豊田の生活アメニティ

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雨宮処凛「生活保護」を読んで

2023-09-27 | 気になる本

雨宮処凛(2023)『生活保護』河出書房出版

生活保護は人生でけがや病気になった時の最後のセーフティネットである。しかし、自民党の一部議員などは、生活保護で遊んでいるとか、国民年金より恵まれていると攻撃してきた。極まれにいたとしても、捕捉率は少ない。著者はリーマンショック以降にこの問題に取り組んできた。以下その要旨である。

 生活保護はマイナスイメージがある。扶養照会で、家族に知られたくない、という気持ちもある。よくある誤解に、「働けるのに働きたくなくて生活保護を受けている人がいる」。(パチンコをやっている)不正受給の批判があるが、件数の2%以下である。

 2021年の年間自殺者数は21007人である。動機は「健康問題」、ついで「経済・生活問題」である。刑務所に収容されると、一人当たり400万円の費用がかかる。生活保護費の方が安い。子育て世代の年収が減っている。非正規率は4割近い。貯蓄ゼロ世帯は増え続けている。

 2012年、自民党は「生活保護給付水準1割引き下げ」を掲げて衆院選を戦い、政権交代した。DaiGoは「生活保護の人に喰わせる金があるなら猫を救って欲しい」、「邪魔だし、臭いし」。餓死事件を見た人などは酷いと憤慨する人もいるだろう。

 役所で「生活保護課」は人気のない職場である。1人当たり80~100世帯と多忙である。(国の機関委任事務で、国から受付を減らすよう指導される)

 韓国では家賃だけ、医療費だけ、という形で利用できる。1999年「国民基礎生活保障」とう名前に変わった。相対的貧困率も2011年18.6%が2020年15.3%に下がった。困窮者を雇った共同組合への支援規定がある。困窮者に仕事を与えて支える仕組みがある。

 コロナで利用したのは、「総合支援資金」「緊急小口資金」など、国の特例貸付だった。コロナで生活保護を利用する人は増えない。(?

 五石さんは、住宅家賃補助という形で住宅補助や教育補助を独立させる。

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核廃絶はできるか?

2023-09-12 | 気になる本

「世界」10月号の気になった記事は3本、一番は星浩の「滅びゆく日本、再生への道」である。これについては、投稿したので省略する。

二番は田中美穂の「岸田首相、核廃絶はできますか?」である。G7の「広島ビジョン」では、「被爆者」、「非人道性」という文言さえ出てこず、「核兵器禁止条約」にも触れなかった。核保有国が「一方的に軍縮すれば、自国や同盟国の安全が損なわれてしまう」と言い、核軍縮に取り組まない言い訳をしている。「核兵器のない国」を究極の目標と掲げながら、同時に核抑止の維持の正当性を盛り込み、さらに核を持って良い国と駄目な国があるかのように線引きした。広島・長崎への原爆投下はアジア太平洋の人々に対する加害の歴史として決して切り離すことができない。現在日本はアメリカの核の傘の下にいることで、むしろ核の被害を生み続けることに加担している。米国の核実験が67回にわたり行われた。たとえ小量でも、「唯一の戦争被爆国」の日本は核のゴミを捨てている。(要点)

3番目は金子勝の「岸田政権がもたらす経済衰退のメカニズム」である。また、片山義博のミッションを逸脱した、ふるさと納税批判も的をえている。

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