豊田の生活アメニティ

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内田「生きづらさについて考える」

2020-10-23 | 気になる本

内田樹(2019)『生きづらさについて考える』毎日新聞出版社

 以下、気になった箇所の抜粋です。

 韓国に学ぶことを忘れた日本

 数年前、韓国では教育監が誕生した。これは教員たちを管理しない、創意工夫に現場を委ねる方針で、自由な校風の公立学校が誕生している。韓国の情報に鈍感なのは、嫌韓感情をメディアが配慮して自制しているかも知れないが、急変を理解していないかもしれない。

 アベ独裁制の正体

 総選挙結果をみて、まず不備なのは小選挙区制で%ある。比例区得票率は自民とは33.3%で議席占有率は61.1%である。立憲民主・共産・社民の3野党の比例得票率は29.5%であるが、獲得犠牲は14.8%である。

 「立法府は機能していない」という印象操作に安倍内閣ほど熱心に取組成功した政権は過去にない。非常事態が宣言されると、憲法は事実上停止され、内閣の定める政令が法律に代わる。衆議院選挙は行われないので宣言下で「終身議員」となる。国会が承認を繰り返せば、緊急事態は永久に延長できる。不当と国民がデモやストを行えば、「社会秩序の混乱」として排除される。

 シンガポールは経済成長が国是で、一党独裁と治安維持法で令状なしで逮捕拘禁でき、反社会運動もなく「世界で一番ビジネスがしやすい国」である。

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朝日新聞東京社会部編「もの言えぬ時代」

2020-10-22 | 気になる本

朝日新聞東京社会部編(2017)「もの言えぬ時代」朝日新書 

 内田 樹

 人口減少と超高齢化に直面。社会構造の変化と対応の必要。危機感が共有されていない。いまだに要職にある人は「成長戦略」とか「少子化対策」というような空語をむなしく語っているだけ、ゼロ成長、人口減少にどうやってソフトランディングするか緊急で具体策がない。いまだに五輪だ、カジノだ、リニア新幹線だという「20世紀ソリューション」にしがみついて、経済が浮揚するありえない夢を語っている。

 資本主義末期の際立った特徴は一握りの富裕層と大多数の貧困層への階層の二極化です。「選択と集中」理論にもとづいて、限りある資源をすべて「勝ち組」に委ね、彼らがどかんと稼いだら、その「おこぼれが」貧困層にも「滴り落ちる」(トリクルダウン)という新自由主義理論が世界中に語られてきました。実際はどこにも起こらなかった。今しなければならないのは、中産階級のこれ以上の崩落を防ぎ、貧困層を戻すことです。

 大学では文科省の資源配分に与った学長や理事長が、学内で上のいうことを聞く、イエスマンしか出世できなくなってしまった。

 アメリカはこの属国をひたすら収奪するだけだと思う。安倍政権はそれを受け入れ、「属国の代官」でいいと思っている。国内的にはすきなことをさせてもらう。かっての朴チョンヒや、フィリッピンのマルコスや、インドネシアのスハルトは、アメリカに協力を制約し政治的フリーハンドを約束されました。求められる年貢をもってくるのが、「良い代官」である。小泉はブッシュとため口をきき、ろくでもない政策を全て支持し「友情」に基づくものと説明し、日米は「イーブンパートナー」という幻想をまき散らすことに成功した。

 安倍政権は13年以降、特定秘密保護法、集団的自衛権の行使容認、安保法制、「共謀罪」法と、属国化路線をすすめた。それでも内閣支持率は下がらなかった。「対米従属以外に国のあり方を思いつかないから」だと思う。

 主権回復を。沖縄に基地があり、不平等条約の地位協定がるのは、日本政府が安全保障上必要と判断して要請しているからだ。エネルギーも貿易も医療も教育も、国の根幹政策は日米合同委員会や年次改革要望書を通じて、アメリカの国益を最大化することがすなわち日本の国益を最大化するという欺瞞的なロジックを政治家も官僚もジャーナリストも信じているか、ふりをしているからです。

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「アジア辺境論」その②

2020-10-20 | 気になる本

2章

姜 安倍外交は地球を俯瞰するというが、完全に失敗している。ロシアには(2島返還に後退しても)経済的においしいところだけ、つまみ食いされかねない。ロシアと緊密になろうとして、中ロ関係にくさびを打ちたいが、失敗している。北朝鮮の脅威は中国が決定的なカードを握っている。

内田 日本の政治家、官僚は失敗を認めない、失敗事例から学習しない。

 日韓がきちんと相互信頼に基づいてパートナーシップを発揮したら、東アジアで最も強い国家連合ができる。

3章(日韓の「確執」)

姜 竹島の領土問題など小さな岩礁は棚上げしておけばよい。(従軍慰安婦と少女像、徴用工の問題は河野談話や村山談話を後退させ、歴史修正主義である。未来志向も過去の戦争の反省をしないと前に進めない。)

内田 トランプショックで世界が呆然としている時に、ゴルフをやって仲良くなる。「宗主国に尻尾を振っている属国の代官」だと言うのが丸見えだ。対米従属さえしていればわが身は安泰だから、アメリカのご機嫌をとればいいというテクノラートは政財界にたくさんいる。(アメリカの武器爆買い、思いやり予算など国益を損なう)

 2016年12月山口でプーチンとの会談では、2時間またされて、お金を貢いで、(領土問題は)「これからです」と言われている。

4章 「日本の生きる道」

姜 政治が「私物化」している。官僚が「忖度」し、政治主導の規制改革も、政治の「私物化」である

税金は取るだけ取って、再配分はしぶる。

内田 社会的弱者は自己責任、弱者救済に公的資金を投ずる必要はない、と言い立てる人が多い。それは「社会的強者の自分たちにこそ公共的な財を優先的に配分せよ」ということです。小田原も根っこは同じ。(職員の「生活保護をなめんな」ジャンバー事件)

 人件費を上げると国際競争力が落ちる。正社員を増やすと国際競争力が落ちる。国際競争力はある種のマジックワードです。実際にシェアを取り合っているのは、グローバル企業です。

姜 79年にイギリスに行った時、サッチャーの演説を聞いた。「社会はありません。あるのは個人です」。(今年、サッチャーを師と仰ぐジョンソンは、コロナに感染して「社会はある」と実感したようだ。)

内田 日本の大学のアウトカムは先進国で最低レベルに下がっている。(安倍政府は大学予算を削り、軍事研究に補助金を出し、菅政府は日本学術会議の委員6名の任命を拒否した。)

姜 司馬の「この国のかたち」は、明治を持ち上げていて疑問だが、「街道をゆく」は良い。

内田 韓国は大統領を弾劾できるから良い。日本は大臣や官房長官が嘘をついても、政府・自民党の支持率が高い。政治が腐敗しても、国民の側に自力で修復する気がおきないのは、属国マインドのせいです。

姜 紆余曲折を経てデモクラシーが定着しそうな社会のライフスタイルや価値観や生き方というものを、お互い近づけていくことは、ある意味不可避なのではないかと思う。そこの地域で生きている人たちがその課題をつかんで、お互いを近づけていく。香港や台湾でデモが起きると韓国でもすぐ反応するし、韓国でデモが起きると日本でも取り上げる。

おわりに 姜

唯一の被爆国であるはすの日本が、核兵器禁止条約という画期的な取り組みのために事実上反対の表明をした。核保有国が参加していない。北朝鮮の核の脅威が増しているのに、米国の核の傘から離脱できないなど、いろんな理由が挙げられそうだ。一見するともっともらしい「現実主義」こそ、日本が、未来に向けたビジョンを発信できない。核抑止力など、どこまでその実効性を客観的に検証できるのか、その明確なエビデンスはないと言える

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内田、姜「アジア辺境論-日本の生きる道」その①

2020-10-19 | 気になる本

内田樹、姜尚中(2017)『アジア辺境論』集英社新書

 アメリカ経済圏とEUの間に挟まれ、アジア圏を主張すべきと思っていたが、大国の覇権争うの中で小さくても先進の韓日台に絞って連携し、自立した構想を創るという発想は具体的で現実的である。いか、本からの抜粋である。(  )内は私のコメント。

姜 自由を最高価値に掲げ、民主主義が一番進んでいると思われている国で、どうしてこのようなポピュリズムや反知性主義がぼっこするようになったのでしょうか。

 そんなやつらに雇用や税金を取られるなと排外主義の言説を唱える極右政治家が人々に熱狂的に支持される。デモクラシーの本家であったはずのアメリカで、イギリスで、フランスで、内なる敵を排除しようという力が大きく働いています。

 民主主義は自家中毒に内なる敵を作り出すことによって、人々の敵愾心をそちらに向けるような働きをする。日本でも、嫌韓、嫌中といったヘイト・クライム的な現象が以前より広がりつつあります。

 アジア主義の残滓として、戦後非常に歪んだ形で表出されたのが、安倍さんの祖父の岸信介によって結成された、日韓台の反共同盟だったと思っています。

 反共同盟の成果は、植民地主義や過去のアジア主義の負の遺産は清算せずに反共・冷戦の論理だけが覆いかぶさることになりました。いまだに過去の歴をめぐる日本と韓国の確執は消えていないし、溝は深まった。韓国と台湾で民主化が進んだ

 トランプ、プーチン、習近平など、大陸国家の共同覇権のシステムが出来上がるときに、民主主義的な連携としてその隙間にいる、韓国、日本、台湾、この関係が非常に重要になってくるんじゃないか

内田 なぜ、成熟した民主制国家から独裁性が生まれるのか、それは民主制と独裁制は相性が悪くないからです。

 ヒトラー以下の一連の事例に共通しているのは、外交内政の政治的環境が非常に複雑になり、変数が増えすぎて制御が困難になり、国民一人一人が自分の頭で考えることができなくなった状態で独裁制への移行がおきた。シンプルな政策を提示する政治勢力に人々は引きつけられる。民主制から独裁制への移行をもたらすのは、最終的には知性の疲労だと思う「難しいことを考えるのを好む」ような傾向をどうやって創り出すか。それが民主制を守るための思想的な急務ではないか、と考えている。

 共和制とは、穏やかでゆったりした気分で統治に関わる重要なことを論じられる環境のことです。いっときの感情や熱狂によって重大なことが即断されることがない。共和制とは意図的に作りこまれた「決められない政治」システムのことです。日本は何でもアメリカの模倣をするが、「共和制的な制度によるリスクヘッジ」だけはまったく模倣する気が無い。都道府県への分権性、三権分立も両院性もアメリカほど機能していない。

 トランプは選挙中に連邦税を払っていなかったことを指摘されたけど、「すべてのアメリカ人は私がスマートだからだ」と言って、支持者の喝さいを浴びた。税金を払わない人間に自分たちの納めた税金の使い道を決めてもらうことに、どうして気付かずにいられるのか。

 姜 今の日本はほとんど内閣独裁、官邸独裁に近い状態になっている。橋下元大阪市長は、選挙で「いったん選挙で選んだんだから文句をいうな」と、「白紙委任」という言葉まで使っていた。(安倍・菅政治を見ていると、民主主義は3権分立、議論の保証、地方分権、言論の自由、人事の公正が重要に思う。小選挙区制度や政治資金も問題である。)

内田 21世紀になって、自民党の若手議員は世襲議員と執行部の「オーディション」で、上の眼鏡にかなった「イエスマン」だけになった。自分の固有の政治的意識を持っていない。

姜 韓国では憲法裁判所がある。朴大統領の罷免がされた。日本では政治性の高い課題には、裁判所の司法審査の対象にならない。

内田 アメリカは失敗したら補正できる。ソ連にはなかった。中国にもない。(もちろん日本もない)中国が経済成長しても、アメリカに代わることはないと思う。アメリカ、ロシア、中国、EUの大陸型国家の世界分割になると思う。

 「グローバル化、グローバル化」となんで叫ばなくちゃいけないのか。成長率ゼロでいいじゃないですか。世界が変われば、経済モデルも変わる。グローバル化もいずれは止まる。

姜 アメリカの自動車は国際競争に勝つ見込みはない。それに代わるものは、兵器産業しか残っていない。兵器は「他の兵器を破壊するためのもの」で、多くの兵器需要が発生する。(兵器需要で軍拡競争となり、世界に戦争は絶えない)

内田 アメリカ人の代わりに自衛隊員が行って血を流してこい。アメリカ人はもう血を流す余力が無い。ベトナム戦争以降、帰還兵たちの精神の壊れ方が半端でない。帰還兵の自殺は毎日20人近い。日本の場合も、イラク復興支援に当たった自衛隊員の56名が、帰還後に自殺している。

姜 リニアはJR東海の9兆円のプロジェクトです。最初は自分たちで資金調達をやると言っていたのが、工期を速めてくれれば政府が3兆円負担することになった。(地下深く通るので土地所有者の買収も承諾もいらない。)関東、中部地方、関西地区でGDPの半分以上が集中し、首都圏以外は雑魚構想ですね。

内田 「コンパクトシティ」構想があるが、里山には行政コストをかけない、国土放棄の先駆的形態だ。(公共投資はしない。まずは「自助」で。)故郷を捨てて街に出ろ。「無法の荒野」が広がる日本列島になる。人口減局面で、なお経済成長するなどという無法なことを考えたら、地方切り捨て、国民資源の首都圏集中以外にない。(豊田市でも都心に選択と集中で多くを投資した。でも、松坂屋は撤退で都心の空洞化は進む。それでも、中央公園、博物館の建設は進める予定である。法人市民税は半分ほど国税化された。)

姜 (アメリカのサンディスプリングの独立事件について)富裕層による、効率化とモビリティの独占、自分さえ快適ならば、後の雑魚は知ったことではない。超富裕層のタックスヘイブンも同じことですよね。

内田 日本がこれほど人口減少になるのは有史以来初めてだ。回復見込みもなく、経験もない。日本が世界でその先頭を走っている。資本主義は人口増を前提にしている。マルクスもそうだ。リニアもそうだが、人口減で経済成長が停滞する過渡期には、五輪や万博やカジノのように打ち上げ花火的企画や兵器産業へのシフトや、大きな公共事業への支出という政策が次々と行われる可能性がある。

(2章以降は次回)

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新しい「安倍政治を許さない」in豊田

2020-10-03 | 平和・人権・環境・自治制度

 安倍首相が病気を理由に、行き詰った政局打開のため、菅新首相が継承しました。引き続き3日行動も継続となりました。参加者は先回を上回り25人でした。

 私の訴えた内容は、以下の通りです。

私たちは、作家の澤地久枝さんの呼びかけの「アベ政治を許さない」活動を続けてきました。アベ政治は良いことなしに長期に続きましたが、コロナ対策の愚策など行き詰まり辞任しました。悪性の数々、忘れるわけにはいきません。安保法制の強行、森友加計学園、桜疑惑、河井前法相夫妻の逮捕、自民党からは破格の1億5千万円が、河井事務所に渡され選挙買収の疑惑などです。政治の私物化、不正など説明を果たしていません。

アベ政治の中枢にいた官房長官が、派閥の論理で安倍政治の悪政を継承しました。残念ですが、アベ政治は許さないも継続します。

菅総理は、アベ政治の悪政を受け継ぐとしています。そして、縦割り行政、自助・共助・公助。携帯料金を下げる、デジタルの強化など小手先の人気取り政策だけです。国会で堂々と所信表明をすべきです。コロナ禍で国民が苦しんでいます。野党が憲法に基づいて要求している臨時国会で十分な議論をすべきです。

 縦割り行政よりも、先に、忖度政治を止めること、官邸が横やりを止めることが一番です。嘘の答弁やデータを出さない。改竄する。嘘と誤魔化しの政治はもう御免です。官邸が官僚の人事を決める内閣人事局が問題で、公正中立な人事委員会に戻すべきです。

 ふるさと納税では菅さんが総務省の時代に発案し今の形にしたと言われています。ふるさと活性すると言うより、返礼品目的の過当競争になっていて、納税の趣旨が外れます。返礼品や税額控除や還付で得するのは高額所得者です。これに問題があると意見をいう官僚が、左遷されてしまいました。

 また、科学者が政府から独立して政策提言する日本学術会議の新委員105人の内6人を、菅総理は説明もなく推薦名簿から除外する政治介入をしました。

外された委員は安全保障関連法、テロ等準備罪、検察庁人事に反対した人です。政府の考えに反対する人は任命しないという、学問の自由を侵すものです。政府は形式的に任命で、天皇が内閣を任命すると同じ。

 アベ政治の悪政の流れを止めるには、市民と野党の共闘で連合政権をつくり政治の転換をしましょう。国民から医療・福祉・教育の改善を求めましょう。

  • コロナウイルスでは、PCR検査を拡大し、感染者をホテルなどに隔離する。病院の支援、少人数が級の実現。非正規を減らして正社員を拡大しよう。
  • 消費税を引き下げること。
  • 憲法違反の安保法制をなくすこと。米軍の武器爆買いをやめること。
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