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小川さゆり「宗教2世」

2023-08-20 | 気になる本

小川さゆり(2023)『小川さゆり、宗教2世』小学館

 2022年安倍元首相が銃で撃たれ、「容疑者」は統一協会を恨んだとのことであった。それから自民党との癒着が明らかになった。さらに、2世などの救済も問題となった。統一協会の以前は、勝共連合であった。その後不十分な被害者救済法ができた。しかし、反社会団体であるが解散命令は、質問権行使を口実に解散は先延ばしである。

 この本は2世が顔出しで記者会見し、生々しい実体験であり、夫や編集部のチェックは入っているだろうが、論理的にも実感的にも読みやすい。統一協会は宗教に値しない、霊感商法の壺や印鑑、「寄付」、選挙支援など問題である。子どもは親も国も選べない。親の宗教や結婚観などの押し付けは人権問題でもある。以下、気になった箇所のメモ書きである。

 親は自分の意思でなく、合同結婚式で結ばれている。教会を否定すれば、自分の存在を否定する。三カ月で救済法ができた。弱点は献金が本人の意思か?未成年の2世はハードルが高い。

*豊田市にも警察署の近くに教会がある。自民党の幹部で癒着が不詳である。地方議員との関係は明らかにされていない。豊田市議会には統一協会系から、最も対立する共産党を攻撃し保身する陳情がされている。救済法で2世は救えない、反社の統一協会は解散命令を、政府自民党はすべきである。これには歴史修正主義と平和主義が問われる。

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大塚「インフレ・ニッポン」提言への感想

2023-08-15 | 気になる本

大塚節雄(2023)『インフレ・ニッポン 終わりなき物価高時代の当来』

 日本経済はGDPが伸びない。アベクロダは異次元の金融緩和を続けてきた。欧米は8%を超えるインフレであり、利上げを進めている。日本は円安で材料、エネルギーが徐々に上がってきた。この先、インフレになったら国の膨大な借金のため利上げできない。しかも軍拡で軍事費は5年間で43兆円を決めている。一方少子化予算は目処が無く、社会保障は改悪の一途である。日銀の出口戦略国家財政の健全化など、困難な問題に取り組まないと国民生活は破綻するであろう。

 タイトルのとおり庶民はガソリンなど物価高を実感しつつある。著者も終わりなき物価高を懸念している。昨今の経済事情を、1章日本の物価、2章インフレでデフレ、3章円安のジレンマ、4章日銀の終焉、円相場は、5章利上げFRBの効果は、6章賃金は上がるか、「失われた30年」、7章世界インフレの時代、8章6つの提言である。提言をメモ書きする。(  )内は私のコメントである。

1 日本のものづくり、円高恐怖症の脱却

 例えば、日の丸半導体の復活を目指したラピダスは2025年生産に向けて、千歳に工場建設を決めている。(半導体は東芝が先進を行っていたが、米の原発会社を買収し失敗した。)

 米国一辺倒でない日本なりの「新グローバル戦略」を練ることが日本の製造業復活の第1歩になるのではないか。(米国に制約されず日本独自の中国貿易は可能か疑問である)

2 輸出の主力は「インバウンド

 (コロナ禍後には観光客が増えてきた。中国も復活する。しかし、ホテルなど人出不足は解消されていない。)

3 失われた賃上げのメカニズム

 アベノミクスの円安をテコに景気拡大も、企業収益が高まれば、賃金上昇に結び付くとしたトリクルダウンは、官製春闘で企業の善意に訴えるものであった。(内部留保は増えても、実質賃金は10年来上がらなかった。連合はまともな春闘に取り組まない)。正規と非正規の格差も縮まらない。(23年最賃は平均41円引き上げで、一律ではなく1002円となった。リスキリングも容易ではなく、扶養制限も外れそうにない、ましてや岸田首相が言っていた「分配優先」は成長の後に変わっている)。

4 エネルギー、原発・「炭素価格」は王道で  

 原発が停止し、化石燃料の輸入が増え、22年の貿易収支は20兆円近い赤字となった。当面は電力不足の不安で減らせない。原発再稼働の促進である。(岸田政権と同じで、自然エネルギーへの転換姿勢はない。脱炭素社会への転換GXは可能か?)

5 データ処理の「地産地消」で所得流出を防ぐ

 情報インフラが大きく姿を変える中、日本勢の凋落はここにもある。(マイナンバー制度は延期すべきで、保険証とは切り離すべきである。日米軍事同盟の下軍事的従属だけでなく、日米構造協議経済安保で日本の経済力が衰退する要因と思われる)

6 金融政策を簡素に

 新総裁は金融緩和を続けながら、YCCの副作用をコントロールするか、難しい手綱さばきである。緩和を止めれば下振れリスクがある。賃金上昇の機運が続き経済が上向けば、めでたく金融政策の正常化が近づき、長期金利の均衡水準を探り、出口戦略がシンプルになる。(賃上げで経済が上向くのは好ましいが、その見通しはない。日銀は国債の半分を持っている。フリーランチは無い。)

 コメント

世界的インフレで日本も物価高が始まっている。それが欧米より現在低いと楽観的だが、いつ暴騰するかわからない。その見通しと予測は難しい。人口減少もインフレに影響すると言われている。円安輸入物価高への影響。軍事費の拡大、財政規律の破綻がある。

日銀は金融緩和の継続である。物価が高騰したら、政府の借金が膨大で日銀は利上げできない。出口戦略は示されない。これまでのアベノミクスによる金融緩和の総括が、日本経済再生の出発点である。

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安田「国籍と遺書、兄への手紙」

2023-08-06 | 気になる本

安田菜津紀(2023)『国籍と遺書、兄への手紙』ヘウレーカ

 レイシズムやヘイトはどこから来るのか?特に韓国・中国に日本は、侵略し植民地化した国である。冷静にみれば、今は日本がアメリカの事実上の属国になっている。「先進国」日本は自立してアジアの模範となり、「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」ことを願う。彼女の著作「隣人のあなた」を読んで、見つけたのがこの作品である。韓国、台湾は近くて何度か旅行した。パラパラと拾い読みしてたが、読みやすく全てを読みとおした。こころに残った点を記しておく。

 ドラマで東北の震災の写真を洗って返す作業を見たが、彼女が(も?)それをしていたとある。フォットジャーナリストの彼女は、写真は「今」を伝えるだけでなく、会えなくなった人に出会える「窓」になるのだ。掲載されている写真は余りクリアではない。

 朝鮮半島のルーツの歩みについて、日本の植民地時代、朝鮮半島出身の人々は「皇国臣民」の「日本国籍者」とされてきた。1952年にサンフランシスコ講和条約から、一方的にその立場を奪われ、「朝鮮人」という特定の国籍を持たない存在として扱われた。朝鮮は南北に引き裂かれ、1965年、南の韓国のみと国交を結んだ。(従軍慰安婦、徴用工、関東大震災虐殺、指紋押捺、社会保障制度、朝鮮高校補助、ホワイト国、統一協会などの問題があり、歴史認識と関わる)。

 自分の出自を言わない。親は言葉がしゃべれない人が多く、財産も職もない。2世の言葉は同じ、顔は似てても、就職差別、結婚差別や偏見、レイシズムがある。日本国籍を取るか、ルーツとアイデンティティに悩む。

 2022年8月ウトロ地区の放火があり、犯人は懲役4年の判決が出た。

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