Con Gas, Sin Hielo

細々と続ける最果てのブログへようこそ。

「アーガイル」

2024年03月14日 22時35分14秒 | 映画(2024)
ナウ&ゼン、ノベル&リアル。


ベストセラー作家が執筆したスパイ小説が実際に起きていることと酷似しているとして、本物のスパイに追いかけられるという話。

いくら何でも無理があると思いつつも、作ったのがM.ヴォーン監督と聞けば期待の方が上回る。実際に観ると、はじめから無理と思わず推理していれば気付いたのではないかと思うほどシンプルなからくりであった。

主人公・エリーのもとに突然現れた本物のスパイ・エイダン。彼は、何故か分からないが自分を狙ってやって来る追っ手を次々に退けていく。

立ち位置は自分が小説で書いてきた完璧なスパイ・アーガイルそのものなのに、目の前で奮闘するエイダンは汚いヒゲを生やした中年男性。それでもエリーの目には時々彼の姿がアーガイルに映ってしまう。H.カヴィルがアーガイルを演じるのに対して、エイダンに扮するのはS.ロックウェル。このギャップがおもしろい。

見かけはともかく自分の命を救ってくれたエイダンに信頼を抱きつつある中で突然の裏切りが判明。右も左も分からない異国の地で誰も信じられなくなったエリーに更なるどんでん返しが待ち受ける。

前半から結構なスピードで敵味方や攻守が目まぐるしく入れ替わる。ジェットコースターのよう、というとありふれた表現になるが、観ている側もエリーと同じように何がなんだか分からないうちに先の世界に運ばれていく感覚が心地良い。

しかし中盤で突然大きな謎が明かされ、そこで観客はエリーとお別れし、その後は単独で引っ張り回されることになる。

エリー役のB.ダラス・ハワードは小説家がぴったりハマっていた。途中からある理由で覚醒するのだが、その姿がまったく垢抜けておらず、一般女性が無理なコスプレをしているようにしか見えない点にも感心した。そんなはずないのにダサくもなれてしまう、女優魂の面目躍如といったところか。

そして何よりお楽しみの、「キングスマン」で「不謹慎」と称賛したバトルシーンである。

今回は、もうもうと立ち込めるカラースモークの中で二人の中年男女が踊りながら乱射する場面と、配管から漏れた原油でつるつるになった船室でナイフをアイススケートのブレードに見立ててフィギュアスケーターのごとく敵陣へ突っ込んで行く場面の2つが「振り切って」いた。

心臓の近くの5ミリを撃ち抜くのはさすがにやり過ぎ感があったけど、小道具や伏線などもキレイに配置され、非常に安定して楽しめる娯楽作品であった。ただ、「キングスマン」と繋げる場面があったけど、ユニバースのようにする必要はないと思う。

(80点)
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「アバウトライフ 幸せの選択... | トップ | 「変な家」 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

映画(2024)」カテゴリの最新記事