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豊田の生活アメニティ

都市デザイン、街歩き・旅行、くらし

松田哲夫編「はじける知恵 読んでおきたい哲学」

2025-06-10 | 気になる本

松田哲夫(2012)「はじける知恵」あすなろ書房

哲学と聞くと、カント、ソクラテスなど思い出し、、「われ思う、故に我あり」、「人間は考える葦である」、「存在が意識を決定する」など有名な著作や文を想像し、分かったような分からないような気になる。人生を永年やっていると死生観や自分の経験から、哲学は人生や生き方にたどり着く。クラシックや純文学など関心はあるが理解が出来ず避ける人が多いが、絵画も感じるまま、見る、聞く、対話する、で良いのではないか。そういう意味で、小説や随筆の中に、生活の哲学が分かりやすく隠れていて、それに相槌を打てる言葉が見つかれば楽しい。以下、気になった個所の抜き書きである。

茨木のり子「美しい言葉」詩集「対話」 その人なりの「発見」を持った言葉は美しい。(新たな挑戦、継承?)、「表現の正確さ」、「体験の組織化」

井上ひさし「言葉のパロディ」 「金のかからない選挙」、「美しい侵略戦争」

日高敏隆 「なぜ」をあたため続けよう。

白洲正子 水車を動かすものが知恵であって、水車の構造および水流その他は知識です。知恵は総合的であり知識は分析的である。

「教養とは」渡辺一夫 人間というものは結局自分のためにしか考えない。自分が殺されそうになったら相手を殺すのが当然だし、貧乏して困ったら盗みを働くのもやむを得ぬ。これが現実だね。他人を自分のことだけしか考えられないような窮地に陥れないようにすること。他人をその自我の奥底で尻をまくるような、土壇場へ追いこまんようにすること。これが教養というものだ。

「幸福より快楽を」澁澤龍彦 人間の生活には目的なんかない。人間は動物の1種だから、食って、寝て、性交して、寿命が来れば死ぬだけの話。幸福は主観的なものだが、快楽は主観的なものだ。文明の発達は人間を満足させない。神経過敏な文明生活を呪いたい。幸福の価値も、また主観的だと言うことになる。「現実原則」。幸福は、この世に存在しない。アリストテレス「幸福とは実践である」。


リチャード「失われた30年」に誰がした」

2025-06-09 | 気になる本

リチャード・カッツ(田中訳)『「失われた30年」に誰がした』早川書房よりメモ

 失われた30年、一人当たりのGDPは世界29位、非正規が増え、出生数の激減で人口減少が止まらない。円安・物価高で、武器の爆買い、無茶なトランプ関税、日本の行く末を案じる。特に、アベノミクスノ失敗を総括すべきである。裏金、政治献金による大企業優遇政治で民主主義も平和も日本は危ない。以下、アベノミクスを中心に抜き書きである。

残念な結果がソニーである。スマートフォン、タブレット、電子書籍リーダーなど試行したがうまくいかなかった。トヨタはEV化への転換に抵抗している。(電気製品シャープなどは何故衰退したか?)

成長率の低迷や売上高の減少に直面した日本企業は、低賃金の非正規労働者を雇用するようになった。非正規労働者の多くは、パートタイムと一時雇用の人たちであり、正規の労働者はフルタイム勤務で雇用が保証され、各種福利厚生を受けられる。労働者のうち非正規労働者が占める割合は、1980年代の15%から40%近くまで上昇している。2020年に正規労働者の平均賃金は一時間当たり2500円だったが、一時雇用労働者は1660円でパートタイムはわずか1050円だった。結婚の割合も低く、犯罪も増えている。

1950年から1991年の間に、日本の一人当たりGDPは、アメリカのわずか21%からピーク時は83%まで急速に上昇した。その後失われた30年と呼ばれる時期に、2020年には60.3%に押し戻されている。日本の政策立案者は、最新の機械やソフトウェアに資金を注ぎ込むことが魔法の解決法だ、と言う誤った思い込みをしている。

アベノミクスの三本の矢は、金融刺激政策、財政刺激政策、成長のための構造改革で、あべは金融緩和だけしかやらなかった。黒田は2年以内、2%の物価上昇目標を掲げた。デフレーションは日本の混迷の原因ではない。需要が弱いために現れる症状だ。ゼロ金利の状態が四半世紀続き、利子所得を当てにしていた高齢者は打撃を受けた。国債買い入れ図(日銀が借金を抱え、インフレを抑えられない。消費税減税に国債を財源は愚である。)

財政刺激政策では役に立たないものに支出することが多かった。本当の意味で無償の公教育などに生産的支出が必要。(リニア、企業献金、武器爆買い)第三の矢には羽がない。あべは連続して3回、2/3以上の議席を獲得した。内閣人事局も掌握した。退職金無しで正規労働者を解雇できる法律の改正を画策したが失敗した。(森友疑惑、桜疑惑が浮上した。最高裁判事の任用に失敗した。今も裏金が問題となっている)。第三の矢は、有権者と海外株式市場の投資家を惹きつけるためのレトリックにすぎなかった。安部のアドバイザーは株価が上がれば支持率が上がると信じていた。安保法制を強行した。郵政改革に反対した小泉時代に排除された国会議員全員を自民党に復党させている。


山崎「底が抜けた国」

2025-04-12 | 気になる本

山崎雅弘(2024)『底が抜けた国』朝日新書

 著者の「詭弁社会」は読んだが、論理的であまり印象に残っていない。この本は昨今の政府・自民党の不正に対し、具体的事例をあげてわかりやすい。そして現在、2期トランプ大統領の下、露骨に自国第1で、関税を発表し世界が揺れている。日倍安保絶対で従属的な政府に、米との交渉は日本の利益を主張できないのでは、と危惧する。特に、車輸出のトヨタがある豊田市では、これまで米や農業などが犠牲になってきたが、その延長線上に思える。構造的にも円安物価高、防衛費増大、裏金、震災より万博優先、大企業は栄えても中小企業や非正規・外国人労働者など、資本主義社会の矛盾が表れていると思う。アメリカに従属し、安上がりの安保のはずが、軍拡で経済も壊されていく日本で、根本的な視点から日本のミライを見つめ直す転換点でもある。この本にはそのヒントがある。以下、参考になったポイントのメモ書きである。(私のコメント)

 この本の目的に、①日本社会の構造的な問題を読み解き、提案する。②悲観的であるが、手遅れになる前に考え記録する。(4月の関税交渉で日本の主張を言えるか?参院選で野党共闘の統一政策はできるか?見通しは暗い)

 防衛産業は特需、三菱重工や川重、利益率30%(潜水艦不正)。

 自民党政権で大きく歪められた、「自衛」の概念。憲法、集団的自衛権。(自衛隊の米軍指揮下、防衛予算倍増に)沖縄では「軍は市民を守らない」体験。

 政党交付金、企業献金、パーティ券収入の三重取り。裏金受領はほぼ不起訴、追徴課税しない国税庁。森友、加計学園の不正。旧統一協会との癒着。放送の自由度ランキング70位(中井問題)。

1937年の盧溝橋事件から戦争拡大。(1931年満州事変~15年)

 大企業優遇政策の安倍晋三と自民党政権。トヨタの政治献金5000万円。(トヨタの不正露出)

 トラブル続出のマイナンバー継続。

 サントリーは「桜を見る会」に酒類を無償で提供。

 自民党の軍備増強は本当に国民を守るためか?能登半島の地震復旧よりイベントの万博優先。米の兵器爆買い、防衛費予算増大。米不足。大企業の利益も内部留保も過去最高、でも賃上げはわずか(トヨタは非公表)。日本でストライキは起きない。

 「自国優越思想」。日本人よりアジアの人は劣っている。東条は「東南アジアの植民地解放」とし、国民は支持。(兼中国・韓国、反米でない右翼)

 日本人は「市民革命」を成功したことがない。韓国は1980年光州事件(2024年非常戒厳を撤回、大統領罷免)。なぜ日本社会で底が抜けていても市民革命が起きないのか?1つは学校や社会(企業や官庁)の教育の結果、「公民」意識の薄れ、主体性を放棄。社会の変革を諦めない。(「新しい戦前」にしない。ネット社会のデマ、石丸候補、斎藤知事と立花)

 同調圧力に負けず、批判的思考で「問題」の所在を感知し、子ども(若者)を苦しめない。


大西「反米の選択」

2025-04-08 | 気になる本

大西広(2024)『反米の選択‐トランプ再来、従属のコスト』ワニブックス

 太西は少子化の本を出し、豊田で講演を聞いたことがある。質問したがかみ合わなかった。その後、少子化の本をもう1冊だした。少子化は結婚出来にくい若者の貧困であり、資本主義の下で解決できないという。そして、この本は資本主義の宗主国アメリカが同盟国をいじめるトランプをどうみるか、まさに時宜を得ている。これまで日本はアメリカに防衛費を負担してもらい、経済発展をしてきたと思う人が多いが、流れが変わった。守ってもらっていると思ったら、沖縄では基地を建設し、ミサイルを配備し、アメリカの指揮下に入り、再び戦場の危険が増している。そればかりか関税を24%もかけられ、弱められた日本経済は沈没の危機にある。これには早く国民が気付き政権交代も視野に入れる必要が出てきた。以下著書の要点をメモ書きする。

 NHKが放映した未解決事件の下山事件は、アメリカは国益のためには人殺しをする。これが「人権だ」とか、「自由だ」とかいう国だろうか?オッペンハイマーという映画も影響が大きい。

 大型PCからパソコンになり、スマホに代わった。日本はいち早く半導体に取り組んだが、今は遅れている。それはアメリカの圧力、と指摘する。スーパー301条によるダンピング提訴に始まる。日本企業がシェアを20%まで下げる協定をし、インテルがトップに躍りでた。韓国のサムスンも同様にやられた。日本の開発したOSをアメリカが「貿易障壁」リストに入れてきた。現在弱体化している産業は80年代にトップの機会を奪われた。それは軍事的支配を基礎とする政治的支配からである。

 アメリカが債務を負う相手国の国力を弱めるには、為替相場をドル安に誘導する。ドイツやEUはそれでユーロを創設した。バブル崩壊で株価と地価が暴落した。就職氷河期では結婚と出産の減少が始まった。1995年から円安になり、アジアはドルにペックされ97年にアジア通貨危機がおきた。「アジア共通通貨」は機会を逃した。日本はアメリカの従属国で、中国は自由である。日本が保有するアメリカの国債は円安で倍加した。しかし、財政も国際貿易も赤字のアメリカに「一連托生」の日本は、円安で物価高騰が続いている。

 日本は所得が高い国ではない。今はバブルである。0金利は異常で、物価上昇率3.2%なら利子は数%であるべき。金が中国、トルコ、ロシアなどが買い占めている。円安は日本を「選ばれない国」に、日本より韓国へ。

 自由貿易を捨てたアメリカは役に立たない。先進国が日本という後発国に競争力を奪われ、次は韓国、台湾、中国、インドへ、グローバルサウスに。

 警察や検察までがアメリカの手先に。大川原化工機の「不正輸出」冤罪。韓国の「ホワイト国からの除外」。「トランプ2.0」が想定する「アメリカ離れ」を日本ができるか?「自発的対米従属」(猿田) 中国や朝鮮には厳しく批判するが、アメリカには批判しない。小泉はイラク戦争で「アメリカは日本の同盟国なので支持する」と述べた。

 経済が失敗するとソ連のように崩壊する。中国はうまくいっている。日本は高度成長までうまくいったが、バブル崩壊後うまくいっていない。(従属のコストは日本国民の不利益)

 日米中の経済軍事バランスは?①日米同盟、②重武装自立、③対等な関係、④新アジア主義。


諸富徹「人口減少時代の都市」2

2025-03-15 | 気になる本

諸富徹(2018)『人口減少時代の都市』中公新書

この本は2度目である。人口減少がこの豊田市でも顕著になってきた。これまでの少子化対策は、政府も自治体も効果がなかったし、的外れであった。豊田市でも出生数が激減している。若者(女性)が流出している。出生数の激減は対策が誤りであり再検討が必要である。減少が止まっても時差があり、当面(2~30年)出生数の減少は避けられない。減少を止める対策をしながら、減ることを前提に都市政策を考えるべきでなかろうか?この本では2018年に、成熟型の都市経営を提起している。

 駅周辺に集約させるだけでなく(コンパクト化)、社会資本の再編、住宅区画の拡大、公園緑地の拡大など都市の風格も上げられる。人口減少のスピードは速い。過去の労働力移入の反動で、高齢化も豊田市は著しい。社会資本も老朽化し維持管理費が増える。更新投資費用もいる。秦野市、鎌倉市は財政シミュレーションを実施。

都市経営はあれかこれかが第1である。都市経済は、グローバル化と脱工業化。物的要素から非物的要素への投資へ。道路、水道、工業団地への20世紀型投資の転換。ものづくりから人づくり。人的資本。脱工業化、知識化。

野澤千絵は住宅過剰、資産価値が下がる。世帯数の動向。市街地の店舗数。饗庭は長期的にコンパクト化でも、短期的にはスポンジ化する。

 中心市街地活性化法が失敗、総務省行政評価局「地域活性化に関する評価・・」。大型店の郊外化、規制緩和、再開発。青森の失敗、津山市の失敗(4月訪問予定)。

 1999年「特定用途地区」大型店が郊外に、2006年まちづくり三法。

 コンパクト化と矛盾。ネットワークは?(自動運転、空飛ぶ車、タクシー)多極的な都市構造。人口獲得競争。郊外の開発抑制。ドイツの都市は郊外規制、市街地の車規制、歩行者の歩きやすい街、LRT.魅力ある商店街。市の投資と税収の増加バランス。

 所有と利用の分離で高松の丸亀町(4月訪問予定)の成功事例。イベントで売り上げは伸びない。定期借地権、店舗継続は実力本位。事業費69億円の効果は税収増?

 石川、公園整備、良質な宅地開発、税収増という好循環に。

 さいたま市は「公共施設マネジメント方針」(豊田市も公共施設管理計画)

 「環境・循環型社会・生物多様性白書」の水俣市を事例。飯田市の事例。(足助の事例)情報公開と住民参加。まとめ、環境から人口減少、財政、都市政策へ。

 コメント

 アベノミクスの失敗、戦争と米国の軍拡、環境と産業構造の転換で、国民生活は悪化、貧困化している。特に人口減少・少子化にその矛盾が現れている。その要因分析が不十分で、正確な対策が打てていないと思う。原発と再エネ、軍拡と平和、大企業と地域経済、イベント行政と暮らし等再検討が必要である。


山崎「詭弁社会」

2025-03-12 | 気になる本

山崎雅弘(2024)『詭弁社会』祥伝社

東京都知事選挙、兵庫県知事選挙、米大統領選挙など、今やSNSが果たす役割は大きい。真実が語られ有権者は正当に選択されたか問題である。

トランプは日米安保でアメリカは日本を守るが日本はアメリカを守らない?と言い出した。果たしてそうか?これまで日米安保を理由に軍事費を日本は抑え経済成長してきた。ジャパンアズNO1と言われた頃をピークに、貿易摩擦、日米構造協議などで日本経済は政治だけでなく経済も低迷しはじめた。軍事的には金を出し、自衛隊も派遣した。軍拡と円安物価高、失われた30年の根底に日米関係がある。武器の爆買い、駐留費、さらに台湾有事を口実に沖縄方面にミサイル配備をすすめている。そして、2027年度防衛費は2%目標で、先日の日米共同声明では上乗せ(3%)を約束している。沖縄のミサイルは迎撃可能か、日本防衛になるか?抑止力による軍拡は周辺国を緊張させる。専守防衛から先制攻撃を言い出した。原発は狙われないか?外交努力はどうなのか?民主主義とは何か?

歴史認識はどうか?この本の3部を見てみよう。

日中戦争期と太平洋戦争期。1937年盧溝橋事件から日中戦争が始まった。銃撃戦が日中戦争へ、一方的に「支那側に反省を促す」ということで「自衛権の発動」がエスカレートした。やがて「アジア・太平洋戦争」へ。

大日本帝国が12・8戦争を始めたのは、アメリカによる対日石油全面禁輸の対抗だった。しかし日本政府は、アメリカ、イギリス、オランダなどから「解放戦争」で、「侵略戦争」でないと説明した。ビルマとフィリッピンには独立を承認したが、傀儡政権だった。ベトナム、ラオス、カンボジアはフランスが支配し、「日仏現地軍事協定」が結ばれた。米の徴発、買いたたきでベトナムでは餓死者がでた。

真珠湾攻撃の4月前に「総力戦研究所」では、アメリカに戦争で勝てないと「シミュレーション」していた。しかし、東条は日露戦争で勝てると思っていなかったし、戦争では予想外のことがおきる、と発言した。

2015年9月15日憲法違反の「安保法制」が強行採決された。2022年岸田内閣の閣議決定で、「反撃能力」ということで長距離ミサイルの配備を決めた。反撃能力は敵基地攻撃能力であり、先制攻撃が抑止力という専守防衛、自衛は詭弁ではないか?


原発と核兵器(止められない原発)

2025-03-05 | 気になる本

青木美希(2023)『なぜ日本は原発を止められないのか?』文芸春秋

原発の経過と問題点 2025.3.5 本多弘司

 2011年福島の原発事故を受けて、『2014年6月、政府は「依存度を可能な限り低減する」としつつ、電源全体を下支えすることを意味する「重要なベースロード電源」のひとつに原発を位置付け、規制委員会の審査に合格した原発については再稼働を進めるとする「エネルギー基本計画」を閣議決定しました。』(NHK) その後、耐用年数60年の延長、汚染水の海洋放出、そして、2025年基本計画は原子力依存度の低減が削除され、「可能な限り最大限活用する」と書き換えられた。

まず、事故のデブリが取り出せていない、安全審査の不十分と不透明、政府の学術会議への干渉、コストが安くない、責任と保障の曖昧さ、地震国、避難計画の未整備、汚染土の行き場がない、核ゴミの処分場の見通しがない、さらに戦争になればテロやミサイルに攻撃される、など疑念が残されたまま現在に至る。

この本では記者個人として、新聞社から出版許可が下りなかった。仕事以外で独自に取材し検証した記録である。福島の教訓は日本国民として、エネルギーだけでなく環境、人権、平和の問題として考える必要があり、本には考える材料が沢山ある。以下、そのメモ書きである。

はじめに

p5政府と東電は2015年に、「関係者の理解なしには、いかなる処分も行いません」として、県漁連に約束したが、汚染水を21年海洋放出した。。

p12 政府は汚染土を全国で利用する方針を決めているが、行先は決まっていない。

p14 最高裁は原発事故の国の法的責任を認めなかった。

4章 原子力村

P108パーティ券は電事連が仕切っていた。

p118 1997年OECDに派遣していた古賀氏は、発送電分離を進めようとしていて、止められた。

p121 原発は一番安いのではなく、太陽光の方が安い、2021年経産省。

5章 原発と核兵器(核抑止力)

p166 石破「日本は核を持つべきだと思っていないが、作ろうと思えば、1年以内に作れる。

長崎市長「核保有国が増えている現状を見る限り、(核の保有が)安全に寄与していないことは歴史的に明らかだ」

大江健三郎「原発が潜在的核抑止力とは、前例なき民主主義無視の論」

p180 澤田「物理学が人類を滅亡させることになるかもしれない」と、核兵器禁止運動に取り組むようになった。

湯川・朝永宣言は「何よりも第一に核抑止という考え方を捨て、私たちの発想を根本的に転換することが必要である」。

核抑止について澤田は「人間は、戦争で問題を解決しないことを学んだ。国際紛争は話し合いでしか解決しない。軍事力で何かをやるといのは時代遅れ」。さらに「自然エネルギーに転換することで原発をなくせば、本当に豊かになると思う。なのに、政府は逆のことをやっている」。

岸田は「再生エネルギーの主電源化を目指すが、バランスのある議論をしないといけない」。「核兵器禁止条約は自分だけが入いって終わりというほど、いまの国際情勢は単純ではない」。

石破「原発は安全じゃないが、ゼロにする答えが無い」。原発がテロの標的になる?

「いざとなったら核が持てる、という能力を持つことは無意味ではない」。核廃絶をしながら、アメリカの核の傘に頼っている。

原発にミサイルが落ちてきたら守れるか、防衛装備担当に聞いた。「イージス艦とパトリオットなら1,2カ所なら守れる」。

p190 ロシア軍がウクライナ戦争で真っ先に占領したのは、チェルノブイリ原発だった。

7章 原発ゼロ

p268 原発は2013年9月から2年間はゼロ。それでも停電はなかった。

フィンランドのオンカロの400m処分場はまだ完成していない。日本では温泉が電るのでは?処分場は日本ではできないな!


トランプに隷従か対等・中立か?

2025-03-04 | 気になる本

松田 武(2022)『自発的隷従の日米関係史』岩波書店

 現在ニューヨークで、核兵器禁止条約の締結国会議が開かれている。しかし、日本の政府・自民党はオブ参加していない。また、先日はウクライナとアメリカの共同声明はまとまらず、停戦への道は少し遠のいた。20世紀の2回の世界大戦からの反省から国際法や国連憲章があるが、21世紀になっても戦争は止められない。平和の道は抑止力による軍拡か外交による平和か、貧困、環境、人権など人類の課題は重い。特に日米関係のあり方は、米国ファーストのトランプに隷従か対等・中立、平和と経済の行方が問われている。

 日米関係を築いてきたのは、戦後の占領軍から憲法、ドッジライン、民主化、日米安保、サンフランシスコ条約、朝鮮戦争からの反民主化など大きな転機がある。ジャパンアズナンバーワンから、防衛費負担増、日米構造協議などから、日本経済は失われた30年のデフレからインフレにと変わりつつある。

日米首脳会談では石破首相は、5年間で43兆円の防衛費拡大が閣議決定されているが、その先の増大も約束している。「台湾有事は日本有事」と緊張をあおり、日本のミサイル基地化、先制攻撃、米軍指揮下で、かえって戦争に巻き込まれる危険性が増している。

以下、おわりにからのメモ書きである。

 米国は、日本を軍国主義にさせない。核兵器の開発、保有をさせない。日本が自主(中立)路線を取らないよう、チェックする。

 「核の抑止力」に依存した対米追従、対米隷従のアメリカ一辺倒は政府・国民が選んだのか、アメリカの圧力か?政府は「米国の核の傘」を「寄与の条件」としてきた。

 「対等であること」は、国民に緊張とストレスが増す。防衛費のコストが安く抑えられるのか?

「核の抑止力」に代わる新たな「価値」と「術」を創造する十分な努力をしてきただろうか?

日本の自由(中立)を考えることは緊張をもたらすが、民度の高い成熟した人間に成長するだろう。(トランプの無茶ぶりに追随するか、対等の関係に築けるか、ピンチでもありチャンスでもある)


非正規雇用 負のスパイラル

2024-09-14 | 気になる本

NHKスペシャル取材班(2023)『中流危機』講談社現代新書

 以下その抜き書きである。(  )内は筆者コメント。

第4章 非正規雇用 負のスパイラルはなぜ始まったのか

 1990年代初頭に起きたバブル崩壊に端を発し景気低迷、好循環が逆回転を始める。そして経済のグローバル化と中国などの新興国の台頭である。日本企業の徹底した合理化で人件費の削減に着手し、お家芸だったエレクトロニクスや半導体など、中国や韓国に後塵を期す。製造業の海外移転が進み、産業の空洞化が進んだ。デフレ不況化において会社員の給料を一律引き上げるベースアップはなく、中間層の賃金減少、消費減、価格引き下げ、利益減と投資減、イノベーション減、賃金の更なる減少という負のスパイラルが継続してきた。

 1985年のプラザ合意をきっかけに、為替市場で円高ドル安の流れが加速した。「新しい日本的経営」の1995年には80円を切った。年功序列と終身雇用はコストが高すぎて持続できないという状況になってきた。競争に勝つためにはコスト削減しかないので、いかにコスト下げるかということが一番の問題だった。

 労働者派遣法の改正が雇用の劣化を生み、低賃金につながってしまうという懸念は、派遣法の生みの親ともいわゆる経済学者も、早々に指摘していた、派遣法の対象業務を専門的な知識、技術または経験を必要とする業務などに限定し、賃金相場を高めることだった。1999年改正の時に、理念が歪められ派遣法の立法の原点を忘れた。(2004年には製造業まで拡大した。派遣法と共に職安法も1999年に民営化等が改悪された。)

 2008年リーマンショックによる派遣切りが社会問題となり、派遣労働者が雇用の調整弁として扱われていたことが表面化した。

 そのツケが、今になって表面化している、と駒村教授は話す。問題は賃金だけに留まらず、将来展望がなくなれば消費控えや少子化にもつながり、不満が貯まれば自分よりも恵まれた人たちを引きずり降ろせばいいんだ、といういわゆるポピュリズム的な政治の動きにつながり、社会の分断が進むことになる。賃金が伸びず中間層が沈み込めば大きな会不安になると懸念する。

 コメント

 現在、少子化はアベノミクスの失敗と労働法制の改悪である。子育て支援、少子化対策は効果なく、豊田市でも出生数の激減と若者の市外転出である。2月の市長選挙では学校給食無償化、18歳通院医療費無料化など子育て支援が一歩前進した。しかし、非正規の削減、学生の奨学金援助、労働時間の削減など抜本策はこれからの課題である。

 非正規雇用の拡大が負のスパイラルを招き、日本経済の停滞の大きな要因であることの経過は理解できる。ではどうするか?誰が頑張るべきか、その処方箋がリスキリングではミスマッチである。アベノミクスの金融緩和、さらには日米安保と経済従属、武器爆買いなど踏み込まないと日本沈没である。

 この責任は労働法制を改悪した自公政権にある。また、国民がそれを選んだことにも、間接的に責任はある。では、労働組合はどうであった?連合は非正規の問題に取り組んだのか?中部産政研2014年春巻頭言で理事長の東政元氏が、「非正規労働について考える」で非正規労働者を削減する提言は、正論である。トヨタ労組も一時期は期間工の問題を取り組んだが、その後は無視した。長い目で見れば非正規削減は負のスパイラルにならず、会社の利益にもなったはずである。


林他編「交通・都市計画のQOL主流化」と豊田市

2024-07-09 | 気になる本

林、森田、竹下、加知、加藤編(2,021)『交通・都市計画のQOL主流化』明石書店

先日の豊田市の新総合計画の中間報告会のシンポは、市長は挨拶だけで帰り、報告書の説明はなく抽象的で何が問題点なのか、参加した私には理解できなかった。

現在の自治体の総合計画・都市計画マスタープランの都市構造は、立地適正化計画後はコンパクトシティ+ネットワークで主である。つまり人口が減少し、経済成長も望めない、従って市街地を縮小し、駅周辺に住宅や都市施設を集約しようという発想である。それは今までの線引きを見なおし、さらに誘導的に集約することと、核となる地域拠点(駅や支所など)を交通ネットワークで結ぼうというものである。本では触れていないが、中山間地を抱える自治体では、過疎化とどう向き合うかというテーマがある。中山間地の人口減少は激しく、一定の住める人口維持をどう支えるか?学校、交通、営農林、自然エネ、コミュニティなど限界にきている。能登半島地震での復興の遅れに、過疎問題が大きな要因に思う。

QOL(quality of life生活の質)については、以前の豊田市の総合計画ではテーマになっていた。大企業のある豊田市では、一応不正があってもトップ企業であり、影響力は大きい。林、加藤さんは中部の人で、加藤さんとは以前会い、話を聞いたこともある。

この本で気になるポイントはQOLの評価である。2部ではヨーロッパの事例が中心にある。都市の事業の評価は難しくわかり難い。例えば、豊田市ではラグビー大会やラリー選手権などイベント起爆剤に、都心開発に多大な予算を使っている。市民の6割以上が、魅力と賑わいに疑問を持っている。しかし、市は経済波及効果や都心の歩行者交通量、住戸の増加をあげ効果があったと一面的に評価している。以下本書のポイントとコメントである。

はじめにで林は、「経済成長から個人の幸福」への移行を掲げ、その評価法を提案しているがやや専門的で理解しにくい。豊田市の解析を市が委託して報告して頂きたい。感じとしては豊田市の都市思想とは対立するようにも思うが、異なった意見が対比されれば市民も理解されやすい。豊田市長は中核市の中で幸福度1位と選挙公報で書いていたが、財政力、投票率など評価基準は何か、が問題である。

コンパクト+ネットワークは対立するという見解はなるほどと思った。豊田市の場合はコンパクト(都心整備、幹線道路促進)が優先で、過疎対策は疎かでである。幹線道路は市に推進室を置くほど熱心であるが、生活道路は自治区を通さないと要望も受け付けない。ネットワークでは鉄道、バス以外にも多様な方法が模索されている。著者の指摘する通勤者だけでなく、高校生、高齢者の交通弱者の視点が重要である。

1-2 現行の費用便益分析による事業評価の矛盾 で、手法のミスマッチ、幸福要因の変化を指摘する。2章のQOLは本書の肝である。専門的であるが表2-3での評価指標、求人倍率、家賃、通勤・通学時間、買い物と病院と病院の所要時間、駅への所要時間、住宅の広さ、公園までの時間、騒音、自然災害の発生度、交通事故の遭遇頻度、大気汚染の度合い、交通手段のやさしさ、生物多様性、居住地区の清潔感など、具体的である。点数化してどう評価するかは不明である。交通具の質の評価指標では、所要時間、渋滞、乗り換え、自由度、安全性、料金などをあげている。また、別の表で運転しやすさ、歩きやすさの指標も示している。豊田市の都心整備の評価では、歩行者数が増加したとあるだけで、科学性もなく乱暴である。4章ではドイツのQOLの事例や、歩きやすさの指標がデータ整理されている。豊田市も参考にして数値で公表して欲しい。

名古屋圏の事例から、都市構造に関する課題として、拡散型都市構造が進展した理由を、①郊外地に手ごろな戸建て住宅が入手、②車を自由に使うライフスタイル、③自然の近くで子育て、④大規模集客施設や公共施設が郊外に立地、を指摘する。豊田市も労働力として流入した人が、郊外に住宅、団地、学校など作って、「低密度の分散型市街地」を形成してきた。そして、線引き都市計画でコントロールできたのか、立地適正化計画への連動などの評価・分析がされていない。国家高権の規制緩和(高さ、容積率、日照など)で建築自由が進み、デベロッパーの利益優先で都市の計画があるとは言い難い。表4-3-6では、QOLの評価要因が示されている。これを使って豊田市の都市を評価し、他市と比較すればわかりやすいのではないか?

都市構造のシナリオによる分析(4-3加藤、戸川)では、持続可能性評価システムを活用して定量的な評価を行う、としている。人口・世帯数の算定方法、将来人口の推計結果、人口の集約化シナリオをなど名古屋市でグラフの事例が分かりいやすい。シナリオ別CO2排出量とか住宅タイプ別割合、交通機関指標は分かりやすく、豊田市でも作成し学区別に説明して欲しい。わかりやすい資料で説明しないと行政の計画について、市民参加や意見が集まらない。表4-3-13事例として、住宅購入費等の助成と住宅整備支援で、富山市、金沢市、福井市、岐阜市がある。多治見市では公共住宅の補完として民間賃貸の補助制度が参考になる。