豊田の生活アメニティ

都市デザイン、街歩き・旅行、くらし

豊田市緑の計画

2017-11-29 | 都市計画・まちづくり

豊田市緑の基本計画(案)パブリック・コメントが11月30日までなので、急遽まとめ提出しました。

1 まもる:「既存の制度による森林の保全」について

 既存の制度では守れないと思う。例えば、市内足助地区の大規模メガ・ソーラ設置は74haあり、造成で森林が破壊される。再生可能エネルギーの趣旨に反する。アセスメント法の改正要望や条例制定が必要である。

2 まもる:「湿地の保全」について

 ラムサール条約に基づき矢並湿地が保全されている。ここでは管理・保全のマニュアルがあると思う。有名でない民有地の湿地の保全の方針を示すべきである。例えば、下山の研究開発施設は愛知県企業庁からトヨタ自動車に移管される。ここでの湿地はどのような基準で管理・保全されるのか?また、知られていない無名の湿地をどのように把握し、保全するのか示して欲しい。レッドリストを早く作ること。

3 まもる:既存制度による農地の保全について

 宅地が増加し農地が激減している。農あるくらしの維持が困難となっている。既存制度では守れないのではないか?ものづくりの支援は工業に偏っている。農業の具体的な方策・支援策が必要である。豊田市の食料自給率が14%ほどである。国の目標水準に近づけるべきである。

4 ふやす:市街化区域の身近な公園の整備と活用について

 全体の数値目標があるが、一人当たりの数値目標が欲しい。公園都市を名乗って欲しい。都市計画決定している公園の整備実行計画を持つべきである。例えば、松ヶ枝町の公園計画地はずっと駐車場になっている。整備年度の目標年次を設定すべきである。毘森公園はスポーツ課になっているが、都心にあり子どもの遊びができる利用計画を住民参加ですべきである。計画担当課を公園課に変え、安城市の堀内公園のような総合公園に変えるべきである。

4 いかす:人工林をいかした地域材の活用について

 現在間伐材の活用はあるが、根羽村のように地域材の提供など具体的に示すべきである。リフーム補助制度、まきストーブの設置助成などを望む。

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下山の研究開発地の湿地観察

2017-11-28 | 平和・人権・環境・自治制度

 トヨタ自動車の研究開発施設(約670ha)を、愛知県企業庁が代行して下山地区に造成している。自然環境のアセスメントが実施され、動植物の希少種と里山など保全される。その中の2つの湿地を、下山の自然を愛する会に同行し、企業庁の人と一緒に先日観察した。道路沿いにある湿地では、道路の反対側の樹木が地元森林組合により伐採されていた。それは道路法面で倒れそうな支障木を切っているとのこと。しかし、湿地側では伐採禁止のマークの中にある山桜、カシ、コナラなどが数本伐採されていた。また、湿地側の法面切土には苗木が植えられていた。これが成長すると湿地の日陰にもなり、道路にはみ出し支障木となりうる。企業庁の人は都市計画法の制約と説明したが、下山は都市計画区域外であり適用は無い。

 もう1か所は開発前に来たことがあり鳥の多い場所である。イノシシ対策で囲まれ田が多くあるが、地目はなぜか雑種地に転用したそうだ。米は作らず水を張り鳥のえさ場にするのだろうか?写真はその周辺で落葉樹を伐採して開けている。萌芽更新のために切ったそうだが、切株から新芽は出ていない。会の人の説明では、切株の年輪から樹齢40年程で、20年以上のものは更新しないと言っていた。管理のマニュアルはあるが、どういう事情かわからない。里山や湿地を保全することは専門知識と労力が必要で大変である。企業庁から民間会社に移管し、テストコースの機密性から敷地内への閉鎖をされると維持・保全状態がチェックできなくなる。中山間地の農林業も手が入らず、疲弊している現実もある。

 公聴会ではアセスは造成だけという説明であったが、建物も含めて行ったという。当初の研究目的・施設の変更はないのだろうか?近接して養鶏場がテストコースの近くにあるが、鶏への影響はでないだろうか?素人ながら気になった点である。季節的には草花は枯れていたが、静かな紅葉の谷津田・湿地散策を楽しんだ。

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永続敗戦論その2

2017-11-28 | 気になる本

 95.北朝鮮問題にみる永続敗戦。北朝鮮については、核開発、ミサイル、拉致問題と大問題が山積している。日本の解決手段は経済制裁であるが、圧力に功を奏する見通しもない。北朝鮮は「拉致問題は解決済み」、日本政府は「この問題が解決しないと日朝の国交正常化は無い」と、平行線である。平壌宣言では、経済援助つまり過去の植民地支配に対する事実上の賠償金である。安倍首相は憲法改正推進本部で、横田めぐみさんの例を出して、「こういう憲法で無ければ、めぐみさんを守れたかもしれない」としている。首相の発言の非論理性・無根拠性は、悲惨の一語に尽きる。

 TPPの標的は、関税ではなく「非関税障壁」、つまり各国の独自の商慣行、安全基準である。「遺伝子組み換え作物の表示義務」の撤廃を働きかけているのは、モンサント社である。経団連がTPP推進を主張するのは、会長の出身企業が住友化学で、日本のパートナー企業でもある。もう一つは、日米安保である。尖閣諸島に一部を米軍施設が借り上げ、この問題に米国は「中立」である。米国中心の秩序には日中の関係に楔を打ち込んでおくこと。対米従属の無限化を自ら嬉々として進める勢力が社会を支配している。「イコールパートナーシップ」という幻想は、「主権の幻想」でもある。日本が「押しつけ憲法」を斥け交戦権を回復し、アメリカと対等となれるか?9条改定は主権の回復を意味しない。

 歴史認識問題で、米国の虎の尾を踏みかけた。従軍慰安婦問題で新見解を打ち出した。米国有力メディアからも厳しい批判を浴びた。フセインなど自ら育てたエージェントが全く価値観の異なる制御不能の怪物として敵対した。日本の親米保守勢力にその覚悟は無い。これ以上の甘やかしを許すか、アジアの有効関係を強制するか、あるいは紛争を焚き付け武器の商機とするか、という選択肢である。日本はアメリカの後ろ盾なしに周辺諸国と向き合わねばならなくなる日が来る。

 対米従属による「平和と繁栄」路線を支持した日本人の多くも、日米安保は必要だがアメリカの戦争に巻き込まれたくない、9条の使用価値を認めてきた。「唯一の被爆国である日本は・・・」という考えと、「2度と再び他国から核攻撃されたいために進んで核武装する」というものがある。戦前の国体は天皇制であった。戦後は不平等な日米安保、象徴天皇と憲法のセットである。本土決戦を避けられたのは、ソ連に対日参戦と2発目の原爆投下であった。戦争終結は遅かった。国体とは自主的決意による革新・革命の絶対的否定を意味するものである以上、国体維持を実現したかたちの敗戦は、敗北という外見に反して、その実革命に対する華々しい勝利に他ならなかった。3・11以降、合理的な思考によって裏付けられた確信へと高めることをやり遂げるならば、怪物的機械(国体)は変わる。

 ドイツの首都のど真ん中に、「お前たちは負けた」という巨大施設がある。日本は東京のど真ん中にA級戦犯が「神」として祀られる靖国神社がある。国際舞台におけるリーダーシップの違いが対照的である。 

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「永続敗戦論」その1

2017-11-27 | 気になる本

白井 聡(2013)『永続敗戦論-戦後日本の核心』太田出版

 本書は12年にatプラスに掲載された論文を、書き直したものである。77年生まれの著者が39歳に書いたもので、凄い着眼点であり論理構成もしっかりしている。13年ベストセラーになり、各種の受賞もしている。この本は誰のお勧めだったか忘れたが、憲法が問われている今、戦後を敗戦から続いていると捉える思想は、日本の核心的問題である。そのことによって見えてくる問題、アジアには強気であってもアメリカに絶対的従属の関係、軍備増大で抑止力による「積極的平和主義」、あるいは核武装論、先制攻撃追認など、再び戦争前夜への危険性も孕む。さらに、ヒトラーの手口、秘密保護法、戦争法、共謀罪などアベ自公政権で平和・人権・民主主義は後退している。以下、本書のポイントを拾う。

 29.「戦後」の本質;多くの日本人が「平和憲法」を経済的繁栄に結びつけており、自分たちの生きる時代を名目上「戦後」と呼ぶことに不満はなかった(キャロル・グラック)。しかし、民主主義の虚構は崩れ、軍事的危機へ向かい、経済的繁栄は失われた。「戦後」は見当たらない。3・11の原発事故で、腐敗した政治的権力構造が明らかになり、大学・メディアも呪縛している。「戦後」の概念の吟味と変更を提案する。48.敗戦を否認しているがゆえに、際限のない対米従属を続けなければならず、深い対米従属を続けている限り、敗戦を否認し続けることができる。かかる状況を私は、「永続敗戦」と呼ぶ。戦前的価値観の共感を隠さない政治勢力は、ポツダム宣言受諾を否定し、東京裁判を否定し、サンフランシスコ講和条約も否定する。ならば、もう一度開戦せねばならないが、筋の通った「蛮勇」を持っていない。

 尖閣諸島問題では、これまで棚上げしてきた。極右政治家石原の東京都買収を言い、野田内閣が国有化し、中国を刺激する結果となった。日本は「カイロ宣言」と「ポツダム宣言」を否定してきた。米国は、尖閣諸島の帰属は「中立」立場である。諸島の一部を射撃場として管理している。日中の軍事衝突が起きても、「尖閣は日米安保の適用範囲」としていても、米軍の参戦を自動的に意味しない。政府の問題に「口出し」をした石原は、米国との関係が出てくると、たちまち引き下がった。五島のうち二島は、米軍の排他的管理下で、石原にとって二島は米国の「固有の領土」とみなされるようだ。日本を代表する「ナショナリスト」は、「米国にはへつらい中国や韓国には居丈高に振る舞う」(豊下)という。米国に対しては敗戦によって成立した従属構造を際限となく認め永続化する一方で、その代償行為として中国をはじめアジアに対して敗北の事実を絶対に認めようとしない。

 千島列島の問題では、サンフランシスコ講和条約第2条を否定・破棄しなければ四島返還は無理な話である。ソ連の対日参戦から日ソ共同宣言までの行為には、道義的に非難されるべきことが多々ある。しかし、日本人が見落としているのは、日本のシベリア出兵に対する報復の要素を持っていた。日本が総数で7万人以上の兵力を投入した軍事行動は、歴然たる内政干渉であった。

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足助地区にメガ・ソーラ

2017-11-23 | 平和・人権・環境・自治制度

 パシフィコ・エナジー(株)が豊田市井ノ口町三ツ足1番-42の一部(中京CC付近)に、62メガワットの太陽光発電を建設着工し19年に運転開始です。規模が74haと大規模な森林開発です。市の開発手続き条例は適用前で、市土地利用対策会議協議の資料を開示請求しました。個別法は森林法、一部砂防法です。

 再生可能エネルギーは好ましいことですが、大規模な森林伐採、造成工事、環境のアセスはどうかなどが気になります。豊田市としては庁内関係課の意見を集約し、開発に関する3者協定書を結んでいることは、利害関係者が限定的ですが一定の評価もできます。既に手続きは終え、着手の段階ですが問題点を追ってみます。

 会社としては自然環境保全調査を県に提出しているようです。県への資料開示は県庁で時間と手間がかかります。愛知県のレッドリストによる希少種があれば対応するとしていますが、位置の特定と保全されるか、第3者の監視の担保もありません。豊田市のレッドリストはまだ作成されていません。

 運営期間は20年としていますが、太陽光の買い取り価格も変化しています。事業者も採算ベースに乗らなければ投げ出す可能性があります。全国的にもメガ・ソーラは「自然破壊」の心配もあり、自治体の対応は後手になっています。アセスメント法の対象範囲を強化するよう法律改正するか、先行して自治体の自主条例制定で経済・環境アセスが望まれます。(紅葉時期のため現場はまだ見ていません)

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なぜトヨタは税金を払っていなかったのか?

2017-11-14 | 気になる本

大村大次郎(2016年)『なぜトヨタは税金を払っていなかったのか?』ビジネス社

 これまで豊田市は、トヨタのお陰で成長・発展してきた。しかし、今はトヨタの恩恵はほとんどない。国も自治体も大企業優遇の政策で、トリクルダウンを誤信しているようである。税金の視点から絡繰りの解説と問題点の提起の書である。以下のそのポイントである。

 はじめに トヨタは日本のリーディングカンパニーである。トヨタがやっていることは、他の企業も真似をする。日本の大企業の実質の税負担率は非常に低い。雇用でも、トヨタは非正規で悪影響を与えてきた。極端に言えば、「デフレ不況はトヨタが起こした」といえる。

 序章 トヨタは「虚構の世界一」。トヨタは2009年から5年間も法人税を払っていなかった。エコカー補助金も優遇された。企業の税金は法人税、事業税、法人住民税である。3つの税金は企業の黒字分にかかってくる。08年のリーマンショックで、その後の2期だけが赤字であった。しかし、日本の法人制度には赤字繰り越し制度がある(家計にはない)。最大の理由は「外国子会社からの受取配当の益金不算入」がある。子会社で5%納税すれば、95%が課税収入から除外できる。09年は営業赤字でも、経常利益は黒字だった。これは「海外子会社からの配当などにより黒字になった」ことである。日本の本社での利益が少なく、海外子会社の利益が多くなっている。トヨタが税制上優遇されている要因は、政治献金にある。

 トヨタは今でもまともに税金を払っていない。外国子会社の受取配当で「税控除」と研究開発減税で、実質税負担(税額)が20%も下げられた。節税(優遇)スキームで大企業ほど税金が大幅に安くなっている。エコカー補助金でトヨタは4000奥円の得をした。実は「日本の法人税が世界一高い」というのは大きな誤解である。

 トヨタが日本の雇用をメチャクチャにした。派遣法を改悪し、非正規雇用が増大し(現在35%)、格差社会と少子高齢化の大きな要因となっている。今の日本の状態では、人材の質が下がっていく。日本のサラリーマンは、企業にとって人材であるとともに、顧客でもある。トヨタは「輸出戻し税」で、毎年20003000億円還付される。(そのため、豊田の税務署は税金の徴収が毎年数千億円赤字である。)車の税金は安くしても車は売れない。自社の目先の利益を優先し、国民の負担を増やし   て、国民の自動車の購入力を下げた。

 トヨタは日本経済に貢献してない。下請け企業も潤してなく、07年度の水準も7割の下請けは回復していない。経済が循環しないのは大企業が溜め込むことである。153月のトヨタの内部留保は17兆9千億になった。もっとお金を社会還元すべきである。外国でのパッシングもあり、国内を大事にし、非正規を改善しないとトヨタも未来がない。

大企業を優先する経済政策の愚。それはトリクルダウンという理論からきている。富裕層にお金を回しても、消費に行かず貯蓄が増えるだけ。日本の大学生の半分は有利子の奨学金を使っている。人材枯渇で、日本は老人国家になる。永続的に発展する社会にする必要がある。大企業、富裕層が税金を不当な方法で逃れるというのは、トヨタだけでなく、世界中で行われている。外国に子会社を作ることや、タックスヘイブンなど庶民は利用できない。庶民の負担は増え、格差は広がればやがて社会不安や経済崩壊につながるだろう。一部の者だけがうるおう社会というのは、決して長続きしない。

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「閉じていく帝国と逆接の21世紀経済」

2017-11-08 | 気になる本

水野和夫2017『閉じていく帝国と逆説の21世紀経済』集英社新書

 本書は前著「資本主義の終焉と歴史の危機」に続くもので、0金利がなぜも長く続くのかということに、応えたものとしています。1000年の歴史的な視点とグローバルな視点で、日本経済の出口なき経済戦略の問題を解き明かしています。だが、10月の総選挙の結果安倍続投が決まり、格差と貧困の増大、株主優先の企業の不正、国の借金増大、企業のための成長戦略など、まだまだ国民の苦難は続きます。以下ポイントを抜粋します。

21世紀の超低金利では、「実物投資空間」から蒐集できず、歴史の終わりである。これが資本主義の終焉で、グローバル資本に振り回されたくない、社会や資本を閉じる方向へ。国民国家への揺り戻しであり、イギリスのEU離脱、アメリカファーストでトランプ大統領の誕生である。格差の拡大は実質賃金と企業利益の推移に表れている。国家と国民は離婚状態である。

 グローバル経済が可能なのは、世界秩序が安定していることが前提である。国家が資本を管理できない。国家はグローバル企業、すなわち資本が活動しやすいよう規制緩和や法整備することで資本に奉仕すれば、経済成長を実現でき、国民もそれなりに満足するとおもっている(トリクルダウンの誤信、筆者)。動力革命、燃料革命など様々な革命で世界が一つになったが、フロンティアはなくなった。IT革命では実物経済は成長できない。金融工学、原子力の魔術性、宗教性はリーマンショックや福島原発で失敗したが、ビッグデータ、AIなど宗教性を自覚しないと資本主義は終わらせられない。「成長教」の信奉者の代表格は日本銀行である。資本主義と民主主義が結合しない。成長を追い求めれば民主主義の破壊となって現れる。グローバリゼーションも、イノベーションも瞬時にものを買うことができ、遠方の労働力を利用できる。機械のように合理的に労働者を管理できる。

 政府も日銀もデフレ脱却を言うが、平時の金利水準に戻りたい、近代に戻りたい、という「近代引きこもり症候群」にかかっている。アガンペン「法治国家から安全国家へ」で、緊急事態の宣言はヒトラーの権力掌握で、一度発令されたものは二度と解除されなかった。「安全国家」は、国内に恐怖をつくり出すことで、自身の存在理由を維持するようになる。日本もその道を進んでいる。オリンピックの開催でテロが高まると、人々に恐怖をイメージさせて、共謀罪法を強行した。ゼロ金利は、資本の自己増殖の停止を意味する。日銀が国債を買い占め、市場に出回る国債が消滅し、市場メカニズムが働かなくなる。日銀自らが資本主義の幕引きを行っている。

 9・11以降、現在のISに至るまで、世界中でテロが頻発している。日本では安保法制が成立し、貧困と格差が拡大し、国民の財産よりもグローバル企業の利益が優先する(まさにトヨタ城下町に見て取れる、筆者)。EUのなかにポスト近代の可能性がある。金融取引税や金融統合案などである。

 今後中国も住宅バブルがはじける。先進国と新興国の経済がともに落ち込んでいる現状では、過剰生産力を輸出で吸収することもできない。ソ連の場合はボーランドやチェコだけで、過剰生産力を吸収できなかった。それがソ連の解体であった。「一帯一路」は中央アジア、欧州までのフロンティアであるが、中国の生産力を吸収できないだろう。

 日本はアメリカ金融帝国の「属国」の道を選び、今なお近代にしがみつこうとしている。レーガノミクスの失敗を日本は繰り返すのか。アメリカファーストはこれまで以上に日本を抑圧してくる。EUに学び、アジアの地域帝国を作る準備をする。成長至上主義と決別し定常状態へ移行させる。①普通国債を増やさない。国債発行を0にする。②エネルギーの国産化し、自給率を高める。③5つか6つの「地方政府」、経済圏を作る。

日本はEU帝国を先導したドイツとは対照的に、対米従属に固執し、国民国家のまま、「閉じたアメリカ」の中で搾取される従属体制を強化しようとしている。本書と前著「資本主義の終焉と歴史の危機」は、ゼロ金利がなぜかくも長期にわたって続くのだろうという疑問に対するひとつの回答を示した。

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