豊田の生活アメニティ

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山家悠紀夫「日本経済30年史」その2

2021-03-24 | 気になる本

9章 日本は世界1のカネ余り国-ギリシャのようにはならない。

P203 政府の借金は「最大」あるが、注意すべき3つ

1 GDP比は借金残高の尺度である。

2 国は新規国債30兆円余、借款債100兆円余で計140兆円を返せている。

3 国なには金が余っている。日本国債の90%は国内で持っている。(長期金利上昇?)

P207 考えられるのは、全般的な円安が始まり、止まりそうにない時は問題であるが、それは経済全般の問題である。日本もギリシャのようになるから、消費税増税に踏み切った民主党時代の、菅、野田内閣の無知の選択というほかない。

P298 借金は増えている。社会保障は切り捨てられている。借金が増えることは健全ではない。

P299 日本の社会保障は先進諸国とそん色ないか?否

  • 制度の内容が貧弱、老後保障できない年金制度
  • 制度をカバーできない、生活保護のカバー率3割
  • 制度利用者の負担が重い、原則3割の医療保険制度
  • 制度の現場で働く人の処遇が劣悪、介護、看護、保育など

P304 貧しい人には負担能力が無い、消費税を増税無理、負担は負担能力のある所から求める。巨額の利益をあげている大企業、株式投資や配当金で巨額の収入を得ている資産家など

おわりに 多くの人々の暮らしは、この30年間には確実に悪くなってしまった。さらに、このままでは、もっと悪くなっているだろう

怒りは貴重だ。(エセル「怒れ、憤れ」)一番良くないのは無関心だ。マルクスは、生産力が格段に発達した未来においてはその実現が可能である。問題は、今の政治権力に、そうした実現可能な社会を実現していこうといういう意思がまったくない、ということである。

 参考文献(読んでいない気になる本)浜「窒息死に向かう日本経済」、垣内「安倍増税は日本を壊す」、建部「なぜ異次元金融緩和は失策なのか」、軽部「官僚たちのアベノミクス」

私のコメント

 この本は2年前に書かれたもので、消費税10%とコロナ禍前である。国の借金増大であり、実態経済と離れた株価つり上げ、MMT理論に触れて頂けると良かった。社会の生産力は上がっていても、労働者・国民の生活は悪化の一途である。これに国民が気付き、怒り、政治を変えることが必要であろう。

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山家悠紀夫「日本経済30年史」

2021-03-24 | 気になる本

山家悠紀夫(2019)『日本経済30年史』岩波新書

 30年は91年のバブル崩壊から30年であり、「失われた30年」でもある。他に、金子勝の「平成経済衰退の歴史」という本なども30年史である。あるいは水野和夫の「資本主義の終焉と歴史の危機」から資本論なども読まれている。

 はじめに ソ連邦など社会主義国の崩壊で、ヨーロッパ各国が自国の社会主義国化を恐れることなく、新自由主義経済政策を採用できる。

 ジャパンアズナンバーワンが逆転したのは、90年である。

P7 「改革」政策による不況の到来(1997)。橋本内閣の「財政構造改革」による消費税増税、公共事業の削減、97年アジアの通貨危機、金融危機の発生が続き、98,99とGDPがマイナスとなった。2000年ITバブル崩壊。07年のサブプライム危機の発生、08年のリーマンショックは「100年に1度の世界経済危機」であった。

P11 アベノミクスは、景気上昇局面に入った幸運な時期

P21 97年ピークに給与は減少。「民間給与実態統計調査」では、98年から減少。

P37 1986年「前川レポート」

P106 橋本、小泉大臣で、竹中経済財政政策担当大臣。2001年から「骨太の方針」。

P128 小泉改革「官から民へ」、「小さな政府」を目指す。

P132 OECDで日本は小さな政府、日本は30人学級、欧米は20人学級。郵政民営化、国立大学の独立法人化、公務員の非公務員化、地方自治体も。官製ワーキングプア

P138 派遣法は中曽根内閣であるが、改悪を2004年製造業に拡大、期間1年を3年に拡大した。リーマンショックでは派遣切りがされた。「構造改革特区」の設置。

P145 プライマリバランスで地方は達成したが、国は達成できていない。

P173 アメリカ、イギリスはインフレ抑制のため、また産業競争力強化のために新自由主義経済政策を推進した。日本は90年代以降、インフレでなくデフレであった。国際収支は黒字であった。

P182 「構造改革」とは、①財界の要望に応える、②アメリカの要請、③英米の新自由主義にならった。そして、景気が良くなっても、賃金が上がらない構造(2007年経済財政白書)

P197 2009年「国民の生活が第1」で民主党政権誕生。コンクリートから人へ、「最低でも県外」が実現できず。「子育てや教育は未来への投資」、「人間のための経済」、「核のない世界」。①子ども手当、②高校授業料無償化、③農業者個別所得補償制度、がみられる。

P209 菅内閣、背信の「新成長戦略」の策定、消費税増税の発信による自爆。「新成長戦略」は自民党内閣時代の「改革と展望」と変わらない?生活重視は後景で財界よりの政策が前景に。P212 消費税増税発言と参院選敗北。2011東北大震災、原発は歴代自民党政権下で建設、管理上の責任と過去の自民党政府と電力会社の責任が問われるものであった。

P237 民主党自壊の理由は、米国の壁、財界の壁、官僚の壁などであった。思うに民主党政権の行き詰まりは、財政問題であった。日本がギリシャのようになることはなかった

P234 アベノミクスの3つの問題。①科学性、論理性を欠く、②企業のための政策、「世界で企業が一番活躍できる国」とは、目を疑う。③暮らしの視点が抜け落ちた政策である。

P241 アベノミクスの金融政策について、物価目標2%、日銀白川は同意せざるを得なかった。任期切れで黒田を総裁に、異次元の金融緩和で市中の国債を大量に買い上げ。大胆な金融緩和は惨憺たる失敗。民間は資金があり借りる必要がない。公共事業の拡大で見かけだけ、建設業界の設備投資は増えなかった

P250 アベノミクスの主な成長戦略①法人税減税、②国家戦略特区、③労働規制の緩和、④外国人労働者の受け入れ枠拡大、⑤「ソサエティ5.0」(新たな社会)への取組、⑥第2ステージ、「1億総活躍社会」、第2の矢、GDP600兆円、希望出生率1.8、介護離職0。的はあっても矢は無い。第1ステージはどうなったか。⑦消費税増税と社会保障制度

P269 GDPは6年間平均1.0%。企業利益は1.7倍、支払い人件費は1.05倍(法人企業統計年報)。

 私のコメント

9章を残してこれまで明らかになった点は、1「構造改革とは」、2民主党政権の評価、3アベノミクスの総括、アベノミクスの成長戦略はどうなったか?そして、現在の貧困と格差の増大である。これらは経済を観るだけでなく、自公政権のウソと誤魔化し、身内の利権政治と密接に関係すると思う。根幹には小選挙区制度、民主主義、対米従属、財界主導の問題があると思う。

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車のキーと環境

2021-03-20 | 平和・人権・環境・自治制度

 車の法定点検に出したら、キーの電池が間もなく無くなると、教えてくれました。電池代は300円、工賃が600円と聞き断りました。電気店で買ったら1つ225円で、取り換え法をネットで調べて、5分でできました。便利なキーより以前のキーのが、簡単でエコなのではないでしょうか?タイヤはスペアの方が、パンクの時に安心ですね。

 車の生活をいつまで続けるか?自動運転はいつなるか?水素エネルギーは環境にやさしいのか?考えています。

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不破哲三「資本論のなかの未来社会論」

2021-03-18 | 気になる本

不破哲三(2019)『資本論の中の 未来社会論』新日本出版社

 最近、マルクスの資本論に関係する本が多い。白井聡の「武器としての資本論」はちょっと入りにくい。斎藤幸平の「人新生の資本論」は、具体的な事例もあり分かり易い。不破哲三のこの本は資本論の文献解釈で、理論的でどうかと思って関心のある部分を拾い読みした。資本主義社会は、格差の拡大、原発問題、企業のデータ不正、政権政党の国政の私物化、経済の停滞など矛盾が噴出し「成長」の限界も感じる人は多いであろう。ではポスト資本主義の社会はどうあるべきか?ロシアや中国とは違う未来社会はどうなるのか、この本はその論点が整理され、新しい発見もある。以下、気になった点を抜き書きした。(  )内は私のコメントである。

はじめに 未来社会を、人間の「自由な発展」を特徴とする社会と意義づけ、この「自由」を労働時間の短縮と結びつけ、未来社会をすべての人間に「自由な時間」を保障する社会と肉付けした。

P37 搾取強化の衝動をおさえるには「社会による強制」が必要だ。「大洪水よ、わが亡きあとに来たれ!」。

P41 21世紀の資本主義は危機的な時代を迎えている。マルクスが、資本主義の没落を必然のものとする分析した利潤第1主義の害悪は、克服されたか?答えは「否」。

 危機の諸様相、1,社会的格差の途方もない拡大。2.原発問題-人類社会への社会的責任の放棄。処理までの経費を考えていない。①7年(10年)経っても核燃料デブリを取り出す見通しが無い、②トイレ無きマンション。3.「利潤第1主義」が生み出した地球温暖化の危機。産業活動が、石油と石炭の燃焼をエネルギー源としておこなわれ、二酸化炭素を大気中に吐き出すことである。(トヨタ カーボンニュートラルと水素エネルギー関係は?SDGsの限界)地球温暖化ストップは最優先課題である。

P60 共産党宣言など自由は、搾取からの解放、政治的抑圧からの解放と同時に、人間が自由な時間を持つこと。ソ連などの経験から、社会主義、共産主義は、自由のない専制体制の代名詞と思い込む誤解が多い

P66 生産手段は引き続き社会の共同所有に、消費手段は分配して個人所有に。「各人の労働に応じての分配」で、レーニンは分配の解釈を読み違えた。

P89 AIは雇用を減らすか?未来社会では、人口知能の活用は、労働時間を短縮させ、自由な時間を拡大するもので歓迎。

P90 資本主義時代の浪費と無駄が一層される。「労働の節約」について、無用の労働は「無政府的な競争制度」と「不必要な無数の機能」の問題。カジノは典型、証券市場の諸機能は典型である。

P93 未来社会の発展の推進力は?資本主義社会では、利潤第1主義が推進力。未来社会で、「自由の国」は「必然性の国」の上にのみ開花する。その根本条件は「労働時間の短縮」である。「生産手段の社会化」で、「奴隷制のかせ」が人間関係の変革と共に進む。

P189 グローバル化の2つの意味は、世界のあらゆる国々の経済関係が緊密になることと、社会体制や経済発展段階の違いをこえて、すべて資本主義的市場経済のルールの中に吸収してしまおうとする。新しい国際経済秩序の探求が世界的な課題。アメリカの市場経済のルールを世界に押し付けようとする。(冷戦時代は日米安保で日本の軍事費は抑制され経済は発展してきたが、今や軍事だけでなく経済も属国状態にある。)

P200 社会主義、共産主義の目標はかなり遠い。資本主義時代に発展した生産力の高度な発展を土台にすれば、社会の全体の物質的に生産労働を分担し担うようになれば、全ての人間が十分な時間を持つことができる。「時間は人間の発達の場」だ。

(*非正規が増え格差の拡大に見えるが、労働者全体の生活の質は低下している。特に若者の未来に希望が持てない。高齢者も社会保障の悪化である。コロナ禍でそれが見えてきた。どういう社会にするか、国民の議論による合意形成が必要に思う。)

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中田島砂丘

2021-03-17 | traveling, town walking

 久しぶりに砂丘に行きました。大部イメージが違っていました。黄砂なのか細かい砂が飛んできました。普段は三河湾しかあまり見ていないので、太平洋の荒波は勇壮です。隣では祭り会館があり、大きな凧を見ました。地区ごとに団結して大人の凧合戦も面白そうです。今年は5月3,4,5日だそうです。

 その後、目的の浜松餃子を食べに行きました。店舗が移転していました12時少し前に到着しました。連れは20個の餃子定食、私は10個です。中身は野菜だからさっぱり味です。そして竜ヶ岩洞を見学して、帰りました。

 

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秋野不矩美術館

2021-03-15 | traveling, town walking

  御前崎の後に、秋野不矩美術館へ向かいました。テレビの日曜美術館で見たからで、浜松市だから近いと思ったけれど、合併前の天竜市でした。山のすそ野にあり、画家の出身地の町並みを眺める位置にあります。建物は様風であり、和風のようでもありました。

 その後、久しぶりに舘山寺温泉のホテルに向かいました。さざなみ館ではうなぎコースを頼み、大変美味しかったです。ホテルの周辺は静かで良く眠れました。

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御前崎と中田島砂丘

2021-03-15 | traveling, town walking

親戚の子の大学合格を祈念して、小旅行に出かけました。1日目は焼津の魚センターで、シラス丼と穴子丼を食べました。その後、御前崎へ行きました。風が強く荒波で、津波が来たら怖いなと感じて、早めに引き上げました。帰り際に富士山が少し霞がかっていましたが、綺麗に見えました。

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斎藤幸平(2021.1月号)『カール・マルクス 資本論』

2021-03-09 | 気になる本

NHK・100分De名著 資本論・講師斎藤幸平

今どきの若い人気学者に、白井聡と斎藤幸平がいる。白井は「永続敗戦論」や「国体論」(天皇かアメリカか)など鋭い指摘をする。彼の「武器としても資本論」は、手に取ってみたものの読んでいない。斎藤の「人新生の資本論」は予約しているが、まだ届いていない。NHKのテキストは論点が整理され、事例もあり分かり易い。見出しも鋭い。資本論は持っているがかじった程度で、もう一度読もうと言う気にはまだなっていない。

資本論はマルクスが資本主義の根本的な仕組みを分析し、労働者が資本家に安い賃金で長時間働かされる原因を明らかにした本である。その解決は資本主義の未来社会・社会主義でなければ解決しないという。北朝鮮は論外であるが、中国も市場経済を取り入れ、社会主義国家と言えるか疑わしい。何よりも国民の人権、自由が保障されるかである。テキストから気になった点を、以下メモ書きする。(  )内は私のコメント。

ソ連が崩壊しマルクスを研究する人が減った。その結果、資本主義を批判する人がいなくなり、グローバル化が進行、「新自由主義」という市場原理主義が横行。資本主義の横暴で私たちの生活も環境もめちゃめちゃになっている。世界の富豪26人の総資産額は、地球上の人口の半分に匹敵する。日本でも庶民は長時間、不安定雇用、低賃金で貧しくなるばかり。年収200万円以下の人は1200万人いる社会で、若い世代が希望を持てない。(豊田市は住みよい街とPRしていて、「ミライのフツウ」を掲げるが、具体的に何を指すのか、どうしたら普通に暮らせるか不明である)。

アメリカでは若者が、社会主義を肯定的に捉え、サンダー旋風がおきた。グレタさんは「無限の経済成長というおとぎ話」と批判し、資本主義にかわる「新しいシステム」を求めている。これらはソ連や中国のような社会主義を標榜する独裁国家ではない。

1回 商品に振り回される私たち

商品に振り回される私たち。人間は積極的に自然に働きかけ、自然を変容し(壊し)、自らの要求を満たしている。自然と人間の循環的な過程を、「物質代謝」と呼んだ。

資本論の始まりは商品で始まるが、資本論そのものはから始まる。誰もが憩える公園、地域の図書館、公民館は、社会にとって大事は富である。社会の富が資本主義社会では、次々と商品に姿を変えていく。

 資本主義社会では資本を増やすこと自体が目的となる。

 使用価値とは、人間にとって役に立つ有用性のこと、人間の様々な欲求を満たす力である。物が商品となって交換される価値は、その商品を生産するのにどれくらいの労働時間が必要であったかによって決まる。

 価値のために物を作る資本主義のもとでは立場が逆転し、人間が者に振り回されるようになる。このことを物象化と呼ぶ。政府が立案した「gotoキャンペーン」は、人間のために経済を回すのではなく、経済を回すこと自体が自己目的となる。

 使用価値を無視した効率化は、必要な物やサービスを削り、あるいは質を低下させて、社会の富を貧しくしていく。非常勤を増やす図書館運営(豊田市では民間に指定管理委託)、図書館で働きたいと言う人が減りサービスの質も低下する。(保育園の公設民営化も安い民間の保育士は長く続かない。保育のサービスの低下を招く。)

2回 なぜ過労死はなくならないのか?

資本とは、金儲けの運動であり、金儲けを延々と続けるのが資本主義である。

 2015年電通で過労自殺があった。1日2時間、週10時間しか寝られないこともあった。鬱など精神疾患が増えている。(豊田市も精神の病が増えている)

 賃上げより労働日の短縮 資本主義の生命線である新市場の開拓による価値の増殖が強化している今、企業が収益をあげるために採りうる方策は、さらに労働時間を長くすること、もしくは賃金をカットすることである。(「原価低減」に外国人労働者の利用がある。さらに、成績主義による競争で労働強化、不景気に解雇する非正規労働者の利用がある。)

 賃上げされたとして、長時間労働が解消されなければ意味がない。賃金を少しばかり上げて、その代りに長時間労働もいとわず、自発的に頑張ってくれるなら、剰余価値・資本家の儲けは増えるだろう。

 今後、車の運転が自動化されれば、さらにスマホを触る時間が増えて、IT界の巨人たちはますます資産を形成していく。便利な世の中になったら、私たちの生活全体が資本によって包摂される。

 3回

 資本主義は膨大な富をもたらしたようにみえるけど、私たちの欲求や感性はやせ細って、貧しいものになっている。マルクスはこれを疎外という。

 資本主義のもとで求められたのは、労働者を重労働や複雑な仕事から解消する新技術ではなく、彼らがサボらず、文句を言わずに、指示通りに働いてくれるリノベーション、つまり労働者を効率的に支配し、管理するための技術なのです。

 資本主義のもとで生産力が高まると、その過程で構想と実行が、あるいは精神的労働と肉体的労働が分断される。構想と実行の分離は、生産工程を細分化して、労働者たちに分業させるという方法である。誰にでもできる単純作業は、自分の代わりになる人は、工場の外にたくさんいる。仕事を失いたくなければ、不平・不満はぐっと飲みこんで、ノルマを達成すべく、黙々と働くしかない。資本家との主従関係が強化される。これこそが、疎外の原因である。

 機械化が進んで生産力が2倍になれば、労働力は半減し相対的労働力の過剰となり、不景気ならリストラする。(コロナ禍で非正規がまず解雇される。自営業者も廃業する。外国人労働者は減っているが、低賃金労働者として入管法緩和で移民が増える。)

 構想と実行の分離を乗り越え、労働における自律性を取り戻す。各人が能力に応じて「全面的に発達した個人」である。労働力という富を生かしながら、社会全体の富を豊かにする。効率を優先した学校の給食センター方式は、各校の給食室から構想を奪い、調理をするという実行も剥奪して、作業、配膳という単純作業にした。郷土料理や地域食材利用による地域振興もない。

 4回

 資本による土地の略奪、労働力の消耗は同源で、どちらも際限のない増殖を目指す資本の盲目的な掠奪欲(強欲)である。こうした掠奪が人間と自然の物質代謝をかく乱し、都市と農村の対立を生む。自然からの略奪を放置している現役世代は、そのツケを将来世代に払わせ、また先進国は途上国に押し付ける。これを外部化という。

 資本主義に代わる社会は、アソシエートした労働者が、人間と自然との物質代謝を合理的に、持続可能に制御することだ。アソシエートするとは、共通の目的のために自発的に結びつき、協同するという意味である。資本論はエンゲルスが編集した未完の書である。マルクスが目指した豊かさは、個人資産やGDPで計れるものではない。

 脱成長という第3の道、GDPだけを重視する経済から脱却して、人間と自然を重視し、人々の必要を満たす規模を定常するという意味で、「脱成長経済」という。

 資本主義のもとでは様々な不平等が生じ、不平等が多様な階級を作って、そこに貧困や困難が固定化(白井は階級の固定化)されている。

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榊淳司「マンションは日本人を幸せにするか」

2021-03-05 | 気になる本

写真は豊田市駅前のタワーマンション。本文とは関係ありません。

榊敦司(2017)『マンションは日本人を幸せにするか』集英社新書

 榊の本は2冊目で、マンション問題がわかりやすく書かれてると思い、先に書かれたこの本を読むことにした。以下、ポイントを抜き書きする。(  )内は私のコメント。

P12 日本人はなぜ木造か?日本の風土(高温多湿、木が取れやすい)、新築好き

P23 マンションの危機を迎える。(同感である。その理由は?私は規模が狭いので終の住み家にならない、木のぬくもりが好きなど様々な理由がある。)P34 儲かるからだ。危機は、儲け優先主義が生んだ帰結である。(同感である、規制緩和で60mタワーマンションは乱立である。都市づくりのルールもない。交通、学校、公園など計画性もない。)

P39 同潤会アパートがマンションの原点。(コミュニティがあった)

P52 民泊規制の難しさ。P66管理という利権。P74 大規模修繕工事。日本人は税金の使い道に寛容(政治的無関心?)。

P84 外国人が日本の不動産をなぜ買うか?私有財産が保護されている。日本に規制が無い。

P90 儲けるため(デベロッパーが)のマンション。郊外の新築マンションは10年で半額。35年ローンがマイホーム需要を拡大。

P104 長谷工マンションは、どこの物件も同じようなもの。

P134 「両手仲介」は違法にすべき。(成功報酬であるが、仲介料が高い)。マンションの不動産屋は斡旋で、売り買い双方から手数料をもらえる。レインズに登録していても「商談中」と言われる。(建設会社の分譲を見つけるか、)個人契約すれば手数料はかからない。中古マンションをマッチングするサイトはあるが、成長するか未定である。

P142 2009年リーマンショックの不況、民主党政権の無為無策、東日本大震災。白川日銀総裁はなんら実のある金融政策をうたなかった。(問題はあったが、ちょっと評価が厳しいし、一面的である。)だが、12年安倍内閣アベノミクスと13年黒田日銀総裁による「異次元の金融緩和」で、マンション市場は回復。ミニバブルだ。黒田バズーカーは続いた(賛成5反対4)。黒田バブルでは、「値上がり」、「賃貸運用」、「相続対策」が主であった。16年黒田バズーカーは、マイナス金利で住宅ローンは下がった。サブプライムローンと構図が似ている。(スルガ銀行の不正融資がある。18年シェアハウス「かぼちゃの馬車」から不正が発覚)

P164 賃貸需要は実需である。バブルは株式や不動産に特化して発生する。一般消費財はもとより、個人所得まで影響することはない。バブルでも給料が上がることはない。(そのとおりである。が、アベノミクスと2020年からのコロナで借金大国である。ある日、突然インフレが襲うかもしれない。その時は、0金利の日銀ではコントロールできない。金利を上げれば、借金に利息かかり払えなくなる。MMT理論には疑問を感じている。)。日本の住宅は供給過剰である。(同感である。新築より中古住宅のリフォームを助成すべきである)。13年の「住宅・土地統計調査」によれば、空き家率13.5%である。日本では外国人も投資でマンションを買う。15年香港では大陸から押し寄せたバブルマネーが住宅価格を押し上げた。(2021年1国制度は中国の変身で危ない。利回り5%では資金回収に20年かかる。5%以下ではバブルである。

P202 イギリスは1975年以降、タワーどころか高層住宅もほとんどない。それまでの高層住宅での子育ては危険、という研究が広まった。

 タワーマンションの階層ヒエラルキー。(H30年4月、タワーマンションの高層ほど固定資産税は高くなった。また、19年の台風で人気の武蔵小杉のマンションが浸水した。)

P227 かって、都心周辺のアパートに始まり、公団賃貸、近郊のマンション、最後は郊外の1戸建て住宅が、「住宅双六」であった。しかし、最近はマンションが暮らし易いのというのが傾向である。

エピローグ 2つのマンションの軌跡。高知の「沢田マンション物語」と「白金タワー」がある。

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豊田市元宮に産直市場

2021-03-04 | 市民生活・企業都市

 昨年末に豊田市元宮町に産直の「おいでん市場」がオープンし、テレビでも報じていてので、3月3日にランチを食べに行きました。売りはゆたか牛、魚、農産物です。ランチは生まぐろ丼を食べました。焼き芋にアイスクリームもあります。週一で通る道なので、この次はゆたか牛を買おうかな!こんな店が近くに欲しいです。(もう少し詳しい内容は、「ここ晴れブログ」さんが書いています。)

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