる。市内では住宅の老朽化、空き家も目立ち始めている。

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まちべん、「豊田市の将来都市構造」 その1

2019-01-18 | 都市計画・まちづくり

 「都市構造」という言葉に惹かれ、豊田市都市交通研究所の88回目の「まちべん」に、1月16日初めて参加した。研究所は都市交通だけでなく住宅、店舗、工場配置など広く都市問題を、行政と独立して研究すべきであると思っている。やや自動車に特化した都市交通の実験に思え、成果が市民に利用されているとは感じられない。しかし、公開で発言自由な「まちべん」の姿勢は評価できる。

 30分は「豊田市の目指す将来都市構造」の説明で、そのあとは質疑・意見交換であった。短時間であり、過去・現在の都市構造の確認、検証はなかった。3点ほど質問し議論を踏まえ、改めて豊田市の都市構造について考えメモした。

1 「都市の広域化、スプロール化」では、これまで「人口増加時代では広域化しスプロール化が進んだ」とレジュメにある。

 広域化、スプロール化は事実である。なぜ進んだのか?私の考えは、高度成長では市外から労働力が流入し、住宅は地価の安い所を購入した。郊外地の下山であり、藤岡であった。行政なども保育園、学校建設、住宅建設を進め、民間も郊外地の団地開発を進めた。豊田市は岡崎市と比べて時間のかかる区画整理事業は行ってこなかった。交通など利便性の良い中心市街地は敬遠され、開発者は郊外地で新規の造成費が安い、購入者は車通勤を前提にする。既存市街地の地主は賃貸アパートや貸駐車場に資産活用(「恩恵」)した。さらに、合併が繰り返され、「低密度の分散型市街地が形成された」(佐藤圭一)。なぜ、市街化調整区域や都市計画区域外(藤岡は編入)は開発制限がされなかったのか?既存の権利、農家の分家、沿道サービス、集落店舗、公共施設など、線引きの目的をスルーしてきた。これがスプロール化の要因であった。(石田頼房に倣って歴史的な区分を整理してみたい。)区域区分と現在の立地適正化計画との関連、コンパクトシティ論との関連を明らかにすべきである。市街化区域も虫食い的に乱開発されてきたが、現在の豊田市の立地適正化計画では市街化区域では虫食いがない、人口密度はあり住宅開発の余地がないとしている。

 駅前再開発の超高層マンションをはじめ、建築規制の緩和で不揃いの高層マンションがあちこちに乱立している。(都市の魅力や価値を下げるものである。)

2 人口の将来展望

 国立社会保障・人口問題研究所の人口推計と豊田市の人口の将来展望が違うことは、私も気づいていた。2030年には430423)千人、2040年は424409)千人である。国などは人口減少社会、「成熟社会」を想定しているが、県内の多くの市も根拠なしに「夢のある」人口増加にしていている。つまり成熟したまちづくりは想定していない。

 発表者は将来の目標人口を達成するために、2つにまとめている。1つは、現在の区画整理事業での人口増加。2つは。駅周辺の人口維持である。(市の立地適正化計画では新市街地を拡大し区画整理を行う、調整区域の地区計画推進で住宅地供給策である。新市街地の拡大方針は県の区域マスタープランでは実現しなかった。)

 これに対して、新市街地の拡大はもちろん、区画整理事業は時代遅れ(「過去のもの」西村幸夫)である、というのが私の意見である。理由は人口減少期にある。毎年出生数の総数は減少している。人口の社会増減は産業の盛衰に関わる。自動車も先行き不透明である。豊田市は社会人口が名古屋市、岡崎市、みよし市に多く転出している。魅力的な子育て支援の政策を打たなければ、人口増加はない。(非正規を減らし正社員の定職に就かなければ定住できない。さらに給料が良くなければ好条件の住宅は取得できない。)岡崎市の区画整理事業の施行率は高くすでに終わっている。地価の上がらない時代に減歩率が高くては区画整理は進まず市施行が多くなる。(それに国家財政は破綻寸前であり、富裕自治体の法人税は国にピンハネされるなど、財政事情は厳しくなる。)豊田市の住宅マスタープランでは、地価は他市と比べて高くないとしている。

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19年目標

2019-01-01 | traveling, town walking

 昨年の目標で、旅行は神戸、鎌倉、バルト3国と実現度7割。山登りは乗鞍のみで目標の1割。水泳はスキーで痛めた方の施術で目標の6割。改憲ノーは、臨時国会で自民党改憲草案を提案できなかった。健康面では、視力も運転免許書き換えで条件なし、特定検診も良好であった。

さて、今年の目標は?

旅行 八ヶ岳・夏、北欧・秋、乗鞍・冬、街歩き(富山、奈良)

都市 駅前再開発、企業都市の住みよさ、魅力ある公園(毘森、初陣)

調査 公共バス、公営住宅(実態調査、自治体キャラバン)

政治 改憲ノー、消費税ストップ、原発ゼロ

健康 水泳、ストレッチ

 

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