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Con Gas, Sin Hielo

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「28年後・・・」

2025年07月06日 13時32分31秒 | 映画(2025)
パンデミックは隔離できないと、世界は知ったはずだが。


「28時間後」「28週後」と作られたD.ボイル監督のゾンビ映画シリーズ。次があるとしたら「28年後」だよねーと言っていたら、本当に作ってしまったというのが本作。

さすがに事が起きてから28年のブランクがあると出演陣は一変しないと成立しないわけで、続篇と言えるのかどうかもよく分からない。好意的に捉えれば、過去作をあわてて復習する必要がないとも言える。

冒頭、懐かしの幼児番組「テレタビーズ」を見る子供たちが映る。天真爛漫な番組内容とは対照的に、子供たちは一様に怯えた表情をしている。そこに現れる感染者たち。部屋は即座に阿鼻叫喚の景色へと変わり、一人逃げきった少年は「なぜ自分は生かされたのか」と自問自答する。

それから28年。事が起きた英国本土は世界から隔離され、生き延びた人たちは本土から海を隔てた離島で生計を立てていた。ただ、島にいるだけでは生活を充足できないため、時々命を懸けて本土へ行っては食料などを調達しているようだ。

12歳の少年・スパイクはこの島で生まれ育ったから、ほかの生活を知らない。病気の母親を心配しながらも、早く立派な大人にならないとと思い続けている。

この島における「立派な大人」とは、感染者に負けない力を持つことにほかならない。スパイクは、父のジェイミーに連れられて初めて本土の地を踏むことになる。

いわゆるゾンビ映画はひさしぶりである。先日は吸血鬼が出てくる映画を観たが、ホラー界の両雄と言って然るべき存在であり、やはりわくわくさせられる。

ただなんだろう。期待し過ぎたのかもしれないが、いまひとつ入ってこなかったというのが正直なところである。

まず、続くのが大前提となっているラスト。もちろんシリーズものとしてそれは必然なのであるが、当該作品の中にきちんとしたクライマックスがあって、その付け足しとしての"to be continued"があるべきところを、本作は明らかに「クライマックスはこの後」と言っているように見えた。

もし本作の中でクライマックスを探すとすれば、スパイクと母親が本土で暮らす謎の医者・ケルソンと出会った一連のシークエンスということになるが、これはゾンビ映画のクライマックスとしては甚だ異質である。感染者が産み落とした赤子を含め、生と死が同じ場所で交差する様子を丁寧に描いて見応えがあるのだが、正直これで作品を閉じてしまうと「?」が残ってしまうのである。

赤子ももっと整理できなかったのかと思う。感染者から生まれて元気に泣き声を上げるのを見ただけで「この子は感染者じゃない」って、なんでそんな自信を持って言えるのか分からない。当然のように疑問に思った「命の恩人」エリックくんはあっさり退場。彼の使い捨てぶりも相当に酷い。

エリックがスパイクと母親を救うときにガスが充満している部屋に火を放ったときも、何で感染者は全員焼け死んで母子が無事だったのか、ちょっと雑だよなと思った。

そんな感じでツッコミどころが満載で、D.ボイル監督ってそういう人だっけ?と混乱してしまったのである。

冒頭で逃げ切った子供についての回収も明確には行われず、あまりにも続篇に委ねている部分が大きく、個別作品としての評価は下げざるを得ない。

(60点)
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