豊田の生活アメニティ

都市デザイン、街歩き・旅行、くらし

明治用水の頭首工漏水事故の要因

2023-01-29 | traveling, town walking

東海農政局の第4回検討委員会のパイピング破壊は、複合的要因とした中間報告を読んだ感想である。

 明治用水頭首工の漏水事故について、昨年中間的な要因が中間的に報告されている。それを読んで、頭首工の上流の左岸魚道近くから漏水が始まり、流量の増大、止水版の矢板がない、コンクリートの劣化、地盤に砂層がある、古い設計など複合的要因でパイピングにより漏水が拡大した、中間的な漏水原因の報告がされた。説明を受けたわけでないが、妥当な判断と理解できる。このような施設は他にもあり、老朽や地震、気象などの状況の変化など維持管理の点検補修の必要性がありうる。上流の鵜の首の改修工事との影響は無いのか?利用目的が工業用水へと変化にどう対応するか?一般市民や市職員の技術者への原因と教訓の説明会が求められる。

東海農政局の「明治用水頭首工の漏水事故」第4回検討委員会(2022.9.30)の資料

◆発生要因、経年・劣化関係

○明治用水頭首工は、昭和26年度~昭和32年度までの7年間で建設。 その設計は、河川計画(当時)の計画高水流量2,800m3/s(頭首工地点)に基づいたもの。

○昭和49年に改定された河川計画では、計画高水流量は、頭首工設計当時の約2倍の5,500m3/s(頭 首工上流地点)に変更。

○設計当時の想定を超える流量が度々流下しており、エプロン等への外力が発生。

◆複 合 的 要 因 に よ り 、 パ イ ピ ン グ に よ る 浸 透 破 壊 が 発 生

設計

・設計は基準が制定される前の昭和20年代のもの (エプロン継目に止水板が存在しない)

・左岸側取り付け部に岩着の止水矢板が存在しない (現存する図面が不正確(存在しない矢板を記載))

地盤

・堰下に、厚さ2~3m程度、N値10未満の砂層が分布

・上流及び下流エプロン下に、砂層が分布

劣化作用

・経年による材料や地盤の変化 エプロン接続部のコンクリートの劣化や緩み 魚道横の張(コンクリートやエプロン下の基礎地盤の緩み 石礫等の接触による魚道横の張コンクリートやエプロンの損傷)

教訓

1 漏 水 発 生 前

( 1 ) 最 新 の 基 準 に よ る 設 計 の 照 査 ・ 浸 透 路 長 の 確 認 ・ 止 水 矢 板 の 有 無 確 認 ・ 上 下 流 エ プ ロ ン 継 目 の 止 水 板 の 有 無 確 認 ・ 魚 道 や 張 コ ン ク リ ー ト 部 の 基 礎 の 確 認

( 2 ) 地 盤 の 確 認 ・ 緩 い 砂 層 な ど 、 パ イ ピ ン グ の 危 険 性 を 把 握

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的場「資本主義全史」その①

2023-01-27 | 気になる本

的場昭弘(2022)『資本主義の全史』

 今の日本は資本主義社会である。立場、能力によってお金持ちになったり、旅行や物は自由に買えたり、病気、事故によって貧乏になったり様々です。政府によって戦争に巻き込まれ、社会の体制(政治経済)は無視できません。日本は高度成長から失われた30年、現在のアベノミクスの破綻、円安、気候危機、財政不安、格差拡大と社会は行き詰っているようにも感じます。著者はマルクスの経済・哲学研究社である。最近では斎藤幸平の「人新生の資本論」がある。ポスト資本主義社会を論ずることは良いことである。その前に資本主義あるいは新自由主義を理解する必要がある。この本はポイントが太字で書いてあり、読みやすい。以下、太字を中心にポイントである。

 資本主義が発達するには、そのスタートに資金が必要である。

 資本主義とはあくなき利益を得るための社会制度である。

 スミスの「諸国民の富」はイギリスの国だけの富みでなく、世界のひと人が豊かに暮らすにはどんな方法があるか。

 蓄積、すなわち節約と貯蓄は、資本主義にとって重要なポイントである。

 資本主義には、機械の発展と労働者=人間を農村から追い出すという、2つの「発展」が不可欠である。

 西欧型の資本主義がアジアで発展しなかったことは事実である。

 資本主義社会では私的所有が認められている。人権宣言では、「自由、平等、友愛、そして所有」である。国民の中に所有としないものの不平等がある。ここでは財産を得る機会が平等をいう。(この不満が空想的な社会主義思想の始まりか?現在はピケティの「21世紀の資本論」がある。)

 イギリスの資本主義を脅かすのはアメリカで、開拓が進み、人口が増え、メキシコとの戦争に勝利した。南北戦争1861~65が黒人の奴隷解放と工業化が関連した。

 レーニンの帝国主義論は、資本主義の最終段階である。今までの資本主義と違って、政府が介入し、企業がカルテルを結び、恐慌が起こりにくい。次に、企業と銀行の融合、資本輸出、領土分割。帝国主義は領土の再分割を行う。1次大戦である。

 帝国主義国は、国民国家の延長線上に生まれ、その中心国は産業資本でなく金融資本が支配している。

 公債市場から株式制度へ。株が譲渡可能になって制度が発展した。

 ヨーロッパ、アメリカ、日本という先進国は、非資本主義地域を利用して、安価な減量や燃料を好きなだけ消費して、豊かな生活を築き上げようとした。それが帝国主義であり、非資本主義であったアジア、アフリカから搾取することによって、資本主義が成立した。

 1917年にロシア革命が起き、資本主義市場の一角が崩壊した。第一次世界大戦でのドイツの敗因はスペイン風邪と革命だった。

 第一次大戦後、ハイパーインフレが起きた。インフレは土地貴族を襲い、芸術作品が貴族の館から消えた。産業ブルジョアジーが出現し、本格的な資本主義が始まった。ドイツには戦勝国から賠償金、土地の割譲、船舶の没収が課せられた。

 1929年の大恐慌まで、アメリカは繁栄の国であった。農業は栄えたが、1次大戦後穀物価格は下がり、天候不順もあって衰退した。工業は自動車を中心に発展し、都市に人口が集中し、住宅、自動車増をつくり出す。移民の制限で、景気の停滞があったが、金融緩和で怪しげな不動産投機が始まった。

 総力戦という国家独占主義となり、マネタリズム新自由主義が登場してくる。

 日本では戦前の体制と断絶することなく、一億増懺悔という一語で、誰もが責任を取らない社会が実現した。やがて冷戦により、アメリカの政策が変わり、公職追放者が次第に出獄し、朝鮮戦争による日本の再軍部が進み、戦後の改革の意味が失われていく

 1970年代のベトナム戦争は資本主義に大きな影響を与えた。

 日本は1930年以来中国に侵入し、蒋介石と戦っていたが、アメリカは蒋介石を支援し、ハイフォン港から中国へ物資を輸送する。日本はこの輸送路を断つためにベトナムに侵入する。

 戦後の冷戦構造の中心を担ったのがブレトン・ウッズ体制、アメリカという世界最大の経済力の国による、世界市場支配の体制であった。

 変動相場制になると、アメリカの企業は優位に立てる。

 1973年チリで軍のクーデターが起きる。1980年代には一般化していく新自由主義の政策初めて実験されたのは、チリだった。新自由主義というのは、経済的自由の代償として政治的不自由と法的規制が押し付けられる。

 アメリカ社会は、カジノ資本主義に変わった。欲望をむき出しにした資本主義は、経済成長を加速し、それによって地球上の資産(資源、自然)を食い尽くしていく。(気候危機)

 18世紀になり、ヨーロッパの平和を願う声が高まる中、サン・ピエールが「永久平和論」を書き、ここからヨーロッパ連合の構想が出てきた。

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乃南「美麗島プリズム紀行」

2023-01-24 | 気になる本

乃南アサ(2020)『美麗島プリズム紀行』集英社

「美麗島紀行」は読んだことがある。その紀行文の続巻でさらりと興味深く読んだ。美麗島は、台湾のポルトガル語の古称である。私のこれまで行った所の思い出は、

台北は大都市であり、地下鉄も発達していてあまり興味がない。それでも、2.28記念館は言ってみたい。台北101は興味ないが、「陶朱隠園」は行ってみたい。

淡水は海辺の町である。お寺と古い町並み、自転車ロードが良い。

桃園は空港近くであるが、まだ行っていない。

九分はそれ程興味をひかなかった。その先東海岸の小さな町に行ってみたい。

基隆は港町で殺風景であるが、小籠包は美味しかった。東海岸は花蓮まで行ったが、土産物を買わされた。タロコ公園は台風の後で入れなかった。

台中で食べたバナナが美味しかった。集集地震跡を一人で視察した。彰化県の鹿港の七曲りは歩いた。

台南は古都であるが、あまり綺麗ではない。

高雄は綺麗な街で、自転車道路が印象的であった。じっくり歩いてみたい。

 本の気になる箇所は、外省人、蒋介石と国民党、統治時代の建築物である。台湾はコロナが収まれば、一番に行きたい場所である。高雄か東海岸の小さな町に行きたい。

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的場「19世紀でわかる世界史講義」その③

2023-01-20 | 気になる本

第2部

 ヨーロッパの19世紀前半は貧困が拡大し、5000万の人が去った。

 第2次世界大戦でソ連は、ドイツが2度と大きくならないようにドイツ地域を大幅にポーランドに戻した。

 EUの基本的特徴は、1つは通過統合で実現。2つは外交権、3つはEU軍で実現していない。

 日清戦争の前、中国に対して、西欧列強は領土の割譲を要求、港湾を中心にどんどん中国は支配権を失う。ロシアもくる。福沢の「脱亜論」が生まれる。

 中国は、4千年にわたる世界の中央文明としてのプライドから、最近勃興した西欧などを潔く受け入れることはできず、どんどん力を落とす。21世紀の現在は強く復活している。日本の場合は、完全に近代文明を受け入れて、物まねも潔しとして先進文明を学び、それを凌駕する道である。

 植民地は、たんに経済的利益を獲得する手段ではなく、その地域の文化や文明を宗主国の自由にできるように、変えていく手法でもある。たとえば言語である。

 レーニンは帝国主義を批判している。帝国主義は、資本主義発展の最終段階にあると規定される。

 文化帝国主義、ランク付けする会社もイギリスで、トップテンは英語圏である。英語の論文数が評価される。計測の仕方がアングロサクソン的で、抽象的な学問はあまり評価されない。

 アヘン戦争、アロー号事件、北京条約という経過において、日本の徳川幕府は「明日は我が身」と考え、西洋にどのように対処すれば良いのか悩む。アメリカが1853年に来航し、翌年、日米和親条約が結ばれ鎖国は終わる。その後、イギリス、ロシア、フランス、ドイツ、イタリアなどがやってきて、修好通商条約・不平等条約が結ばれた。

 日本の明治150年の近代化が正しかったか。アジアを捨てた日本が、いまだに欧米に向いていて、疑似ヨーロッパを体現している。しかし、実際には欧米から相手にされていない。

 資本主義は、豊かになるために世界市場を求めるが、それが国内の空洞化を生み、最終的には停滞に至る、それを止めることができない。投資した後進国の労働者の賃金は上がるが、もはやそれに代わる新しい国もない。海外で生産された安価な雑品を扱う100円ショップが先進国にある。その分、先進国の雇用は減り、賃金が下がっている。

 戦争がなければ武器の買い替えが緩慢になる。常に仮想の敵を設定し、新しい武器が必要であると煽るが、実際に戦争を始めるかである。武器をどんどん製造すれば、やはり戦争をしたくなる。だから、帝国主義は、資本の市場の拡大だけでなく、こうした武器の「在庫一掃」のために帝国的な侵略、戦争という手段に訴えざるを得ない。アメリカの基地は世界に50以上ある。アメリカでは軍事産業が産業全体の大きな柱になる。

 おわりに

 西欧は、資本主義の発展によって世界に雄飛し、世界を植民地または半植民地にし、そこに西欧文明を普及させていく。そのためにも、世界は西欧的価値観によって統一される必要があった。これを人々は「世界史」と呼ぶ。

 

 

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的場「19世紀でわかる世界史講義」その②

2023-01-17 | 気になる本

第1部5~8章

 国民主権や民主主義は「ある時」に生まれた。フランス革命と名誉革命である。民衆が立ち上がって、民衆が主権者となった。16世紀前半マキャベリの「君主論」が近代国家成立の理論的説明である。

 オスマン・トルコは、19世紀に一挙に領土を失い、現在のトルコの大きさになった。それらの地域に、ロシア、ドイツ、オーストリア、フランス、イギリスが侵入した。最初の戦争がクリミア戦争で、次に第1次世界大戦。ドイツとオーストリアが入り、さらにソ連が入った。

 アメリカが独立し、イギリス領土の一部を失う。アメリカの独立のきっかけは、茶貿易の独占権と免税措置をイギリスの東インド会社のみに与えた。ボストン市民を無視するイギリス政府を、正当な国家と認めないので、納税を拒否した。国民は国家に税金を納め、政治に参加する権利が得られる

 フランスはルイ14世によって、オランダ、ドイツに領土拡大した。こうした拡大はイギリスと衝突し、7年戦争だった。

 ジョン・ロックは名誉革命の時代であり、主権は国民にあるという。

 フランスには、どこへ行っても国立病院がある。それが共和国における機会均等の意味である。

 ルソーはモンテスキューと20数歳の違いで、国民一人一人が自分の意思で契約を結び、つくりあげた民衆のための組織であると言う発想は、革命的であった。

 産業革命の条件は、長い期間の資本蓄積が必要である。大航海時代に世界中で金や銀を収奪し、資本を蓄積した。これと並んで、人々の意識の変革があったか。

 銀をもってアジアの商品を買うと、アジアに銀がたまる。イギリスは支払いを銀でなく、薬でもあるアヘンだった。

 オランダは、フランス・ワインの中継基地であった。中継貿易はオランダの商業に富を与えるが、工業が発展しない。イギリスの資本主義は、インド、中国を納め、産業革命はアジアの犠牲の上に立つ。産業革命によってコストを下げ、上質の綿製品でインド市場を獲得し、インド綿製品をつぶしていく。フランスも気づいていた。

 7年戦争でばく大な財政赤字で、その結果フランス革命であった。オランダはフランスに吸収されると同時に、植民地、貿易の利権もフランスに撮られる。

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「19世紀」でわかる世界史講義(的場)その①

2023-01-15 | 気になる本

的場昭弘(2022)『「19世紀」でわかる世界史講義』日本実業出版社その①

資本主義は行き詰っている。著者はマルクス経済の立場で、歴史的、世界史的視点で語っている。なぜ、戦争が続くのか、文化や宗教、技術、貿易、民族、国家など19世紀から読み解いていて、興味深い。以下、気になった箇所のメモ書きである。

(1部18世紀1~4章)

ピケティは「21世紀の資本」の中で、第1次大戦のあとで、貴族階級が没落し、産業ブルジョアと言う新しい階級が名実ともに実権を握ったと述べている。

 啓蒙主義は正しかったのか。科学によって、19世紀西欧は世界のリーダーになった。しかし、科学的合理性と民主主義の世界を実現したが、大戦争を引き起こし、ナチによるユダヤ人の大虐殺を行った。自国の文化や文明を捨てて、西欧の文明を受け入れてきた、ロシアと日本であった。(夏目漱石)

 中国は、19世紀のアヘン戦争以来、西洋に対する抵抗はすさまじかった。(竹内好『日本とアジア』)(福沢諭吉、脱亜入欧)資本主義社会が、世界史を形成していく。大航海時代が世界史をつくった。16世紀には、もう一つの大事件、ルターの宗教改革が起きた。領主を中心とした教区がローマ教会から独立し、領主は地域の境界を下に置き、トップに座る。

 モンゴル帝国、オスマン・トルコ、オーストリアのハプスブルグ帝国、プロイセン帝国。

 国民国家が外部を支配すると、帝国のような緩やかな支配ではなく、差別的な植民地支配にならざるを得ない。西欧国民国家が、アジア・アフリカに悲惨な世界をもたらした。

 近代国民国家は、1848年のウエストファリア条約から始まる。30年戦争の帰結がこの条約である。神聖ローマと言われていたカトリック地域が分解し、それぞれプロテスタント地域が新しい宗教とともに国民国家として独立する。オランダはスペインと闘って独立する。

 アジアの衰退について、良知力が「向こう岸からの世界史」(1978)という面白い本。

 アジアの長期的な文化。シュペングラー『西洋の没落』第1巻、森安孝夫『興亡の世界史』「シルクロードと唐帝国」講談社。

 十字軍は、中東に行って、さまざまな文献や技術を輸入し、多数の優れた学者を連れて帰った。ナポレオンに勝ったロシアが、フランスから学問を輸入したのと似ている。

 スミス以前の重商主義では、基本的に国家が中心となって経済を引っ張り、独占貿易の担い手になっていた。そこには輸入の発展によりも国家の発展があった。そてに対して、自由貿易こそが重要であり、個々人の自由が重要だと考えたのがスミスであった。独占貿易を行っていたオランダ、イギリス、フランス各国の東インド会社がアジアでやっていたのは。国家的独占企業による収奪だった。

 西欧の資本主義を決定的に変えたのが、18世紀半ばの産業革命である。なぜヨーロッパにしか産業革命は生まれなかったのか。アジアにも産業はあったし、火薬も銃も生産していた。西欧のような技術革新が起こらなかったのか?資本主義には2つある。儲けたら、儲けた分を使い豊かな生活を送る。も一つが本来の、儲けた分を投資する禁欲的な資本主義。

 ロシア帝国は、ソビエトという「社会主義的帝国」に移った。

 1789年フランス革命が起きると、オランダはフランスに併合される。オランダを支配したのはナポレオンの兄弟だった。オランダは今のインドネシアのバタビア地域を植民地とし、日本と貿易をしていたが、ここもフランス領となり、そこへイギリスが進入する。イギリスは武器をもって威力をしめした。ロシアも日本に出現。1853年ペリーの黒船がきて、オランダの地位は衰退し、米英仏に地位を奪われた。

 十字軍は何を攻撃したのか。なぜ十字軍を派遣したのか。宗教改革でどうしてそんなに大きなゴシック建築の教会を建てたのか、疑問が残る。

 リストはスミスの国富論を読み、ドイツにはこの理論は適用しないとして、保護主義をとった。ポルトガルは自由主義の論理に敗北し、イギリスの支配下にはいった。

 ルネサンスは、基本的にはイスラム教の文明によって大きな影響を受けた。イスラム教の力の根源は、宗教などによる差別がなかった。

 巨大なゴシック建築の教会が出来たのは、十字軍の時代からで、教会の権威を誇示するかのようであった。高く積み上げ倒壊し衰退する。微細な装飾にこだわる様式に、16世紀から素朴なバロック様式が出現する。宗教改革の発端は、カトリック教会がゴシック教会をたくさん建築したので、資金不足に陥り、資金集めに免罪符を売るようになった。協会が金儲けに走ったことを批判した。1648年ウエストファリア条約で、国民国家、近代主権国家ができた。主権がキリスト教の教皇でなく、国王に権力が移譲した。

 オランダのアムステルダムに、プロテスタントは足を踏み入れない博物館がある。今や偏狭なお愛国主義は認められない。オランダも多民族、多宗教国家になった。いやEU全体がそうなっている。近代国民国家がもたらしたのは、戦争に次ぐ戦争だった。それを避けるために、帝国のようなEUを構想するしかなかった。

 帝国とは、その支配下にさまざまな民族、多言語、あらゆる宗教を包摂していく仕組み。そのゆるやかな支配形態の中で、さまざまアイデンティティを人々が、相対的に自由に、違和感なく暮らせる。

 オスマン・トルコの衰退と西欧地域の力の増大によって、東欧諸地域は帝国の中に潜んでいる必要がなくなった。その端緒を作ったのがナポレオンである。

 ロシアを改革したのは、ピョートル大帝である。それまでのビザンチン文化を、カトリック的ヨーロッパ文化に転換させた。西洋にとっては英雄である。

 最初に登場した国民国家はスペインかもしれない。スペインは、中南米に埋蔵する金や銀を、黒人奴隷を使って採掘し、ヨーロッパに持ち込み資本蓄積し、フランスやイギリスもスペインと貿易することによって、それを手に入れた。これを重商主義の時代と言う。フランスは農業を中心とする重商主義の国であった。だから、イギリスのような産業革命は出来なかった。オランダとは別の形であった。この3つの国は海洋を使って近代国家をつくったという点では同じであった。

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岡崎駅前、リバーサイドテラス

2023-01-12 | traveling, town walking

11日東岡崎前のリバーサイドテラスへ、割引券をもらったのでうなぎを食べに、初めて行きました。駐車場の他にレストランがあります。乙川の景観を生かし、川沿いの散歩道を活かした設計です。身の丈に合い、地の利と利便性を活かしています。豊田市はスタジアムを中心としたイベント型、外来型の駅前再開発で、「にぎわいと魅力がない」市民は64%です。市議選の争点にして欲しいです。

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防衛費倍増より若者・子育て、農業支援を

2023-01-05 | 平和・人権・環境・自治制度

 私の新年の気になるニュースで一番は、内閣の安保3文書・防衛費倍増であるが、国会での議論もない。防衛費倍増、先制攻撃とトマホーク購入、「抑止力と台湾有事」で米と参戦を「手土産」に、首相は訪米か。支持率が低下する中、「軍拡が暮らし・福祉」かを問う解散総選挙すべきである。なのに、野党の立民は改憲派の維新と接近を深めている。しかも党首は乃木坂神社の参拝では、野党共闘の展望が見えない。徹子の部屋で、タモリの「新しい戦前」は時流を読んでいる。

 首相は「異次元の少子化対策」検討を重点政策として打ち上げた。検討であって本気度はわからない。これまでも成長より分配、所得倍増、1億円の壁打破など聞こえの良いことは言ってきたが、逆転している。少子化対策、若者・子育て支援は、これまでの反省がまず必要である。そして、フランスや明石市を参考にすべきである。 

 私の考えはいくつかあるが、まず非正規労働者を減らすことである。豊田市でも自然減、社会減が始まっている。非正規では定住できず、市外に転出してしまう。そして、「もう一人保育士を」増やすべきである。保育園での事故があいついでいる。民営化が背景にあり、保育の質の低下である。若い人は幼児教育の大学に行くことや、保育士になる希望が持てなくなっている。賃上げ、雇用をまともに連合が取り組んで来なかったことが要因であろう。他に、学校給食無料化、少人数学級の実現、児童手当、住宅支援も必要である。

農業学者の鈴木宣弘氏の防衛費増大より自立農業支援がツイッターで気になる。戦争になれば食料自給率の低い日本では世界の3割が餓死すると述べている。以下概要である。

#鈴木宣弘 先生の緊急発信よりメモ(深町ひろみ): 日本の #食糧自給率 は種と肥料のそれを考慮すれば10%あるか無いか。米国の大学の試算によれば、局地的でも核戦争が起これば被爆による死者は世界で2700万人程度だが、物流の停止による餓死者は世界で2億5千5百万人。3割が日本に集中」。

動画:日本が最大の標的 グローバル企業への便宜供与8つ:鈴木宣弘 https://youtube.com/watch?v=qBl5LrGDgWA… 「種子法廃止 種の譲渡 種の無断自家採種の禁止 遺伝子組換えでない表示の実質禁止 全農の株式会社化 遺伝子組換え作物とセットの除草剤の残留基準値緩和 ゲノム編集食品の完全な野放し 農産物検査規制の改定」

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