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木口「ミャンマーのクーデターと日本の責任」

2021-08-30 | 気になる本

木口由香「ミャンマーのクーデターと日本の責任」世界2021.6

 世界のだれもが軍のクーデターは許せない。直ちに軍は弾圧を止め、拘束したスーチー、市民を解放すべきである。だが、2月にクーデターが起き、弾圧は収まる気配がない。日本の政府と企業はどういう態度が、責任を果たしているか?個人として何ができるか、最も知りたいところである。YOU TUBEで根本敬氏(上智大学教授)の話が良くわかりやすい。これまで呼んだ本、動画などの知識から、日本の「独自のパイプ」は効果あるのか?米国は厳しく軍の弾圧を非難し、経済制裁を主張している。日本もクーデターは非難しているが、経済制裁は限定的である。その理由が「独自のパイプ」があるからということであるが、軍の弾圧は止まらない。根本氏は世界8月号に載っているが、その前に6月号のNPO法人木口氏の内容を要約、メモ書きする。 サブタイトルは(上)「独自のパイプ」神話をさかのぼる、である。(  )内は私のコメント。

 ミャンマーでクーデターは、1958年、62年、88年の3回起きている。2011年軍出身のテインセイン大統領は、アウンサンスーチー率いるNLDの政治参加を認めた。(軍有利な憲法を作り、投資を見込んだのか?)海外からの投資が殺到した。2015年国民民主連盟(NLD)も参加する総選挙が行われ、民主化がすすんだ。国軍は2つの国軍系企業を中心としたビジネス網を強化していた。クーデターはたとえ成功しても、今回の行動は、利権のシステムを自ら破壊するに等しい「まさか」の事態だ。さらに「まさか」の事態が起きる。今回のクーデターに市民は、大規模なデモを行い、SNSで拡散した。経済的繁栄を享受した若者、Z世代は未来を奪われたと感じ、命をかけて抗議行動に加わっている。

 医療従事者が呼び掛けた市民不服運動(CDM)も広く受け入れられた。公務員、銀行員など次々参加し、多くの行政機関はマヒしている。

 非暴力運動は重要かつ効果的だと筆者は信じるが、倒そうとする相手が残虐であると、実践には大きな代償が伴う。国連安保理は、ロシアと中国の反対で、ミャンマーへの強い制裁には動けておらず、ミャンマーの人びとの失望を招いている。

 日本政府は、ミャンマーにとって最大の援助国である。クーデター発生以降、日本政府は過去の国軍の民主化弾圧時と比べ、比較的早い時期から繰り返し、市民への暴力停止、不当に拘束されたNLD関係者・市民の解放、早期の民政復帰の3点を要求し、大規模な弾圧には、強い言葉で国軍に懸念を表明している。しかし日本は、重要な外交カードであるはずのODA停止の姿勢はいまだ見せていない。

 軍政にたいしては、日本から円借款のうち、1990年から99年だけでも700億円の返済が免除されていた。この時期「太陽外交」とも呼ばれた。1988年以降の軍政の民主化弾圧に対し、強い制裁を打ち出した欧米とは異なり、日本政府はNGOから親軍政と批判されるような立場を長らくとってきた。

 今、日本からできることは、①市民が生き延びるための緊急支援と、②中長期に国軍を弱体化させることを同時に行うこと。市民を支える③クラウドファンディングが複数立ち上がっている。(ミャンマー緊急支援チーム21は目標5百万円だったが、5千万円を超え終了している。他はどこか検討中)④日本から国軍に流れる資金を止めること。複数のNGOが調査している。⑤国軍とのビジネス上の関係にある投資企業にも、国軍へ収益が渡らないよう申し入れた。次号で日本と国軍との「経済協力」の実態を明らかにする。(根本さんお勧めは、在日のミャンマー人が運営する池袋のSpring Revolution Restaurantで交流できる。東京へ行ったら寄りたい。)

 2008年の憲法では、治安維持関係の三省は国軍司令官に人事権があり、国軍の行動についても選挙で選ばれた国会の監視を受けないことが保証されていた。国防予算は国の監査機関の調査対象から合法的に除かれていた。(憲法の緊急事態が合法的に軍の利権のためにクーデターを起こした例ではないだろうか?日本でも緊急事態条項を憲法に入れたいとする自民党の改憲4項目の1つにある。内閣人事局が官僚の人事を握り忖度行政が行われている。)クーデターは、日本の経済発展重視の援助政策に対する、強烈なしっぺ返しとなって日本の企業にも跳ね返っている。

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北川成史「ミャンマー政変」

2021-08-28 | 気になる本

北川成史(2021)『ミャンマー政変-クーデターの深層を探る』ちくま新書

 政変というより軍事クーデターである。総選挙でアウンサン・スー・チー率いるNLDが圧勝した。軍人の議席が減り憲法改定も視野に入り、利権が危なくなったので、選挙に不正があったといちゃもんをつけ、スーチーらを軟禁したのである。市民が抗議するデモに発砲し、拘束する。発砲で死者は1000人を超えている。この真相は何か、NHKの特集は良かったが、表面的にしか伝わってこない。著者は中日新聞・東京新聞のバンコク特派員としてたびたび訪問したミャンマーや周辺国の取材などを基に書かれ、国軍への経済制裁、ODAの停止など日本の役割は何か?香港、台湾、日本などの人権・民主主義にも関わると思う。

 アフガンの米軍撤退と日本の自衛隊機が日本人等運搬で現地に行っている。コロナの爆発的拡大でミャンマーの悲劇を忘れないことが大事である。また、日本政府と進出企業の責任や役割、対応はどうか?国民のデモに軍が銃を向けて殺害するのは言語道断である。じっくり読みたいところであるが、以下国際社会、日本の役割を中心にメモ書きする。(  )内は私のコメント。

 研究者もクーデターは予想していなかった?根拠は2008年の憲法が、国軍に特権を与えていた。(その後も手が付けられず、民意とかけ離れた。進出企業と軍が癒着したのでは?)

 NLDが選挙(2020年11月)後の2期目に改憲案を出す可能性は高いが、クーデター(2021.2.1)は改正案のでる前であった。スーチーは暴力装置の全てを握る相手との信頼関係が欠如したなかで、綱渡り状態で政権を運営していたといえる。

 凍結した巨大ダム計画、ミッソンダムは09年、当時のミャンマー軍政と中国企業が約4000億円で契約した。だが、民生移管後11年環境問題があり、凍結した。中国と接しているミャンマーは、欧米から制裁を受けていた過去の軍政期を含め、国境貿易は欠かせない経済活動である。

 米国は完全な経済制裁を解除したのは16年で、今回のクーデター後いち早く国軍の制裁を導入した。英国も同調した。兵器輸出などで国軍と関係の深い中国やロシアは、強い非難を控えている。日本は非難しつつも、経済面では中国に対抗する立場からミャンマーとの関係を維持したいため、制裁には慎重な態度をとる

 21年4月「内政不干渉」の姿勢のASEANが会議を開いた。沈静化に向け意欲をしめしたが、各国には自国の民主化にとって温度差がある。独裁色のカンボジア、一党支配のベトナム、ラオスがある。(タイも2014年軍のクーデターがあった。最近は市民のデモもある。そんな国に進出する企業はいかがなものか?)インドはミャンマーで、道路や港湾といったインフラ整備の大型事業を計画している。

 日本ミャンマー協会は、ミャンマーが民政移管した翌年の12年3月に設立された。役員は会長の渡邊、最高顧問に麻生太郎、理事に国会議員、企業幹部がなっている。正会員と賛助会員で、21年3月時点で137社が加入、丸紅、三菱商事、トヨタ自動車など日本の大企業が名を連ねる。日本のODAを利用しヤンゴン郊外に経済特区が開発された。50社以上の日系企業の生産拠点となった。ミャンマーとNLDと国軍側の双方にパイプがある。代表的なものは、渡邊のほか、公益財団法人「日本財団」笹川会長である。日本財団が毎年実施してきた「日本・ミャンマー将官級交流プログラム」だ。

 日本政府は選挙に際し、笹川を団長とする選挙監視団を派遣した。監視団体はヤンゴン管区の投票所を訪問し、投票の流れなどを点検。笹川は「戦況が自由かつ公正な方法で平和的に組織された」と表明していた。だが、国軍は選挙に不正があったと主張し、クーデターの口実とした。監視団としては作業の成果を否定され、メンツを潰された。笹川はブログで、アメリカなどの経済制裁を実施しないことを願う」などと主張した。デモ隊は日本財団関係者に、ミャンマー国民に協力し、国軍への支援の停止を求める請願書を渡した。

 在日ミャンマー人社会のリーダーは「こんなに厳しい状況なのに、日本政府としてなぜもっと、国軍にプレッシャーをかけないのか。なぜ政府開発援助を続けるのか」、と不満を漏らした。日本の対ミャンマー政策、特に国軍との向き合い方は有効だとは言えず、検証と再構築を迫られている。タンスウェは「日本は1988年の民主化運動が弾圧された後の軍事政権を認めた。同じことをしてはならない」。日系企業のミャンマー人アンケートでは、9割超が日本は国軍に何らかの経済制裁をすべきと回答。ODAについても9割が停止すべきと回答した。

 あとがきでロヒンギャの問題など背景にあり、見落としてはならない複雑な事情を理解すべきとしている。茂木外相は「このままの事態がすすめばODAを見直さざるを得ない」と述べた。しかし、日本政府は暴力の即時停止や拘束者の解放などミャンマーの対応を見極めるとしているが、判断を先送りしていないだろうか?国軍がどのような言い訳をしようと、これだけ多くの命を奪ったクーデターは正当化できない。現代史に残る蛮行として、記録されるべきである。

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孫崎「戦後史の正体」

2021-08-22 | 気になる本

孫崎享(2012)『戦後史の正体』創元社

 この本を読むと通説と違って、はっとすることに出くわす。その説明も理路整然としている。現代の政治・社会を考えるには、戦争の反省も重要であるが、戦後の出来事も正確に理解する必要がある。以下、気になった箇所のメモ書きである。(  )内は私のコメント。

・日本は降伏したのです。たんなる終戦ではありません。(終戦でなく敗戦である。だからアメリカの言いなりも問題である、戦後76年独立も考える時期である。)8月15日はポツダム宣言を受託し降伏した。9月2日、日本は降伏文書に署名した。降伏文書には、日本政府は『連合国最高司令部からの要求に全て従う』こととある。

・冷戦が始まると、米国は日本をソ連からの防波堤に使おうとした。

・1950年朝鮮戦争勃発。今の自衛隊の全身の「国家警察予備隊」が作られた。マッカーサーはこれを許可した。マッカーサーは朝鮮戦争をめぐる意見の対立で、トルーマン大統領から解任された。マッカーサーは、①非軍事化、②戦争犯罪人の処分、③民主化最優先、この3つの占領政策は終わった。

・アメリカ専門の学者はたくさんいるが、アメリカの圧力をテーマに書く学者はほとんどいなかった。豊下樽彦、進藤栄。

・国民だけでなく、親米の政治家にも、都合の悪いことは隠す。これが講和条約と安保条約の締結から吉田外交の伝統です。

・日本と周辺国の関係を見ても、ロシアと北方領土、韓国と竹島、中国と尖閣諸島と、みごとなくらいどの国とも解決困難な問題が残されているが、これは偶然ではない。

・ライシャワー大使は米国の表の顔です。しかし米国はそれ以外に、CIAに代表される裏工作の舞台も持っています。米国は安保騒動で「労働界や野党に工作する必要性」を学びました。

・ベトナム戦争で日本は派兵しなかった。米国は「旗幟を鮮明にせよ」、「われわれは日本を守っているが、日本は何をしてくれる」と言われてきた。(憲法9条と国民の平和運動が阻止した)佐藤首相時代、核兵器に対して日本の外務省は、「核保有国は、非保有国を攻撃しない義務を負うべきだ」という素晴らしい政策を立案している。(今はアメリカの「核の傘」に期待し、専制攻撃を言い、米軍と共に海外派兵をする安保法制ができた。)

・1971年8月15日ニクソンは貿易赤字を背景に、ドルと金との交換を停止すると発表した。

・なぜアメリカは田中首相を葬りたかったのか?私は日中国交回復が米国を怒らせたと思う。

・日本経済の低迷は1985年のプラザ合意から始まる。日本の通貨をわざと円高にして、米国への輸出に歯止めをかけた。輸出が困難になった日本企業は、海外に進出するようになり、日本経済の空洞化が始まった。レーガンはドルを切り下げると国民の支持を失うと考え、「主要非ドル通貨」でないアジアの国の通貨はそのままで、日本製品はアジア製品に対して競争力を失う。中国、韓国優位に立ち、日本企業もアジアに進出するが、日本経済の空洞化が始まった。冷戦後、どの国が米国にとって最大の脅威でしょうか。それは日本です。CIAは日本の経済力を米国の敵と位置づけ、対日工作を大々的行うようになった。1980年代末から90年代はじめにかけて、様々な日米交渉が行われた。「日米構造会議」や、「日米包括経済協議」である。(日米構造協議は日本の公共投資や規制緩和を押し付けた。さらには、武器の購入、「戦費」の提供がある。)

・同時多発テロ事件以降、米国の政策は大きく変わった。米国はアフガン戦争とイラク戦争を開始した。どちらも正当化できるか非常に疑問である。①イラクは大量破壊兵器を持っている、②アルカイダと協力関係にある。2004年には米国の公的機関が、これらを否定した。2011年イラクから撤退した。日本はイラク戦争に参加した。その理由は「米国に言われたから」それ以外の理由は無い。私は中央公論へ間接的な批判をし、賞ももらった。たとえ正論でも、群れから離れて論陣をはると干される。群れのなかにいさえすれば、間違った発言をしても、あとで検証されることはない。(アフガニスタンでも米軍は、2021年に撤退した。20年間何百兆円と使い、元の木阿弥である。戦争で平和は生まれない。中村さんの灌漑土木、農耕など生活支援の方が有効であったことは明らかである。ここも検証が必要である。)

・民主党政権をどうみるか?(省略)

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西尾の町並み

2021-08-15 | traveling, town walking

 

 雨も小降りになり、お盆最後の日に西尾の実家に寄りました。お陰様で「コーヒー閣」は賑わっているので、顔を出しただけです。その後、小京都の湯で、膝が痛いので電気風呂に入りました。昼ご飯は大漁亭で寿司と思いましたが、1昨年は1時間待ちだったため、諦めて八ツ面山の近くの蕎麦屋村松で、天丼蕎麦セットを食べました。晴れ間が少し覗いたので、八ツ面山の展望台から西尾の街(写真)を眺めました。矢作川河口、碧南火力発電所、西尾駅、市民病院などが見えました。展望台近くにはトンボが飛んでいて、蝉もツクツクボウシが鳴いていました。

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栗原「はたらかないで、たらふく食べたい」

2021-08-13 | 気になる本

栗原康(2015)『はたらかないで、たらふく食べたい』タバブックス

 たらふくと言わなくても働かないで食べられるのは、恵まれた年金生活者か資産家である。年金生活者は何十年と働いた後の結果である。そんな生活を得るには、学生時代は学資で借金を数百万して、無事に正社員になって、結婚出来て、借金で家を建てるという高度成長時代の人生設計を歩めた人である。そのためには労働の苦痛や時間の制約など(「生の負債」)、我慢を強いられる。リーマンショックで「年越し派遣村」の村長だった湯浅は、「滑り台社会からの脱出」を提唱した。他人の利益のために社会運動した彼は、今は「認められ」東大教授である。

 栗原も有名大学を出て、レイシスト反対などのデモに参加するなど社会派であろう。ポスドクで執筆時はニートに近い。収入を得ようと読書・研究など自由な生活を制限し、努力したが彼女に振られた。その後大学の臨時教員に採油されたが、現在は不明である。新自由主義の下、若者が正社員で結婚し、マイホームを持ち、「普通の暮らし」をするのは大変である。そうでない人は「普通」に見られず、人間らしい自由が殺される。豊田市では「ミライのフツー」をスローガンに掲げるが、意味不明である。

この本は、政治社会というよりも、生き方や人生の思想を語っている。社会の常識や流れに乗らず、真実を求め、苦闘している。就職氷河期の時代に生まれ、実体験で語っているいることが興味深い。子どもや若者が希望持てる日本を創らなくては、日本の未来が開けない、と実感した。

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白井聡対話集ーポスト「戦後」の針路を問う

2021-08-07 | 気になる本

白井聡(2018)『白井聡 対話集―ポスト「戦後」の針路を問う』かもがわ出版

 この本は白井氏が著名な人との対話集である。孫崎、水野を以下抜粋メモする。

孫崎 亨 

白井 3・11の原発事故の後、一番の衝撃は日本の権力機構や社会構造がこれほどまでに腐敗していた。杜撰と無責任の挙句こういう事故を起こした。が、その責任を誰もとらない。「戦後民主主義」というが、そんなものはどこにもない。それが「永続敗戦論」書いた動機である。

孫崎 私もソ連から研究してきた。レーニンは100%正しいとは思っていないね。

白井 スターリンがおかしいからレーニンもおかしい。ついでにマルクスもおかしいとなってしまう。世の中が資本主義に支配されていくのも仕方がない、という話になる。

ポツダム宣言に何が書いているか知らない

孫崎 敗戦を見たくないという傾向が領土問題に直結している。ポツダム宣言では、「カイロ宣言は順守する。日本の主権は、本州、北海道、九州、四国とする。それ以外の島々は連合国側が決めるものに帰属する。歴史的経緯があっても、固有の領土は通用しない。

白井 中国関係書籍では中国脅威論が多いが、一方で中国崩壊論もあり矛盾している。アメリカの眼鏡で見ている。アメリカは中国共産党の体制を中国的合理性のある体制なんだと言う可能性がある。第2次大戦の時「連合国」側はどっちなんだ。「反ファッシズム戦争では誰と誰が一緒に戦ったんだ」ということが持ち出される。

白井 尖閣で紛争になった時、アメリカは参戦しない可能性がある。「いざとなった時にアメリカは日本を守ってくれる」という神話は崩れる。

孫崎 2%物価上昇を目的としていては、年金生活者は2%お金が減る。

孫崎 ライシャワーぐらいから、必死になって労働組合側の切り崩しをやっていた。日本の安全保障で言えば、80年代後半から日本の軍隊を海外で使うために、「人道支援」というところからならしていく。

 米国追随で日本の繁栄が保障されるという時代ではない。数年後、日本の針路が真に問われる時代が来る。

白井 日本社会が主体性を持たないようアメリカが工作してきた。本当の問題は、それを進んで受け入れる日本の社会にある。

 資本主義の死の時代を生き抜く

水野 リーマン・ショックのときの金融危機は、国家に債務を肩代わりさせて乗り切った。どこかでバブルが弾けて経済が低迷すれば、量的緩和を再開せざるを得ない。結局、公的資金で国民が支払わされる。超低金利状態から抜け出せないということは、資本主義の終焉を意味する。

 グローバル資本主義は中間層を没落させるという意味で、どんどん粗暴になっていく。

白井 株価は上昇しても、賃金が上がらず、労働時間も減らない。しかも不安定な非正規雇用だけが増えていく。これは、完全にブラック国家です。

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中満 泉「未来のあなたに」

2021-08-01 | 気になる本

中満 泉(2021)『未来をつくるあなたへ』岩波書店

 わかりやすい言葉で世界の難民・紛争の動きを語り、若者が世界で活躍すする道を進める書です。日本政府の立場など微妙なニュアンスを含みますが、人間としての立ち位置、進路も示しています。以下、本の抜き書きです。(  )内は私のコメント。

 21世紀は「地球時代」です。SDGsは貧困、環境、平和な社会を作ることに取り組む。

 NPTは3つの柱がある。原子力発電など平和的な目的で利用する権利は認められている(原発は核兵器のプルトニウムを生み出す?)。

 難民が先進国に沢山受け入れられているようだが、実際は途上国が85%である。日本は難民の受け入れが際立って低い。年間30人ほどである

 人命を救うもう一つの武器、小型武器の規制です。武器が紛争や戦争で使われ、年平均21万人の命が失われる。(まずはアメリカの銃規制がされるべきです) 殺人ロボットを規制すべきである。

 10人中7人が格差の国で暮らす。格差は個人の努力で解消できない状況にある。ダボス会議では、株主第1の資本主義を見直そうという考えがある。働く人や環境、社会全体の利益など新しい資本主義の議論がある。(資本主義では限界かも)

 生活に困る人に配慮しながら経済を再開し、格差を解消し、新しい働き方や教育の可能性を広げる。行政サービスの効率化になるデジタル化も急がなくてはならない。(個人情報や人権を守りながら進めるべきである)

 経済のグローバル化が進み、アメリカの産業は安い労働力を求めて海外に工場を移した。アメリカでは失業者が増え、生活に困る人が増えた。技術革新によるIT産業や、金融市場の活性化などは恩恵をもたらす一方、格差と貧困を広げる。日本でも「勝ち組」「負け組」が出て、路上のホームレスの殺害がある。(若者が非正規で普通に暮らせない。大学を出るのに借金を背負うなど、未来に希望が持てない。)

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