豊田の生活アメニティ

都市デザイン、街歩き・旅行、くらし

「都市政策の思想と現実」を読む③

2018-01-31 | 気になる本

5章「戦後日本の都市経済・都市問題と都市政策」

土地神話は90年バブルとともに崩壊した。地価上昇の歴史、企業が土地を資産取得運用・・

従来の政府の土地政策は土地供給政策であった。限界地価格は、勤労者の所得で購入しうる限界と通勤時間とで決定される。ドイツは都市計画において、厳格な土地利用規制をかけ、住居地域の地価を抑制する制度を持っているので、宅地を勤労者の購入できる価格に維持できる。日本の都市計画は地価を野放し、住宅政策の欠陥、良質低廉な住宅を建設できないことが、常に潜在的な土地需要を生む。

住宅の量的不足から質的貧困 最低居住水準、誘導水準

戦後住宅難(量的質的)がつづき豊かさを感じない理由

①    東京に人口集中・集積で住宅や生活環境の整備が遅れた。重点は道路。

②    住宅を基本的人権と考えていない。(持ち家、融資、公共住宅の変容)

交通問題 通勤難 通勤時間1時間~1時間半 大都市交通センサス 運輸省

総合交通体系から交通節約の都市構造へ 交通問題のそれ自体の解決でなく、人口減少しつつあるインナーシティを改造して、事務所とスラムの地域でなく、ひとびとが生活する美しい環境をもった「下町」を再生する。

戦後日本の都市政策 日本の都市計画は、企業や個人の自由な建築にまかせた。オープンスペースが少ない。広さも色彩などのデザインもバラバラな建築物の集合体ができた。木津川計、大阪の風景。

日本の都市政策は産業優先の開発政策であった。日本の都市は営業空間優先、駅前が銀行、証券会社、百貨店、スーパー、パチンコ。都心の人口減少した住居空間の中に、駐車場が虫食い状態。マンフォードは、自動車社会のこのような状態を原爆の被害に匹敵。住民のアメニティを無視。

都市経営論の鈴木は、福祉ばらまきを批判し、公共事業バラマキの赤字で破綻した。中曽根行革は国家財政の赤字を縮小するため、補助金を削減。自治事務に移譲し、税源は移譲せず。

行政改革以降の分権の道は2つ、一つは民営化と規制緩和は、分権型福祉社会で情報公開・住民参加

都市経営から都市政策へ:神戸の震災の結果。

Sustainable City グローバリゼーション、分権による都市の自治と地域経済の自立と連帯、自治体と市民の公共的パートナーシップによる内発的発展

「世界都市」、温暖化ガス、水不足等の原因は、多国籍企業の経済活動に関連(宮本95)

大都市は最大の工業都市であり、関連した卸・小売業の集積地。グローバリゼーションで製造業の工場は後進地域や発展途上国に輸出された。(「雇用の劣化」)、サッセンは「グローバル都市」?において、エリート集団とサービス業の未熟練の低賃金労働者も増える。賃金構造は三分、エリート、外国人

都市で生み出される社会的剰余(営業利潤+個人の余裕資金+租税)が地域内で分配され、再投資され、その際にできるだけ福祉や文化など市場にのりにくい公共的な性格の財やサービスの向上にも配分されれば、地域の総合的な発展が可能になる。(アメニティとサスティナブル・シティ) 

住民の参加と自治

(開発主体)都市の開発は市民が知的に参加し、共同学習をし計画(トヨタ)し、経営(民間)することが基本である。大企業の事業所や大規模の公共事業(空港、新幹線、高速道路)を誘致し、あるいは国庫補助金に依存して、それらに運命を預ける「外来型開発」とは基本的に違っている。

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「都市政策の思想と現実」を読む②

2018-01-26 | 気になる本

現代的貧困としての都市問題

①    都市問題は、所得水準や雇用と一義的関連(?定住、中堅層の流出)をもたず、職場外の共同生活条件に関する貧困である。

②    都市問題は原因者が防止のための費用を負担せず、市民や自治体に犠牲を転嫁している社会的損失である。(そごう破綻しまちづくり(株)に補助、スタジアム補填、高層マンション分譲で開発利益)都市問題の対策は予防が大事、事後的対策では手遅れになる。

③    現代的貧困の克服をめぐり、人類の文化の所産である都市の再生をめぐって、未来社会のありかたをめぐる政策論争が行われるべき時代。

④    自治体という場で都市政策を構想し、ひいては中央政府をかえて国土全体の経済の地域配置をかえていく努力が必要である。根源的・古典的貧困の解決が労働運動を土台にしているが、現代的貧困は住民運動を土台にせざるをえない。現代の進歩を望む政党は、この二つの社会運動を車の両輪とする心棒の役目をはたすべきである。(図書館を考える会、毘森公園を子どもが遊び易くする取り組み

住民運動の必然性;無党派を含む諸党派の地域住民の世論や運動を土台にした政党とその他の政治団体の活動によって自治体を改革し、自治体という場で都市政策を構想し、ひいては中央政府をかえて国土全体の経済の地域配置をかえてゆく努力が必要である。現代的貧困の解決は住民運動を土台にせざるをえない。現代の進歩を望む政党は2つの運動の心棒の役目をはたさなければならない。

都市政策とは自治体を主体として、市民の安全、健康、アメニティ(住みよさ)、福祉と教育文化の向上を目的とし、公共部門の財・経済を直接の政策的手段とし、市場原理を利用して民間部門の弊害を規制しつつ、フローとストックの社会化をすすめ、住民参加を土台とする民主主義的政治・行政・司法制度によって都市問題を解決する手法である。

産業革命期の都市問題は住宅難と公害にともなう衛生の悪化は極端なものとなった。そのため労働力の再生産は困難となり、労働力人口の減少や労働力の質の悪化に直面して、はじめて資本制を維持する中央政府の強い権力介入によって、都市政策は始まったのである。戦後日本の都市政策の公準p50

現代都市政策の課題:産業構造の変化(国調、原発事故、CO2,EV化?)、ハイテク化、サービス化、情報化。コンピュータのネットワーク化での変化、工業の雇用力、こうして産業構造の変化は人口減少を完全に止めるにはいたらず、その内部においては貧富の格差を生じている。農業が衰退して農村の過疎化や農村の文化が消失したように、工業という「ものづくり」を失えば都市は衰退し、独自の文化を失うのではないだろうか。(大学の撤退:愛大、みずほ)

国際化:多国籍企業の支配する世界市場の下での国際化、バイリンガルの教育(南山国際高校・中学校08年726人をピークに07年は329に減少、保見団地での日本語教室、外国人集住都市会議)

高齢化と少子化、土建国家の対応(コンクリートから人へ・民進党政権の失敗)、道路投資

政策誘導の手段 地方債と地方交付税のセット、単独事業、税源移譲、民営化と協同化

分権・参加福祉型社会とsustainable city ヨーロッパ地方自治宣言

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「都市政策の思想と現実」を読む①

2018-01-25 | 気になる本

宮本憲一(1999)『都市政策の思想と現実』有斐閣

豊田市の都市構造と都心問題を分析し市民目線で都市政策を提起するために、参考となる個所を抜粋メモした。(  )書きは筆者メモです。

①    都市経済と都市問題を混同すると、都市政策も混乱し不完全になる。

②    「労働力の質的・量的摩滅」という規定は都市問題というより、労働問題である。(?企業都市では労働者の賃金・雇用が定住に影響する。企業誘致条例で非正規にも補助金。)都市問題は職場外の、地域という場での生活状態の悪化である。

現代の都市問題

①    都市化・工業化がすすみ、事業所、交通機関や人口の集中・集積(高速道路とテストコースで分散?)によって、自然破壊(テストコース、)、大量汚染物の排出(PCB)、混雑現象の発生が予測。

②    企業が都市の集積利益のみを享受して、集積不利益を享受せず。(例:都心開発、散発的高層マンション)

③    公権力が規制(政府の規制緩和と助成)しないため、自然的・社会的生活環境の破壊。

④    資本制蓄積と大量消費生活様式の社会的結果、

⑤    社会的共同消費が充足されていないなど都市的生活様式が維持できない、生活困難

上記の概念で、集積の不利益をと都市的生活様式の破綻を説明する。

 「企業国家」と言われ、市民の基本的人権意識が弱い。都心部において高層ビルディングがすすめられ、昼間人口(&交流人口)が増える。通勤輸送、ごみ処理、(日照、学校)などが増え集積不利益が生じ、市民や自治体に転嫁させる。

 都市生活様式が破綻する。都市問題は、経済状態が悪化したり、都市部の地価上昇や環境悪化によって、人口が流出し、集住形態(?)が維持できなくなり、都市が衰退(成長から停滞・未来の不安)する。

社会的共同消費の供給は慢性的に不足する。その原因は、利潤率を低下させないため、企業は直接的生産過程以外の固定設備への投資をできるだけ節約しようとする。公共投資の中では社会的共同消費手段(共同住宅、上下水道、公園など)の建設は後回しになる。住宅や生活環境施設の建設は、都市化の過程でつねに後回しにされる。また、教師、保母、医師、看護婦、社会福祉職員などのサービス職員の供給はおくれ、その労働条件も悪いのでサービスは不足がちである。マルクスは資本論で労働者の住宅難をえがいている。これに加えて、財政負担の増大、福祉の人的サービスの増大に対して、企業や高額所得者、中産階級の一部が反対であり、中央集権的な租税制度の下では都市財政の貧困(法人税減税)であることが、社会的共同消費の供給をおくらせる原因となっている。(日銀の2%物価上昇目標放棄?株価を支える、公共投資と規制緩和、アベノミクスの失敗)

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都市の再生―日本とヨーロッパの住宅問題

2018-01-23 | 都市計画・まちづくり

豊田市の都心居住を調査している。企業都市豊田での都市問題と住宅問題を理解するために、順次都市、住宅の文献から課題を整理し、テーマを絞り込みたい。その一つがこの本で、宮本憲一の章「都市政策」の要旨をメモ書きする。( )書きは著者見解。

宮本憲一 篠塚・早川・宮本編(1983)『都市の再生』、「都市政策」

 都市政策は都市問題に対処し、土地政策は土地問題に対処する。人口の集中による都市環境の悪化を改革するのが政策の中心である。住みやすい街が形成されれば、比例して地価は上昇してしまう。

 都市問題には外科的方法と内科的方法がある。高速道路を中心としたアメリカ型都市の普及である。(高層ビルと高速道路に車、ル・コルビュジェの思想)

 住宅問題は量的不足から質的改善の問題。(住生活基本法制定)従って、

   環境、資源、交通、教育文化など総合的な都市政策の1つである。

   住宅問題、都市問題を解決するためには、産業政策や財政改革が必須である。

   都市政策における公共部門の縮小、民間資本の手で住宅はつくられても都市はつくれない

   政府の欠陥があり、地方分権と住民参加の道を探るしかない。

 工業化と都市化(国勢調査産業別推移)。(高度成長時代は労働力として豊田市に吸引された。豊田市・三河の企業集団→田原→九州→宮城→世界に展開)

 ビジネス機能の都心集中とともに、地価や家賃が上昇し、住民は住みにくくなり、郊外へ離脱し始めた。丘陵部に住宅団地やニュータウンが造られた。都心空洞化(豊田市の計画:住宅、学校・保育所、高速道路、美術館、スタジアム、百貨店、参号館、都心開発)

 都市は「下町」(拳母まつり→おいでん祭り)が中心で、職場と住居が近接し、都市施設が狭い空間に集積。「下町」が都市の魅力。(犬山、高山、足助、町田・・)国の財政は生活基盤に弱い。国の財政方策が影響、(まちづくり交付から社会資本整備事業交付)

 都市政策と都市経済の政策提案

   貧困なブルーカラーを安定

   都市構造で職住近接、大量交通を抑制

   税源を地方に移譲

   「都市の文化」の向上、住民自治(「大阪の文化」?)

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2018新年・目標

2018-01-01 | 市民生活・企業都市

今年の計画

1 旅行 3神戸、箱根・鎌倉、5香港OR台湾、10バルト3

2 スポーツ 山10、西穂高、茶臼山、水泳1コメ2M,スキー

3 社会 企業都市のまちづくり、改憲NO,住宅、貧困と格差

4 食と健康 選・鮭1220日、うどん・そば・温泉、うなぎ、寒ブリ、カニ

5 土地住宅 物置、駐車場確保

*写真は足柄SAから

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