Con Gas, Sin Hielo

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「ワンダーウーマン」

2017年09月03日 14時25分59秒 | 映画(2017)
結局最後はビーム合戦。


「バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生」で唯一の救いと言っても過言ではなかったワンダーウーマンの登場場面。

その彼女の誕生を描いた作品が、DCヒーロー揃い踏みの「ジャスティスリーグ」を前にして満を持しての公開となった。

ワンダーウーマンことダイアナは、全能の神ゼウスが生み出したアマゾン族の王女ということで、言い換えれば人間よりも神に近い存在であるらしい。

男性がまったくいない島で母親が粘土に命を吹き込むことで誕生したダイアナは、アマゾン族の運命を担う者として、宿敵である軍神アレスとの決戦に備え戦闘能力に磨きをかける日々を送っていた。

そこへ突然人間の男性が迷い込む。スティーブは米国陸軍に所属するスパイであり、敵国ドイツの軍事秘密を盗み出して命からがら島にたどり着いたところであった。

人間の世界で大量の人命を犠牲にする戦争が行われていることを知って、ダイアナはアレスの仕業であると直感。世界を救うのは自分以外にいないと決意し、スティーブとともに島を後にする。

誕生物語だから仕方ないとはいえ、前半の島での下りが長く感じた。

その中でも、スティーブを追って島にやって来たドイツ軍とアマゾン族の戦いは数少ない見せ場だが、銃器対神の力のバランスがうまく伝わってこない。

アマゾン族の舞うように戦う姿は実に優雅に映されているのだが、油断していると銃弾の餌食になってしまうので、強いというよりも時代に取り残されたマッチョ軍団にしか見えなかった。

リズム感の悪さは島を出てからも拭えない。ロンドンに着いたダイアナは一般の人間に馴染むために洋服をしつらえる場面では、人間の文明を知らない故のズレをコミカルに描いているつもりがいまひとつ笑いに繋がらない。

次に舞台は戦場へ移り、ダイアナたちは大量殺戮を可能にする最新の化学兵器を開発したドイツ軍と対峙する。実際の戦場の悲惨さを目にしたダイアナはパワー百倍、島での戦いとは異なる圧倒的な強さでドイツ軍を蹴散らし町を奪還する。

そして軍を掌握するルーデンドルフ将軍がアレスであり、彼を仕留めれば戦争に終止符が打てると思い、単身で中枢へ乗り込み彼の体に剣を突き刺す。

しかし一変するはずの世界は何一つ変わらず、ドイツ軍は化学兵器を戦闘機に積み込む作業を続ける。ダイアナの壮大な勘違いが解けて、人間世界を救うヒーローへ生まれ変わるのかと思ったそのとき、なんと黒幕が登場する。

マーベルでも神が実在のヒーローとして戦っているのだから、設定自体に文句を言うつもりはまったくない。しかし、島に伝わる言い伝えから勘違いの道具という一連の流れから、アレスがラスボスでしたと言われたときの置いてけぼり感には実に不満が残った。

「やっぱり私が正しかったのね」となってもおかしくないところを、「最後は愛」と言い放つダイアナの宗旨替えも理解不能である。

そして最後は神々の戦いだけに、「マンオブスティール」でも見た人類無力の超能力合戦と化す。DCは結局良くも悪くもプリキュアなのである。

G.ガドットは文句なしに素晴らしい。戦う時の凛とした姿も美しいが、特に目を引くのは力を抜いたときの穏やかな表情である。

世界で最も美しい何人かに選ばれるのも当然であり、いくら作品に不満があっても彼女の活躍見たさにDCシリーズにも足を運ぶことになるのかもしれない。

(55点)
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