(冒頭写真は、公立定時制高校にて原左都子が実施した授業の際に使用した「自作授業ノート」の数々。)
この高校にての授業に関しては、当時大学院修士課程に同時入学した身にして“得意中の得意”と豪語させてもらってもよいだろう。
高校教師を引き受けるに当たり、大学院にての勉学と同時進行で高校現場で授業をさせてもらえることとは まさに一石二鳥であり、“恵まれている!”と感謝したい程だった。
私の場合は、自身の大学院での専攻が「経営法学」だったのだが、ちょうど我が勤務高校に於いても「商業法規」「商業経済」等々の授業を実施していたため、これらを喜んで担当させていただいた。
それらに加えて、商業科の主たる科目である「簿記会計」をどうしても受け持って欲しいとの学校からの要望で、高1の「簿記会計Ⅰ」のみを担当させていただくこととした。
加えて、当時我が勤務先の定時制高校では「ワープロ」の授業を実施していたのだが。 この私は20代後半期に英文タイプ検定2級に合格しているそのキャリアを活かして、これも喜んで担当させてもらった。
これが何ともラッキーだったのは、使用機種が富士通オアシス業務用ワープロだったことだ。 ワープロ等とは機種が異なれば新たな機種に慣れるのに多少苦労するものだが、医学関係業務時にも同じ機種の富士通業務用ワープロを使用していたため、スムーズに授業に入ることが叶った。
更なるラッキーとは。
最初に授業内容に関して確認したのだが、“何をしても良い”、との返答だった。😁
例えば、当然教科書が生徒達に配られているのだが、それを全く無視して自己流の授業展開でもOK!との事だった。😲
私の場合は これで俄然、授業に対する我がやる気が倍増したものだ!!
特に私の場合、大学院での専攻が「経営法学」だったため、自分自身のためにも「商業法規」の授業には一番入魂した。
この「商業法規」は、実は 商業科教諭の皆さん、一番苦手らしいのだ。
大抵の先生は 「簿記会計」がお得意の様子だ。
この辺の事情も、私にとっては何ともラッキーだった。 在校中の3年半の期間、「商業法規」(及び「商業経済」)は私一人で引き受けさせてもらったものだ。
これらは、原左都子自作の「授業ノート」の数々だ。
新任直後の頃は、黒板に板書の形式を採っていたのだが。
これをやると、生徒たちは授業中に“板書”しかせず、肝心の授業を聞いていないことが判明したため。(これをさせておくと、授業中静かでよいと言えばそうなのだが、これでは生徒の学習効果が上がらないと、私は考えた。)
すぐにきっぱりと「板書形式授業」を取りやめて、毎時間プリントを配り、それに重要用語や事項のみを書き入れる方式に切り替えた。
そのため、毎時間そのプリント制作が大いなる負担とはなったのだが。
生徒にとっては、そのプリントさえ保存しておけば、試験前にはその確認で済んで負担が少ないとの利点もあっただろう。
その試験に関しては、私なりの教育ポリシーに基づき、必ずや自己の意見を記入する設問を出題した。
例えば、「商業経済」の例を挙げると。
「今の日本は“経済大国”といわれるまでに経済成長をしたが、人々の暮らしが真に豊かな国だと言えるか? そうでないとすれば、どのような点が豊かでないのか。 またそれをどのように変えていけばよいのか、あなた自身の考えを自由に述べなさい。」
といった具合だ。
これ、定時制高校生には無理、と思われる方々がいるかもしれないが。
何の何の、素晴らしいポリシーを育成している子もいたし。「自由に書きなさい」の文言がよかったのか、実にバラエティに富んだ生徒達の視点や正直な思いが伝わって、こちらこそが感激ものだった!!
何だか授業や試験の事を思い出すに。
今更ながら、私って実に素晴らしい生徒達に恵まれていたと実感させられる次第だ。
国立大学や有名私立大学へ進学した生徒もいたし、自衛隊に入隊した子もいたなあ。
3年半の短期間だったが、私は定時制高校にて実に有意義な様々な体験をさせていただけた。
もう一校、私立女子高校にても1年間教鞭をとったが。
それも含めて、高校教員経験とは私に数多くの貴重な体験をもたらしてくれたものだ。
すべての経験が我が血となり肉となって現在の私を創り上げてくれていることを、今更ながら実感させられる。