原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

凍てつく夜はふかふかの布団が恋しい…

2014年02月20日 | その他オピニオン
 エッセイ総数1000本を突破しまだまだ健在の「原左都子エッセイ集」であるが、取り上げるテーマとして一番少ない題材が“主婦業”に関する話題と自覚している。

 私自身の記憶にある“主婦業”関連バックナンバーといえば、2008年8月17日公開 「料理嫌いな女」、そして2009年5月19日公開 「布団を干すのも頭脳勝負」 この2本のみである。

 ところがどういう訳か上記“主婦業”関連エッセイは、今や「原左都子エッセイ集」スタンダードナンバーと表現可能な程数多くの閲覧を連日頂戴しているのだ。
 日々更新されるブログ編集画面のアクセス状況を確認すると、公開から既に数年が経過した現在に於いて尚、両バックナンバー共、常に我がエッセイ閲覧数(PV)ベスト20内にランクインしている。


 特に、今冬日本全国を襲っている「大雪被害」が凄まじいとの天候状況が大きく影響しているのか、2009年公開バックナンバー 「布団を干すのも頭脳勝負」 に最近数多くのアクセスを頂戴している。
 その検索元文言を辿ると、「雪が降った後でも布団を干せるか?」「雪がまだ積もっていても布団を干して大丈夫か?」… なる、おそらく主婦の皆様の切実な思いが読み取れるものが多数である。

 そこで、今回は上記バックナンバーを公開した原左都子の責任を取るためにも、今一度「布団干し」に関する私論を綴り公開することを目的とする。


 早速、2009.5.19公開バックナンバー 「布団を干すのも頭脳勝負」の一部を以下に要約して紹介しよう。
 私は“主婦”としての殊勝な心がけなど一切持ち合わせていない「主婦失格女」である。  と言う以前に、この“主婦”という言葉には結婚前より大いなるアレルギーがある私は、結婚後外部に対して自ら“主婦”と名乗ったことなど一度もない。 例えば履歴書の職業欄に何と書くべきか等、現在の自分の身分を表現する言葉にいつも困惑するのであるが、まかり間違っても“主婦”などとは記載しないで“無職”の表現を用いることを好む私である。  このように、普段“主婦”の自覚がまったくない私であるが、その実はと言うと、料理以外は日々まめに“主婦業”に励んでいる種の人間なのだ。
 それには理由がある。 私の“主婦業”行動は、根っからの「綺麗好き」気質に端を発しているのだ。
 独身時代の一人暮らしの頃から、例えば外で飲んだくれて深夜に帰宅しても、必ずシャワーを浴び、その日着ていた衣類を手洗いで(洗濯機は騒音を発するため)洗濯してから就寝した。  仕事のない休日の午前中は、必ず部屋の掃除と布団のシーツ等の大きいものの洗濯、そして晴れた日には布団干しに勤しんだ。  休日の日課はノルマ実行が最優先で、これをこなしてからでないと外出しないことに決めていた。 例えば彼氏に休日朝からの遠出ドライブ等に誘われた場合も、我が“綺麗好きノルマ”達成のために約束の時間をずらしてもらったりした。
 独身時代からのこの習慣が現在も“主婦業”という形で続き、掃除洗濯、布団干し、部屋の整理整頓等に日々勤しみ、休む間のない私なのである。
 ここで話が変わるが、「布団干し」に関して、どんなに晴れていても雨が降った翌日は湿気が多いので布団干しをしてはいけない事を常識と認識されている方々が特に年配女性を中心に未だ多いようだ。 例えば朝日新聞投書で82歳女性からのその趣旨のご意見を見かけた。 人生の大先輩に対して物申すのも気が引けるが、ここでは「その言葉、ちょっと待った!!」と異論を提示するしかない。
 独身時代より培った布団干し暦30余年の“ベテラン布団ホッシャー”の私に言わせていただくと、この投書内容は明らかに“がせネタ”である。 たかが主婦の一仕事でしかない“布団干し”と言えども経験がものを言うものだ。  この道のエキスパートともなれば、外の空気を鼻で一瞬嗅いだだけでその日の湿度のパーセンテージがほぼ正確に分かるのである。 空気を鼻で嗅がずとも、ベランダの雨の残り具合や排水溝の乾き具合を少し観察すれば、その日の湿度の状態が一目瞭然で、今日は布団を干せるか否かが一瞬にして分かるのものだ。  (もちろん、この投書の高齢女性は高層集合住宅など皆無だった頃の教えに基づき投書されたのであろうが。)
 私論に入るが、雨の翌日が必ずしも湿度が高いとは言い切れない。 湿度は気圧配置や風の向きに大いに左右され、たとえ雨の翌日といえども爽やかに晴れ渡る日は多い。  “布団干し”と湿度は確かに切り離せないものである。 だが、その日や前日の天候のみによって杓子定規に布団を干すか干さないかを判断するのではなく、たとえ馬鹿でもできる(失礼!)“主婦業”の中の一仕事であれ、昔伝授された知識のみに頼るのではなく、自らの経験により得た勘等も活かしつつ日々取り組むべき業であろう。
 ついでの話だが、我が布団干し歴30余年の間に、ベランダに干した布団を風で飛ばす、という大失態を経験している。  特に高層住宅の上階では強風のビル風が吹き荒れ易いのであるが、我が家が超高層タワー物件に居住していた時にこの失敗を経験している。 激しいビル風で飛んだ布団が下を通行している車や人に当たった場合の惨事をご想像いただくと、布団が凶器と成り得ることは想像がつくであろう。 恐らく布団を飛ばした主婦は「重過失責任」を問われ、多額の損害賠償支払いを命じられるであろう。 それが理解できていながら、当時まだまだ人生経験が足りず未熟だった私は、自らの“綺麗好き”の本能に任せて超高層タワー物件で果敢にも布団を干したのだ!!  幸い、飛んだ布団はタワー敷地内の植栽の上に落ちていた。(ホッ…) 人目を気にしつつ飛んだ布団を持ち帰った私は自分の愚かさを恥じつつ、(こんな超高層タワー住居ではふかふかの布団で寝るというような人間らしい暮らしは所詮無理なのかなあ…)との感覚を抱いたものだ。  その後、我が家はまもなく(他の理由もあったが)低層住宅地に住居買換えの運びとなる。
 太陽光を浴びたホカホカの布団のぬくもりは毎晩はずせない。 あれは「布団乾燥機」では到底味わえない贅沢であるのかもしれない。
 これからもまずは自分の安眠のために、私は“ベテラン布団ホッシャー”でい続けるぞ。
 (以上、「原左都子エッセイ集」バックナンバーより一部を引用。)


 ここで、“ベテラン布団ホッシャー”原左都子から「布団干し」作業に於いて忘れてはならない重点項目を追加しておこう。

 まず第1点。
 「布団叩き」に関してだが、あれの使用は即刻やめるべきである。 とにかく叩く音がうるさい。 過去に於いても 「布団叩き」の音が近隣の迷惑を及ぼし裁判沙汰になった事例もある。 
 私は30余年前より「布団叩き」を一切使用していない。 手で布団の表面を静かにふるうだけで十分だ。そうした方が布団の生地を傷めず長持ちする。 もしも花粉やPM2,5等の粒子が気になる場合は、そもそも布団を干すことをやめ、シーツやカバーをまめに洗濯することである程度アレルギー被害を防げるであろう。

 第2点。
 「高層住宅に於いては下階に留意するべき」。 我が家の場合高層住宅の上階に位置しているのだが、日々布団を干す場合これぞ鉄則と心得ている。 下階の住人の方が布団を干している場合、その日は布団干しを諦めようとの考えもある。 どうしても干したい場合は、布団のホコリをベランダ内で人知れずいつもより静かにふるうべきであろう。  上階から布団のホコリを叩き落とす行為とは、必ずや下階の不快感及びトラブルを引き起こすものと心得たい。

 第3点。
 「自分自身で布団の快感を味わうことから始めよう。」  これは、特に「雪に際してどうするか?」なる布団干しに関する疑問を提示している主婦の皆さんに提案したいのだが、とにかく自分自身の感覚範疇で“今日は布団を干せる!”と感じたならば、干してはいかがかとの事だ。 
 その結果、もしも布団がジトジト気持ち悪かったならばそんな日の布団干しはやめるべきだろう。
 私自身の行動をここで記すならば、大雪が降ったとて、次の日が晴天で我が家のベランダの雪が解けきっている場合は果敢にも布団を干している。 その夜その布団で寝た感想を語ると明らかに干さないよりも心地よいからに他ならない。 自分が心地よいならば、おそらく家族もそうであろうとの行動だ。 それで家族から苦情が出たためしもない。


 たかが「布団干し」作業と言えども、自宅家屋の方角や高さやその地面の特質等により大幅にその効果の程が異なる事には間違いない。
 まずはご自宅の立地条件をわきまえ、とりあえず布団を干したご自身がその効果を検証することから始めては如何か?