原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

歩く楽しさ

2008年07月03日 | 医学・医療・介護
 手前味噌な話題で恐縮ではあるが、先日我が身内が、所属する職場で社長賞を受賞し表彰された。(写真はその表彰状)
 身内は物理学の研究者なのであるが、現在民間企業の研究所に所属している。この度の受賞は「歩行アシスト」の共同研究によるもので、身内は5年程前からこの研究に携わっていたらしい。(家では仕事の話をほとんどしないため、私はこの表彰状を見るまで知らなかったのであるが…。)
 1年程前から体調を崩し自宅療養も経験し現在も通院中の身で、家庭では現在影が薄い存在の身内であるのだが、そんな余力がまだあったのか!!と私と娘は久々の快挙に驚かされた次第である。


 「歩行アシスト」とは何なのか。各種資料を参照しつつ私が理解できる範囲内で説明してみよう。

 ホンダは、高齢者の歩行機会を増加させ活動範囲の拡大を支援しようという目的で、1999年から「装着型歩行アシスト」の研究開発を進めてきた。
 この「装着型歩行アシスト」とは、脚力が低下した人の歩行をサポートするために、腰や太ももの周りに装着し、人の動きに合わせて電動モーターで歩行に必要な力を補助する装置である。二足歩行ロボット「ASIMO」の開発で培った制御技術等が活かされており、介護やリハビリ現場での実用化を目指している。
 ホンダは昨年、この「歩行アシスト」を東京ビッグサイトで開催された「国際福祉機器展2007」に参考出品したところ、ブースの片隅に展示した製品だったにもかかわらず来場者の間で大反響を呼ぶに至った。
 現在では、開発当初に比し重量が10分の1まで軽量化され、装着しても違和感がなく、長距離でも楽に歩けるようになっているとのことである。
 先日6月30日の報道によると、ホンダはこの「歩行アシスト」の効果を実際のリハビリ現場で検証する試験を埼玉県内の病院と共同で始めると発表したそうだ。同病院でリハビリに取り組む患者のうち希望者の訓練メニューにこの「歩行アシスト」を取り入れ、患者や医師等の声を聞きながらその使い勝手や治療効果等が検証されていくことになる。
 そして「歩行アシスト」はさらにブラッシュアップされ、近い将来市場に出回ることになるであろう。


 “歩く”という動作は人間にとって至って基本的な機能である。特に健康な人にとっては気軽にできる行為でもある。

 実は私の現在の一番の健康法は“歩く”ことである。2年程前に車に乗ることをやめて以来、私はどこに行くにも電車等の乗り物を利用し、そして歩いている。“歩く”という行為は何の道具も必要とせず、買い物等所用のついでにでき、また人や環境にも優しい。当ブログのバックナンバー「徒歩生活のススメ」においても既述しているが、一旦この徒歩生活に慣れると車や自転車生活がかえって不便なようにすら感じる。車線変更で神経を擦り減らすこともなく、後続車にクラクションを鳴らされてイラつくこともなく、また駐車場を探して右往左往する必要もない。
 昨日も電車にての外出時に、ちょうど運悪く人身事故による電車の運転見合わせに出くわした。日頃歩き慣れていると、そういう時に「ならば、歩いて帰ろう」という発想がすぐ出るのだ。人でごった返している駅でいつ運転再開するかもわからない電車をイライラしながら待つよりも、歩いた方が精神衛生上もいい。(距離にもよるが2、3駅なら歩こうかと思う。)

 ただし、これは健康で足腰が丈夫であってこそ実行できることである。いつ何時どのような障害に見舞われるかは、人間誰しも予想できないことである。
 そんな時に、「歩行アシスト」は力強い味方となってくれることであろう。


 我が身内がその研究開発に携わったから言う訳ではないし、時代の要請や企業のイメージアップのパフォーマンス的な意味合いもあろう。
 そのような背景の下、自動車製造を主業とする大手企業が、その技術力を活かして弱者救済の観点からこのような商品開発に着手しているその発想の転換力に、私はとりあえず拍手を贈ろうかと考えるのである。
 
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