Con Gas, Sin Hielo

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「タイピスト!」

2013年11月10日 23時15分36秒 | 映画(2013)
優雅にスポ根。


時は1950年代。第二次世界大戦が終わったばかりとはいえ、やはりフランスは優雅だった。

世界を股にかけるビジネスマンの傍らで、清楚にかつ冷静沈着に取り仕切る秘書は憧れの的。

田舎生まれでタイプの早打ちしか特技のないローズが、街の保険会社の秘書の面接試験を受けるところから映画は始まる。

マイフェアレディやプリティウーマン。平凡な女性が上流階級の男性に出逢って磨かれていく物語はがちがちの王道。

でも今回のお相手である若社長のルイは、どうも心に何かを抱えた悩める王子様でちょっと違う。

秘書としての出来が悪いローズを、タイプの才能があるからとクビにしなかったというが、どこまで本当なのかがよく分からない。

そもそもの試験採用時から一定の恋愛感情があったとする方が自然なのに、結果として恋愛が勝るようになる過程がよく分からない。

D.フランソワの可憐さが際立っている分、本心が定まらないルイの振る舞いにはちょっといらつかされた。もっと単純な男性の設定でよかった気がするけど。

仲違いしていたローズと父親の関係も消化不良。和解のきっかけが、彼女がチャンピオンになったことだけにしか見えないから浅い。

初めて使ったタイプライターは効果的に使われたけど、やっぱり直接話し合って理解し合う場面が欲しかった。

ただ、タイピングのサクセスストーリー自体は単純でおもしろかった。文字キーの色に合わせたマニキュアなんか実に微笑ましい場面だった。

話は変わって、ニューヨークで行われた世界大会で、確か「第39回」と紹介されていた記憶があるが、タイプの歴史が随分と長く続いたことに驚いた。タイプライターの一線企業にいれば、ひと世代は大過なく過ごせたわけだ。

そう考えると、2年やそこらで世界を変えるようなヒット商品を出さないと過去の企業扱いされてしまいかねない風潮は、社会全体を追い込み過ぎている気がしてならない。もっとゆっくり行けないものかな。

(65点)
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