豊田の生活アメニティ

都市デザイン、街歩き・旅行、くらし

「脱法ハウス」

2013-09-30 | 市民生活・企業都市

 9月20日に反貧困ネットワーク愛知の、上記学習会がありました。学習会の趣旨として「その背後にある日本の『貧困』と『福祉の貧困』を探ります。『脱法ハウス』の問題は、実はネットカフェ難民や、生活困窮者向けの、一部悪質な無料定額宿泊所の問題とも地続きです。」とあり、参加しました。はじめに森弁護士より脱法ハウスについて、東京などの事例報告と課題の提起がありました。愛知県・名古屋市では具体的事例はまだありません。国土交通省では室内を細かく仕切り、多くの人が住んで危険な住宅を「違法ハウス」として、基準を作りました。違法だから撤去せよと言っても、低賃金・不安定労働者が増える中、閉鎖して立ち退いた住民は路上生活者に転落です。さらに、その後シェアハウスも基準をつくり、自治体に指導するように通知しています。課題案では出口の問題でなく、入り口での根本対策が必要であること、住宅の公的責任の再確認を提案されました。当面の対策として、最後のセーフティである生活保護で救うこと、公営住宅への入居の促進、公的家賃補助を挙げました。
 次に中京大学の岡本さんより、「居住福祉の視点と可能性」と題し、住宅政策の貧困の社会的背景と対策の話がありました。脱法ハウスでなくてもネットカフェやそれに近い住宅があること、孤独死、買い物難民、未婚化など地域社会のコミュニティの崩壊、社会構造の変化による暮らしの崩壊、さらに労働の流動化・劣化による住宅確保の困難、政府のストックの弱さなど全体的な問題が解明されました。ほかに超高層化マンションの売り出し、住宅の商品化、雇用の変化、自動車と鉄道等都市問題にも触れられました。経済の変化では3次産業の増大、住居資産の継承の変化、居住福祉論の展開です。将来の課題として、住居は基本的人権であること、居住水準を確保する法律の制定、(在宅福祉)・居住まちづくり、住環境形成への居住者の計画参画の必要性が提起され、納得しました。
 リーマンショックで職を失い、住居を失い、生活保護で救われたわけですが、今は生活保護の窓口排除をすすめ、住居の貧困も顕在化しています。貧困の「3点セット」職・住・生活の保障こそ重要であります。安倍内閣は消費税を増税し、労働者の規制緩和、生活保護の改悪をすすめる一方、大企業の法人税減税をすすめるアベコベ政治を行っています。国民の反撃が必要です。部会で県下の住宅の実態調査を進め、要求や政策を早急にまとめることを要望しました。写真は金山駅風景で秘密保護法の危険性を訴チラシを配る人、TPPを語る人、Big Issueを売る人等です。
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アメリカ大都市の死と生

2013-09-24 | 気になる本

ジェーン・ジェイコブス、山形浩生訳『アメリカ大都市の死と生』鹿島出版会
 最初は黒川紀章が約していたが、全訳でないのと誤解のある訳との評判でした。ジェイコブスは女性、高卒、業界紙記者でしたが、再開発反対運動など官製の都市計画に批判的でするどい問題提起をしています。幹線道路反対、ベトナム反戦運動で逮捕されるという経歴の持ち主で、その後トロントで暮らしました。ル・コルビジェ批判だけでなく、ハワード、マンフォードの都市論も批判しています。以前一度読んだというか、目を通した程度で、歴史背景など理解できていませんでした。今回、山形のこなれた翻訳で全訳が出て、富樫幸一の報告で学習会を開いた機会に急いで目を通しました。
 ジェイコブスは官製都市計画に反対し、アカデミズムにも捉われず先駆的なまちづくり運動に関わり、その実践的な経験に基づく本となっています。その切り口は街路の安全、公園のあり方から始まっています。Ⅱ部では都市の魅力として多様性を挙げています。用途の混在(日本では純化の流れ)、職住近接、古い建物の保存、再開発批判などです。そして、多様で魅力的な都市として、①地区の多様な機能、②街区の短さ、③古い建築物の保存、④十分な密度を挙げています。最も関心のある④の十分な密度とは用途の高度利用であっても、高層住宅を進めるものではありません。11章で住戸の混密や「適正規模」についても述べています。Ⅲ部、ではスラムと脱スラム化、Ⅳ部では誤った方策で住宅補助のあり方、自動車の対応、公聴会など今日に通じる興味あるテーマでもあります。ただ、学者ではないのでやや論点整理がされていないというか、理解しきれない点もあります。大都市ニューヨークを事例にしていることや、著作権の関係で図や写真が載っていないのが理解を困難にしています。グループでの輪読、討論が望ましいかもしれません。
講師は最後に「都市は生きている」と言いましたが、私は複雑系で有りその計画は都市生活、住民参加を基本にすべきだと思います。都市形成の歴史から豊田市は、大企業の自動車に特化した工業都市あるいは工場都市です。昔からの自然はあっても、多様性、文化性がなく、住みやすく魅力ある都市でないように思います。(写真は実家から貰った庭先の彼岸花です)
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ロココの会

2013-09-09 | traveling, town walking
 この会は竜神交流館で行われている自主サークルで、西洋美術史の勉強会です。西洋の建築、美術、建造物に興味があるので見学させていただきました。世界史図説をメインテキストに講師が歴史文化遺産と歴史背景を説明されていました。大変奥行きが深くレベルも高いものです。世界3大美術館の内、メトロポリタンとエルミタージュは駆け足で、それぞれ半日見ました。いつかルーブルとオルセーに行きたいです。スペインではプラド美術館は行く予定です。観光名所や名画を見るには歴史的背景の予備知識が必要です。古代文明や西洋の歴史、アジアの歴史も大局を掴みたいものです。
 ロココと聞いて、ロココ調の建築様式を想定していました。ロマネスク、バロック、ゴチックからから機能性のル・コルビジェへとどう展開するのか、その歴史にも興味があります。今回の話で記憶に残った言葉は、バビロンの空中庭園、アレキサンダー大王、ヘレニズム文明、エデンの園などです。バベルの塔は何のために、本当の話なのか。侵略戦争と王位継承の争い、宗教と戦争など疑問と興味ある大きなテーマでした。できれば質問の時間があれば良かったです。個人的には宗教画は興味ありません。1つの支配の哲学でしょうが、生活に根ざした文化に関心があります。次回も都合がつけば参加したいです。
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スペインと日本人

2013-09-08 | 気になる本

 福岡スペイン友好協会・川成、坂東編(2006)『スペインと日本人』丸善
 Ⅰ部はドン・キホーテの出版400年記念のシンポの記録で、それをどういう角度からどう読むか、幾つかの参考になる意見が載っています。ドン・キホーテは青年の頃読んだ漫画か絵本かで、あらすじを知っている程度です。気になった幾つかのポイントを以下に拾いました。書かれた時代背景を理解すること、文盲が8割で言論の自由がなかった。戯言で本音を代弁した。読んでいない方は全編第1章と、後編最終74章のみ読むことを薦めています。また、本田(2005)『セルバンテスの芸術』水芸社で、キリスト、イスラム、ユダヤ教の共生の時代から、セルバンテスの「対立の時代」、「言葉による平和の道」(坂東)を紹介しています。宗教対立と戦争、大航海時代(無敵艦隊敗北1588)、スペイン内戦とゲルニカが今の私の大きな興味となっています。
 Ⅱ部では各界関係者がエピソードを交えたスペイン論を語っています。日本との関わりで教科書にも載っているフランシスコ・ザビエルがあります。天正遣欧少年使節団(1582~90)もあります。日本では弾圧されたクリスチャン、衰退した仏教、新興宗教と政治など大きなテーマがあります。川成の第15国際旅団の炊事兵・ジャック白井も興味深いです。「第2次政界大戦の前哨戦」とも言われた「スペイン内戦(1936~39)の緒戦段階で、ドイツとイタリアの両ファシスト政権から援助を受けたフランコ反乱軍」を説明しています。アメリカのイラク侵攻と諸外国、そしてシリアへの派兵中止の英議会、ドイツ、イタリアの派兵反対態度など、歴史に学ぶ態度は日本との違いでしょうか。共和国の成立背景、国際旅団の経過など興味が湧きます。坂東は南蛮の道で、司馬の「街道をゆく」、ピレネーの向こうはアフリカ、ヘミングウェイの生誕地パンプロナ(バスク、牛追い)など紹介しています。堀田善衛の『ゴヤ』や『スペインの断章』と、その歴史分析等紹介されています。プラド美術館でゴヤの作品が見られることも楽しみです。
 2020のオリンピックは東京に決まり、マドリッドは外れました。スペインは経済危機に苦しんでいるようです。日本も財政危機で、福島原発汚染水も抱えています。アベノミクスの経済効果は大企業、資産家の一部のみでどこまで続くのでしょうか。日本とスペインの歴史、文化、経済、政治、生活等、少しづつ比較しながら勉強しようと思います。
(写真は産廃計画地付近の一色町生田です。記事とは関係ありません。)
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一色の産廃予定地

2013-09-04 | 平和・人権・環境・自治制度

 中日新聞の一面に一色の産廃予定地が生田とありました。親戚のある所で、以前はうなぎの養殖もされていました。西尾に用事があったので足を伸ばして現地も見てきました。海岸近くには広大な空き地が多くあります。新聞では三重県の産廃も受け入れるとか、海へ汚染水が漏れないだろうかなど疑問もあります。海岸線では堤防のかさ上げ、耐震補強工事などが行われていました。厳しい農業や漁業での経済状況からやむを得ない選択なのでしょうか。うなぎの稚魚の不足から養鰻場の閉鎖も続いています。写真もその一つです。合併と関係があるのか、利権がらみの西尾市政は気にかかります。帰りに一色さかな広場に寄りましたが、あいにく定休日でした。
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