豊田の生活アメニティ

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過労死防止を考える

2014-11-25 | traveling, town walking

 過労死防止を考えるつどいin名古屋に参加しました。過労死された家族の会の苦労があって、過労死等防止対策推進法が全会一致で成立し、11月1日に施行しました。駆けつけた政党のあいさつは自民党と共産党で、民主党からはメッセージがありました。法律は成立しましたが、実効性のあるものになるのはこれからで、労基法の学習と運動次第です。法律ができたので、愛知労働局の監督課長も来て、法律の趣旨を説明されました。①実態調査、②相談体制、③PRです。問題は政府が監督官を増やし、ダンダリンのような人が活躍できることです。遺族の訴えは胸を打つものがありました。裁判に勝っても家族を過労死で失った無念があります。これ以上日本で過労死を出さないという、家族の会の運動に敬意を表します。一番の問題は長時間労働です。過労死は欧米ではないそうです。過労死に至らなくても、うつ病などで苦しんでいる方も多数います。幸い、先の国会で労働者派遣法の改悪が廃案になりました。自公政権では労働者の残業代0や解雇自由化など、労働法制の改悪を「成長戦略」として掲げています。こんどの総選挙で、労働者と家族の生活と権利を守る政党を選ぶことが大事です。
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職場のメンタルヘルス

2014-11-09 | 気になる本
 鈴木安名(2001)『職場のメンタルヘルスがとことんわかる本』連合通信社
 この本はある事務所の本棚で何気なく見つけたもので、やや古いですが読んでみて、基本的な問題点が語られていると思いました。以下、気になる個所の本の抜き書きです。
 第1章 メンタルヘルスと現代
メンタルヘルスの悪化は、会社や経済界の視点からみた場合であっても、もはや放置できないところにきています。メンタルヘルス悪化の責任は誰が責任をとり、治療のコストを払うのか、自己責任となっています。長時間のサービス残業、上司の言葉の暴力で、うつ病になって労災を申請しても、私病扱いとなりがちです。自己責任という逆立ちした認識をひっくり返すところから、その第一歩が始まります。
 第2章 心の病とは
うつ病を発症しやすい性格は、①周りの気配りあり、②几帳面で仕事熱心、向上心、③正義感、ルールや約束守る、④スポーツマンなどが要注意です。入浴、食事、排泄を除くプライベートの時間が睡眠だけの時、うつ病は避けられません。食欲低下、不眠、だるさがうつ病と躁鬱病のポイントで、中途覚醒、早朝覚醒など熟睡できず、夢ばかり見るのも要注意です。メンタルヘルスで職場復帰した人にどのように接すればいいか?という質問がでます。「身体の病気で休業した人や入院した家族にどういう態度で接すればよいか、考えてみればわかるでしょう。」(?)
 第3章 ワーキングパワーと心の病
ワーキングパワーは、体力や個性のもとに、トレーニングや経緯が複雑にからみ会って生まれた、仕事をしたりしていく上でのトータルな能力です。テレビを見る、雑誌を読む、映画を見る、スノーボードに乗ったり、本を読んだり・・趣味や遊びによる人間らしさの保持がワーキングパワーの保持に欠かせない訳です。メンタルヘルスの健康問題は、正常と異常、健康と病気というような線引きができるわけではないのです。個人差を知らない有能な上司だと部下は大変です。自分を基準に部下を考えてしまい、「何でお前は出来ないんだ!」の連発になってしまう。結果、部下だけでなくその人自身にもストレスがたまるのです。
 第4章 「心の病」のメカニズム
ストレスには心身への悪さをもたらす面と、逆に喜びや充実感をもたらす二つの側面があります。ストレスがおこす結果がどうなるかは相対的なものです。まず第1にその人の個人の要因、つまりストレス対するもろさの度合い、体力の違いをはじめとして、経験年数や家庭環境などにより左右されます。ストレスへの心の反応は、①時間のプレッシャーが強くなれば、焦り、苛立ち、ミスへの不安、②ミスが生じれば自信や自尊心の喪失、自責の念、③長時間勤務になるほど、疲労による根気や集中力の低下があります。しかし人間の心と体は、様々なホルモンや交感神経という自立神経をつかって心を目覚めさせ、集中力を引き出し仕事に立ち向かいます。「今の苦労がやがては身を結ぶ」と割り切れば、ダメージを減らしてくれる、これが人間の人間たるゆえんです。ストレスが軽いままで対処する能力が高まっていけばなじんでしまい、ストレスは乗り越えられ人は成長するのです。
 社員として本来の業務をこなしながら、教育、点検、監視、管理を同時並行していくわけです。現代の仕事というものは、数種類の課題を同時並行することになり、当然ミスがないよう集中力を高める必要があります。ワーキングパワーの再生産にはリラックスした家庭環境が必要です。
ミクロの職場ストレスの事例として、不適切な指示命令があります。a.上司と部下の間での不適切な指示、命令―原理的に不可能なプロジェクトを求められた場合など。b.組織、機関が曖昧-船頭が複数いるような職場組織の場合です。「ミッション(任務)の内容」「組織図」「責任と権限」などが不明である場合、部下は大きなストレスをこうむります。
 第5章 職場のメンタルヘルス
 1人の発病は職場の赤信号、それは職場のマクロ・ミクロのストレス濃度が限界を超えたことを意味します。発病には個人差があって、うつ病の場合、優等生・良い子タイプという性格傾向が基礎にあります。といってもこの性格を根本から変えるわけにはいきません。またこうした性格の従業員も、職場にはなくてはならない人材なのです。メンタルヘルスの悪化の原因はその組織、職場内にあります。ここにメスを入れないで、対策の主体を個々の社員の自己管理に求めるのは、組織とは何か、会社とはなにかが解っていない理想論です。
 メンタルヘルスのケアには、セルフケア、ラインによるケア、産業医ケア、外部専門家のケアです。ラインのケアでは長時間労働をどう減らすか、指針にありません。
 労働組合の役員には、詳しい精神疾患の知識やカウンセリングの能力の必要はありません。そういうことは専門家(医師、弁護士)に任せればいいのです。メンタルヘルスに理解のない会社の場合、組合のイニシアティブでメンタルヘルス対策を進めるのは長い道のりになるかもしれません。それが現代の労働組合の社会的責任といえましょう。自立訓練法やリラクセーションというストレス対処法は、非常に有効です。20分以上のウオーキングやジョッキングは、予防にも効果があるようです。
 次回は、最近聞いた古水医師の講演の要点を書く予定です。
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