豊田の生活アメニティ

都市デザイン、街歩き・旅行、くらし

金子「人を救えない国」その②

2021-05-29 | 気になる本

以下、概要メモ。(  )内は私のコメント。

第3章 コロナ大不況がもたらしたもの

P82れいわ新選組のようにMMTを悪用して、貨幣供給を増加させて「反緊縮」でバブルを継続させる動きもある。なぜデフレ脱却ができなかったのか、その原因を消費税増税に求める二重の誤りである。日本企業の経営は、株価最大化が目標となった。自社の株価をあげるために、内部留保をため込み、配当金を増やし、自社株を買うという経営をすることである。日本企業は技術開発投資をおろそかにし、国内外でM&Aを促すことで、産業衰退を加速させ、貿易を赤字化してきた。P85産業衰退で不動産以外の国内投資が先細りとなり、マイナス金利で追い込まれた金融機関は海外に資金を流さざるを得なくなった。プラス金利のアメリカに資金を流し、バブルを支えてきた。今後世界のバブルがはじければ、経常収支が赤字になり、国内の国債を消化できなくなってしまう。日銀は出口を失いつつある。株による企業ガバナンスは機能不全に陥っている。日銀の株買いは読みやすいので、外国人投資家の餌食になっている。

P88 菅政権は感染防止と経済対策の両立を図るとしたが、感染対策の予算ではなかった。新型コロナウイルスは無症状者を検査し、隔離、追跡、治療しない限り封じ込められない。検査体制の大幅予算が組まれていない。(同じことは愛知県、豊田市でも言える。豊田市の自民クラブの予算要望はウイズコロナであった。隔離のホテルは市内にない。テレワークのためにホテル借り上げに3千万円、今年度出産した子どもに祝い金10万円である。日本ではワクチンがやっと6月から高齢者に打たれ始めたが、オリンピックまでには間に合わない。それに変異株も現れた。)

P96事実上のヘリコプターマネー。日銀の買い入れ資産は700兆円を超え、名目GDPの約1.37倍。国債も株も社債もCPも金融市場に占める日銀の比重が大きく、売るに売れない状態で、機能停止しているようだ。P108国の財政赤字も回復できる段階でない。日銀の金融緩和も出口を失い、地域金融機関を当面持たせるだけで精いっぱいである。オリンピックでそれをごまかせるだろうか?森友加計、桜を見る会など政治家は腐敗にあふれ、公文書も統計も改ざんが当たり前になっている。批判すれば、言論の自由の抑圧に現れる。

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金子勝「人を救えない国」その①

2021-05-28 | 気になる本

金子勝(2021)『人を救えない日本』Asahi Shinsho 806 

 ズバリものごとの本質をつく、著者のTwitterも参考になる。サブタイトルは、「安倍・菅政権で失われた経済を取り戻す」である。失敗の教訓を学び対案で、新しい政権を作る必要があると思う。以下要点のメモ書きである。(  )内は私のコメント。

 はじめに ウイルスは決して忖度しない。新型コロナウイルス対策の失敗を確かめ、不正腐敗が横行し、近代国家の原則すら破壊しつつある現状を自覚する。公正な競争ルールが壊れてしまえば、中長期的な産業が衰退する。

 メガ・リスクをとる作戦は失敗し、産業衰退と長期継続の賃金水準低位は続いた。円安と賃下げによる輸出主導の経済政策のツケを日銀による赤字財政ファイナンス依存で持たせる構造が出来てしまった。働かない人が資産を膨張し、若い世代は「コロナ氷河期」により、多くの非正規雇用が雇止めにあっている。

P22 コロナで無症状者を検査しない、PCR検査が決定的に不足。

P24 福島第1原発事故も地震が原因であったという指摘がある。東電はデータを隠し廃棄した。真っ先に原子力安全・保安院は逃げ、SPEEDIは隠された。放射性ヨウ素のデータもとらず、小児甲状腺がんを発生させた。

P26 ワクチンは医療従事者から、次に高齢者施設に。検査は学校、保育園等エッセンシャルワーカーには定期的に。(15歳以下はワクチンが打つ目処がない。オリンピックありきで、やってる感だけ。)収束できない。P31検査制限。検査の増加が医療崩壊を招いたのではなく、検査制限が無症状者の隠れ感染を拡大し、医療従事者の不足と崩壊を招いた。

P35 データなしの一斉休校措置は無意味。P37たかがコロナ派との論争があったが、専門家会議(のちの分科会)に議事録が無い?P38外出自粛は隔離でなく、ステイホームは無策であった。P42東京や大阪などの解除基準に客観的な意味は無く、政治的恣意的であった。

P50 経済社会衰退、縁故主義がもたらす仲間内資本主義。2013年法の番人、内閣法制局長官を内部登用から、憲法解釈変更に前向きな外務省出身者を採用した。P53ペジーの助成金28億円がまだ返金されていない。カジノも不正腐敗がひどい。P56税金を使って開催される安倍首相の「桜を見る会」は、首相の後援会が募集をかけていた。(118回の安倍首相の嘘の国会答弁を認めた。責任はあっても責任を取らないことが問題)

P60検察は、仲間内資本主義の不正や腐敗を追求するのではなく、見逃してきた。大臣室でカネをもらった甘利元大臣、コンピュータにドリルで証拠隠滅を図った小渕元大臣、など数限りない。(民主党政権が失敗と批判してきたが、それ以上にアベ自公政権の方が酷かった。)

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ND提言「抑止一辺倒を超えて」抜粋

2021-05-15 | 気になる本

米中関係と尖閣・台湾問題における日本の役割

ND提言「抑止一辺倒を超えて」より・抜粋メモ・本多弘司

 政府のコロナ対策の無為無策も不安であるが、香港の人権弾圧、尖閣諸島での領海侵入など中国の動きも気にかかる。日米共同声明、非公開の外務、防衛の「2プラス2」の安全保障会議の問題は何か。これらの疑問に応えるND(NEW DIPLOMACY INITIATIVE)の柳澤、半田、佐道、猿田「抑止一辺倒を超えて」は、情勢にピタリの政策提言である。以下、台湾と日本の課題の抜粋である。関心のある方は本文を是非読まれたい。(  )は私のコメント。

 序論

安全保障国家の存続にかかわるすべての課題。①食料、資源・エネルギー、②新型コロナウイルス、③地震、火山噴火など。が、安全保障の議論が軍事のみに偏っている

 本来、戦術論レベルの議論に必要なのは、日本情勢の客観的な評価・分析、広い視点での戦略的議論である。30年代は恐慌との対応で、各国は自国の政策優先で、ナショナリズムの高揚と社会不安の中でファッシズム・軍国主義で、戦争につき進んだ。

 巨大な経済力・軍事力を背景に既成の国際秩序を、自らに都合の良いように変更しようとしている中国の存在感は増大している。世界は権威主義と自由・民主主義体制の二つに分裂するおそれがある。さらには、自由主義や民主主義を普遍的価値としてきたアメリカやヨーロッパにおいても、これまでの政治体制に不満を持つ人が増え、自由主義や民主主義が危機に瀕している。

 安倍・菅政権が壊したもの

1 安倍政権下、日米の軍事的一体化が進んだ

 安保法制による集団的自衛権の容認と自衛隊による米艦防護、敵基地攻撃能力の保有で長距離ミサイルの取得・開発が進んでいる。戦後日本はアメリカに依存しつつ防衛力を整備してきた。基地提供する一方で、戦争に巻き込まれないないよう、専守防衛に限定し、「米軍の戦闘行為とは一体化しない」という制約を課してきた。

 仮に米中が戦えば、地理的に最前線に位置する日本への影響は計り知れない。米中が互いに対立姿勢を先鋭化するなか、「米中戦争に巻き込まれる」という同盟のジレンマが現実化する危険が増大している。

2 「説明しない政治」で不信

 説明責任や情報公開は民主主義の基礎である。(モリカケの公文書改ざん、官僚の忖度、桜疑惑で安倍首相の嘘答弁、検察庁改定法案、河井夫妻の逮捕など)

 気候変動による大規模災害、未知の感染症、大国間の偶発的な衝突というリスクに満ちた不安定な時代である。科学的に基づく論理的考察が必要である。菅政権も、科学的リスクを国民と共有する努力を怠ってgoto政策に固執した結果、感染拡大を招き、国民の政治不信を高めた。(内閣支持率の低下・逆転)

 私たちは、パンディミック対応においても強権的に国民を隔離・統制することで危機を克服する全体主義を望まない。日本が直面するリスクを正しく認識し、不安の裏返しとしての軍事力に過度に依存した願望に走ることなく、穏当で説明可能な、我が国に相応しい目標設定が求められている。(中国は強権的に都市封鎖を行った。日本は外出の自粛を求めたが、補償が不十分である。アベノマスクやウイズコロナ、gotoで対応が、科学的でなく後手である。感染者には隔離のホテルが準備されていない。コロナが収束に向かわないのは国民のせいにし、惨事便乗で国民投票を改悪し、さらに憲法に緊急事態条項を盛り込もうとしているのが自民党で、支持しているのが公明党、維新である。)

日本の置かれた安全保障環境

1 米中対立と安全保障のジレンマ

 米国は、台湾海峡や南シナ海に軍艦や爆撃機を派遣し、空母機動部隊を集結させた訓練を行うなど、中国に対する軍事プレゼンスを強化した。中国も、台湾周辺での海。空軍の活動を活発化するとともに、米海軍艦艇や基地への攻撃を想定したミサイル演習を行うなど軍事的緊張が激化した。

 トランプからバイデンに代わっても、対中国政策については強権的な政策に変化はない。人権面ではより厳しい対応を求める。いずれ側の行動も相手の対抗行動を誘発する力学が作用する。経済的には制裁の応酬、政治的には非難の応酬があり、軍事的には一方の防御的行動が一方を誘発して対抗的な行動を生み、対抗を高める「安全保障のジレンマ」の顕在化が懸念される。

 米中が牽制を強める中において、日本が軍事的な技術論に傾斜していてよいはずはなく、国益のために長期的な視点に立った議論が十分に行わなければならないし、その上で、米中の軍事衝突を避けるために日本にどのような貢献ができるか冷静に検討し、米中の理解を得て、両国の「架け橋」とならなければならない。(日米安保同盟の強化を進める日本の自公政権では不可能ではないか)

2 米中軍事バランスと前線化する日本列島

 中国は、台湾や南シナ海での武力紛争に備えて、米国の介入を阻止する能力を強化するとともに、宇宙・サイバー領域における妨害能力を高めてきた。米国は、インド太平洋の態勢を変換しつつある。兵力を小型化・分散化して、精密打撃ミサイルのプラット・ホームを増やし、相手の攻撃目標を分散しつつある。西太平洋における米軍のハブであるグアム島の防衛のための地域統合ミサイル防衛網を、同盟国と共同で構築しようとしている。

 米軍における抑止力とは、戦争に勝つことができる能力を意味する。日本国内では、「抑止力があれば戦争にならない」との認識がある。米国の新たな軍事戦略の意図が「抑止力強化」であっても、前線に位置する日本にとっては、「抑止が破綻した場合は戦場になる」という覚悟を国民にもとめなければ、リアリティのある政策とはならない。

3 沖縄米軍基地をめぐる状況変化

 1つに、米海兵隊の主要な役割は、離島に分散して、一時的なミサイル発射施設や航空基地を構築することに変化する。他に、普天間の駐留の説明もなく、辺野古も軟弱地盤であり、海兵隊のニーズに合うかわからない。

 日本社会には米軍受け入れじたいについての支持は相当程度あるが、米軍も日本社会のルールに従うべきであるという意識は強い。現在の日米地位協定の運用では、様々に起きる事態に対応できていない現実がある。(沖縄における米軍基地撤去、地位協定見直しの動きは根強い。)

4 南シナ海・尖閣における中国の現状変更の試み③

 中国は、南シナ海に構築した人工島の軍事施設化を進めるとともに、フィリッピンやベトナムの排他的経済水域のなかで、当該国を排除しつつ、石油開発や漁業を行うなどの行動をとっている。我が国固有の領土である尖閣についても多数の公船を接続水域に配備するとともに、長時間にわたって領海に侵入する事案が多発し、日本の安全保障上の大きな不安要素になっている。米海軍による南シナ海における「航行の自由作戦」が常態化してるが、中国による南シナ海支配の動きは止まっていない。バイデン氏は、尖閣諸島に日米安保条約第5条が適用されると明言したが、中国による南シナ海支配の動きは止まっていない。中国はグレーゾーンの範囲で目的を達成しているのであって、抑止されていないのが現実である。

 仮に島が占拠された場合に、日本が奪回したとしても、大国に対して力で対抗するのには限界がある。米軍の参戦を求めれば、戦域は尖閣に止まらず、沖縄、九州を巻き込んだ本格的な戦争に発展する可能性は否定できない。

 日本は圧力に耐え、抵抗の姿勢を維持しつつ、政治的解決の道筋を息長く模索する以外にない。そのためには海上保安庁の能力の拡充が急務である。

 

 抑止政策の限界と安全保障の新たなマインドセット

 一つの切り口で見る場合には、反(親)米、反(親)中といったバイアスに陥ることが避けがたい。

抑止とは、攻撃に対して反撃する意思と能力を示すことによって、相手に反撃を思いとどまさせる作用である。抑止とは、相手に一定の行動を我慢させることである。現在の米中関係をみると、その抑止への理解が欠如していると言わざるをえない。

日本にとって最大のリスクは、米中の対立が管理不能な状態になって戦争に至ることである。米中の戦争回避を我が国の安全保障の目標とすべきである。

抑止は、相手への安心供与なしに安定したものにはならないので、抑止力だけを論じても、それだけで安全保障政策としては完結しない。抑止を補完し、機能させ、破綻させないための対話の努力を安全保障政策の「車の両輪」と位置付けることが不可欠である。

日本は、米中の対立の影響を最も受ける。他の東アジア諸国と連携しながら平和構築の水先案内人となるべきだ。唯一の戦争被爆国、憲法9条を持つ国、沖縄戦という民間人を含んだ悲惨な戦争を体験した国、東アジアとの連携のなかで経済発展を遂げた国として発信するメッセージも、意味がある。(アジアへの侵略戦争の反省も必要である。また、フィリッピン、ベトナムなど安い労働力としての使用も問題が残る。)「非核・非戦」という価値観を発信する国でありつづけることが日本の国際貢献となろう。

 

提言

◆世界は、相互不信が「安全保障のジレンマ」を顕在化するリスクを高めている。自然災害・感染症の蔓延のなかで、人々の不安が拡大している。

◆国民が安心して生活できる国と社会のあり方を守ることが本来の安全保障である。安全保障に必要なものは、広角的視点と説明責任である。

◆軍事面では、米中対立が戦争に至らないようにすることが喫緊の課題である。(本当の)抑止力を高める一方で、抑止を安定化させるための「安心供与」と、信頼醸成・多国間協力を通じた対立の管理を「車の両輪」として機能させなければならない。

◆私たちは、政治における議論が、戦術的抑止のレベルに留まっている現状を危惧する。

 直面する課題について

◆米国の戦略に協力する場合「戦争に巻き込まれない」心構えが必要である。

・米軍の中距離ミサイルの配備など、日本をミサイル軍拡の場とする政策に反対すべきである。

・自衛隊のミサイル長射程化や艦艇のプレゼンスなどかえって地域の緊張を招くことがないよう配慮(?)すべきであり、「敵基地攻撃の禁止」など自衛隊の運営に関する新たな「歯止め」を設けるべきである。

・沖縄への過重な基地負担は、日米同盟の最大の不安要素である。膨大な経費を必要とする辺野古基地の建設はやめるべきである。日米地位協定の改定を目指すべきである。

・尖閣については、力だけで守り切ることが困難なことを踏まえ、海上保安庁の態勢を強化し、加えて、日中間の政治的危機期管理体制を構築すべきである。

在日経費米軍駐留経費負担は、合理的根拠に基づかない安易な増額をすべきではない。

・「インド太平洋」諸国との連携を進めるべきである。その際、対中封じ込めと軍事協力一辺倒ではなく、地域の協調関係を推進するためのアジェンダの包括性と当事者の多様性を追求すべきである。

◆その他の外交課題

・「唯一の戦争被爆国」であること、憲法9条を持つ「非戦の国」であることを活かし、多国間枠組みの創設とその活性化を目指すべきである。核兵器禁止条約締約国会議に積極的に参加すべきである。

 

 執筆者 柳澤協二、半田滋、佐道明弘、猿田佐世

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王滝渓谷・宮川散策道

2021-05-10 | traveling, town walking

 

 ゴールデンウイークでどこにも行けなっかたので、今日は豊田市の王滝渓谷に行きました。自宅からは301号線も整備され、30分ほどで着きました。今回はまだ行っていない宮川散策道を歩きました。王滝湖の橋を渡って、川底へ向かいます。大きな岩がごろごろあり圧巻です。地震や大雨があると落下しないか不安がよぎります。鳥の囀りもあり、とても素敵な場所でした。水質がもう少し綺麗だといいのですが、上流に水田が有ったり民家もあるからでしょうか。

 

 この後、古美山園地に行きオオルリを探しましたが、見ることが出来ませんでした。その後B29の墜落地を見学しました。帰り道を迷いましたが来た道を戻り、椿木園地から王滝湖の駐車場に無事に到着しました。

 

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岡本哲志「地形から読みとく都市デザイン」

2021-05-09 | 気になる本

岡本哲志(2019)『地形で読みとく都市デザイン』学芸出版社

 都市デザインの言うより都市(市街地)形成史である。著者は有名地でなく、地形に拘って編集している。私は豊田市からの近場か、行ったことのある以下の土地を選び、また行って見たいと考えている。①河岸段丘の座間、②半田の港町亀崎、③真鶴、④一乗谷、福井、⑤郡上八幡、その他の城下町と鉄道である。

 綺麗な河岸段丘ではないが、豊田市の矢作川もそうではないかと思う。金谷の崖、下市場の旧豊田キャッスルで、裏手には古墳がある。もう一つの段差は、丸山、トヨタ本社近くの前田、秋葉等の枝下緑道の崖である。下市場に古墳があるのが気になるが、タイムスパンを何十万年で考えれば良いかもしれない。この辺りは田中蕃(1997)『矢作川流域の自然』矢作川研究所に記述があるが、詳細はわからない。座間は日産工場閉鎖反対で行ったことがあるが、全く記憶にない。身内が町田市にいるので、今度行った時に寄ってみたい。

 真鶴は「美の条例」で有名であり、2度ほど行ったことがある。湯河原町などと違い温泉が出なかったから、開発は進まなかった。一乗谷も2度ほど行ったことがある。古い庭に興味があったからである。今度は周辺の山に登って俯瞰したい。郡上おどりで有名な郡上八幡は数度行ったことがあるが、水の町でもあるがあまり印象に残っていない。

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「人新世の資本論」を読む④

2021-05-03 | 気になる本

P298 マルクスの資本論は「脱成長コミュニズム」という立場から読み直すことが必要である。資本論の真の構想5つ。「使用価値経済への転換」、「労働時間の短縮」、「画一的な分業の廃止」、「生産過程の民主化」、そして「エッセンシャル・ワークの重視」である。

P300 脱成長コミュニズムの柱①―使用価値経済への転換。使用価値に重きを置いた経済に転換して、大量生産・大量消費から脱却する。使用価値へを無視した生産は、気候危機の時代には致命的となる。食料、水、交通機関への普遍的アクセスの保障などやるべきことはたくさんある。(環境。憲法改悪、オリンピックよりコロナの対策である。)

労働時間の短縮―労働時間を削減して、生活の質を向上させる。(原則夜勤の禁止)

③画一的な分業の廃止―分業を廃止して、労働の創造性を働かせる。労働を魅力的なものにする。「精神労働と肉体労働の対立」や「都市と農村の対立」の克服が、将来社会の課題。

④生産過程の民主化-「働き方改革」を実行するには、労働者が生産における意思決定権を握る必要がある。ピケティも要求している「社会的所有」である。(トップダウン、文書改ざんの問題。労働組合の民主的強化、労働者の政策・経営能力の向上が必要。)

エッセンシャル・ワークの重視―ケア階級の叛逆。無責任な保育経営。(コロナ禍で軽視されている。保育民営化で労働条件が悪化し、保母を目指す人が減る。)

P331酷い生活状態に耐えかねた若者が「M15運動」を行い、「バルセロナ・イン・コモン」の地域密着型政党に継続して運動。2015年地方選挙で、この政党の中心人物が市長に就任した。市庁舎は市民に開放された。

P342先進国の食卓を彩るための高価な輸出品が生産され、実際の作業を行っている農民が生きていくのに必要な、廉価な食料は生産されない。加えて、多国籍企業の特許によって、種子や肥料、農薬をめぐる権利や情報が独占されていることも農家の経済的負担を過酷にしている。

P352左派が現在、抵抗しようとしている新自由主義、とりわけ反緊縮は、より多くの公共投資や再分配をおこなうよう、国家に要求すれば良いのか。反緊縮を訴えるだけでは、自然からの収奪は止まらない。経済を回すだけでは人新世の危機は乗り越えられない。

おわりに

マルクスで脱成長は正気か?

ワーカーズ・コープでも、有機農業でも、自治体議員を目指すのもよい。労働時間の短縮や生産の民主化は、労働組合しかない。そのうえで、気候異常事態に向けての署名、富裕層への負担を求める運動も必要である。まず3.5%が、今この瞬間から動き出すことが鍵である。

参考文献(気になったもの)

・THE TRUE COST映画

・森さやか「コロナがもたらす人道危機」世界20年6月号

・ナオミ・クライン「これがすべてを変える・気候変動VS資本主義」

・佐伯啓思「経済成長主義への決別」

・宇沢弘文「社会的共通資本」

・水野和夫「閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済」

・今野晴貴「ストライキ2・0」

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技術の進歩でも生活は悪化する。そのからくりが理解できた。難しい資本論の最新研究を、今起きている社会現象の問題で説明しているので、わかりやすい。資本主義社会の限界は貧困と格差の拡大、気候危機の2つに象徴されている。デトロイトとニューヨークの事例に興味が湧く。特にデトロイトは豊田市と姉妹都市であり、財政破綻がどうなったか気になっていた。矢作弘の文献では理解できなかった。

 成長か脱成長か、反緊縮か、MMTとSDGSの考え方も気になっていた点である。走り読みしたが、参考になる点が多く、この本で学習会を企画しようかな!

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中央メーデーに参加

2021-05-01 | 平和・人権・環境・自治制度

今年の92回中央メーデーはコロナ禍で、オンラインで行われたので、初めて参加しました。

主催者あいさつ(全労連議長)

1 命を守れ 病床削減推進法、高齢者医療費倍増

2 労働者の雇用守れ 非正規、助成労働者を守れ、失業者10万人

3 惨事便乗型成長主義反対、上位50人の資産が1.5倍、最賃15ドルの流れ、3地区で野党統一が勝利した。改憲に固執し5・6に国民投票法を狙っている。

 ミャンマーの軍事政権は認められない。労働者の連帯と団結で、コロナパンディミックを乗り越え、万国の労働者万歳!

来賓 

シカゴ労組 メーデー発祥の地から連帯挨拶。メーデーはシカゴで労働時間短縮を目指しストライキが行われた。全労連のプレートもモニュメントにある。

韓国労組 8時間労働で生活できる考えに賛成。11月にゼネスト予定。福島の汚染水反対。

ホンダ コロナで医療が危ないで、1500回講演してきた。それでも医療危機を招いた。医療も生活も政治を変えることが大事である。

日本共産党志位委員長 コロナ感染は失敗から学んでいない。コロナの波は仕方ないのか。政府のコロナ対策が出来ていないのは人災である。五輪への医療派遣は許されない。ケア労働が粗末である。4.25から野党共闘が一歩前進。

日比谷メーデー実行委員会砂山メッセージ スガ政権を終わらせ、民族排外主義に反対、集団自衛権行使反対、憲法改悪反対、ミャンマー軍事政権反対、香港の人権弾圧反対。

福島 斎藤県労連議長 汚染水海洋放出に、県内反対の声を聞かないスガ政権。県民の理解なしで進める、福島を切り捨てるのか。

広島 神戸県労連議長 改憲反対、政権交代、ジェンダー平等、老後安心、原発なくせ、消費税減税、核兵器なくそう。先の参議院再選挙で野党統一候補が勝利した。

東京医労連 決意表明 オリンピックに看護師を派遣する余裕はない。東京都立病院14を独立行政法人に反対、小池知事は進めている。高齢者の医療費倍加に反対。政府は全国で440の病院からベッドを削減しようとしている。全国一律最賃音頭。

 首都圏青年ユニオン 昨年から飲食の労働相談を行っている。給料が払われない。争議支援で組合員が80人以上拡大している。脱法的なシフト制で休業補償がされない、一風堂。

 メーデー宣言(要旨)

 昨年は100年目でオンラインだった。闘うメーデーを引き継いだ。今年は92回で、医療体制崩壊の危機にあり、政府は経済優先でコロナは後手後手である。野村総研調査では10万人の失業である。特に女性が深刻。労働法制が悪化している。労働、生活相談、食料支援を続けてきた。企業の内部留保は11年連続増大で、459兆円である。雇用調整、休業支援金に取り組んだ。労働組合の役割が重要。敵基地攻撃能力、改憲の動きがある。デジタル法案に反対する。総選挙で野党共闘の勝利。

 閉会と団結頑張ろう(詳細は主催者発表のものを確認してください)

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「人新世の資本論」を読む③

2021-05-01 | 気になる本

P150 若かったマルクスは、資本主義は経済恐慌をきっかけとした社会主義革命によって乗り越えられるという楽観論を持っていた。「生産能力至上主義」である。P162生産力至上主義との決別、資本論1巻刊行後、エコロジー研究で読んだのが、ドイツの農学者カール・フラースだった。

P156 人間は絶えず自然に働きかけ、様々なものを生産し、消費し、廃棄しながら、この惑星で生を営んでいる。この自然との循環的な相互作用を、マルクスは「人間と自然との物質代謝」と呼んだ。

P186 最晩年のマルクスは、資本主義での生産力の上昇は、人類の開放をもたらすとは限らない。生命の根源的な条件である自然との物質代謝を撹乱し、亀裂を生む。コミュニズムに向けた進歩でもない。P304最晩年のマルクスの資本主義批判の洞察力を発展させ、未完の資本論を「脱成長コミュニズム」の理論化として引き継ぐべきだ。

P214 カリスマ的リーダーを待ち望み、その人物に投票する。投票行動の変化である。結果、闘争領域は、選挙戦に矮小化され、マニュフェストや候補者選び、マスメディアやSNSを使ったイメージ戦略になる。

P220 私たちは資本主義に取り込まれ、生き物として無力になっている。商品の力を媒介せずに生きられない。自然と共に生きる力を失った。ロハスも無力な状態を克服せず、消費だけで持続可能性を目指し、失敗した。

P221 資本による包摂が完成したため、私たちは技術や自律性を奪われ、商品を貨幣の力に頼ることなしに、生きることはできなくなっている。

P231 新たな潤沢な社会を求めて、現実の社会を見てみよう。経済成長のために「構造改革」が繰り返され、ますます経済格差、貧困と緊張が溢れている。世界の裕福な資産家26人で、貧困層38億人の総資産と同額の富を独占している。

P237 マルクスの「本源的蓄積」とは、資本がコモンの潤沢さを解体し、人工的希少性を増大させていく過程のことを指す。つまり、資本主義はその発端から現在に至るまで、人々の生活をより貧しくすることによって成長してきた。

P254負債を背負うことで、人々は従順な労働者として、つまり資本主義の駒として仕えることを強制される。その最たる例が、住宅ローンだろう。

P279気候変動とコロナ禍は似たものになるだろう。「人命か経済か」というジレンマに直面すると、行き過ぎた対策は景気を悪くするという理由で、根本問題は先延ばしにされる。

P284SARSやMERSといった感染症の広がりが、遠くない過去にあったにもかかわらず、先進国の巨大制約会社の多くが精神安定剤やEDの治療薬といった儲かる薬の開発に特化し、抗生物質や抗ウイルス薬の研究開発から撤退していたことも、事態を深刻化させた。

P298ピケティは、「飼いならされた資本主義」ではなく、「参加型社会主義」をはっきり要求するようになった。

P293デトロイトはGMやフォードなど自動車生産の中心地であったが、自動車産業の衰退により失業者が増え、財政も2013年には2兆円近い負債で、市は破綻した。街から人が消え、治安も悪化し、荒廃した状態だったが、残された住民たちは、諦めずに、都市再生の取組を一から始めた。

*コメント (資本主義の枠内では環境、福祉は根本的に解決できないと、ズバリ指摘している。広井の「定常型社会」は気にいっていた。二宮らの新福祉国家構想はどうか、資本主義の枠内でも国民の福祉向上の要求・政策は必要と思うが。SDGsには疑問もあるが、持続可能と成長をどう考えるか、問題提起の論点が多くある。)

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