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どアホノミクスと・・・

2018-11-26 | 気になる本

浜矩子(2017)『どアホノミクスとトランパンノミクス』毎日新聞出版

 本書はサンデー毎日誌の取材から再構成したもので、経済の底流を読み取ることができる。消費税の考えただけは個人的には考えが違う。以下、主なポイントの概要で、(  )内のコメントは私の考えである。

 日本は今までに驚くべき閉鎖性を保持した状態できてしまった。日本は経済大国であり債権大国、成熟大国である。(国会で入管法改定が議論されている。財界の安い労働力が目的で、既存の外国人研修制度の失踪問題を放置したまま、情報・議論不十分なまま強行をアベ総理は狙っている。)

 Q.若者はなぜアベ政権をしじするのか?A.不安が「強い日本」に引き寄せられる。終身雇用・年功序列が消え、年金も当てにできず、正社員にもなれない、将来への不安である。OECDが2016年にまとめた報告書によれば、日本では18歳から25歳層の相対的貧困率が19.7%に達している。日本全体としての相対的貧困率は16.1%で加盟34か国中7番目と高い。

 Q.「シムズ理論」が日本で話題になるのはなぜか?A.財政赤字の問題を帳消しにする便利な理論だと思っているから。いわば意図的な無責任財政のすすめだね。緊縮財政でなく、インフレで債務負担を軽減する論法だね。日本に当てはめれば、無責任財政宣言がおすすめですよ、ということはシムズ先生もいっている。(1126日参議院の予算委員会で藤巻健史氏が、日銀黒田総裁に質問している)

 国家デフォルトつまり国が借金を踏み倒すとどうなる?1つは通貨切り替え。日本国民や法人が多いからできてしまいかねない。預金を引き出す封じ手に新円えの切り替えがあるかも。国家が債務不履行状態・デフォルトに陥れば、国民がツケを払わされる。今の日本の財政を立て直すために、消費税はさけられない。(法人税減税をやめて、軍事費を削減すれば可能だと思う。)法人税の減税競争をやっていてよいのだろうか。

 日銀は物価上昇率2%まで国債を買い続ける(国の財政膨張支援、「担保なしの借金」)目標は達成できず、取りやめて「出口封じ」をした。しかし、日銀の国債保有高がGDPを18年中に超えてしまうから、買うことも限界にきている。唐突なGDP統計の改訂が始まった。(ここでも改竄が行われていたのか)

 Q.アホノミクスはどこへ向かおうとしているのか?A.彼らが目指すの大日本帝国。

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「日本病」その2

2018-11-24 | 気になる本

その2 4章「主流派」の言説と実感のずれ*(カッコ内はコメント)

 アベノミクスの実際のステップは、中央銀行日銀と公共放送NHKという2つの組織の露骨な人事で進められた。(その後は司法の反動化、内閣人事局による忖度)

 年金の根本問題は単なる少子高齢化だけにあるのではない。雇用や家族の解体が年金制度の基盤を掘り崩していくからである。なかでも、若い世代の圧倒的多数が非正規であるために国民年金が空洞化しており、年金の持続可能性を奪っている。15歳から24歳の若者の4割が非正規雇用労働者や失業者になり、国民年金の未納や滞納も3~4割に上る

 労働者派遣法は「改正」によって、例外がつぎつぎ拡大して原則自由になっていった。専門派遣は長期雇用が一般派遣に置き換えられ、一般派遣も3年過ぎても部署を換えてそのままで正社員の道が閉ざされた。非正規雇用のままだと、年収200万円が精一杯で結婚も出産もできない。(大企業が好景気である豊田市でも少子化が進んでいる。トヨタの期間工はこれより年収は良いが、定住できない。具体的な数値は別途検証したい。)

 社会保障が持続可能性を失っていることは多くの国民が気付いている。5%から8%になり、増税分は財政再建に使い福祉には1/5しか回さないことに。決まると景気対策に法人税減税と公共事業に消えた。(企業栄えて国は借金大国、国民福祉は切り捨てに)アベノミクスは経済成長が税収増をもたらすということである。さりとて「小さな政府」論でもなく、ご都合主義である。財政規律も壊れる。

 米国がゼロ金利政策から脱出すると、新興国からマネーが引き上げられ、新興国経済の悪化が進む。財政金融政策という麻酔薬に頼らずに底堅い内需を作り出す政策が必要になる。特に地域において、新たな産業と雇用を創出することが喫緊の課題となっている。日本の原子力企業は海外展開で巨額の損失を抱え、窮地に追い込まれている。例えば、東芝である。三菱重工もカリフォルニアで、ベトナムでも日本政府の借款で、台北郊外では凍結している。ドイツのシーメンス社もアメリカのGE社も原発事業から撤退している。原発の安全性への懸念から、原発=低コスト論という主流派言説は、歴史的遺物となった。

 経済最優先のアベノミクスは失敗。うその上塗り安倍政権。実際にやってきたのは、特定秘密保護法、集団的自衛権行使容認、武器輸出三原則見直し、原発再稼働、TPPであった。自民党の公約は国民を騙すものであった。日銀が国債購入を続けて、政策を支えてきた。バブル期に作られた民間債務は公的債務に付け替えられていった

 中国が世界の工場として台頭してから、長い間進んできた日本の工場の海外移転は、リーマンショックに伴う急激な円高によって決定的に進められた。こうした「場」の下で、日本では「信用」を先に拡大させ、実態経済を牽引させて経済成長を図ろうとしたインフレターゲット論は、完全な失敗である。先端産業への産業構造の転換に失敗し、旧来型産業はグローバリズムと株高政策の下で外資に買い取られ、ひたすら内部留保をため込んでいるだけで、雇用は破壊され、地域経済も衰退を加速させている。

 大手企業は内部留保と配当だけを増加させる一方で、日本の雇用は破壊されて働き方までが壊れだし、社会保障制度の将来見通しも失わされ、地域は少子高齢化で衰退がひどくなっていった。にもかかわらず、法人税減税、労働者派遣法「改正」、社会補償費削減による財政再建など、大手企業の収益増加のためには何でもする政策が続けられていく。結局、財政危機が止まらない中で、国内貯蓄の制約を超えて財政「赤字」を拡大させ、それをファイナンスするために、もう一つブレーキを外して異次元の金融緩和を「意図的に」行うようになっている。もはや財政規律という制御系は破壊され、底抜けの状態になった

 企業の決算を市場空前に押し上げ、株価は上昇している。しかし、実質賃金は伸びず、家計消費は増加しない。円安で輸出企業の業績は上がるが、貿易赤字が恒常化したまま、製造業の就業人口は増えず、企業の内部留保が増えるのみである。格差が拡大する結果、一般国民も将来の不安から消費を削減していく。年80兆円の日銀による追加金融緩和が行われながら、それは日銀の当座預金に積み上げられるだけで、信用の創造につながらない。金融緩和が繰りかえし行われても、製造業の国内回帰も進まない。結果、地域経済の衰退も急速に進む(豊田市も農林業の衰退は進んでいる。自動車のEV化では中小企業は淘汰される。)。このままでは、地銀や信金だけでなく、再び地方自治体も統廃合が行われていくだろう。(法人市民税も「一部国有化」のもとに召し取られている)

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日本病その1

2018-11-19 | 気になる本

 金子勝、児玉龍彦(2016)『日本病』岩波新書

 国家財政の1000兆円の借金、日銀のマイナス金利、異次元緩和、株価下支え、企業の不正・品質低下、格差と貧困の増大、アベノミクスの破綻。失敗を認めない日銀、政府、本音が言えない学者・マスコミなど、日本の将来は出口が見えない。借金大国はどうなる。以下、本より気になるポイントの要旨である。

 長期化する不況、失業者の増加、年金制度の破綻、少子高齢化の進行・・。アベノミクスによって日本経済は「長期衰退」の時代に入り、いまや「日本病」とも呼べる状態に陥っている。複雑な仕組みを解明した著者たちが、「治療法」を提示する。

 14年の実質GDP成長率はマイナス0.9%であったが、大企業は史上最高益をあげた。金融緩和と円安、株高を誘導し、大企業は利益をあげ、名だたる企業の持ち株は外資が1/3となっている。大企業は設けてもトリクルダウンはなく、格差と貧困が進み、とりわけ地域経済は疲弊している。

 長期低迷経済を「オランダ病」、「イギリス病」と呼んだが、日本も「日本病」に陥っている。銀行の不良債権処理から福島原発まで、経営者から完了まで責任をとらず、当面の対応で産業構造の転換ができず国際競争力を落としていった。

 競争相手と認識される近隣アジアと緊張関係が強調され「歴史修正主義」がとなえられる。マスコミへの恫喝と、ヘイトスピーチ、教科書改訂、靖国参拝など逆コースとアジア近隣諸国への挑発が日常的となっている。

 日本経済は、サブプライムローン絡みの証券保有は少なかったにもかかわらず、実態経済としては、大幅な景気後退に飲まれた。それは失われた10年における小泉構造改革が、日本経済の機能不全の上にミニバブルをもたらしたものによる。

 今最大のメディアタブーはアベノミクスの失敗である。「道半ば」「継続は力なり」、「三本の矢」が検証されないうちに「新三本の矢」にすり替えられ、政策の誤りは増幅されて引き返せなくなってしまう。日銀は金融緩和で、国債を大量に買い消費者物価上昇率を2%上げるとしてきたが、達成していないし辞任もしない。メディアが批判しないのは、安倍の圧力とスポンサーの大手企業が目先の利益拡大するため。

 実質賃金の低下は、家計消費の低下をもたらしている。大手企業が市場最高益をあげても株価が高くなっても、それがしたたり落ちるトリクルダウンはない。

 厳格な債権査定額と経営責任を問う抜本的対策は避けられ、小出しの公的資金注入でずるずると不良債権処理を続けているうちに、大手企業は短期的利益を追求して「選択と集中」と称するリストラを継続し、国際会計基準の導入とあいまって内部留保をため込み配当を増やす一方で、技術開発や設備投資を怠るようになっていった。雇用流動化、賃金抑制で国内需要は縮小し、外国の投資が増える悪循環に陥ってしまった。

「三本の矢」は金融緩和、財政出動、規制緩和で、出口がなく待っているのは長期衰退の道である。国内貯蓄が1400兆円もあるので、国債暴落は起きないとされているが、日銀が国債を引き受ければ、この国内貯蓄の制約を超えて財政赤字をだすことができるが、それは将来的にはハイパーインフレのような大きなリスクをため込んでいる。世界的な経済停滞の中で、金融市場では投機マネーがうごめいている。それゆえ当面は金利が上昇する「危険性」がないので、量的緩和を続けても問題が出てこない。財政規律が失われている中で、突発的事故で物価が上昇し、国債価格の下落と金利の上昇が起きれば、日銀は国債を買い入れる金融緩和策を止められなくなる。

戦争の責任も、バブル崩壊後の不良債権のごまかしによる銀行経営者や、福島原発事故における東電責任者など責任を問われなかった。そして東芝の不正会計、東洋ゴムの免振ゴム、旭化成の基礎杭データなど、企業文化の荒廃はあとを絶たない。(その後も、モリカケの文書偽造、タカタ、日産、スバル、KYB免振装置など枚挙に暇がない。)

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