水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

分からないユーモア短編集 (96)流れのままに

2020年10月27日 00時00分00秒 | #小説

 物の流れと同じように人の動きにも流れがある。そんなこと言ってると、時流(じりゅう)に取り残されるよっ!! とかなんとか言われるやつだ。^^ この流れは当然、私達の目には見えず、分からない。今日は分からないままに綴(つづ)るそんな当たり前のお話である。^^
 とある公園の一角である。一人のホームレスに警官が何やら話をしている。
「君ねっ! こんなところで寝ると風邪ひくよっ!」
「…ああ、いつぞやの旦那(だんな)でしたか。あの折りはお世話になりました」
「別にお世話したつもりはないが、君の話に、つい絆(ほだ)されてねっ!」
「私、旦那を絆しましたかっ!? 私もまだまだ捨てたもんじゃないっ!」
「ははは…まあ、ここで寝てゃ、捨てられたようなもんだがねっ! で、どうして、こうなったの?」
「あっ! まだそこまで話してませんでしたっ? 実は私、時流に取り残されまして…」
「と、いうとっ?」
「私ね、これでも社長やっとったんです」
「ほう! そりゃ大したもんだっ!! それが、どうして?」
「ぅぅぅ…旦那っ! それが聞くも涙、語るも涙の物語でしてねっ!」
「ほう!」
「長年の取引先ということもあり、流れのままに取引しておった会社の手形が焦(こ)げつきましてねっ! ぅぅぅ…」
「そ、それは、お気の毒なっ! ぅぅぅ…」
 警官ももらい泣きで泣き崩(くず)れた。
 このように、流れのままに生きていると辛(つら)い結果を招(まね)くから、注意が必要となる。^^

                    完


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