友寄英隆(2017)『「人口減少社会」とは何か』学習の友社
人口減少社会と言われて久しい、さらには「消滅自治体論」まである。出生数が減り高齢者率が増加していて、総人口も減るか横ばいであり人口減少は誰もが認識している。ただ、自治体によってどの程度減っているのか、減少への転換時期はいつか、社会増か、外国人か、定住はどうか、地域性はなど正確な実態と要因分析が必要である。そして、それに対する有効な政策は何か打ち出すべきである。
豊田市は、車に特化した大企業1社のある都市である。自動車の景気動向、産業構造がストレートに影響する。2005年は愛知万博があり、東海環状自動車道の建設、中部空港の建設など産業インフラが整備された。豊田市は2005年に中山間地の5自治体を編入合併した。2007年にリーマンショックがあり、08年度から5年間トヨタは「赤字」で法人税を納められなかった。11年には東日本大震災があり、大きな被害がでた。また、アメリカのトランプ大統領からの圧力で、米への車輸出から現地生産に変わりつつある。さらに、電気自動車化、自動運転などの技術変化やカーシェアリングの動きも進んでいる。旧下山の「テストコース」などの研究施設も建設中である。トヨタ車の国内300万台体制と正社員は維持されるかが問われる。
豊田市の人口の特徴と分析論点
① 総人口の横ばいから減少はいつ始まるか?
② 自然減 出生者数の減、出生率、子どもの貧困、、晩婚・非婚化、子育て支援
③ 社会増減 中堅層の市外転出、外国人、定住
④ 過疎化とコンパクトシティ
まとめ 要因と対策 事例 明石など
以上の問題意識を下に、著書より人口問題の論点を考える。
1章 人口減少の影響
① 人手不足・劣悪な労働条件、有効求人倍率(分母の減少、非正規含む)
② 「消滅自治体」と東京1局集中、地方の公共交通網衰退と過疎化、大学の淘汰、空き家、年金制度の持続可能性
2章 人口推計
人口推計 出生率、推計方法と結果に幅、条件付き推計、出生率目標1.8
3章 人口減少の特徴
長寿社会は医療、栄養、1・57ショック(丙午)より低い平均1.55
5章 少子化を促進する家族の困難(愛知県「貧困調査」)
① 未婚率の上昇は「若者の雇用不安、将来展望の閉塞感」、「結婚前のステージに向けての政策的対応が不十分だったのでは」(21世紀政策研究所)、「働き方改革」とは財界の「労働法制の規制撤廃」
② 子どもの虐待と子どもの貧困が増えている、子どもの相対的貧困率16.3%
6章 日本の「少子化」対策の失敗(政府、財界、社会)
① 対策20年効果なし、エンゼルプラン、子ども子育てビジョン・・・
② 「労働ビッグバン」、パートタイム、フレックス、過労死、1億総活躍
③ 日本経団連の少子化対策提言、夫の長時間労働と妻のパート
④ 社会の失敗とジェンダー
10章 日本の少子化対策
若者が展望の持てる日本の展望 国民生活優先 総合的な「長期計画」国家戦略;原発ゼロで自然エネルギーに転換、破局的なまでに拡大した財政「赤字」の再建
11章 基礎知識
死亡者数より出生者数が減少、「人口動態統計」