豊田の生活アメニティ

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豊田市地域会議の課題は?

2017-03-28 | 平和・人権・環境・自治制度

 地域会議の公募委員になって1年、2年任期の半分が経ち会の運営や流れがわかってきました。公募委員に応募した理由が、地域課題を明確にすること、地域の生活核はどこか、地域会議のまちづくり方針を創る必要性、交通安全まちづくりと防災まちづくりのハード整備などでした。これらの課題は予算提案事業にどう活かすか、地域会議の運営、制度の改善をどうするかということに集約できると思います。以下、地域会議の概要とその課題についての提案です。

 地域自治区・地域会議制度は2005年の「周辺町村吸収型」合併を機に発足しました。旧町村は自治体に代わる自治の役割を補足します。全国的にも多くの「地域自治」組織が立ち上がりました。地域会議は中学校単位とし、地域自治区は支所単位で事務局は支所職員が対応します。地域会議委員は概ね20名で公募委員は3名程度です。委員の任期は2年で連続2期までです。報酬は無償で、手当は交通費のみです。主な活動はわくわく事業と予算提案事業です。わくわく事業は1地域会議につき年間500万円で、ボランティアグループが4月に応募し、地域会議委員が基準により審査します。補助率が8割で3年であるが、それを超えて継続するものも多く、補助金カットで継続できるかが課題です。テーマは防犯・防災、環境、健康多く、竜神地域は4団体、前林地域は17団体で、高岡支所では34団体総会員数は1632名です。写真はわくわく事業の高岡地区発表会の様子で、パネル方式で参加者が見て回るという効率的です。予算提案事業は年間2千万円の範囲内で会議から提案し、査定が通ったものは市が執行します。予算を使い切らない地域会議が多く存在します。個人的には若園地域の防災カルテ作りに興味がありました。

 今年度は発足後10年という節目でもあり、制度の見直しも検討されています。また、地域カルテを策定し、地域課題を顕在化させる基礎資料としました。この課題は応募した理由の一つでした。地域の特性はそれぞれに違いがあります。竜神地域はトヨタ本社が近くにあり、インターに通じる道と玄関口の名鉄土橋駅があります。もう一方の市街地は旧集落と区画整理地区のある名鉄竹村駅周辺です。この2つが地域の生活核となっています。地理的中心地は田の中にある竜神交流館と竜神中学校です。仮に一つにするなら交流館を生活核とすべきだと思いますが、会の中で議論していなく合意形成できていません。今年できた新しい豊田市総合計画や策定中の都市計画マスタープランの土地利用計画は、コンパクトシティと多角ネットワークを基本としていて、拠点を鉄道駅の土橋駅としています。トヨタ本社周辺は産業技術核として、都心と共に拠点整備地区となっています。総合計画策定にあたって、素案の段階で地域会議に示されましたが、「諮問」して「答申」ではなく、意見聴取のみでした。合併以前は市長が中学校単位で説明に来ていたのが、今は地域自治区の支所単位になっています。都市計画マスタープランの説明会は市長が参加せず、地域組織への参加もなく大きな会場はどこも低調でした。どちらの計画も住民参加による地域単位のまちづくり方針が無いので、説明会での意見は個人的な不満・要望であり、嚙み合った議論になっていません。行政の計画がトップダウンであり、地域会議がまちづくり方針を持っていないことに問題があります。現在持っているのは猿投台の地域会議です。今年度全地域会議で地区カルテを行ったので、これをベースに方針が作れるかどうかです。もう一つは都市計画や防災まちづくりには、専門家の派遣・支援制度が必要だと考えます。コミュニティの単位は自治区としています。中学校単位でコミュニティ会議もあり、地域会議と重複しています。地域会議のメンバーには区長が多く充て職となっています。事務局も行事の運営に実行力を持つ区長の存在が頼りになっています。地域会議の議案は事務局が報告し委員は修正意見を言う程度です。新たな事業は仕事が増えるので、多忙な自治区役員は避ける傾向です。

 ハード的な地域整備まで取り組むには、専門家と予算が伴います。具体的な私の提案の1つ交通安全のまちづくりで、裏道交差点にハンプや点字鋲を打ち車の徐行施設の設置と隅切りを提案します。さらには、面的なモデル地区をつくり狭隘道路の解消や整備型地区計画を推進することが必要です。これは地域会議とは別にまちづくり協議会を作って行う必要がありますが、ステップアップする制度の誘導が準備されなくてはなりません。もう一つの提案が防災まちづくりです。特に、南海トラフによる地震は南部に被害が多く、報告書では高岡、上郷に被害が7割集中しています。これは高岡支所や上郷支所が人的な補充を含め、防災カルテを特別に作る必要があります。予算提案事業で若園地区が防災カルテを行っていると聞きました。この取り組みの状況を知りたいと思います。竜神地区では自主防災を行ってきたので、次は共助の取り組みが課題かと思います。

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「豊田市の産業立地適正化計画」を聞いて

2017-03-24 | 都市計画・まちづくり

 年度内は無いと先回の会議で言っていたが、たまたま見た広報に掲載があったので、321日午後3時という中途半端な「豊田市都市計画マスタープラン策定」会議を傍聴した。年度末のせいか、欠席者が15人中6名と多かった。傍聴は「普通の市民」私1名と、バッジを付けた人が3名であった。まずは、立地適正化計画の背景と豊田市の都市構造を整理しておこう。

 テーマは「立地適正化計画」であった。豊田市は総合計画が今年度策定され、それを受けて都市計画マスタープランが来年度までに策定される。今年度は地元説明会も地域自治区単位に行われたが、動員支持もされなかったのでどこの会場もガラガラであった。市民の関心がないのか主催者のPR不足かである。私は主催者の資料不足とトップダウンの方針説明が無関心に繋がってると思う。日常的に地域会議やコミュニティ会議では、防災、防犯、交通、環境問題しか取り組んでなく、都市計画やまちづくりは話題もされない。住民参加の制度設計から見直しが求められている。

 立地適正化計画は都市再生特別措置法の改正に基づくものである。人口の減少が予測され高齢社会に対応する、財政が厳しくなり公共投資を減らしたいことなどを理由に、都市構造を「コンパクトシティ・プラス・ネットワーク」の考えでつくろうとするものである。都市計画マスタープランの基本的な思想に位置づけられることを、国から誘導される。

 豊田市の都市構造はどうなっているか、この分析が充分されず共通認識になっていない。豊田市は、①トヨタという1大企業があり工場が先にできた都市、②合併による市街地と農村の混在する広域都市、③急速に人口が増加し、車社会で低密度の分散型市街地を形成、があげられる。社会的には人口は車産業の景気に左右され、現在は社会増がなく停滞である。周辺都市よりも地価が高く、中堅層の市外転出が続いている。男性比率や男性の独身率が高い。04年の派遣法改悪により非正規社員が増加した。08年のリーマンショックでは人口の社会減が著しかった。これは定職につかなければ定住できないという証明であろう。

 豊田市では市街化区域の面積が大きく、区画整理も整備率が低く、市街化区域の「空洞化」状態である。線引き後も、既存の権利、沿道サービス、農家の分家、大規模開発など調整区域での開発・建築が多かった。地価の安い所を求め、旧下山村や旧藤岡町にも住宅が建築された。大規模団地では保見団地がある。さらには大型店の郊外化、コンビニの流行、幹線道路の沿道店舗が市街地を特徴づけている。鉄道は名鉄と愛知環状鉄道がある。鉄道駅を中心に市街地を形成したい行政の思惑は有っても、地価が高いので市民は郊外を選択せざるを得ない。豊田市では駅周辺の開発を助成するが、住宅購入者への直接補助がないので効果が見込めない。市駅の北地区再開発で85mの超高層マンション161戸が建設中であるが、最低でも4000万円のものが直ぐに完売された。委員の意見では、購入者の6割が市外だという。これを喜ぶべきだろうか。市営住宅の入居待ちが300世帯もあるのに、民間の再開発事業費の72%が国・県・市の補助金である。開発利益を得たのは誰か、調べてみたい。(次回は「豊田市における立地適正化計画」の考え方と委員の質疑を書く予定である)

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「集団的自衛権と安全保障」その3

2017-03-08 | 気になる本

 自民党の新憲法草案は「国防軍」としている。草案は「自衛戦争のための自衛隊」を否定するもの。「開戦規定」はないが、「日米同盟」に基づく有事法制で事実上の「戦争状態」を可能にする。周辺事態法によりアメリカが開戦宣言しない海外の戦争で、下請けで日本の自衛隊は後方支援に出動する。「審判所」とは何か?「軍法会議」である。「国家安全保障会議」が2013年に発足し、戦略が閣議決定された。そこには「積極的平和主義」が10回ほど使われている。これはノルウェイの世界的平和学者ヨハン・ガルトウングの非暴力を含む平和概念とは違う。軍事力を強化して抑止力を強化するという平和とは非なるものである。

 日本では、米国との関係で湾岸戦争に際し、「国際貢献」の考えがするどく問われ、平和主義は「一国平和主義」と揶揄された。92年にPK0法が通過し、改定により現在に至る。2000年アーミテージ報告は「日本の米国への軍事協力化」で、日米防衛協力指針の改定、周辺事態法の制定、武力攻撃事態法、特定秘密保護法の制定であった。

「憲法も安保も」どちらも手放し難く、今の快適な生活を今後も維持したいという「生活保守主義」であった。いまや憲法9条も安保5条、6条も変わったが、「解釈改憲」どころか「安保の解釈改定」でもある。

 第Ⅲ部 日本の果たすべき国際的役割

「積極的平和主義」は「積極的軍事主義」であり、象徴が武器輸出三原則の撤廃である。「武器を輸出して平和を推進しよう」である。湾岸戦争とは何か、イランに侵攻した侵略戦争であり、独裁者フセインが率いるイラクに対し、「兵器輸出諸大国」が膨大な可燃物資を売りさばいた。モンスターと化したフセインが大火事をおこすと、自らの責任は棚上げして、消化に務めるのは国際社会の責務だという。

「果てなき軍拡」は、アジア無人機戦争の時代に突入した。米国の軍事戦略が宇宙にはりめぐらされた軍事衛星網によって成り立っている以上、中国はすでに2007年には地上発射の衛星攻撃ミサイルの実験を成功させた。深刻な問題は無人機の開発である。同じく懸念されるのは、ロボット兵器の開発である。(学術会議は軍事研究に待ったをかけたが、政府の研究費削減の兵糧攻めに負けないだろうか)

 国を開くためには、「積極的平和主義」など無内容なご宣託を並べるのではなく、日本国憲法前文の「平和のうちに生存する権利」の削除をやめ、東アジアの不戦条約に連なるような平和条項を盛り込む必要がある。いまやグローバリゼーションが進行する中で、「住民自治」が、しかも深刻さを増す中で問われている。

 武力攻撃事態法を読む限り、日本が武力攻撃を受けることが前提になっているが、日本はそもそも80年前に外国を侵略した経験はあるが、外国が日本を侵略したことは、「元寇」が侵略してきた以降、7百数十年間は侵略を受けていない。

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「集団的自衛権と安全保障」その2

2017-03-05 | 気になる本

2章「歴史問題」と集団的自衛権

アベ首相らは、客観情勢のリアルな分析に基づく「戦略性」がない。領土問題で千島、竹島、尖閣で最も重要なのは竹島である。韓国とは国家制度も似ている、仮に北朝鮮、中国と敵対するなら韓国との連携は必要である。韓国にとって竹島は「植民地問題」であり、「民族の象徴」である。日本政府が帰属問題を前面に出せば、韓国が反発するのは必至であり、米国の地名委員会でさえ韓国領と記している(『尖閣問題とは何か』)。

アベの「戦後レジームからの脱却」は、憲法9条からの脱却と、「東京裁判史観」の脱却である。アベの主張は、日本の青年も「血を流すべきである」(『この国を守る決意』)。アベの言葉に従うならば、国家のために血を流すべきである。アベの「歴史修正主義は断じて許さない」のがオバマ宣言である。ビンの蓋はソ連、中国の共産主義を抑えることと、日本の軍国化を許さないという二重の意味がある。

日本の原発は空からの攻撃に耐えられるか?経産省の報告書によれば、「弾道ミサイルに有効に対処しうるシステムは未整備」としている。日本の原発はミサイル攻撃に無防備である。「理性なき国家」が現れ「核の脅し」は通用しない。ミサイル防衛の論理と核抑止の論理が根本的に矛盾している。

4章中国の脅威と「尖閣問題」

中国漁船が尖閣の領海侵犯をしたのは、野田政権が国有化を決定してから、年3日から63日に急増した。石原は2014年、尖閣を都が買うと発言したのが分岐点である。石原はヘリテージ財団で、「国が買い上げると支那が怒る」と述べた。尖閣諸島に米軍の射爆撃場があっても、アメリカは中立と言っている。オバマも安保法5条の適用をいうが、尖閣諸島の主権については中立である。日本が「領土問題は存在しない」というだけで、中国と話し合いをしなければ、米国は「5条適用」をしない。

第Ⅱ部 憲法改正と安全保障

憲法は米国が「押し付けた」というが、原案はGHQが作った。当時2大保守政党の自由、進歩両党は反対しなかった。ヨーロッパのように「征服戦争の禁止」など限定的でなく、徹底的な平和憲法としたのはなぜか?それは、戦争責任があると多くの連合国が考えていた天皇と天皇制を護るためには、「世界に類例のない平和主義」、「戦争の放棄」と「戦力の不保持」の憲法が必要であった。マッカーサーの三原則は、①天皇は最高位にある、②戦争は放棄する、③封建制は廃止するである。それに対し、私たちの憲法三原則は、①国民主権、②人権尊重、③戦争放棄である。この落差を考える必要がある。憲法をどう評価するか、戦争や侵略戦争の責任を、日本を豊かにした高度成長政策と公害をいかに総括するのか。「美しい日本」と「和の精神」という子どもじみた観念論。自由民主党として、日本の近代を必死に生きてきた先代の苦労に報いることができるのだろうか。平和憲法を単に「誇り」としてのみ認識するのではなく、徹底した平和主義を掲げることによって天皇の地位が守られ、沖縄の基地があったと認識すべきではないだろうか。

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「集団的自衛権と安全保障」その1

2017-03-04 | 気になる本

豊下樽彦、古関彰一(2014.7)『集団的自衛権と安全保障』岩波新書

 集団的自衛権の関連法が2015919日に、自公の強行採決で通過した。その1年前に書かれた本書は、安保法制に反対の立場の者にとっては、論理的には完璧である。南スーダンに自衛隊が派遣され、武器の使用が憲法違反であっても法的には認められている。稲田防衛大臣は戦闘行為を「武力衝突」と答弁している。自衛隊員が戦闘行為に巻き込まれないことを祈るばかりである。トランプ大統領の軍事力強化、強いアメリカに、アベ首相は追随の姿勢である。改めて、この本で安保、憲法、平和、戦争を学ぶ意味がある。以下そのポイントである。

 はしがきで、アベ首相が架空のシナリオで出した、朝鮮半島有事で米軍が邦人の救出に向かうことはない。自民党が政権によって憲法違反とされている集団的自衛権を、解釈改憲で帰ることが問題である。

安倍政権は軍事オタクで、現状分析が出来ていない。北朝鮮によるミサイルの脅威の宣伝と原発再稼働という根本的な矛盾が、リアリティを欠いている。「戦後レジームからの脱却」というアベ首相の宿願を果たすのが、不可欠の課題であるからに他ならない。アベ政権の「歴史問題」にかかる言動がいかなる影響を及ぼしているのか。2103年の首相の靖国参拝は、米国さえ失望させた。なぜ尖閣問題をめぐって日中関係がかくも先鋭化したのか、その契機はなんであったのか、という重要問題については触れていない。今日の国際政治の動向と日本外交のあり方考える上で決定的な意味を持つイラク戦争の総括を、完全に素通りしている。イラクはアメリカを攻撃していない。ブッシュの論理は「予防戦争」である。米国のイラク攻撃は憲章51条に違反する。米軍が主導した不正義の戦争であれば、事実上米軍の活動の一翼を担えば、自衛隊が米軍と一体と見做される。2004年米国調査団は、「イラクに大量破壊兵器」は存在しなかった。2010オランダ調査委員会は、「イラク戦争は国際法上根拠を欠いたものであった」。

1960年から何十年と政権を取ってきた自民党政権は、一貫して集団的自衛権は憲法に違反するとしてきた。集団的自衛権の行使は「必要最小限度」としたのは、憲法解釈に縛られているのだろう。イラク戦争などを総括すること、内外情勢を分析すること、歴史認識問題や北朝鮮のミサイル問題など掘り下げて、集団的自衛権の行使と憲法改正の緊急性を訴えれば世論の支持を得て(「安保法制懇」やアベ首相は)「やればできる」のである。(著者のニュアンスは微妙であるが、裏返せば集団的自衛権に賛成の人も違憲であると考える人は、反対の人も含めて憲法学者の大部分であった)。

集団的自衛権と安保条約について、安保5条は日本の「施政下にある領域」への武力攻撃が問題となる。(尖閣諸島も適用とトランプは認めたようだが、米軍が中国と戦う問題は別である)。第6条いわゆる「地位協定」の問題で、国連外で米軍が「一方的行動」をとる自由を認めている。安保は片面条約で「押しつけ」である。日本の自主性もなく「事前協議制」は発動されていない。ベトナム戦争で韓国軍は集団的自衛権の行使を迫られ、ベトナムへ派兵した。

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