NHKスペシャル「原発危機 メルトダウン~福島第一原発 あのとき何が」(18日放映)を見ました。東京電力が公表したデータ資料と取材データをもとに、コンピューターグラフィック(CG)で福島第一原発1号機がメルトダウンする状況を秒単位で再現していました。メルトダウンを最後で防止するとされる非常用復水器の操作に不慣れで「空だき」と間違え、手動で停止したミスがあったものの、「メルトダウンが想定以上の速さで起こったこと」「想定外の大地震」という「想定外の大津波による非常用電源の喪失」のため、メルトダウンは防ぐことはできなかった、とのリポートでした。
東京電力が説明する「想定外の大地震・大津波によって起こった原発事故」に沿った内容になっていました。しかも、福島第一原発の幹部職員が初めてNHKのインタビューに応じ、非常用復水器の手動停止のミスも含め、「想定外の事態が次々と発生したため、やむを得ない措置だった」と答えていました。
危機管理に「想定外」はあり得ないことは、学者・専門家がすでに指摘していることですから、ここでは触れません。「想定外として」東京電力が本来やらなければならない各種の対策を放置していたのに過ぎません。
それにしても、東京電力の発表や新聞報道などで明らかになっている①地震後、津波で非常用電源が喪失するまでに、緊急炉心冷却装置を3回も手動で停止した②緊急炉心冷却装置の水は原子炉容器の半分の量しか注水できない設定にしていた(満水にしていれば、メルトダウンまでにかなりの時間が必要だった)などについて全く触れていなかったのには、驚きました。
レベル7の原発事故として最大級の惨事を引き起こし、今後数十年間も原発被害が続く事態だというのに「あの時はやむ得ない措置だった」と言い訳されても、福島県民は許すことができないでしょう。東電は「結果責任」をはっきりと認めることからでなければ、原発収束・廃炉に向けて道筋をつけることはできないでしょう。また、政府は廃炉までの未解決の技術を開発するため、日本だけではなく世界中から英知を集めることに早急に取り組むべきです。
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