豊田の生活アメニティ

都市デザイン、街歩き・旅行、くらし

日照問題の紛争予防と都市計画

2006-06-29 | 都市計画・まちづくり
(2006年3月議会 太田議員質問要約)
それでは、中項目の3番目、拠点の高度利用についてということでございます。
 少し視点が変わりますが、便利な場所に安価な住居をつくるということに関しましては、土地の高度利用というのが必要になってまいります。しかしながら、現状、豊田市におきましては、いわゆる高層建築物に慣れていないためにですね、周辺住民と施主の間で話し合いがこじれる、そういった場合を多く見受けるわけであります。周辺の皆さんにとっては、当然ながら、日照あるいは眺望あるいはプライバシーといった面で影響を受けるということになりますので、できるだけ影響を小さくしたいと考えますし、施主は、法的に許される容積率を最大限活用したいと考えるわけであります。この問題を当事者間で、言ってみれば何の基準もない、そういう中で調整をするということでありますので、トラブルになる可能性も十分にあるわけであります。
 東京都の新宿区、ここでは用途指定に基づいて容積率を決めた制限に加えて、ブロックごとに、ここでは20メートルから60メートルということで、段階別の高さ制限を設けて、高さの異なる建物、混在によるトラブルを回避するというような施策をとっておると、そういったことが新聞記事に載っておりました。これはもう全然、いわゆる大都会ということでありますので、比較にはなりませんが、考え方としては大いに参考にすべきではないかというふうにこの記事を見たわけであります。
 そこで、いわゆる高層、低層の混在を避けるために、必要に応じて高層ブロック、低層ブロックなどの段階をつけた高さ制限、そういったものを導入するという考え方をするわけでありますが、どう思われるか、まずお聞きしたいと思います。
佐藤部長
今すぐご提案のことを市民に合意を得るには大変難しい問題と考えております。したがって、少し時間をかけて市民との合意形成に向けて、例えばシンポジウムの開催などを通じまして市民の理解を深めていくことがまず必要ではないかと考えております。
太田議員
どういうふうにしてコンセンサスを得ながら、みんなでまちづくりをしていくかという考える材料、そういう意味を非常に強く持って提案をさせていただいたということであります。次にですね、高層建築物建設時に発生する、先ほど申しました、何の基準もない施主と周辺住民の綱引きと言っていいんでしょうか、条件闘争についてであります。
 これにつきましては、京都市が紛争の調停機能を持っているという、これも新聞記事を見たわけであります。京都の場合、双方が合意をして調停を依頼しなくてもですね、どちらか片方がトラブっとると積極的に中に入っていただけるようであります。
 調停は、市長や学識経験者らでつくる建築紛争調停委員会というものがあって、問題の決着を図ることができる、こんな思いから取り上げたわけでございます。そこで、建築物紛争仲裁機能、こういった窓口を設置することについて、お考えをお伺いしたいと思います。
佐藤部長
現在、豊田市におきましては、豊田市開発事業等に関する指導要綱に基づいて、建築物紛争の予防と解決に向けての対応をいたしております。指導要綱の中では、周辺に影響を及ぼす恐れのある建築物は、事業者において地元説明会等を開催し、地域住民や関係権利者等の意見を取り入れた計画となるよう調整をさせていただいているところでございます。
太田議員
 そういう機能を持っておるというお答えでございました。そうなのかなと逆に思う次第でございまして、それはそういう仕事を設定をしておるという意味ではないんでしょうか。
 といいますのは、私も何度かそういういろいろな場面を見てまいりましたが、大抵の場合は、市に相談するんであればですね、もちろん都市整備部のほうに相談するわけでありますが、当事者間の話し合いというものを進めて、現実には市民相談課に行って弁護士さんの意見を聞き、なかなかこれは難しいねということで、地元に帰って、例えば専門家をお呼びして争うと、こういうようなケース、これをまま見ておるわけですね。そうしますと、そういう機能があるんであれば、相談に行ったときに、じゃ、中に入りましょうということで、そちらの機能を使うはずなんです。しかし、そうなってないということは、場合によっては看板を隠しておるのかというような思いがするわけであります。
佐藤部長
現実には、高層建築物が建つことにより地元住民と事業者の間でトラブルが起きることがございます。日照権など民事での判断が必要な場合は、行政での調整も限界があり、司法の場で解決をゆだねることになりますが、行政が行える範囲内で調整においては、現制度の豊田市開発事業等に関する指導要綱において対応が可能と考えております。
 しかし、住民と事業者間の紛争も現に起きていることから、他の自治体においてどのように調整しているのかよく調査し、今以上の対応策があれば本市においても取り入れていかなければならないと考えております。

 コメント
新宿区の高度地区の事例を知っていることはよく勉強されています。現在策定中の都市計画マスタープランで、その方針を掲げれば充分可能なことだと思います。田中地区のマンション紛争を背景に質問されていると思いますが、地区計画地区でありながら高度規制をかけられなかった問題が残ります。都市計画・まちづくりは事態を予測して、あらかじめ計画(ルール)を決めて置くことが肝心です。紛争予防条例で京都は職員が調整することには積極性があります。紛争調整委員会も限界はありますが、設ける意義はあります。それよりも用途地域のダウンゾーニングや、開発をコントロールする狛江市や金沢市のようなまちづくり条例をつくるべきです。あるいは真鶴町のような美の条例で、ルールと開発を公開で議論するなど先進事例は多くあります。少なくとも岡崎市や三好町に負けないまちづくり条例を制定して欲しいです。大きな自治体で「権限の拡大」よりも、住民参加と首長・職員・議員の政策能力の研鑽が必要です。
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市役所の渡り廊下に花

2006-06-28 | 都市計画・まちづくり
豊田市役所の南庁舎と西庁舎を結ぶ渡りに、ハンキングで花が議員によって飾られています。これを眺めるとほっと一息つけますね。でも維持管理の水をやっているのは職員のようです。
《時の話題》
・1級建築士の資格を強化する方針を国交省が出しました。施工業者などの下請け的で、自立性のない建築士の地位向上に繋がればいいことです。耐震偽装については肝心の国交省の民間確認検査機関の制度見直しを、あいまいにしないで欲しいです。
・「福祉のための消費税引き上げ」などと言ってますが、3%導入の時もそういっていました。国の借金は無駄な公共事業によるものです。高速道路の建設計画削減や道路の特定財源廃止が先ではないでしょうか。自衛隊の削減や米軍への3兆円も凍結すべきではないでしょうか。
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体育館立替

2006-06-26 | 都市計画・まちづくり
およそ100億円で豊田市の体育館が建設中です。猿投運動公園にスタジアムと恵まれた財政は箱物が中心のようです。エレベーターがシンドラーで安全が担保されるのか不安です。市は安全が確認されるまで工事停止を求めています。
《時の話題》
春日井市の市議会議員補欠選挙で、告示後定数を1から3に変更することは、立候補が不可能であり公正とは思えません。選挙管理委員会が異議申し立てを棄却することも道理がありません。
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「都市環境の再生」

2006-06-25 | 気になる本
寺西、西村監修「地域再生の環境学、第5章都市環境の再生」東京大学出版会、2006年
本章は日本環境会議のメンバーで「都市環境再生部会」の議論に依っています。そして「都市環境の再生問題は決して都市を舞台とした経済活動再生策でないこと、むしろ討議を得て合意に至るための仕組みの改善プロセスである」としています。
人口減少の時代にパラダイムの転換をすべきものとして、縦割り行政の浸透をあげています。道路、建築など「専門部局が予算の獲得競争、局所的な最適解の総和で効率的な分業」は、「独りよがりの論理の増大を抑止できにくく」しています。公務員も目の前の問題が忙しく、将来像や全体の構想が描けないで、行き当たりばったりの仕事しかできていません。さらに、計画の地方分権、都市内分権発展で、討議デモクラシーや参加と公開の原則を指摘しています。参加支援システムとして、「戦略的アセスメント」とボトムアップによる個性的な都市計画規制の積み上げを述べています。自治事務となっている建築事務で、建築条例に任せるべきであるという指摘は同感です。しかし、民間確認検査機関で確認ができてしまうことから、集団規定は建築基準法から分離しまちづくり法とすべきだと思います。また、都市計画審議会の討議による新しいルール、「都市計画決定と部会を連動させ、決定の積み重ねが都市全体の用途地域指定を規定していくような議論」の進め方を、新しく提起しています。スプロール防止でコンパクトシティを推奨していますが、地価や住宅保障との関係ではどのようにすべきか疑問が残ります。
規制力強化の原則として、今の都市計画は既得権的な容積率や土地利用に踏み込んでいないとしています。どうやって踏み込むのか7月の講演会で聞いてみたいと思います。建築物のコントロールの手法として、絶対高さや壁面の後退距離とすべきで、密度規制、斜線制限より分かりやすいとしている点は同感です。規制緩和の流れとして、手続きの短縮や開発者優先の制度偏重、総合的設計制度の一般ルール化など「緩くて柔軟」になっていると危惧されています。既往の密度規制の値を現状にあわせて厳格化し、ダウンゾーニングを実施する必要があると指摘しています。中核市でありながら豊田市は三大都市圏のため用途地域の決定権がありません。それでも提案権は自治体にあるため、現在見直し中の都市計画マスタープランに間に合えば、美しい豊田の景観形成の最期のチャンスとなるかもしれません。高層マンションは環境条件や眺望を周囲に頼ったものです。地震で高層マンションは設備が麻痺すれば、周辺に避難しなくてはなりません。困ったときだけ助けてでは虫が良いと言われかねません。
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ラグーナに増資

2006-06-24 | 市民生活・企業都市
ラグーナの債務超過(赤字経営)で、愛知県は10億余円増資と土地を提供します。蒲郡市は28億円の増資をするそうです。NHKのテレビで全会一致をしたと、報道していたので蒲郡の共産党議員に聞いたら、以下の議会質疑の原稿の回答(抜粋)がありました。NHKに抗議したら謝罪し、訂正したそうです。
『指針にもとづき診断をすれば、現在の蒲郡海洋開発㈱がC判定となることは明かです。これは「深刻な経営難の状況にあり、経営の観点からは、事業の存廃を含めた検討が必要である」といういうものです。もうこれ以上の増資をしなくても、会社は安定的に経営できるのかといえば、それも不明であります。そもそも減損会計の導入で、大幅な固定資産の減損処理をしなければならないこと自体、それらの固定資産が収益を生み出す見込みがないことを物語っています。会社の資産状況をクリアにするための、減損処理で大幅なマイナスが計上されるという事は、リスクの大きな会社であることの証ではありませんか。銀行団が約196億円の債権放棄をしてまで、融資から撤退したのもこうした健全性の低い事業であることを見通したからではないでしょうか。第三セクターだからといって、特別扱いをして公金を投入すべきではありません。以上、理由を述べ、反対の討論とします』。
 ラグーナには見学会で一度しかいってません。駐車場料金に500円取られ、外郎とせんべいを買っただけで、又行きたいとは感じませんでした。見学したときはトヨタの出向社員が「絶対赤字にはしない」ということが、印象に残っています。
《時の話題》
・「トヨタ環境取り組みプラン」(01~05)で、トヨタはCO2を19%削減と全工場で埋め立て廃棄物ゼロを達成したと発表しました。この背景には下請けの涙ぐましい努力があると思います。
・トヨタ株主総会でセクハラ訴訟とリコールで質問。トヨタは今年になって、トヨタ車6件、レクサス2件で、低コストの利益第1でなく品質管理が問題となります。

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初陣川の臭い

2006-06-23 | 都市計画・まちづくり
出勤の途中くさい臭いがしました。初陣川でしょうか、水質は綺麗ですが、足を止めて1枚撮りました。
《時の話題》
・日銀総裁が村上ファンドに投資して1500万円の利益。庶民には0金利なのに。民主党の議員も村上ファンドにお世話になっていては、及び腰になってしまいます。
・自民党の歳出改革プロジェクトが、地方公務員の人件費削減額2兆4千億円を決めました。国の借金は827兆円で、その失敗を地方に押し付けられては割りに合いません。

コメント (1)
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シンドラーのエレベーター

2006-06-22 | 都市計画・まちづくり
 シンドラーエレベーターは聞いたことのないメーカーでしたが、世界第2位と知って驚きました。今回の事故でシンドラーは、当初技術的問題はないと言っていましたが、コンピュータのプログラムミスが発覚しました。それとブレーキの磨り減りが見逃され、保守管理が不十分だといえます。保守点検は毎年1回以上建築基準法で義務付けられていますが、メーカー直轄だと高く、保守専門会社だと情報や技術力が不足します。行政は結果報告を受けるだけで、現場はもちろん内容の安全確認はチェックできません。豊田市ではシンドラー制のエレベーターは30件ほどだそうです。民間委託、規制緩和、人員削減で安全がおろそかにされて、事故がおきると慌てて状況把握するのが現状です。耐震構造偽装もアスベストも本質的な解決策が取られぬまま、次の事故がおきています。長い目で効率や維持可能な社会を目指すべきではないでしょうか。
 時の話題
 米牛肉輸入を不安なまま再開決定しました。もし事故があったら、決定した人の責任を明記しておいて欲しいですね。
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雉の赤ちゃん

2006-06-21 | 市民生活・企業都市
日曜日は捨て猫の赤ちゃんがぎゃーぎゃーと玄関で泣き、息子がミルクをやっていました。幸い猫好きの姉が飼ってくれています。月曜日は息子もバンクバーへワーキングホリデーで出かけました。火曜日は静かになりました。水曜日の今日はチーチーと玄関先から泣き声が聞こえます。近所の世話好きの奥さんが、側溝に雉の赤ちゃんがいると教えてくれました。雉かどうか分かりませんが、成鳥を祈ります。我が家の南側の工場跡地は分譲される予定です。それで雉のテリトリーが狭くなって、玄関先の側溝へ赤ちゃんを産み捨てたのでしょうか。雉の赤ちゃんは飼うには小さすぎます。日照りも暑いし、梅雨で流されても可哀想だし、開発を恨んでいるようにも聞こえます。
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公園が駐車場

2006-06-21 | 都市計画・まちづくり
豊田市の都心にあるジャスコの駐車場は都市計画公園になっていますが、一向に事業化の予定がありません。公園の計画のため地主に固定資産税の減免はありますが、駐車場として貸しているので一石二鳥かもしれません。いっそ都市計画公園を見直した方が良いかもしれません。
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マンションシリーズまとめ

2006-06-18 | 都市計画・まちづくり
 高層マンションは適法であっても建設でトラブルとなります。私は日照問題にも関心がありますが、アメニティ、景観の主要な要素でもある高さをコントロールすることだと考えています。保見団地など除いて市内の住居系の各地の高層マンションを撮ってきました。
 紛争となる前に用途地域を見直し、高度地区の高さ規制をかけるべきだと思いますが、1種、2種中高層住居専用地域では既に建設されています。総合計画見直しや都市景観法で都市の風格や美しい街が言われているだけに、高さ規制を都市計画・まちづくりの中心テーマとして議論すべきだと思います。
 写真は三河豊田駅前の広場で大きな樹木はいいですが、アクセシビリティは今一だと思います。
コメント (2)
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