豊田の生活アメニティ

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寺島「日本再生の基軸」③

2020-09-29 | 気になる本

 4章

・令和の晩鐘 平成の始めGDPは世界の16%が、終わってみたら6%。(4~6月期年率31%減)経済の埋没は政治の埋没に相関しており、この間、「アメリカを通じてしか世界を見ない」という米国への過剰依存構造に沈潜し、冷戦後の世界史に適応できていない。アジアのダイナミズムに突き上げられ、デジタル情報技術革命の中で日本の存在感は後退し、「日本を国連の安保理常任理事国へ」という声は消えた。SDGsのバッジをつけた経済人の本音の会話で、安倍外交の情けなさ、貿易協定で妥協し、防衛装備品を買わされ、米軍駐留経費の増額を強いられる。「日本はいまだに独立国ではないな」、中国の強大化に向き合うには、米国についていくしか選択肢がない、と自虐的である。(アベ政治を継承した菅亜流内閣も「日米同盟を基軸」とし、小手先で携帯料金の引き下げ、妊婦赴任治療など人気取りである。後は縦割り批判で横やりをいれる、遅ればせながらデジタル庁をつくる。)

・超低金利下の借金に慣れ切った政府や企業の体質を変え、金利上昇に対して虚弱になっている、危うさを内包した借金漬けなのである。

米中対立は市場主義の中での覇権争いでああり、理念を賭けたたたきではない。しかも、米中共にうまくいっていない。米国の失敗に、中東政策は失敗の連鎖で、9・11と何の関係もなかったイラクを攻撃した。イラン核合意も離脱した。同盟外交を混乱させた。カネをめぐる取引で、NATOへはGDP4%、日本・韓国へ駐留経費増額である。中国の失敗に、2004年香港の雨傘運動(1国2制度の放棄、弾圧)台湾の独立阻止。中国の歴史は「異民族支配」である。元というモンゴル支配、清という満州族支配。海外に動いた漢民族が「在外華人・華僑」の源泉で、1949年共産党の支配を嫌って海外に移住した中国人も加わり、世界に7000万人、アジアに3300万人が存在する。

 米中2極という立ち位置は正しくない。米中2極は理念をめぐる対立ではなく、利害の対立である。この大国主義の強い2つの国は、利害が一致すれば、手打ちして世界を仕切る可能性を内在する。

・在日米軍駐留費の75%は日本側が負担している。米軍は本土やハワイ、グアムに配備するより、日本に配備した方が安く済み、米軍基地固定化の要因になっている。1.5兆円の軍事協力、米国が見直すなら好機である。基地の順次縮小、地位協定など改定に踏み込むべきである。米中対立の中での日本の立ち位置は、非核平和主義を掲げアジア太平洋諸国の先頭にたち、成熟した民主主語国家として公正な社会モデルを作ることである。(米国との過剰強調や「積極的平和主義」の名による軍拡でなく、北東アジアの平和構想の下に、外交努力による軍縮が望ましい。)

・令和日本は、工業生産モデルを再考し、賢く「食と農の再建」を図らねばならないだろう。TPPとEPAに参加し、「自由化」の流れを受け入れ、食料自給率はさらに低下するだろう。東京と大阪は食料自給率1%、神奈川は2%、愛知は12%である。食料放棄地を活用する生産システムに参画し、食を支える関係人口としていく。日本の農業を再建すべき理由が、19年の台風災害である。被災地の上流や流域における山林・農地の疲弊によって、水を制御する保水力、治水力が虚弱化している。人類史は「狩猟採取社会」から農耕社会、そして工業社会、さらに情報社会と一直線に進化するものでない。バランスのとれた産業社会を創造する、食と農に真摯に向き合う、人間らしい社会の厚みを増す。

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日本再生の基軸②

2020-09-27 | 気になる本

2章、3章

・2010年中国のGDPは日本を上まわった。技能5輪9位と言う現実、日本の現場力の劣化。技能5輪は51種で「ものづくり」だけでない。現場力である。1位が中国、2位スイス、3位韓国。(電気産業は空洞化、自動車も自動化・電気化・シェアなど先行き不安、ものづくりの車だけ支援では立ち遅れ、トヨタの動向は?)

・中国は台湾が外交関係を持つ国に圧力をかけ、20か国までに圧縮された。トランプは大統領選当時、台湾独立を支持していたが路線変更した。トランプの基軸は「全てはDEAL」である。日本は成熟した民主国家たる自覚をもって、アジアの見本となる「国民を幸福にする社会」を探求すべきである。中国の強権化に触発される東アジアの激変は日本の試金石である、「アメリカ・ファースト」のトランプ政権に追随し、中国封じ込めと北朝鮮への圧力を主張する偏狭だけではアジアの共感と敬愛を受けられない

現代日本の政治指導者の多くは、親の地盤、看板がなければ政治家になれなかった。社会の構造的問題と格闘したことが無い人は、私生活主義に埋没し、簡単に国家主義、国権主義を引き寄せてしまう。

・プーチンと22回も会談して、北方4島返還を期待したのが安倍首相だった。ウラジオストクの国際会議で、2島返還もだめで、先に平和条約の締結を打診された。

・2018年安倍首相の3選が決まった。自民党員104万人、有効投票の55%は有権者の1%にもみたない得票で国家の運命が支配される、「民主主義」が再考させられる。

・金融政策に過剰に政治が介入し、異次元の金融緩和と公的資金の投入で株価が高いことは市場経済を歪めた。労働分配率は低下し、勤労者世帯可処分所得は97年のピーク比で、年収76万円も少ない(17年)。(勤労統計は偽装された)奇妙な「リフレ経済学」に誘惑され、異次元金融緩和を「正常化」できずに迷走するマネーゲーム国家が、自家中毒を起こしていると考えられている。

・日本企業の存在感が後退しているだけでない。日本を「トランプの都合のよい追随者」とするイメージが定着した。トランプ政権との過剰同調を重ねる日本は、「守るべき価値」を混乱させてしまった。

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寺島「日本再生の基軸」①

2020-09-25 | 気になる本

寺島実郎(2020)『日本再生の基軸』岩波書店 ①

 侵略戦争の反省、アジアの連帯、日米同盟を基軸とする「属国化」、工業ものづくりの反省と農業の自給の重要性など、日本再生の基軸を考えるヒントがあり、政府と国民が再考すべき課題がある。文献だけでなく世界を飛び回って得た知見を、歴史的に政治経済を洞察し、生活・生き方を示した書である。まずは1章から、ポイントを抜粋した。(  )内は私のコメント。

 はじめに 1章

・1988年のGDPは世界で日本は16%、2050では1.8%まで下落予想。罪深いのは「アベノミクス」なる虚構の政策論である。現在の日本の政治は、「中国・韓国になめられたくない」という偏狭なナショナリズム外交と「官邸主導」という「身内びいき」の忖度政治で、国際社会に名誉ある地位を求められない。

・リーマンショックを経ても「ウォールストリートの懲りない人々」は一段と増殖している。もはや全体像を理解・掌握できない。「借金しても経済を拡大させよう」ということ。(出口戦略無し、リフレ、経済の金融化)「格差と貧困」を際立させた。2019年3月末、IT5社GAFAとマイクロの株式時価総額は約440兆円、トヨタ21兆円、日立制作所3兆円。新自由主義は「規制緩和、福祉削減、緊縮財政、自己責任」をキーワードとした思潮であった。米国製造業の海外展開、産業の空洞化で移民労働力の流入。

・2018年の日本の物価指数が90年比で11.1%上昇が、勤労者の可処分所得はわずか3.2%増加である。「デフレからの脱却」を掲げ、物価上昇を上げようとする「リフレ経済学」が国民に不適切である。冷戦後の中の日本は「改革幻想」の中を走った。そして改革を支える思想は新自由主義であった。

改革は「行政改革」、「政治改革」、「小泉構造改革」。改革幻想は米国への過剰同調であり、新自由主義の応援歌である。

・フクシマの虚構性、①メルトダウンを日本は収束できない、「米軍による日本再占領」が検討、②建設した製造責任を問わなかった、「津波による電源喪失」(H18.吉井英勝質問、安倍答弁書)を想定していなかった。

 脱原発を目指すなら、日米安保を再検討し「米国の核抑止力に守られたい」を見直さなければならない。軍事とエネルギーは一体である。東日本大震災を境に、国民の心理に不安が高まり、「絆」「連帯」が好まれた。関東大震災が治安維持法を生む時代の空気につながった。

・平成30年を振り返ると、「対米協力」を「対米貢献」と言い換え、「アメリカの戦争」に一体となって巻き込まれた。91年湾岸戦争で90億㌦を支払い、アフガン・イラク戦争ではインド洋、イラクへ自衛隊を派遣した。ついに、安倍政権で集団的自衛権を行使可能とした。中国の台頭というプレッシャーはあったが、主体的に運命を切り開く構想力と行動力を持たなかった。(イラク戦争ではイラクに大量兵器はなかった。日本は検証すらしていない)

・戦後日本は日米同盟に守られて「軽武装・経済国家」として冷戦期を生き延び、復興・成長で工業生産力モデルの成功体験をした。平成ではそれが反転し、制約になった。戦争という大きな犠牲を払って手に入れた民主主義の価値を見失ってはならない。国民一人一人が思考力、判断力を持って自分が生きる社会の針路を決められることこそ、戦後なる日本の宝である。

・日本はアジア・ダイナミズムを吸収して活力を保つ柔らかい知恵が不可欠である。「反中国、嫌韓国」のレベルでのナショナリズムではますます閉塞感に埋没するだけとなる。

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適菜「国賊論」

2020-09-14 | 気になる本

 適菜収(2020)『国賊論-安倍晋三と仲間たち』KKベストセラーズ

 適菜の本は数冊読んだことがある。最新本であるが重なる部分もある。究極の売国奴がなぜ長期にわたり野放しにされたのか。8月に病気を理由に辞任表明したけれど、日本の将来を考える場合、目の前で発生している状況を理解しなければならない。安倍の悪政と亜流を許さないために、忘れない、諦めないが大事である。以下、気になったポイントである。

 2008年、自民党議連は、安倍の政権復帰後に「国際人材議員連盟」(会長小池)として復活。世界各国で移民に関するトラブルが噴出する中、「移民政策と誤解されないよう配慮しつつ」(安倍)、日本を移民国家にするために手続きが進められた。入管法改定に関しては法務省がデータをごまかしていたが、森友事件における財務省の公文書改竄、南スーダンPKOにおける防衛省の日報隠蔽、裁量労働制における厚労省のデータ捏造が発覚するなど、我が国は常識が通用しない三流国になっている。これらはいずれも安倍案件だ。

 1994年の小選挙区比例代表並立制の導入と政治資金規正法の改定で国の運命はおおかた決まってしまった。小選挙区制度は、2大政党制に近づく、死票は増え、小さな政党には不利に働く、政治家個人の資質より党のイメージ戦略が重要になるので、ポピュリズムが政界を汚染する。政治資金規正法で、党中央にカネと権限が集中する

 安倍はグローバリストで構造改革論者である。小泉構造改革を受け継いだ。国会でも外交の場でも安倍は平気で嘘をいう。56の基幹統計のうち4割が間違いであった。

 ゲッペルスによるプロパガンダの手法は、より洗練された形で今の日本で使われている。デタラメな説明を、一方的に繰り返し、都合が悪くなれば、言葉の置き換え、文書の捏造、資料の隠蔽、データの改竄を行う。安倍が流した「サンゴ移植デマ」について質問は開始から数秒で「簡潔に」と遮られた。

 安倍という男の人生を振り返ってみても、口を開けば「私の責任」と繰り返し、責任を取ることは一度もなかった。佐田、久間、赤城、遠藤、小渕、松島、西川、甘利、今村、稲田、桜田、・・・閣僚が不祥事を起こして辞任すると、「任命責任は私にある」と言いながら、時間を稼いでほとぼりが冷めるのを待つ

 「もはや国家や国境にこだわる時代は過ぎ去りました」というグローバリストの安倍が自称「保守派」に支持される奇妙な現象が生じている。安倍政権はTPPの締結を推進、嘘をつきながら移民政策を進め、北方領土の主権問題を棚上げしてしまった。安倍政権がやってきたことは保守の対極である。

 SNSはマイナス面も多い。訳のわからない批判をしてくるやつもいる。反論すると逆恨みされる。日本人の最大の敵は何か。「思考停止」と「諦め感」である。

 巻末の安倍の嘘一覧から(一部)

・「(日本の原発で全電源喪失)事態が発生するとは考えられない」(全電源喪失、責任は民主党に押し付け)

・福島はアンダーコントロールにある。(放射性物質漏れまくり)

・「世界有数の安全な都市、東京」(共謀罪の法案を整備しなければオリンピックができない)

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市議会傍聴、コロナ、少人数学級

2020-09-08 | 市民生活・企業都市

豊田市議会(南庁舎6~8階)

9月8日豊田市議会で根本議員の一般質問を傍聴しました。その一部、コロナと少人数学級の要旨です。2日目の開会と同時に暫時休憩で市議の半分ほどが、距離を取るため別室に移動しました。なお、6月議会は与党の独断で、一般質問はありませんでした。(岡崎、豊田、みよし)

根本 豊田市のコロナ感染者は名古屋、春日井に続いて多く、クラスターも出た。コロナ対策で検査数の拡大と軽症者の宿泊施設での隔離を、市独自ででも積極的にやるべきだ?

市  8月31日現在で、2507人検査した。国の基準に従いながら、県と相談して実施する。

コメント 市独自で検査数拡大、軽症者の宿泊施設等、積極的に実施する姿勢ではない。

根本 コロナで授業数が減った。学習の遅れへの手立てを。小4年から小6年が35人学級になっていない。来年度3年生が4年生になると、何クラス減って、クラス人数は何人増えるのか?少人数にすると予算はいくらか?

市教委 手立ては柔軟に対応している。3年生が来年度4年生になると、10クラス減る。最大で20人から40人、最低で30人から37人の見込みである。35人学級にする予算はハードを除いて、1学年約1億円である。

コメント 文科省もコロナ禍であり少人数学級は推奨している。みよし市は全学年実施している。豊田市はサポートティチャーを置いていると言うが、教師に負担は大きい。1学年1億円なら、優先して実施すべきと思う。

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アベ政治を許さないin豊田

2020-09-03 | 平和・人権・環境・自治制度

 本日3日は作家澤地久枝さんらが、憲法改悪やアベノミクスでひどい政治を行うことから、「アベ政治を許さない」と呼び掛け、全国で始めたスタンディングでした。

 ついに、安倍首相は病気を理由に辞任しましたが、悪性の数々で支持率が低下し追い込まれたものです。医療・福祉・教育など数々の悪化を忘れてはなりません。

平和 憲法を守るべき首相が、9条改悪の先頭、これは許さなかった

   しかし、秘密保護法、共謀罪、戦争法を強行

   辺野古基地は沖縄県民の反対を無視し、軟弱地盤に埋め立てを強行

   イージスアショア撤回、「敵基地攻撃能力」の方向

外交 地球儀を俯瞰する、世界を飛び回りお金をバラまいてきた

   ロシアとは2島返還論を持ち出し後退した

   中国には香港の人権弾圧には抗議もしない、大国の覇権主義に何も言

  えない

   北朝鮮と交渉もせず、拉致問題はトランプ頼みで1mmも進まない

   アメリカとは親密で日米安保を深化させた。アメリカの武器爆買い、

   日米FTAで日本の農業を破壊する

アベノミクス 3本の矢 新3本の矢、2%物価上昇でデフレ脱却できず

   異次元の金融緩和、積極的な財政出動、規制緩和による成長戦略

   GDP600兆円、出生率1.8、介護離職0 スローガン倒れ

株価は日銀と年金財源で押し上げ有効求人倍率は非正規の増加

GDPも27%下がる

   消費税を8%。10%と2回あげた。

政治の私物化 モリカケ、桜を見る会、広島の前法相河井夫妻逮捕、1億5千  万円の選挙資金。官僚の忖度。検察人事介入。

コロナ アベノマスク、Go to キャンペーン 後手後手の無策

    予備費10兆円、野党が求める臨時国会も開かない。

 これらの悪政の数々、決して忘れるわけにはいきません。戦後最長の内閣であっても、戦後最悪の内閣でした。支持率低下で、投げ出さざるを得なくなった訳です。国民のいのちとくらしを守るために医療・福祉・教育に予算を。市民と野党の共闘で共通政策と連合政権構想を示し、選挙でウソと誤魔化しの安倍自民党政治の流れを変えましょう。

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