白井聡、望月衣遡子(2022)『日本解体論』朝日新書
二人の話はそれぞれ1回聞いたことがあり、白井の本は数冊読んだ。新進気鋭の学者とジャーナリストである。その二人の対談で、この国の壊れっぷりから、落ちるところまで落ちないと、日本人は気づかないのだろうか。モリカケも、オリンピックも、統一協会に、ロシアのウクライナ侵略など、本当のことを知らされていないのでは?そんなことを危惧しての二人の対談である。以下、気になった箇所の抜き書きメモである。
望 戦前の日本は天皇が頂点にいた。戦後はアメリカが頂点にいて、可視化されていた。
冷戦、東西対立があって、朝鮮戦争、台湾海峡危機、ベトナム戦争があったが、日本は「戦争の放棄」を口実に、参戦しないで済んだ。日本経済は大発展を遂げる。
白 失われた30年は90年代から始まった。最もエポッキングなで出来事は3・11である。小泉で構造改革を打ち出した。
岸信介が勝共勝共連合と関わり、安倍や自民党はどうかかわったのか、明らかにすべきである。
望 総選挙前に、立憲の幹部は自公連携をうまくやってきた。共産党攻撃に負けた。
白 総選挙で反共産党主義が出た。共産党が対米従属を問題にしている。日米関係、地位協定、沖縄など沖縄の研究者と共産党である。
北朝鮮の問題は朝鮮戦争で、それが終結できるかである。
日米地位協定も改定できない。ようするに、特別な事情が自民党にあり、DNAである。戦前のファッシストがアメリカによって免罪してもらって復権した政党である。
デモクラシーの最大の脅威は、無知である。
大阪維新の会はテレビが生んだモンスターだ。テレビをうまく利用している。
望 日本は猛烈社員でやってきて、今の経済は「そんなはずじゃない」となって、誰かを叩けば自己欲求が満たされる、感じである。
白 日本は政治的無知が多く、自民党や維新に投票している。だから、レイシズム(人種差別)や排外主義、歴史的修正主義に、賛成していることになる。
望 23年に従軍慰安婦は慰安婦に、強制連行は連行に閣議決定され、教科書検定が変えられた。
かって、自分の意見と合わないと辞める信念の官僚がいたがいなくなった。内閣人事局の影響が大きい。
経営者や株を持っている人は「安倍さんはよかった」と言えるけど、労働者は「良かった」という生活実感がない。最近は物価高で賃金も上がらない。
岸田首相は聞き流す力だ。新しい資本主義も何を言っているのかよくわからない。
緊急事態宣言で、記者会見は各社1人、フリーランスは10人で抽選となっている。
ネトウヨ的な識者、メディアが安倍時代に育った。HANADAやWiLLなど鉄道の中吊りで宣伝してきた。NHKでは河瀬直美の五輪の虚偽字幕問題があった。
白 右派にはDHCやアパなど資金提供がある。左派系メディアには金がない。労組の衰退、新聞社が儲からないなど、フェークニュースを無くそうというブルジョアがいない。
政治主導が政治私物化になった。
原発を輸出しようとした発想が狂っている。
望 ふるさと納税は菅さんの政治実績。異を唱えた自治税務局長の平嶋さんが飛ばされたのが、2014年。
白 バイデンはロシアが戦争に踏み切るのを期待していたのはないか。プーチンはNATOの東方拡大をやめて欲しかった。バイデンはゼロ回答で、アメリカの兵器産業が潤っている。
金子は、近い将来、中国もアメリカも、そして都心部ではミニバブルが起きている日本もバブル崩壊は必ず起きていくと指摘する。
望 今回の戦争のニュースを見て、多くの人が他国からの侵攻は普通に起きてしまうことと感じ、恐怖心が広がっているのはないか。恐怖心に火をつけることほど、世論を動かしやすい道具は無いと感じる。
白 戦争が長引くにつれて、ロシアとNATOの戦いになってきた。ウクライナモデルからアメリカは極東にあてはまるシナリオが、もっとも恐るべきことである。台湾と日本にウクライナの役割をさせようということになる。