原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

配偶者控除、必要ないでしょう。

2010年12月26日 | 時事論評
 去る12月11日、政府は11年度税制改正で高所得者の配偶者控除の廃止を見送る方針を固めた。
 子ども手当上積みのための財源として政府税制調査会が廃止を検討してきたが、来春の統一地方選を前に民主党内に慎重論が強く、来年度の配偶者控除廃止の見直しは断念した。 子ども手当上積みには給与所得控除の見直しなどによる増税分を充てる方向である。
 財務相や厚生労働相ら関係閣僚の協議では、配偶者控除を受けられる上限を給与所得1000万円(年収1231万円)として財源を捻出することでほぼ一致し、一時は最終調整に入っていた。
 約1100億円が確保できるとされていた配偶者控除の見直しができなくなったため、子ども手当上積みに代わる財源が必要になる。
 (以上、毎日新聞記事より子ども手当と配偶者控除との関連部分を抜粋引用)

 
 昨年夏の衆院選における民主党の“看板公約”としてマニフェストに掲げられた子ども手当であるが、選挙戦当初より“手当てバラ撒き”と抱き合わせに語られていたのが表題の“配偶者控除の廃止”であった。
 元々民主党政権の“カネのバラ撒き”政策に断じて反対!の立場を貫いている原左都子であるが、選挙戦当初は票取り目的でしかない“カネのバラ撒き”のために配偶者控除を廃止する政策とは、発想として短絡的過ぎるとの印象を抱いていた。 (私事になるが、原左都子も一応外因的には専業主婦なのだが、税務上の“不労所得”が現在発生しているため「配偶者控除」の対象者ではない。)


 ここで参考のために「配偶者控除」について簡単に説明しておこう。
 「配偶者控除」とは配偶者(一般的には妻)の年収が103万円以下であれば、納税者(一般的には夫)の所得税等が減額される制度である。
 この制度が導入されたのは1961年であるのだが、当時の我が国はまさに高度経済成長を目指そうとしていた時期であった。 日本企業が世界的な発展を遂げようとする中“企業戦士”として日夜働く亭主を主婦が家庭で支えつつ、家庭内では子どもを少しでも“いい学校に入学させ、いい企業に入社させる”べく精進し始めた時代である。 その頃には、確かに“内助の功”なる言葉がまだ息づいていた。


 さて、話が変わって昨日(12月25日)の朝日新聞別刷「be」“between"のテーマは「配偶者控除は必要ですか?」であった。
 読者アンケートによる回答結果は「はい」が73%「いいえ」が27%と、予想通り「はい」回答が多数派であるようだ。
 
 このテーマに対する原左都子の回答を先に発表すると、表題に記した通り少数派の「いいえ」に軍配を挙げたい思いである。
 何故ならば私は若かりし頃より“婚姻”という家庭の形態にさほど興味がなかった人間であり、長い期間独身を貫き「配偶者手当」などと言う甘い恩恵を被る世界とは遠く離れた世界に生きて、独力で国家や地方自治体に多額の税金を納めてきた人種だからである。  要するに「配偶者控除」なる税制上の優遇措置世界とは無縁の人生を歩み続けているため、その種の控除を死守しようとする“配偶者”であられる主婦の方々の痛みが自身の事として心底理解できていないのが実情と言えるのだ。

 それでも上に記したごとく、民主党政権が票取り目的で「配偶者控除」を廃止する手段をとってでも“子ども手当”をバラ撒く!と公言した時には、 とんでもない! と憤慨したのは事実である。
 皆さんもご承知のごとく、今の時代誰が弱者なのか混沌としているからだ。
 来年度の高所得者「配偶者控除」廃止が見送られたとは言え、再来年度には“子ども手当て”バラ撒きの財源として配偶者控除分を財源に充てることを現政権は公言しているのである。


 結局この議論の行き着くところとは、現実社会で国政の“子育て支援”に平行して“配偶者”たる者の社会に置ける位置付けが今後どう推移するのかを見定めることに尽きるのではなかろうか。

 今の時代男性が草食化しているらしいが、経済力のある肉食女性が婚姻という形でその男性を扶養するごとくの家庭形態も既に存在すると見聞している。 その種の現在特有の事情を勘案した場合、今後は女性が産んだ子どもをその配偶者である男性が“イクメン”として育児する事例も増殖することであろう。 この場合も現政権の制度によると来年は「配偶者控除」は当然ながら適用対象となるということである。 子どもを産む性である女性の日々の過酷な労働の苦労は報われて当然である反面、“産む性”ではなくその痛みを知らない男どもが、いつまでもその恩恵を受ける草食であって許されるのだろうか??

 何故に原左都子が今回の記事においてこのような極論を持ち出すのかと言うと、「配偶者控除」と言えば、いつも女性のライフスタイルの多様化ばかりが議論の対象として持ち出されるからである。
 何が言いたかったのかと言えば、女性のライフスタイルどうのこうのを議論することはもう既に時代遅れではないのかということである。 それよりも、今現在の男性の草食化等世の移り変わりの激動に政権や世間に着目して欲しいのだ。 それ程、原左都子の実体験の感覚によれば世は移り変わっていると言える。

 そんな中“子ども手当制度”とは“産む性”でない草食男を含めたニートやパラサイト人種が家庭に篭ることを増進する制度であるとも捉えられるし、社会人として働きたくない男どもが「配偶者控除」の恩恵を受けることを正当化しようとしているのではないかとも懸念するのだ。
 議論が飛躍したようだが今の若い世代の男の軟弱化を考慮した場合、女性のライフスタイルの変化に着眼して「配偶者控除」は廃止だどうだと論じるよりも、現代の厳しい時代を生き切れず軟弱化している若き男どもが嘆かわしい程に生活力を失って弱体化している実態も直視考慮して、政権は法制度を改革するべきかと言いたかったのが今回の記事の一つの趣旨でもあるのだけど… 

 そうした場合「配偶者控除」廃止存続如何を論ずる以前の問題として、男女を問わずまずは雇用の安定を図ることが先決問題であり、“子ども手当”をバラ撒くより何よりもそれこそが少子化対策の第一歩となろう。

 そして社会的弱者が多様化した時代においては、一体どの種の如何なる弱者を税制面で保護するのが最善かを総合的に議論し直した上で制度改革がなされるべきである。 少なくとも、支給された手当の4割が貯蓄に回されているのが実態の“財源無き子ども手当”の支給をこのままの形、あるいはさらなる弱者を創り出す手段で続行することほど愚かな政策はないのだ。


 今の世の中、「配偶者控除」対象者と言えば肉食女房の扶養者たる“イクメン”ご亭主か?? と本気で世間が言い始める時代が直ぐそこに訪れているのではなかろうか!!? 
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