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豊田市3月議会でラリー予算を減額修正

2024-03-24 | 市民生活・企業都市

 3月22日豊田市3月議会の閉会日を傍聴した。新聞でも報道されたが、ラリーの予算が「ずさん」である、スタジアムの芝生を剥がすのはどうか、議会への説明が不十分等として最大会派の自民クラブは3億円程の減額修正案を出し、公明党、新しい風、共産党の賛成で可決した。市長提案予算を修正したのは異例であるが、市長選のしこりもあるようだ。ただラリーそのものに反対ではない、という微妙な立場にある。女性副市長に自民クラブと公明党が不同意したのも、含みがありそうだ。次の11区総選挙も気にかかる。

それ以外の予算について、300億円以上のハード(普通建設事業)予算の確保を評価し、駅前開発、中央公園、幹線道路、区画整理事業など問題も多い。経営会議で都心整備課、公園つくる課の提案は議題名を含めて、情報が非開示である。岩田議員が議会と二元制を言うのは正論だが、しっかり市政をチェックしてきたか疑問もある。特に駅前開発とこれからのイベント型整備である。都心整備ではバスターミナルを駅西口に一本化する。そのために東口利用者の6割が不便になる。さらに、駅前広場を整備し歩行者天国を当面凍結しているが、解凍もありうる。駅前開発は30年1000億円以上投資してきたが、市民意識調査でも魅力や賑わいがない、と回答が6割に達する。修正後の予算案にはこれが含まれるが、新しい風の岡田議員は市駅バス停の東口移設には、選挙の時に反対していたが賛成している。共産党の根本議員は18歳通院医療費無料化、学校給食無料化などは評価しつつ、駅前整備、ハード優先の予算、大企業優遇などの理由で反対した。

年金者組合が出した高齢者の補聴器補助の請願について、一定の予算はつくが検査など充実を求めている。これに紹介議員は根本議員であったが、新しい風の岡田議員は代表して賛成討論をした。

もう1点気になったのは、古瀬間聖苑の利用者が多いから、一部事務組合で運営してきたが、みよし市には出ていって欲しいという争いである。みよし市は合併しなかったこと、コミュニティバス無料化、少人数学級先行、非核自治体宣言、そして非正規を減らす市長方針など、豊田市より市民要求が一歩前進なのが気に入らないのか、二元性を疑ってしまう。

以上の詳細は議事録の詳細を確認されたい。写真は市役所2階ロビーの壁。

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安藤光義「日本資本主義の展開と(農業)基本法」メモ

2024-03-12 | 気になる本

日本資本主義の歴史的構造転換と農業基本政策を考える。

 HONDA 抜き書きメモ

 安藤光義 経済4月号 「日本資本主義の展開と基本法」より

1999年の現行法(食料・農業・農村基本法)の改定と2022年から始まった改正議論を並べて歴史的にみると、日本農業は日本資本主義と一体のものである。戦後復興が重工業化による高度成長、石油危機を乗り越えジャパンアズナンバーワンの時代、冷戦終了、GATT・ウルグアイ・ラウンドからWHO体制でグローバル化時代、人口減少と地盤沈下で現在に至る。

・1971年の金ドル交換停止 石油危機、福祉国家の解体と新自由主義、資本の自由化で多国籍企業家と国民経済の黄昏、利潤率低下で行き場を失った過剰資本は投機的な金融市場の拡大と崩壊。

・1944年7月 ブレトンウッズ体制、基軸通通貨はポンドからドルへ、固定通貨、IMF、自由貿易による植民地化

・1950年 朝鮮戦争 (民主化の)逆体制 アジアの兵器廠、米国の衰退で日本と西独の台頭

・1961年 基本法 価格所得政策、都市への人口移動、地価上昇で農家の資産保有意識、兼業農家進行、食料自給率の減少、米国の余剰農産物の輸入

・1964年 グレイン・ソルガム(きび、飼料)の輸入自由化、飼料用穀物を肥料や農薬と同じ生産資材、対米従属体制で食料自給率の低下は必然

・1971年 金ドル交換停止、スミソニアン協定

・1973年 第1次石油危機 農村が過剰人口のプール、1955~高度成長、日米貿易摩擦

・1977年 第3次全国総合開発計画、定住圏構想     

・1979年 「ジャパンアズナンバーワン」、「双子の赤字」(軍事費増大で)

・1985年 プラザ合意 ドル安円高に協調        (企業の海外進出)

・1989年 日米構造協議(貿易摩擦を背景に日本に規制緩和、公共事業630兆円)

・1990年 バブル崩壊 株価暴落 (2024年株価高騰とその原因は)

・1995年 「日本的経営」、4割が非正規は1999年の派遣法改悪で2003年製造業に、

     日系外国人や外国人技能実習生 

・1997年 アジア通貨危機(なぜ)

・2008年 リーマンショック サブプライム(住宅・車ローンの異常貸し出しと金融工学による不良債権の株式化、トヨタショックで派遣切り、税金免除5年)

(2011年東日本大震災、民主党政権、アベノミクスの異次元の規制緩和、マイナス金利)

農村の工業導入 九州(91年トヨタ九州)、東北(2012年豊田東日本)へ安い賃金

 日本資本主義委は石油危機を克服したが、日米貿易摩擦の激化。米国の「双子の赤字」、円高不況、金余りがバブル経済、そして崩壊。リストラと人員削減で「就職氷河期」に。低賃金農労力の基盤は国内(九州、東北)から海外へ。

 おわりに 予算裏付けない、存続不可能、非正規、結婚率・出生率低下の希望喪失社会

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鈴木康弘「能登半島地震と活断層」を読む

2024-03-05 | 気になる本

能登半島地震と活断層―「想定外」の背景に何が?

 鈴木康弘(2024.3「世界」)「能登半島地震と活断層」

 著者とは以前、豊田市の地震動調査でご一緒したことがある。地理学、活断層の専門家である。地震には大きく分けて、海洋のプレート型と内陸の活断層型である。どちらも過去に起きたから、周期的に起きるとは限らない。日本列島は世界で地震頻繁国である。そして今は活動期にある。いつどこで起きるか予知は不能で、震度6以上に耐える構造物にする必要がある。「想定外」の地震や津波が起きる日本で、原発の立地や核ゴミを埋める場所などないと思う。忖度なしで科学的に発言できる研究者が、国民の生命財産を守るには必要である。この本はそういう立場を感じる。以下、本のメモ書きである。

 兵庫県南部地震以降、大地震の発生可能性に焦点が当てられ、活断層が5Km以内に近接する場合には一連で活動すると予測された。しかし、原子力発電所の安全審査においては必ずしもこの考えは採用されず、起こらない主張もされた。これに対し後藤は、海域の活断層が過去にずれた結果できた地形が連続するとして、今回の震源断層とほぼ匹敵する一連の海底活断層の存在を十年前に指摘していた。こうした見解の相違が生まれる科学的理由は、沿岸海域の調査が技術的に難しいこと、漁業権との兼ね合いも容易ではないなどがある。

 能登半島にある志賀原発の安全審査の際、北西方の海域には10Km以下の短い海底活断層しかないとされていた。しかし2007年の能登半島地震では長さ30Kmにわたる海底活断層が一気に活動し、認定の誤りが明らかになった。今回の地震で再び同じ問題が起きたのだから、これは従来の調査手法や判断のあり方に問題があったと言わざるを得ない。

 今回の能登半島地震の全貌はまだ明らかでないが、以下の3点を指摘できる。1、沿岸海域の活断層は盲点である。2、海岸地形を見直し、海成段丘が標高の高い場所にあるのにその原因が明らかになっていない地域をリストアップし、沿岸に海底活断層がある可能性を見極め、調査戦略を熟慮する必要がある。3,阪神・淡路大震災の惨事を繰り返さないため、地震研究の成果を防災に結び付けようというのが29年前の発足時の出発点であった。今は調査結果をまとめるだけになっていないだろうか。

 東海地震への警戒を促し、次に南海トラフ地震や千島海峡の地震へ注目させようとしても国民の関心が高まらないのは、科学への信頼が揺らいでいるためかもしれない。関連企業や機関への忖度は言語道断である。地震本部の発表は純粋に科学的である必要があり、バイアスがあるという印象を持たれたら国民の信頼を損ねる。

 参考文献

鈴木康弘「原発と活断層」

鈴木康弘編「防災・減災につなげるハザードマップの活かし方」

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