「パパ!! どうしたのっ!」
「あ、あなたっ!!」
突然、長椅子で眠りだした城水に里子と雄静は駆け寄った。だがすでに城水は昏睡状態だった。里子は慌(あわ)てた。
「お、お医者さまを呼ばなくっちゃ! …ち、違うわっ! 救急! 救急車!」
里子は携帯を取りに居間へ走った。ちょうどそのとき、城水の意識が戻った。ただ、それは城水ではなく、すでに異星人が支配した城水だった。ただ、外見上の違いはなく、まったく分からなかった。
[里子、どうしたんだ? 慌てて]
クローン化した城水の声はゆるやかで、少し低かった。
「あっ! あなた…。だって…」
里子は、ふたたび城水が座る長椅子へ駆け戻(もど)った。
[心配するな。もう大丈夫だ]
少し機械的な城水の話し方だったが、外見上は普段と変わりなく、里子と雄静はひと安心した。
[今日は何曜日だ?]
「嫌だわ、あなた。日曜に決まってるじゃありませんか。こうして家にいるんだから…」
[おっ? おお…。いや、土曜ということもあるじゃないか]
クローン城水は慌てる様子もなく、冷静に弁解した。その語り口調は城水らしくなかった。いつもの笑いが完全に消えていたのである。