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9条守ろう宣伝カーin豊田を走る

2019-06-28 | 平和・人権・環境・自治制度

 憲法9条が改悪されるかどうかが重要な争点の1つになっています。その参議院選挙を前に豊田市で、6月24日から26日に、憲法9条を守ろう宣伝カーを運行しました。訴えの1例を以下に紹介します。

 こんにちは。私たちは「憲法を守り生かす豊田市民アクション」です。しばらくこの場を借りて、憲法9条改憲ノーの訴えをさせていただきます。

安倍首相は、改憲派の憲法記念日集会にビデオメッセージで、2020年に改憲を成し遂げる、と明言しています。何が問題っでしょうか?

 1番の問題は自衛隊明記による9条の改憲です。

 戦争放棄を定めた9条の後(あと)に、「前条の規定は、自衛の措置を取ることを妨げない」として、明記しています。

それが最大の問題です。戦後、自衛隊は、一人の外国人も殺さず、隊員の戦死者も出さなかった。国民と自衛隊員の命を守ってきたのは、憲法9条があったからです。書き加えるだけと言いますが、そうではなく後から加えた条文が優先され、戦争放棄の条項が弱くなります。「専守防衛」から名実ともに米軍の下で、攻撃型軍隊に自衛隊が変質させられます。

 2番目の問題は「自衛隊の行動」は「法律で定める」、と書いてあることです。それは、時の政権が法律さえ作れば、「自衛隊の行動」を無制限に拡大できる、ということになります。

これまでは、憲法9条があるために、

  ・自衛隊は武力行使を伴う海外派兵はできない、

  ・空母や大陸間弾道ミサイルなど、自衛を超える攻撃型兵器は持てない

  ・徴兵制はできない

と説明されてきたのです。これまで できないとされてきたことが、時の政権の一存でできるようになってしまいます。

アメリカが海外で起こす戦争に、自衛隊が参加できるようになることです。アメリカなどの「大量の破壊兵器を保有」という一方的な理由で行ったイラク戦争で、当時の小泉首相は無条件で支持しました。このような戦争でも、自衛隊が派遣されることも可能になります。

 第3の問題は軍事費もどんどん増えることです。

  青森沖に落ちたアメリカの最新鋭戦闘機1機分の代金、116億円で、改憲されていない今だって、安倍首相は、欠陥だらけのこの戦闘機を147機も買う約束をしています。国会で予算委員会は野党が求めても3か月も開いていません。でも、北朝鮮がミサイルを打つから備えが必要という人もいるでしょう。あの国、この国が怖いから憲法変えて軍拡を、と突き進んだらどうなるでしょうか? 間違いなく、双方の軍事力が風船のように膨れ上がり、遂には弾けてしまう、そう思いませんか? 戦後70年、憲法9条が戦争を抑止してきました。(「積極的平和主義」という軍備拡張路線とは異なるものです。)トランプ大統領を国賓として招き、安倍総理は過剰接待しました。護衛艦かがを改造して空母にするとしています。イージスアショアを2か所6000億円で配備しようとしています。北朝鮮がアメリカのハワイとガムを狙っていることを想定して、アメリカの防衛のために設置するものです。

  最後に、戦争を避けるには官民挙げて国際交流を密にすることです。それこそが憲法9条の精神です。

憲法記念日の世論調査では、9条を「変えない」「これまで通り」とする回答が過半数でした。

間もなく行われる参議院選挙では、安倍自公政権が改憲のための国会発議に必要な、3分の2の議席を維持できるかどうかが、日本の命運をきめる一大争点です。改憲発議がされてしまうと、自公政権はお金でマスコミを支配し、あの手この手でテレビなどコマーシャルを流します。私たちは安倍首相の9条改憲を進める政党、自民党、公明党の議席を減らしたいと思います。選挙では、改憲反対の政党や野党候補を応援してください。アメリカの武器爆買いでなく軍事費を減らしましょう。

  参議院の1人区32で、市民と野党の共闘ができました。共通政策でも国民の多数の意見でもある消費税増税ストップ、原発ゼロ、年金の削減に反対し年金の底上を求めるなどで一致しています。

憲法を守り生かす3000万人署名を行っています。あなたの声を国会に届けます。

この場所をお借りしての「憲法を守り生かす豊田市民アクション」の訴えを終わります。ありがとうございました。

 

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反貧困ネットワークあいち、10回総会の感想

2019-06-24 | 平和・人権・環境・自治制度

 6月23日、「反貧困ネットワークあいち」が出来て10回目の総会です。設立総会では07年のリーマンショックの翌年、参加者は500人を超えていたけど、今回は1/10程。格差と貧困が拡大しているのに、貧困が内在化し見えにくくなっているのか、忙しくて他人のことに構っていられないのでしょうか?

 講師は名大特任教授の和田肇先生で、「貧困問題の克服に向けて-最低賃金と非正規の労働条件改善」がテーマでした。話のいくつか気になったポイントは以下の通りです。(カッコ内は筆者コメント)

 資料では日本の賃金水準が国際的に低くなっていること。(最近では韓国の方が中央最賃で、日本を上回ったという情報もある。ただ、賃上げで零細企業の倒産という批判もあり、継続して着目したい。講師も言っていたが、アジアで日本が特別に優れ、他の国が政治・経済・民主主義で遅れているという認識は間違いである、とういう考えは数年前から感じている。日本は実質的に進歩も成長もしていない。年金、賃金、GDPなど主要データが隠蔽・改ざんされ、国の予算委員会も開かれず議論がされていない。)愛知の最低賃金は898円である。海外では全国一律である。政府が企業に賃上げを要請するという労使自治を壊す問題もあるが、財界は賃上げを渋っている。経営の展望もなく、企業の利益の分配が株主優先に変わった。アベノミクスで、役員報酬で1億円以上が14倍になった。(職安法、労基法など改悪が進んだ。)克服へのまとめとして、根本的な雇用政策・社会政策の転換として、①最賃の大幅アップ、②男性稼ぎ手モデルからの脱却、150万円、130万円問題、③非正規雇用対策、④運転手やIT労働者などの改善(ジャストインタイム)、④コンビニの生産性、市民の消費文化(24時間改革)などである。

 榑松さんの外国人労働者問題の報告は、実践的で生々しい。外国人を道具として、法律も人権も無視し安く使い捨てる。脱走も多く出る。4月より法律が改悪され、さらに問題が拡大するだろう。

 質疑・意見・回答の中で、建設、農業など3K職場は賃金を上げても、働き手がいないそうで、外国人労働者の移民は世界の流れでやむをえない、と言われるがそうだろうか?合計特殊出生率は1.4ほどである。2.1位でないと人口は維持できない。大企業は下請け単価や最賃を上げたがらない。安い外国人労働力が欲しいのである。労働者は分断されている。アベノミクスのレトリックに国民が早く気付くべきであろう。日米安保が論じられなくなったがという意見もあったが、テーマから外れている。日米安保と経済は切り離せないが、坂本雅子の「空洞化と属国化」をお勧めしたい。  

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「財政破綻後」

2019-06-19 | 気になる本

小林慶一郎編著(2018)『財政破綻後』日本経済新聞出版社

 著者らは国の借金と日銀の規制緩和で国家財政は避けられないとしている。破綻後どうするか?政策提案は同意できないが、破綻することは同感である。破綻の責任を誰が取るのか?政権党か、日銀総裁か。負担を被るのは国民である。自公政権を選んだツケが大きすぎる。以下気になった財政破綻の部分のメモである。

 現在の財政運営が永続できる可能性は小さい。政府債務はGDPの240%になり、さらに増加する傾向が続いている。財政破綻とは、国内外の市場の投資家が日本の国債を買わなくなることである。政府は借り換えができなくなれば、債務不履行になる。日銀が買い支えているが、お金を使うようになり日銀が国債を買い続ければ貨幣が増えてインフレが止まらない。日銀は止めれなくなる。日本は人口減少化時代を迎え、この時点で有効な少子化対策を始めない限り、人口減少は止められない。合計特殊出生率を2.07にしないと、人口規模を維持できない。

 なぜ財政再建は進まないのか。積極的財政論者は日本銀行の金融緩和で金利が低いうちに大規模な財政出動で成長率を上げれば、赤字は残っても財政は持続可能となる。

 自民党は「X-dayプロジェクト報告書」(H23)で、財政再建を断固取り組むとし、具体的には「社会保障を含む徹底した歳出削減や思い切った増税も含む増収策」が挙げられる。(H26年消費税は5%から8%に上がった。景気は冷え込み、社会保障はカットされたが、防衛費は増加し法人税が下げられ、国の借金は増え財政再建は遠のいている。いわゆる出口戦略を政府・自民党は持っていない。)

 破綻時に何が起きるか?「国債の未達」という形で始まるだろう。未達が起きると国債を大量に保有する大銀行は大きな損失を被る。中小金融機関の中には経営破綻するところも出てくるだろう。不安に思った預金者が取り付け騒ぎを起こしたり、取引企業の連鎖倒産も起こりうる。夕張市で財政破綻し財政再建団体になった。職員は給与のカットのうえ人員も半分以下になった。住民サービスも下げられ、市民病院も機能縮小、住民の増税が行われている。

 デフォルトは避けられにこしたことはないが、避けられる状況にない。ではどうするか(個人でなく国の対応を提案している。歳出削減のシュミレーションでは、1に、防衛、安全、教育、社会保障に関する維持し、その他は3割カットする。2に、教育費、子育て費はカットしない。3に、外国への費用はカット、4に、年金は2割カットなどである。現在は金利が0のために負債コストが顕在化していないが、デフレ脱却後、日銀は保有国債を減らすか、準備に対する付利を上げる。財政再建策は増税と福祉切り捨てである。

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「アベ9条改憲ノー」in豊田

2019-06-19 | 平和・人権・環境・自治制度

 本日は2015年9月19日に安保法制(戦争法)が、強行採決された日です。全国行動に合わせ、毎月「戦争法に反対する豊田市民の会」は豊田市駅のデッキで宣伝しています。団体、市民が参加しみんなが訴えました。写真で訴えているのは根本みはるさん、この後私が訴えました。

 アベ9条改憲ノーの署名も行っています。9条に自衛隊を書き加えるだけと首相言ってますが、後からの条項が優先され、武力を行使しない、国の交戦権を認めないことが蔑ろにされ、アメリカの指揮の下日本が海外で戦争する国になります。

 アベノミクスの成果は何か?景気は良くなったでしょうか?100年安心の年金はメッキが剥がれてきました。モリカケ問題から都合の悪いことは隠す、ウソをつく、データも改竄です。年金問題も国会で真相を議論すべきで、予算委員会を3か月も開いていません。日米貿易の交渉も参院選後に発表するということです。

 イージスアショアを秋田県と山口県に設置しようとしています。これは長距離の弾道ミサイルを打ち落とすもので、地上はるかかなたの大気圏を通過するミサイルを迎撃するものです。これ2基6000億円ほどです。自衛隊による秋田県での住民説明では、ここが適地としていましたが、レーダーの障害になる角度が4度なのに、15度と尺度を間違えていました。住宅地の近くにあり、適地とはいえません。それは仮に北朝鮮がミサイルをガムに発射した場合の延長線上にあるからで、最初からここが迎撃の適地だからです。山口県の場合はハワイと延長線上にあります、つまりアメリカを狙ったミサイルを日本が落とせということです。日本を守るものではありません。逆に攻撃対象になることは火を見るより明らかです。各弾道を積んでいないロケットでも、原発に落とされれば核兵器の同じ被害になります。

 アメリカは未臨界核実験を2月に行った。爆発はなくても、核を使うための実験。長崎県や広島の知事や市長は抗議した。しかし、安倍総理はトランプ大統に抗議せず、国賓として過剰な接待をしている。未臨界核実験は、核不拡散防止条約に違反するものではないでしょうか。北朝鮮の核問題の解決と朝鮮半島の非核化に水を差すものです。(北方領土で2島返還論をだしても、経済援助はしても、ロシアに相手にされませんでした。国内政治でいきづまり、海外で成果を上げようと外遊を繰り返していますが、何の成果もありません。)北朝鮮とは条件をつけずキム・ジョンウンと話し合うと言うけれど、予定はありません。

 安倍総理は国会の予算委員会も開かず、親日国と言われるイラクへトランプの親書を持っていきましたが、会談はできても最高指導者ハメネイさんに受け取ってもらえませんでした。アメリカはイランとの核合意を離脱して、圧力を強めています。そればかりか、日本のタンカーが攻撃される始末です。緊張が高まってしまいました。イラクへのアメリカの攻撃は大量の破壊兵器があるという口実で、日本も小泉政権は無条件に支持しました。しかし大量の破壊兵器はありませんでした。日本もこれを検証すべきです。

 間もなく始まる参議院選挙の32の1人区で野党共闘が実現しました。アベ9条改憲をさせないために、自公、維新で2/3以下に、消費税増税ストップ、アベ退陣には過半割れをおこすことが大事です。ぜひ選挙に行きましょう。

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「日本人の明治観を正す」②

2019-06-14 | 気になる本

 Ⅲ頽廃する明治

 「日本帝国」は、自国の歴史を事実にもとづいて記録することをあえてしない国になった。しかも、日清戦争・日露戦争の勝利に煽られて、「神権天皇制」は制度的にも思想的にもこの国でいっそう強められた。

 軍部による戦史の改ざん。日清戦争史が詔勅に合わせ、軍部によって何が改竄されたか?朝鮮王宮占領のこと、清国(中国)が日本に敵対したなどである。『人文学報』掲載された東学農民の鎮圧に当たった日本軍兵士の従軍日誌が公開された。1985年、東学農民を追い詰めて皆殺し作戦の最後に記述。こうした例は、中国との昭和の戦争では、珍しいことではない。日清戦争のときから、日本軍が実行していた。この「蛮行の伝統」が「栄光の明治」といわれる「明治の戦争」であることが日誌にある。

 189515日から25日までちょうど1か月展開した討滅作戦が、概略から姿を消している。隠滅した要因は、徹底した凄惨さにある。作戦では、日本軍は直接大量殺戮に手を下した。作戦は、いかに弁解されようとも、不法、非道なものであった。そのために、東学農民軍討伐全体が削除された。

 朝鮮への偏見の増幅―旗を振った知識人。日清戦争・日露戦争で、日本が列強と肩を並べ世界の5大国の1つとなって国際的に急上昇すると、それを正当化する言論が力を増した。朝鮮への偏見・蔑視の主張は、征韓論などとともに古くからあった。福沢諭吉、岡倉天心、新渡戸稲造・・・。日清戦争をへて、明治天皇は中国に対する侵略の矛先をいっそう鮮明にした「日本帝国」の元首として、日清戦争でとりそこなった中国領土の分割のために、新たな熱意をもやしていた。

 伊藤博文の抗日義兵弾圧を命じる訓示。日清戦争に勝利し、ロシアをはじめほかの帝国主義国の干渉を排して朝鮮を独占的に支配することができるようになった日本は、1905年、韓国の外交権を奪った。08年韓国統監、伊藤博文は08年、抗日義兵運動を鎮圧している日本陸軍の将兵に訓示した。暴徒は戦争ではないが戦時法を適用、内乱でなく、地方の騒優に過ぎず・・・、韓国は敵国ではなく、日本の保護国である。伊藤博文は09年、統監を辞任、ハルピンに出張中、安重根に暗殺された。調査報告では、日本の侵略に反対する朝鮮の民族運動との関係をことさら隠した。

 伊藤博文を暗殺した場所に記念碑を建てる問題について、韓国政府と中国政府は合意し、記念館ができた。このことについて、日本政府は反対し、安重根を「犯罪者」と記者会見で語った。1931年の満州侵略戦争からの事実は語られていても、明治以後の日清戦争や日露戦争、その過程で一貫して日本の侵攻の対象となった朝鮮侵略、朝鮮の植民地支配とどう関連していたのかは、専門の近代史研究者もふくめてほとんどの日本人は無視してきた。(史実として改竄されてきたし、教えられなかった。私も朝鮮侵略の関連に疑問をもっていたが、この本で納得できた。)

 日本の朝鮮植民地支配は、1918年、日本国内で起こった市民暴動=米騒動をへて、日本本土の食糧危機を打開する一環として、朝鮮からのコメのいっそうの収奪を計画し、朝鮮で「産米増殖計画」を実施した。

 日清戦争からわずか50年、日露戦争から40年で、朝鮮をはじめ中国を犠牲にして成りあがった「日本帝国」は崩壊した。しかしなお、「安重根は犯罪者だ」と言い放つ政府がある。日露戦争は植民地の解放戦争であったかのように公言する政府がある。日本の侵略戦争中、戦場に動員され「性奴隷」にされた女性のことを忘れず、少女像を建てたサンフランシスコと「友好都市」を廃棄した大都市がある。それが今の日本である。明治日本の歴史の偽装は、今日の日本の頽廃、頽廃を頽廃とも思わない歴史無知、国際感覚不感症の根源だと確信する

 (今年は3・1独立運動から100年、東学農民軍の歴史を訪ねる旅があり、ぜひ行ってみたいものだ。)

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「日本人の明治観をただす」①

2019-06-11 | 気になる本

中塚 明(2019)『日本人の明治観をただす』高文研 の読書メモ

 著者がこの本で考えたいこと、(カッコ内のコメントは私)

 日本が5大国に1つになったのは、日本が日清戦争で中国に、日露戦争で帝政ロシアに勝利した結果である。日本が目指した最大の目的は、朝鮮を支配することである。15年安倍首相が「戦後70年談話」では、「日露戦争をまるで植民地の解放戦争であったかのように」、言い紛らわした。

 日清戦争から50年目、日露戦争から40年目の、1945年に大破綻(「日本帝国」は崩壊)した。(アベ政権はアメリカの下で、「積極的平和主義」を語り、軍事力の拡大で「成長」を進めていて、仕上げに憲法9条の改定を狙っている。)

 2つの戦争の間には、中国の民族運動である義和団の蜂起に、日本は鎮圧・北清事変に最も多くの軍隊を派遣した。

 梅田正巳は、「神話にもとづく神国意識を核として形成された神国ナショナリズムには、その形成過程そのもののなかに排外主義・侵略主義が埋め込まれていた」。

 明治8年、日本の朝鮮に対する武力行使がはじまり、「朝鮮の後進性を言い立て日本の侵略の事実をおおいかくす」操作が、この江華島事件からはじまった。

 日清戦史で隠蔽されてきた朝鮮農民との戦争。戦争布告は天皇で、原稿は官僚の仕事。詔勅では、朝鮮は「独立した国」で東学農民戦争が起こり、清国が朝鮮政府に依頼されたとして鎮圧のため出兵することにしたのに対し、日本政府も居留民の保護を口実として出兵し、日清戦争が引き起こされる。

 皆殺しをはかる日本政府・日本軍。日本政府は国王を「とりこ」にして戦争の「名分」を手に入れようとした占領の事実は、内外に隠し通さなければならなかった。日本政府・日本軍は、広い範囲での東学農民運動に直面、大衆的・民族的な抗日闘争の最初であった。世界にしれては困る王宮占領をあえてして、ウソの報告で内外の世論をあざむいた日本政府のやり方は、他方で朝鮮の民族的自主性をまったく認めないやり方と表裏の関係にある。こういうものの考え方は、「昭和の戦争」でも一貫して、そして今でも日本人の頭の片すみにこびりついている。日本軍は東学農民軍をことごとく皆殺しにした。犠牲になった死者は3万人以上。(日本軍は他国へ侵略しそれに抵抗した農民軍を殺したのである。) 

日露戦争の目的は?

日清戦争での日本の勝利は、ヨーロッパの帝国主義列強による中国本土分割を一気に進めさせることになった。1898年には、ドイツが山東半島、ロシアが遼東半島の旅順・大連港を、英も九龍半島、翌年にはフランスが広州湾を租借し、そこを拠点に勢力を拡大した。明治維新から43年、日本は日清戦争、義和団鎮圧戦争、そして日露戦争をへて朝鮮を完全に従属させ植民地とする目標を実現した。一方「韓国併合」の翌年1911年には、新しい通商航海条約に調印した。欧米諸国とも新通商条約に調印し、関税自主権を回復、幕末以来の不平等条約から解放された。日本では、いまでも満州事変を日清戦争や日露戦争と関連させて、そのつながりのなかで説く議論はない。反対に、「明治は栄光の時代、満州事変から敗戦に至る昭和の前半は、明治への裏切り、背信の時代だったのだ」という主張が大勢を占めている。(軍事力の強化が不平等をなくしたと観るのか?安倍首相が言う「日本を取り戻す」とは、明治のこのようなことをさすのだろうか?その一方で軍事力の強いアメリカには、不平等な貿易を余儀なくされている。)帝国主義というものは、相手の持ち物をはぎとりながら、平気で善意の保証をしたり、人殺しをしながら生命の尊厳を公言したりするやり方の常習者なのだ。

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