7章 変動相場制下での財政破綻―欧州の経験
通貨が流通するのは価値が安定しているから。資金流出が止まらなくなった時、ドルなどやピットコインに変換する。我が国の財政事情は、アイスランドが危機に突入した2008年当時より相当悪い。何も起こってないからとして、放漫財政をこのままにして良いのか。円安が物価高騰につながるだけでなく、通貨安が金融危機になりかねない。1ドル150円を超えた時、円買いをし、10年国債の金利を0.5%まで許容した。外貨準備があるが、換金可能な資産だろうか。
8章 我が国の再生に向けて
わが国では、高所得者層ほど負担率は低下している。1億円の壁である。「経済成長なしで財政再建なし」で税制も十分議論されず、与党の税調で決まってしまう。1964年東京五輪から「60年償還ルール」ができた。1975年石油危機後から、建設国債から赤字国債が「特例国債」として制定された。60年償還ルールが放漫財政の主犯でないか。
真に独立した中央銀行としての抜本的な立て直しを。市場メカニズムの回復として、10年国債の金利の許容範囲(現在0.5%)の拡大、0%設定している10年国債金利を徐々に引き上げる。財政再建に向けて本腰を入れる。慶応大学深尾教授が「量的緩和、マイナス金利政策の財政コストと処理方法」を書いている。
日銀が、他の中央銀行が決して採用しないYCC政策を実施した結果、短期金利を0.2%上げただけで、あっという間に「逆ザヤ」に転落する。しかもETFを買い入れている。これ以上、財務の過度な悪化を招かないよう、日銀に段階的な正常化を取り組むことを促す。(植田総裁は、金融緩和を継続し、「物価目標2%」評価を1~1.5年でやる、と表明し危機意識が感じられない。)
政府も財政運営を見直すこと。国債発行額を減らす(軍事費倍加の岸田政権、緩和継続の植田総裁ではそれらの姿勢は見られない)。内閣府は26年度までプライマリーバランスの黒字化はできない、つまり国債発行は続けるとしている。自民党内では60年償還ルールを80年にするなどの議論がある。国債の元本も償還する気もないのか。市場の信用を失う。国債金利が急上昇するか、円安が一段と進展するかして、財政運営が行き詰まる。(いつか?)米国では国債は財源として考えられていなく、10年単位で償還を設計する。米政府もコロナ化で財政出動をやり過ぎたと認めた。政府、日銀に場当たり的でなく問題の所在を明らかにさせ、国民も甘えや無責任から脱却しなければならない。